憑依物語   作:そりゃないわ

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補足、奴隷紋云々は作者による独自解釈でよろしくです



#前回のあらすじ


悪 霊 退 散(違う


6話『大成、夢を見る』

───これは夢だ。

 

目の前に広がる光景を見て、まずそう思った。現実逃避でも何でもなく

 

目の前に幼い俺がいて幼いアリスに泣きついている。

 

アリスは涙を浮かべながらも俺を抱き締めてから、ゆっくり離して騎士甲冑を着込んだ人達や上等な服を着込んだ人に連れられて馬車に乗り込んで行く。

 

町の人達は拍手喝采を挙げていて。

 

俺の両親やアリスのおじさんおばさんは寂しそうに笑っていて、妹のネアは俯いてその表情が窺えなかった。

 

もう一度言う

 

「これは夢«げんじつ»だ」

 

俺のモノではない。

 

 

幾年か経ち、魔王を討つ為「英傑スキル」を持った者を連れて勇者パーティーなるものが結成されて、そのパーティーに所属しているアリスがメンバーと一緒に村に寄ってくれた。

 

 

───何を言ってる、この歳の頃は村は跡形も無くなってたし。俺とアリスは一緒に旅をしていたぞ。

 

 

アリスは相変わらず優しいし面倒見が良くて、でも勇者はそんなアリスの目を盗んでは俺に向けて見下すような勝ち誇ったような顔をしていた。他のメンバーもだった。

 

 

───はぁ?こいつらの顔は今でも憶えてっぞ?いきなり「アリスさん、貴方は我々勇者パーティーにこそ相応しい!貴方のような美しく、また「賢者の器」に選ばれた貴方が何故隣にいるようなゴミと一緒にいるんだ!」って言われたからその場で決闘挑んでぼろ雑巾にしてやったわ!

 

 

今と同じくらいの俺、幼馴染みを奪われ(未遂)、無気力なせいか村人や家族に怒られ自棄を起こし村を出て、近くの町で冒険者登─────

 

あぁくそ、今情報収集してるんだから邪魔するなよ

 

急に浮上していく意識に思わず悪態をつく。

 

でも

 

「(未練タラタラじゃねえかよ?)」

 

 

確かにこれは俺«奴»の現実«夢»だった。

 

 

 

「────あぁもう、ほぼ忘れてんじゃねえかよ·····」

 

木々の合間から、差し込む光に目を細めながら

 

ゴギュルヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!

 

最早、下痢か何かじゃないかと言う程の音にレイグは何も言えず寝転がったまま脱力した。

 

「あー、そっか昨日文字通り魔力スッカラカンになってぶっ倒れたんだっけかぁ·······」

 

鳴り続ける轟音に顔をしかめながらも

 

その場に漂う匂いを鼻はキャッチしていた。

 

「レイグ様!?目を覚まされたんですか!」

 

「ダリア?····」

 

「はい!ダリアです!おはようございます!」

 

昨日助けた元奴隷の少女、ダリアが笑顔で駆け寄って来た。

 

「昨日はありがとうございました!」

 

「ふごっほぉ!?」

 

そのまま跳躍して寝たままのレイグに抱き付く。

 

ダリアの思った以上にあるダリアちゃん1、2号が空きっ腹を押してくる。

 

気絶待ったなしのレイグに気付かず、奴隷から解放してくれた感謝や興奮で気付かないダリアはレイグの首に抱き付き脚をバタバタさせている。

 

反応がないレイグに不思議に思ったダリアが顔を上げレイグを覗き込むと

 

レイグは白目をグリンと剥いて口を大きく開けて舌を伸ばした状態で気絶していた。

 

 

 

ーーーーーー

 

「上手い上手い上手い上手い!」

 

「まだありますから、ゆっくり食べてください」

 

いつの間にか用意されていた鳥の丸焼きをガツガツ食べているレイグをダリアは優しく見守っている

 

どうやら奴隷紋が消えた事で能力制限のバフも消えていたとの事だったので、朝早くから魔法で軽く狩りをしていたとの事。

 

「そういや、ダリアはこれからどうするんだ?自分の街に帰るんだろ?」

 

「····その事なんですけどレイグ様、少し良いですか?」

 

急に真面目な顔付きになったダリアにレイグは「重要な話か」と切り替え、肉を飲み込みダリアに向き直る

 

「私もレイグ様と旅をさせて頂けませんか」

 

予想外の提案に思わず言葉に詰まるが、流石に看過できない

 

自分が言うべき言葉を整えていき。

 

「········何故だ?昨日あれだけ家族に会わせてくださいって」

 

「このままでは、私の気が収まらないからです」

 

「何故そんなに頑なになる?」

 

「レイグ様は私の命の恩人です」

 

ダリアの目を見て内心ため息をつく、こりゃ「固いな」経験上この目をする奴は大概「強い」

 

····でも、こいつがそう決心しても未だ行方を知らないこいつの家族の気持ちはどうなる?

 

「家族はどうする?」

 

「家族ならいつ──────」

 

 

 

「いつでも会える、何て口が裂けても言うなよ?」

 

「っ」

 

自然と口調がキツくなってしまう、だがこれもダリアやその家族の為だ、言葉足らずかもしれんが。

 

元々俺とダリアの関係なんてあってないようなものだ第一会ってからまだ半日も経ってない

 

「確かに昨日俺はダリアを助けた、でもそれは偶然って言えばそれまでだし、ダリアが欲しくて助けた訳じゃない、礼はこの朝食で充分返して貰ってるんだ。

 

 

──家族って普通に暮らしてれば毎日会えるけどさ、君みたいに突然にその普通を奪われる可能性はいくらでも転がってる。君はその辛さを分かってる筈だ······家族をその辛さから解放してやってくれ」

 

 

ダリアの瞳が揺れ、俯き見えなくなってしまう。

 

何も言い返してこないのは、ダリア自身に自覚や言い返せない何かがあるからだ。

 

なのに、どうして

 

 

「それでも···貴方に付いていかせて下さい」

 

目の端に涙を浮かべて此方を見る

 

「·········」

 

「確かに、貴方が昨日あの場に現れたのは偶然かもしれません、この場所が彼処から離れてる距離も考えて、本当に偶然だったのでしょう、それでも······」

 

 

いつしか涙は止まらず、ポタポタと地面を濡らしていく視界が涙で霞んでいるだろうに、それでも此方を強く見ていた。

 

ワナワナと震える唇が口を開く。

 

「それでも貴方は私を救ってくれました!舌を噛み切って絶望から逃げようとした私を貴方は救ってくれたんです!そんな貴方に恩を返せずに私は家に帰れません!

 

恩を感じちゃいけませんか!?ここまでして貰ってまだ会ってから半日も経ってない男の人に恩を返したいと思うのは身勝手ですか!?」

 

「······(こりゃ勝てねーわ)」

 

正論を叩き付ける相手に大して負けずに自分の感情論でぶつかる姿に、幼馴染みの姿を重ねてしまった時点で俺の負けだろうチクショーが

 

「·····何か、俺が苛めてるみたいな構図だなこりゃ」

 

「········すいません」

 

 

どこかふて腐れたような態度だが、此方の態度が柔らかくなったのを感じたのだろう。不安げに見てくるダリアに苦笑する。

 

 

「近くの街に行ったら、即手紙出せ条件それだけ、分かった?」

 

 

そう言うと、ダリアは分かりやすく頷いて抱き着いてきた

 

仲間が一人増えましたと、心の中のアリスに報告したら怖い顔で中指立てられました、なんでや

 




ダリアちゃんに質問です。

Q特技は?

ダリア「(特定の人に)ハグ」

さぁおいで!

ダリア「ふぁっくゆー」

なんでや
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