ダリアちゃんはクンカーの称号を手にいれかけている!
「······なるほど、それでそっちのダリアちゃんが倒れているレイグを保護して」
「ええ、目を覚ましたレイグさんが記憶喪失、って言う感じね」
取り敢えず落ち着いた、門番が冷静に事の経緯を尋ねてきたので、事前に決めていた記憶喪失の話を出した。
「········さっき俺に「生きてたのか!?」って詰め寄ってたけど····何かあったのか?」
間が空いたので、俺も会話に参加する。ダリアも気になっていたのか門番に目を向ける。
門番は一瞬ギョッとしたが、すぐさま頭を振って複雑そうな顔で事のあらましを語り始めた。
駆け出し冒険者ディラン率いる新米パーティー、元からいる弟に加え、声を掛けられたレイグ計3人のパーティーはある日ゴブリン5体の討伐クエストを受けたらしい。
レイグは基本的に荷物持ちをさせられていたらしく、その日も「暗い面持ち」で街を出ていたらしい
その日の晩、普通通りに帰ってきたのはディランと弟だけだった。
門番が慌てて事情を聞くと、どこか演技がかかったような悲痛な顔をして
──山でゴブリンの群れに遭遇したんだ!あいつは、レイグは俺達に逃げろって言ってくれて····!
と心底悔しそうにしていたらしい。
ギルドに報告すると、取り敢えず後日確認の為に調査隊を派遣する流れだったらしい。
どうやら面倒な事態になり掛けているようだった。
「·····すまない、心配をかけたみたいだが本当に分からないんだ」
嘘は言ってない、ある意味本人じゃないし
「いや、良いんだ生きててくれて良かった、そっちのダリアちゃんもレイグを助けてくれてありがとう!·······記憶はゆっくり思い出せばいいさ」
そう言って、俺の肩をゆっくり叩いてくれた。
「(····何だ、普通に気に掛けてくれてんじゃん)」
恐らくこの門番は人が良すぎるのだろう、どこか涙ぐんでいる
しかし記憶喪失設定にして正解だった、さっきからこっちが発言するたびに一瞬ギョッとしたりするところを見ると、前の「レイグ」との差異に反応してるようだ。
「あ、あぁ!すまない、街に入りたいんだったな!おかえりレイグ!「ストルの街」にようこそダリアちゃん!」
そう思い出したように言う門番
「二人はどうするんだ?ギルドに真っ直ぐ向かうのか?」
「いや、今日はもう休みたいと思ってる·····やっぱ顔は出した方が良いか?」
「いきなり行っても両方ともパニックになる可能性がある、ギルドの方には俺から伝えとくから今日はゆっくり休んでくれ」
「助かる····後、俺はこのまま街に入って大丈夫か?」
そう聞いた俺に門番は、疑問符を浮かべたが得心がいったように問題ないと言った
どうやらストルの街のギルドマスターが、下手に騒ぎにならないように箝口令を敷いてくれていたらしい。
有能なギルドマスターで助かった。
内心溜飲を下げた俺は自分が宿を借りているのか聞こうとして。
「(あれ?分かる?····)」
────メインの大通りに肉屋の脇の小道に入ってすぐの「沈む太陽」が「俺が」部屋を貸して貰ってる宿屋だ。
知らない筈の情報が自然と浮かんできた
「色々とありがとう、えと·····」
「アレスだ、記憶早く戻ると良いな!あ、宿とか大丈夫か?流石にそこまでは分からないんだ!」
門番──アレスはそう言うと申し訳なさそうそうな顔をした。
「いや、何か宿の場所はパッと出てきたから大丈夫だ、色々ありがとうアレス、ダリアさん行きましょう」
そう言ってダリアの手を掴み街の中へと歩いていく。
ダリアは「ふぇ」と可愛らしく悲鳴をあげたが、やがて観念したのか俯き逆に握り返してきた。
······何か恥ずかしいぞこれ
本来の自分より6も年下の娘に何を動揺してんだ俺は····
ーーーーーーーー
「中々賑わってますね」
「そうだな、この街が潤ってる証拠だ、ダリアはここは初めてなのか?」
人々が交差する大通り、王都程ではないが中々の喧騒に包まれていた。
この街はそれなりに発展しているのだろう、良く見るとそこかしこに大荷物を抱えた商人らしき人や、人を集めている大道芸人、人を魅了する音を奏でる吟遊詩人
ダリアはどこか緊張と興奮を混ぜたような声でそう呟いたので尋ねると、どうやらダリアはこの街から南に、つまり俺達が来た方向の山二つ程越えた所にある「リーガル村」と言う所が生まれでそこから出たことは一度もないと言う。
15歳の頃に冒険者になり、Cランク冒険者として期待を受けてたらしかった。
「おお!レイグじゃねえか!今日は休みかい?」
すると焼いた肉を串に刺して商売をしているオッチャンに話しかけられた。
「───あぁ、今日はこの人がこの都市で冒険者活動をしたいって言ってて、案内してるところだよ」
一瞬迷ったが、普通に素で話す俺、ダリアが慌てて顔を近付ける
「レイグ様、大丈夫何ですか?」
「俺も最初迷ったがそこまで関わりはなさそうだったんでな、それにこの規模にこの賑わいがある街だ「知ってる冒険者が様子がちょっと変」なんて噂、直ぐに余所からの情報に押し潰されるさ」
「············本当は?」
「一々記憶喪失云々の下りをするのがダルい」
そう正直に言うとダリアは破顔して「レイグ様ったら」と笑っていた。
ダリアは串焼き肉のオッチャンにペコリと頭を下げた
「私ダリア、リーガル村からやって来たんだ!」
「へぇ!あんな遠くから!良く来たな!」
元気の良い挨拶が好評のようだ、機嫌が良くなったオッチャンは串焼き肉を二本くれた。
「ありがとうオジサン!」
「ありがとう」
「良いって事よ!これからも贔屓にな!」
そう最後に言ってニッと笑ってくれた。
その際ダリアに何かを言っていたがダリアは顔を真っ赤にさせて固まってしまっていた。
それから服屋で何着か見繕って(奴隷商人の有り金から算出)
何故か俺の上着を返そうとしないダリアを説得して上着を返して貰い、その足で記憶通りに宿「沈む太陽」の前までやって来た。
見た目は結構古めかしい造りの木造平屋で古びていると言うより年季が入ってると言った感じだ。
ダリアはシンプルな白のワンピースを着ていて、ちゃんと靴とサンダルも買い揃えた(奴隷商人の有り金から算出)
若干煤けてはいるものの茶色の長い髪にあっておりダリアの端整な顔を引き立てていた。(ありがとう奴隷商人の有り金)
これで身だしなみに関しては文句は言われないだろう
カランカランと開き戸を開けた際にドアの上部に付いた鐘が音色を響かせる。
受付にいたのは30台に差し掛かったであろう女性で会計用であろう長方形のテーブルに顔を伏せて寝ていた。
この街職務怠慢な人間がちょこちょこいるなぁ
「あのー、すいません!」
早速ダリアが話し掛ける、女性は煩わしそうに灰色の髪を揺らして顔を上げた、青い瞳の下には酷い隈が浮かんでおり、全く寝てないことが分かった。
「ったくなんだってんだい───」
目を細めながらも、此方に顔を向ける女性ダリアを見てその隣にいる俺に目をスライドさせる。
「(あれ?ついさっきと同z)」
固まったと思ったら険しい表情になり
「こんのばかっ!!!今まで何処に言ってたんだい!?こんなに心配かけてぇ!」
目に涙を溜めてそう言われ、逆に俺が固まった。
アリス、今回ばかりは俺は悪くないと思うんだ、だってこんな予想できるわけないでしょ?
心の中のアリスにそう問い掛けると難しい顔で悩んでいたが「やはり女性を泣かせるのは駄目」とばかりに✕印を腕で作っていた。
つらたん
レイグ「俺の服汗臭いからそっちの綺麗なワンピに着替えなさい!」
ダリア「HA★NA★SE★」
そろそろダリア視点を挟んで行こうかなと思っております。