不沈戦艦紀伊 異撃(ありふれの世界)   作:十二の子

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scene1

―*―

 

 「また、次の世界か…」

 

 「今度はどんな世界なのでしょうか、豊田元帥。」

 

 「そろそろ、いくら使命に燃えた水兵たちと言えど疲れてきていますから、友好的に上陸できるといいんだがな。」

 

 「『尾張』ともはぐれましたからね…」

 

 「艦長、電探に感アリッ!」

 

 「いきなりか!黛、主砲発射用意だ!」

 

 「標的大きい、1キロはあります…波です!敵は意思を持った津波のバケモノ!距離一一〇、方位5時の方向!」

 

 「了解!

 

 弾種三式、一斉撃ち方用意!」

 

―*―

 

 メルジーネ海底遺跡を攻略した南雲ハジメは、しかし逃げ惑っていた。

 

 背後から迫るのは、クリオネモドキが魔法で操る巨大な津波。魔法を消してしまうらしい。

 

 そんな時、いきなり、津波が進路を変えた。

 

 何があったかと首を曲げてみて、ハジメと香織は瞠目する。

 

 巨大なシルエット。

 

 大和型戦艦のような、3基の主砲。

 

 それが、火を噴いた。

 

 9発の51センチ砲弾がハジメたちの上を飛び越し。

 

 花火のように飛び散って、津波の上を覆い。

 

 セリー状のクリオネモドキは、発火して水蒸気爆発を起こし焼失した。

 

―*―

 

 「初めまして、私は独立転移艦隊司令、元大日本帝国海軍司令長官、豊田副武だ。

 

 早速だが、2番艦『尾張』の行方が知りたい。救助する側である我々が聞くのも複雑なのだが…」

 

 ハジメは、そんなの知らねえよと答えようとしたーが、香織が、それを遮った。

 

 「ハジメくん、言ったよね?私がハジメくんの後を追おうとして、雫ちゃんが止めようとしたときに、すごい揺れがあって足元が崩れて落っこちたって。

 

 あの揺れ、もしかしてさっきの主砲…」

 

 「中瀬、何をやっとるんだ…」

 

 「松田艦長、ということは『尾張』は数か月前には転移してきていたと言うことか。やれやれ…」

 

 松田少将と豊田元帥は、ため息をつき、それからハジメたちと状況を確認しあった。

 

 「わかった。

 

 今やどこの世界にも属さない我々とて、その世界の皇民を助けることは至上使命だ。それに、我が皇祖神天照大御神の名のもとに、エヒトも倒されなければならない。

 

 力を貸そう。」

 

 「俺も恩ってものがあるからな。『尾張』とやらを見つけたら教えておく。でも、その中瀬昇とやらは」

 

 「ああ。精神注入棒を貸してやろう。

 

 独海令第8号!我々独立転移艦隊は、南雲ハジメ、白崎香織両名を現時点トータスにおける邦人利益代表とし、彼らが神エヒトと伍して元の日本に帰還するための支援を行う!」

 

 紀伊型戦艦が新たな世界に呼ばれるには、必ず理由がある。それはこの世界では…

 

―*―

 

 「ミレディ・ライセン閣下、後、どれくらいで改造は終わりそうですか?」

 

 「まだ1か月、2か月?

 

 やれやれ、こうして魔法を付与しても、次の世界に持っていけないなんて不便だね。」

 

 「先に現れたほうが建造時、後から現れたほうが最終時、同時に出現した時は沖縄海戦時で転移出現する。それが、我々独立転移艦隊に課せられた制約であるようですので。」

 

 「うんうん、本来神様って、こんな風に謙虚であるべきだよね。」

 

 「わが国では、物には皆、神様が宿ると教わります。ならばいつの日か偽の神様も、八百万の神様にうち滅ぼされる日が訪れましょう。」




 中途半端に時間が余ってるときにscene2投稿して次の世界へだと思います。

 設定上、沈んだはずの「紀伊」「尾張」に、かつての乗員たちや関係者(の分身)が乗り込み、ディケイドのごとく世界を旅してます。それ以上の細かい設定は考えっこなし。
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