天空の要塞ラピュタ   作:トマホーク

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とりあえず何か書けたから先にこっちを投稿。

今回はちゃんと注意書きあるし大丈夫でしょう。

更新は気分。


原作開始前 1

私の名前はムスカ。16歳。片田舎の谷でヤクを飼育し畑を耕して生計を立てている。

 

少しばかり特殊な家系に生まれ、少しばかり特殊な育て方をされたが極々普通の人生を生きてきた。

 

少し前に両親と祖母が立て続けに亡くなってしまった時は多少慌ただしい日々であったが、それが私の人生の転換点になったかというとそんな事はなく。

 

私はこれからも極々普通の人生を生きていくものだと思っていた。

 

あの日、ノックされた我が家の扉を開けるまでは。

 

「──やぁ、また会ったな少年」

 

滅多に人が来ることが無い我が家の扉がノックされ、誰だろうと思いながら出てみればそこに居たのは軍服を纏ったスタイルのいい女将校だった。

 

黒い長髪を谷の強い風にたなびかせながら親しげにニコリと笑ってみせる彼女に、はて?この人は一体?と一瞬頭の中に疑問符が浮かぶがなんて事はない。

 

1週間ほど前に飼育しているヤクから搾乳したミルクを街へ売りに行った際に彼女がグスタフ一家とかいう空中海賊と大立ち回りを演じており、その最中に背後から銃で撃たれそうになっていた彼女を助け面識を持った事を思い出す。

 

「……お久しぶりです」

 

「入ってもいいかな?」

 

記憶を掘り返す一瞬の間──つまりは自分の事を忘れられていた事を見抜き少し寂しそうな表情を浮かべながら苦笑していた女将校はそう言いつつ既に家の中へと足を踏み入れていた。

 

確か名はシータ。28歳で階級は大佐だったかな。

 

シータさんの後に続いて丸い黒眼鏡に黒のスーツと山高帽の男が2人が、ずかずかと家の中に踏み込んで来るのをしょうがなく許しながら私は以前会った際に教えられた彼女の個人情報などを脳裏に浮かべていた。

 

「それで何のご用ですか?」

 

まるでこれから尋問されるみたいだな。

 

座るよう促した椅子に腰を下ろしたシータさんとは対照的にいくら進めても椅子には座ろうとせずシータさんの後に控える男達の姿を横目にしつつ、そんな事を考えながら紅茶を出し終えた私は椅子に座るとニコニコと楽しそうな笑みを浮かべて部屋を舐め回すように眺めるシータさんに問いかけた。

 

「あぁ、すまない。今日は先日の礼を改めて──という話では無いんだ。残念だが」

 

先程までの柔和な雰囲気から一転、ヒリつくようなオーラを放つシータさんに私も自然と背筋を伸ばし身構える。

 

「天空の城ラピュタ……と言えば何の話なのかはムスカ、君も分かるだろう?」

 

「……」

 

あ、ヤバイ。

 

シータさんの放った言葉にギクリとし、遅まきながら自分が置かれている状況の不味さを理解した。

 

何故なら天空の城ラピュタというのが、私の少しばかり特殊な家系のルーツに繋がるからである。

 

公表していないし秘匿していた筈の秘密が何故漏れているのかは知らないが、端的に言えば私の一族は今は伝説やお伽噺の中の存在となった古代国家──ラピュタ帝国の王族の末裔なのだとか。

 

そこだけを聞けば何代か前のとち狂った先祖の誰かが詐称しただけかも知れないが、残念な事にウチにはラピュタ帝国の引いてはラピュタ帝国があったとされる天空の城ラピュタが実在する証拠のようなモノを幾つか継承しているのである。

 

それ故に不味かった。

 

「……なんの話かさっぱりです。話がそれだけならお帰りを」

 

今後も平凡に細々と暮らしていたかったし、悪用される恐れがあるからラピュタやご先祖様の事には絶対に関わるなと今は亡き父や母、そして祖母にキツく言いつけられていた事もあり私は知らぬ存ぜぬでこの場を押し通す事にした。

 

「そういう訳にもいかないんだ」

 

「こう見えて畑仕事に家畜の世話と忙しいのです。お引き取りを」

 

これで一旦帰ってくれればいいんだが。

 

内心でそう思う一方で、わがままを言う幼子を前にしたような困った顔でどうしようかと思案するシータさんに取りつく島を与えずに返事を返す。

 

「このガキ!!こちらが下手に出ていれば図に乗って!!さっさと貴様が持っている飛行石を渡せ!!」

 

だがそんな私の返答や態度が気に食わなかったのかシータさんの背後に控えていた男の片割れが突然激昂して掴みかかって来る。

 

そして、男の手が私の服に触れた瞬間だった。

 

「へ?グハッ!?」

 

男の視界の天地がひっくり返り、直後その身が机の上に激しく叩き付けられる。

 

やってしまった……。

 

左手は次の行動を起こす時に備えて机にあったスプーンを握り込んでいるし、右手は男を机に叩き付けた時のまま男の喉を締め上げている。

 

思考するよりも早く反射的に動いてしまった事を私は深く後悔した。

 

「貴様っ!?」

 

仲間が一瞬で制圧された事に驚きながらも、もう1人の男がサッと胸から軍用拳銃を取り出し、その銃口をこちらに向ける。

 

……手を出して来たのは向こうからだし武器を出したのも向こうからなんだから、ちょっとぐらい乱暴な対応でもいいよな。

 

その刹那、ここに至っては自重を止め多少痛い目に合っても文句は無いだろうと思った私は短絡的に再び体を動かそうとした。

 

「お前は誰に銃を向けている?」

 

だがそれよりも早く、銃を取り出した男のこめかみに無表情のシータさんが中折れ式のリボルバー拳銃を突き付ける。

 

「た、大佐……」

 

「ここに来る前に言った筈だ。話は私がすると。なのに何故お前達は話の邪魔をした上に我が愛しい人に銃を向ける?」

 

「し、しかし……」

 

「……?」

 

気のせいかな?

 

何か聞き間違えをしたような気がするが、シータさんの発する気迫とこの緊迫した場の空気を読んで私は黙っていた。

 

「お前達は邪魔だ、この後の話はムスカと私だけでする。早く出ていけ」

 

既にそれが決定事項であるとシータさんが凄みながら威圧感を出す。

 

「で、ですが……」

 

「出ていくか、死ぬかだ」

 

冷や汗を流しながら戸惑う男が言い淀むとシータさんは笑顔でカチャリと撃鉄を起こした。

 

それが決定打となり男は降参とばかりに手を上げた。

 

全員帰ってくれないかな。

 

それを見届けてから私も机に押し付け過ぎて青い顔になっている男の拘束を解いたのであった。




ほぼほぼ1日で書いてるから仕上がりとか矛盾点はお察し。
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