※お知らせ※
ジブリシリーズの作品の更新はこれにて一時停止(再開時期未定)させて頂きます。
「ではロムスカ、今からは2人で協力してラピュタを見つける事に全力を注ごうか。ラピュタを見つけない限りは話が始まらないからね」
「分かりました」
独裁者になるつもりは無いんだけどな。
生き延びるためにシータさんの手を取り一時的な共同戦線を張りはしたが、隙あらば身をくらまそうと決意しつつ頷きを返しておく。
「じゃあお互いが持つ情報の共有と整理、再確認をしておこう」
「はい」
「まずは私から。私は王族が地上に降りた際に分裂し、分家となったパロ家の末裔。そしてパロ家が継承しているのがラピュタに関する情報が記された古文書だ」
使い古した手帳を渡され開いてみれば、古文書から書き写されたラピュタの情報がびっしりと書き込まれていた。
「私は宗家──トエル家の末裔で飛行石を継承しています」
飛行石を継承した宗家とは言え、ラピュタ自体に関する情報はあまり知らなかったので渡された手帳に釘付けになりながら答えた。
「それだけじゃないだろう?私を救ってくれた時と先程見せてくれたモノがあるはずだ」
げッ!?
シータさんの言葉にギクリとした。
別にラピュタ捜索に関係する事ではないので黙っているつもりだったが、ニコリと笑って吐けと圧力を掛けてくるシータさんを前に隠し通す事は無理であった。
「……宗家が継承し親から子へと脈々と受け継いで来たラピュタ式近接格闘戦闘術もあります」
渋々、本当に渋々答えた。
これが我が家の少しばかり特殊な育て方の理由である。
小さな頃からみっちりと叩き込まれ、使う機会なんて無いだろうと思いながらも鍛練に励み事実最近まで使う機会が無かった代物だ。
シータさんを助けた時や先程の黒スーツを制圧した時は鍛練しておいて良かったと思ったが、やはり幼少期の大半を鍛練に費やさせるのはやり過ぎだと思う。
そうでもしないと習得出来ないとは言え。
「そうそれだ!!初めて見た時には驚いたよ。その研ぎ澄まされた技の数々に。そして調べてみたら何とあのラピュタ式という事が分かった時なんてもう!!……私も軍人なのでね体術は中々に出来る方なんだが、君には勝てないだろうな」
恋する乙女のような表情とヒーローを前にした子供のように羨望の眼差しを向けてくるシータさんに少し気恥ずかしい気持ちになり頬を掻いた。
「ところでだ。ロムスカは肝心のラピュタについてどれぐらい知っている?」
それから少しして家の話や自分達の境遇まで話が拡大していた時、思い出したようにシータさんがそう言った。
「わざわざ調べた事もないので、ラピュタのお伽噺を知っている程度です」
こんな事になるとは思っていなかったし、片田舎に住んでいた事もあって調べる手段も無かったためラピュタの王族の末裔と言ってもラピュタに関する情報はシータさんに渡された手帳の内容がほぼ全てであった。
「そうか、では教えておこう。ラピュタはその空に浮かんでいる特性から天空の城と言われているが、それは実は正しくない」
「正しくない?」
「そうだ、あれは城なんかじゃない。いや、城としての機能も備えているが正しくは要塞だ。天空の要塞が正しいラピュタの呼称なんだ」
話している内に興奮してきたのか、鼻息荒く早口になりながら身を乗り出してくるシータさんに気圧されながら先を促す。
「我が家の古文書によればラピュタの雷と呼ばれている超エネルギー加速砲が1門、対地対空用に電磁速射砲が100門以上、開拓用らしいが荷電粒子砲が6門、そこから更に誘導兵器や電子兵器、音響兵器があり、加えて自律兵器……汎用人型ロボットが500機、対衝撃シールドや対エネルギーシールドも完備しているらしい。他にもまだまだあるらしいが……詳細はよく分からない。ちなみに今言った兵器の名称も詳細が分からないから適当な言葉を当てはめただけだったりする。しかし、まぁこれ程までに兵器で固めてあるんだ。城と言うより要塞というのが正しいとは思わないかね?」
「はぁ……」
この人は本当にラピュタが好きなんだな。
何故かドヤ顔でそうのたまうシータさんの姿にそんな感想を抱きながら冷めてしまった紅茶に手を伸ばす。
「シータ大佐、そろそろ」
少しイラついた表情で扉を開けた黒スーツの男がそう言った。
「おやおや、流石に時間を掛けすぎたね」
話が長くなりすぎて忘れていたが、既に外は暗くなりかけていた。
「さぁ、ムスカ。行こうか」
若干不完全燃焼の表情を浮かべながらも残った紅茶を煽り、席を立ったシータさんに促され自分も席を立つ。
そして、私の人生を大きく変えるラピュタ捜索の旅が始まるのであった。