「かつての過去の私」   作:@maika52

1 / 1
《注意事項》

※東方Projectの二次創作です。
原作にはない設定盛りだくさんなので、苦手な方は回れ右!


第1話 「始まりを告げる夢は唐突に」

──いつの日かの夢を見る。

──覚えがあるようで、全くない現実味を帯びた夢。

──その夢の中で、私は紫の長髪に紫の瞳をしていて、

周りには魔理沙に似た服装だが、

その服の色は紫だったり、私が知っている魔理沙とは

少し違うように見える。

それもあるけれど、何よりも口調が違う。

もちろんところどころでいつも聞いている

「~だぜ」という口調になっていたりもするけれど

どちらかといえば実に女の子っぽい口調になっていた。

 

 

・・・これは、何なんだろう。

誰かの悪戯?でも、それにしては───

どうして懐かしく思うんだろう……?

分からない。分からない。

こんなこと、今までに見たことなんてない。

 

──なんで、こんなにも。

懐かしくて、温かくて……哀しいのだろうか?

 

そんなことを私は他人事のように思いながら、

その夢を、目が覚めるまで見続けるのだった──。

 

 

「……ん?」

 

暖かな日差しが、襖の向こうから部屋に差し込んでいる。

明かりもつけていないのに、部屋が明るいことで、

もう朝が来たんだと気付いた。

 

「ほんと、変な夢見たわね……」

 

でも、不思議と嫌な気持ちにはなっていない。

別に夢心地が悪かった訳でもない。

だけど、不可解ではあった。

 

そして、本来なら時間が経てば

忘れてしまうものである筈が、

何故かずっと覚えているのだ。

だからこそ、単純な『夢』だと断定できない。

一体私が見るこの夢は、何なんだろう……?

そんなことを考えても、結局答えは出てこなかった。

 

 

霊夢はこの変な夢をとりあえず置いておいて、

布団を押し入れにしまい込み、朝支度を始める。

 

「(考えたってしょうがない……。

分からないのなら、別に気にしなくてもいいって

ことなのかしら……?)」

 

まだ寝たい気持ちは山々だが、

それは後回しにしよう。

今は寝間着からいつもの巫女服に着替えて、

朝餉の用意をしなくちゃ。

それから境内を掃除して───。

 

そんな、いつも通りの日常を思い描く。

いつも何かしら用事がある訳でもないけれど、

早起きだけはすっかり習慣になってしまっていた。

 

「(小さい頃は早起きは苦手だったのにね……)」

 

幼い頃を思い出せば、少し苦笑が零れる。

歳をとるって、こういうことなのかしら?

なんて、どうでもいいことを考えながら、

朝餉の用意を終えて、さっさと食べ終えてしまう。

 

「さて。境内の掃除をしますか」

 

使い終わった食器を洗い場に置いて、

大きく伸びをしながら、掃除道具を置いている

外へととぼとぼと歩いていく。

 

──いつも通り、平凡な日々。

つまらないような、退屈なような、そんな日々。

 

掃除道具を仕舞っている倉庫から、

箒を取り出して、母屋前を掃除していく。

暖かな太陽の日差しが、眠気を誘ってくる。

 

「ふぁ~」

 

霊夢は大きな欠伸をしながら、

さっさと落ち葉を集めていく。

 

もうすっかり、春になってきた。

未だ少しだけ寒いけれど。

神社の周りにある木々も、春になれば

桜の花を咲き誇るのだろう。

 

ぼんやりとしながら、誰も来ないこの神社で

霊夢はただ一人、静かに掃き掃除をしていく。

掃除が1通り終われば、後は縁側に座って

お茶を飲みながらまったりしていればいい。

もしくは、寝てしまったって構わないだろう。

 

そう思えば、さっさと終わらせようと

掃除に集中して、それからしばらくして終わらせた。

そうしたら、台所からお茶請けと緑茶を入れた

湯呑みを御盆に置いて、それを縁側へと持っていく。

 

「さて……。やることは終わったし、

夢のことの振り返りでもしようかしら……」

 

どうせは昼前くらいになれば忘れているだろうと

思っていたのに、まだはっきりと覚えている。

もちろん、今日見た夢だけじゃない。

今までに見てきた夢も全てだ。

 

 

一つ目として、自分の姿は今の自分とは全く違うこと。

あの巫女服は、確かにまだスペルカードルールを

作る前に着ていたことがあるものだったけれど、

今は全く着ることがなくなったものだった。

そして、何よりも自分の力で空を飛べないこと。

 

二つ目として、周りにいる妖怪どもが全く違うこと。

悪霊やら、魔界神やら、どっかの教授とか。

ましてや普段から空飛ぶ亀がいる時点で既におかしい。

はたまた機械とかいるもんだから訳が分からない。

 

三つ目として、今でも見知った顔の妖怪がいること。

それは、幽香と小さいけれどアリスがいた。

……小さいアリスはもしかして別人かしら?

いやでも、なんだか少しだけ態度とか口調とか

似通ってるものがあるのよね……。

 

四つ目として、幻想郷のシステムが少し違うこと。

どうやら私が夢に見たこの幻想郷に、

紫のような幻想郷の賢者はいないらしい。

と、なるとますます幻想郷と言っていいのかさえ謎だけど。

 

「あーー、やっぱり訳がわかんない。」

 

頭の中で整理したところで、やっぱり分からない。

霊夢はごろんと仰向けに寝転がって、

母屋の天井を見る。

 

どうして、こんな夢を見るようになったんだろう。

訳が分からないまま、やっぱり眠気には勝てなくて。

──いつの間にか、その意識は眠りに落ちていた。

 

『ねぇ、霊夢。私はお母さんのように

色々な魔法を使えるわけじゃない……

どうしたらいいのかしら』

 

『……私は魔法についてはよく分からないわ。

けど、アリス。あんたはあんたよ。神綺じゃない。

そうね……あんたの部屋にはいつも人形がいるでしょ?』

 

『え?うん、私が作ったものだけど……』

 

『なら、その人形を魔法で操れるようにする、とか?』

 

博麗神社の縁側で、紫髪の靈夢と、

その隣でお茶を飲みながら不満げな顔をしている

幼いアリスが座りながらそんな話をしていた。

 

『人形を、操る……?』

 

『あんたや魔理沙が言ってたでしょ。

魔法は何だって出来る、って』

 

『そ、それは……』

 

『だったら、やってみればいいじゃない。

せっかくあんなにも人形があるってことは、

あんたはあの人形たちを気に入ってる訳なんでしょ?

だから、今はそういうのをやってみて、

やってみたけど自分の腑に落ちないのなら、

また他の魔法を見つけて、調べてみれば良いのよ』

 

『………人形を、魔法で操る……。

うんっ、いいかも知れない!やってみるわ!

だから、もし私が魔法で操れるようになったら

魔法を見てくれる?靈夢』

 

『良いわよ。……楽しみにしとく』

 

『えぇ!!』

 

暗い顔をしていたアリスは、

目を輝かせてにっこりと満面の笑みを浮かべていて、

夢に映る私はそのアリスの様子を、

微笑ましそうに見下ろしていた。

 

 

「──れ……れ、む……れいむ、……霊夢!」

 

「ッ!!」

 

突然聞こえてきた声に、私はハッと目を開ける。

すると、眼前に映ったのはアリスの顔だった。

 

「ア、アリス……?」

 

「流石に暖かくなったからって、

こんなところで寝るのは止めなさい。

風邪を引くかもしれないわよ……?」

 

そっと、自分の身体を見下ろせば、

そこにはアリスがかけてくれたのだろう。

ブランケットが被せられていた。

 

「あーー、ごめん。それとブランケット、ありがとう」

 

「いいわよ。風邪引かれるよりかはマシだわ」

 

寝転がっていた身体を起こして、

未だ眠たい目を擦り、隣に座るアリスに顔を向ける。

 

「そういや、何か用があったの?」

 

「いいえ、単純にクッキーを

作り過ぎてしまったから、お裾分けに来ただけよ。」

 

「クッキー?」

 

アリスが持ってきたバスケットの中には、

チョコクッキーが沢山入っていた。

 

「結構作ったのね……」

 

「そうね。ぼんやりとしながら作っていたら、

予定以上に作り過ぎちゃってね」

 

少し苦笑しながら、アリスはそのクッキーを

持参していた洋風なお皿の上に乗せていく。

5つほど乗せた後に、「ちょっと台所借りるわね」と

行って台所に行ったかと思えば、

アリスの家で見たことがある、紅茶を飲むための

ティーポットというものを持って帰ってきた。

 

「それは?」

 

「ハーブティーよ。今は蒸しとかないと

美味しくないから、少し待ってて。

クッキーには緑茶よりも紅茶と一緒に

嗜む方が美味しいのよ」

 

「あーー、そういや、昔そんなこと言ってたわね」

 

幽々子が起こした異変の後、

どうやら魔理沙と仲良くなったらしいアリスが

博麗神社に遊びに来た時にも、

アリスはクッキーを手土産として持ってきていた。

その時に、そんなことを言われたのを

今更ながらに思い出す。

 

「……なんだか冴えない顔してるわね、何かあったの?」

 

「……ねぇ、アリス。最近変な夢を見るのよ」

 

「変な夢?」

 

そう言って、アリスにここ数日夢に見る光景を

淡々と覚えているだけ伝えてみる。

 

「……ッ」

 

「アリス?」

 

全て伝え終えて、アリスの顔を見れば

何か驚いたような、泣き出しそうな顔をしていて、

まさか自分の見た夢の内容を話しただけで、

そんな顔をされるとは思っていなかった霊夢からして、

アリスのこの反応は予想外だった。

 

「霊夢、その夢は……」

 

「何か知ってるの?」

 

「………貴女の、過去よ」

 

「過去……?」

 

アリスから告げられた言葉に、

私はぽかんとするしかなかった。

確かに、私は過去のことはあまり気にしないけれど、

今までにこんな経験をしたことがあっただろうか?

アリスに会ったのは、春を集めるという異変が

起きた時に初めて会ったはず……。

 

夢の内容が、私の過去だとしたら、

私はその異変以前に会ったことがあることになる。

……おかしい。

 

いつ会ったか、どうやって出会ったか、なんて

正直気にしたことはなかったのが仇になったか。

正直アリスと初めて会った日なんて、

明確には覚えてすらいなかった。

 

「過去ってどういうこと?

アリスに初めて会ったのは、あの春を集める異変が

会った時だったはずよね?」

 

「……違うわよ。

貴女は遥か過去に会ったことがあるのよ。

私にも、幽香にも、もちろん魔理沙にも」

 

「あんたにも、幽香にも、魔理沙にも……?」

 

幽香に会ったのは、

あの季節外れの花が咲き乱れた異変の時。

魔理沙に会った時は、確か……。

まだ人里に住んでいた時に、たまたま迷い込んだ先が

博麗神社で……そこで偶然にも会ったのが初まりだったはず。

 

「魅魔とか、覚えてない?」

 

「魅魔?」

 

「魔理沙の魔法の師匠だった悪霊よ」

 

「悪霊が師匠……?」

 

なんだか、懐かしい名前のような気がする。

ああ、なんだろう。頭が痛くなってきた。

 

「ちょ、霊夢?!」

 

──ああ、なんだか、意識が……。

そうして、霊夢の意識は暗闇へと落ちていった……。




閲覧頂き、ありがとうございました!
この作品はpixivに公開していた第1話をこちらに
再掲した形になりますが、お楽しみ頂けたのなら幸いです。

今までにも霊夢の過去話は色々と書いてきましたが、
今回のこの作品では旧作が絡んできます。
裏話に関しましてはAmebaブログの方に書いてありますので
お時間あれば是非。

⇩東方ss「かつての過去の私」裏話。
https://gamp.ameblo.jp/uukauukachan/entry-12659763845.html?__twitter_impression=true

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。