Fate/beyond【日本史fate】   作:たたこ

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12月7日⑫ この道繋げし吾妻よ

 振り下ろした剣は空を切った。魔力で構成されているとはいえ、肉体を断ち切るはずだった剣は汚れることなく水面に切っ先を触れさせている。

 

 ライダーはゆるりと標的が逃げた、避けた方向にゆっくりと振り向いた。さざ波すらない、ゆるやかな流れの水面の上に、セイバーは剣を杖代わりに立っていた。

 何のことはない、ライダーの刃を水面を転がることで躱しただけである。先ほどまでセイバーは片膝立ちとはいえ、体のどこかを抑えつけられていたわけではないのだ。

 それでも無理に体を動かしたせいで、切り裂かれた胴からはぼたぼたととめどなく出血が続いていた。

 

 

「今のは、」

 

 セイバーは疑いの眼差しで、開闢の帝を見据えた。今の一撃は、セイバーを本気で殺そうとしたものではなかった。確かに自分に向けて振り下ろされたと思えたため、セイバーは回避したのだが、何か別の物を切ろうとしたように思えた。

 一体何を、と思った次の瞬間、セイバーは信じがたい事実に気が付いた。

 

 

 ――明との因果線(パス)が、切れている。

 

 

 それは明の命の危機を示すものとは違う。危機なら危機として、パスを通じて気付くからだ。しかし今は命の危機を感じる間もなく、魔力供給をもなくなったのだ。

 セイバーはライダーを睨んだまま口を開こうとしたが、それよりもライダーが早かった。

 

「察しはつくが、お前にはほかに問いたいことがある」

 

 聖杯への望み以外に聞きたいことがあるとは意外だったが、セイバーは体の出血を止める時間が欲しいため黙っていた。

 

「何かを斬るためにはその対象が見えていなければならぬ。たとえ死の線がここにあると教えられても、死が見えぬ者には斬れぬようにな。生前の公は見ようと思えばいかなる因果線も見えたが、サーヴァントとして現界している今は違う。だが――お前とお前のマスターの線は見える」

 

 セイバーは最初、意味を把握しかねたが思い当たることがあった。セイバーがアサシンの最初のマスターを殺害しおおせたその日、明がつかった令呪の一画。あれは「セイバーとのつながりを強化する」ために使われたのではなかったか。まさかそれが仇になるときがくるとは考えもしなかったが、それゆえに剣はパスを切れたらしい。

 しかし、今の状態がさらに悪化したことには変わりがない。魔力供給がなくなってもすぐにサーヴァントは消滅するわけではないが、セイバーは深手を負っている。今死ぬわけにはいかず、とにかく明と合流してパスの再構築をしなければならない。頭の隅でここと離れる算段を立てながら、セイバーは時間を稼ごうと話を振った。

 

 

「パスが見えるのは、令呪を使ったせいだ。しかしライダー、宝具を連発しているが、その魔力は」

 

 差はあるが宝具とは、魔力を著しく消費するものである。にもかかわらず、ライダーは顔色一つ変えていない――セイバーの思いを知ってか知らずか、彼は口元を緩めた。

 

「言ったろう。公は、努力して成果を掴んだものには正しく報うべきだと思う質でな」

「――?」

「にしては、この聖杯はいささかよくない。大聖杯の奥にあるものの話だが――大本の冬木聖杯の汚れをそっくり引き継ぎ、春日聖杯は黄泉と化した。勝者に与えられるモノがこんなまがい物ではさぞ悔しかろうと、公自ら大聖杯の奥にあるものを浄化しようとした」

 

 黄泉のごとき聖杯――セイバーは意味が分からずライダーを凝視した。今まで戦いのみを望んできたセイバーは、具体的に聖杯が何か考えたことはない。

 

「結局その試みは無駄だったがな。歪みの大本は「悪意」の願いそのものの英霊。公はこの国において「永久」を願われた英霊。仮に公が「希望」「善意」の願いそのものの英霊であれば、あとはどちらが強いかという話だったが、そもそも在り方として対立すべきわれらではなかった」

 

 聖杯程度から与えられるサーヴァントの霊基ではなぁ――と、ライダーは薄く笑った。正直、セイバーは意味の半分も理解していなかった。明が聞けばまた違うのだろう、と思考がそれる。

 

「結局、公はただ大聖杯に引きこもり――ひたすらに汚染された魔力をついばみ続ける羽目になった。その呪いから公を守るため、経津主神は自我を失ってしまったが」

 

 当初、消滅したとされていたライダー。その実彼は、召喚に応じながらも現界しないという離れ業を見せていた。この国の神祖とされる英霊にして神霊の現身。無尽蔵にも等しい大聖杯の魔力を、セイバーたちが戦っている間蓄え続けてきた――。

 

 あまりに規格外ではあるが、底なしの魔力は理解できた。しかし明らかに、ライダーは今全力でセイバーを殺しに来ているわけではない。今すぐにセイバーに襲い掛かれば、魔力補給もなくなったセイバーは一瞬にして消えてしまい、戦争は終わる。決して今死にたいわけではないが、セイバーは吐血をこらえながら、問うた。

 

「……お前は、この聖杯戦争を見るがために現界したと言った。この戦争を戦う者の選択を見る為だと。お前自身に目的はないというのか。俺を殺せば、お前は勝者だろう」

「物わかりの悪い。お前も今言ったように目的は見ることそのものだ。ゆえにもし公が最初から現界していたら、最も楽しませたマスターに聖杯をくれてやるため自害してもよかったのだ」

「――!!」

「お前は結果を善しとするが、公は違う。勝利は必須ではない。公の生涯には、結果として勝利があっただけだ」

 

 セイバーは思わず自分の耳を疑った。他陣営に聖杯を与えるために自害をもよしとするとは、セイバーには理解の外だった。しかし見に来ただけなら、どこの陣営に肩入れするはずはない。それでも神父の味方の立場に立っているのは、神父自体を気に入っていることもあるが、それ以上に。

 

「ん?お前には言わなんだか?公は原因に興味はなく、結果にもない。肝要なのは過程で何を選ぶかだ」

 

 油断や慢心で、ライダーは今セイバーを生かしているのではない。ただセイバーの「選択」「その先」を見たかったがゆえにここまでまどろっこしいことをしていた。

 しかし言葉が終わった時、す、と水面に波紋一つ起こさずにライダーが一歩足を踏み出した。直刀をセイバーに突き付ける。風もないのに、殺気を孕んだ空気が圧迫して迫る。

 

「まぁしかし、もうこれまでで出し惜しむというのなら――お前には今の経津主神で十分だろう」

 

 セイバーは息を呑んだ。ライダーは、セイバーのまだ持っている宝具に気付いている。確かにあれは日本武尊としての伝説を知るものであれば、当然思い至る宝具ではある。

 

 しかしセイバーは今までそれを使う気はなかった。たとえ自分が消滅の危機に瀕しようとも、これを使って生き延びるくらいなら敗北を選ぶつもりだった。

 今まで明にもその宝具のことを伝えていないが、セイバーとしては背信のつもりはない。本当にそれを使う気がなかった、すなわち宝具として認識してこなかったのだ。

 

 セイバーの逡巡をよそに、静かにライダーは剣を振り上げた。最早言葉はない。ライダーの直刀が光り輝き、魔力が光に変換されていく。

 彼の宝具は、仕組みとしてはセイバーの天叢雲剣と同じである。神造兵装である神の剣は、神によって錬鉄された剣に込められた力を持ち主の神性と魔力で縛り上げて指向性をもたせるもの。

 しかし、それが神の剣の全てではない。神霊は自然現象に人格が付随したものであり、それ自身が現象を引き起こすだけの膨大な力を持っている。それは権能と呼ばれるもので「ただそれをする権利がある」だけで現象を引き起こす。

 

 つまり剣に込められた力に権能をも加えたものが、神の剣の神髄である。ゆえに天叢雲剣と布津御霊剣の真の力は、セイバーもライダーも「サーヴァント」という英霊コピーとして召喚されている限り、引き出すことができない。

 

 しかし真の力には至らずとも、真にせまることはできる。神性――セイバーのそれより、ライダーのそれが遥かに勝っている。ライダーははるかにセイバーよりも剣を御しているのだから――。

 

「天地神明――」

 

 ライダーを中心に、その足元から水がさざめきだしている。掲げられた剣はすでに直視ができないほどの極光を放ち、月明かりをかき消していく。白く渦巻く魔力が、これまでに放たれたモノとは格が違うと告げている。

 神霊は聖杯戦争に呼ばれることはない。だがもう神霊かどうか以前に、深手を負った今のセイバーでは逃げ切れはせず、ただ防いだだけでは影すら残さず焼き果されるに違いない。

 

 ――死ねない。

 

 もう自分そのものに戦いを続ける理由はないはずなのに、それでも今負けられない、死に切れないとセイバーは思う。

 自分に彼女をどうにかできるなどとは思っていない。それにたとえ明をどうにかできても、自分の人生が変わるわけでもない。

 誰の願いも叶えられないで、誰一人幸せにできぬまま、戦だけを引き連れて歩んだ人生が終わるだけだ。

 

 それでも――鏡うつしのような主を救うことで、己を救おうとしているのか?

 なにもない生でも、最後に一人を救えたと思いたいのか?

 

 わからないのだ。

 昔からずっと、人の気持ちよりもその前に――自分の気持ちがわからない。

 

 それでもまだ明が生きて戦っているならば。

 生きていることそれ自体が、希望であるというのならば――

 

 

開闢せし断絶の剣神(ふつのみたまのつるぎ)!」

「――ッ!!」

 

 真夜中の太陽が煌めき、闇を切り裂く。ライダーの雄叫びと同時に、セイバーは躊躇わず自分の懐に腕を突っ込んだ。一瞬でも躊躇えばこの体は消し飛ぶ――直撃が早いか、開帳が早いか。

 取り出されたのは、少し歯の欠けた茶色の櫛。傍目には古びた櫛にしか見えぬそれこそ、日本武尊最強の護りの宝具。

 

 絶対に使うまいと思われていたそれを、彼は惜しげもなく翳した。

 

 目の前は真っ白に染まり、原初の世界へと誘われる中――セイバーの声はそれでもはっきりと鋭く響いた。

 

「――この道繋げし我が妻よ(わがつまはや)!」

 

 かつて、海に身を投げた女。彼女の命と魔力の総てを結晶化した計二十四枚の障壁こそ、日本最強の結界宝具の正体だった。櫛自体が魔力塊であるため、発動時にセイバー自体の魔力を一切必要としないその宝具は、障壁を隔てて一時的に日本武尊を位相のずれた世界に隔離する。そのうえその身を賭して神の怒りを殺した神話時代の巫女の魔術は、神性に対する特防となりライダーの宝具を完全に無効化しにかかる。

 

 ――が。

 

 視界が四方八方とも光に覆い尽くされるなか、セイバーは障壁の一枚目が破壊される音を聞いた。確かにライダーの剣はセイバーのものと同じく神性の剣であるが、性質が違う。天叢雲剣は荒れ狂う力のままに破壊する剣、しかし布津御霊剣が旨とするものは「断絶」の概念である。時間も空間も世界も切り裂く力は、膨大な魔力のままに異なる世界の物体をも断絶する。

 故にその刃は、神ではなく「概念」ゆえに日本武尊本体にも届きうるやもしれず。しかしセイバーはその切り札に今、すべてをかけるほかないのだ。光と熱の洪水が、今は隔離された世界の外で激しくうねりを上げて、結界に守られたセイバーにも気配を感じさせていた。

 

 

 宝具のあおりを食った川の水が天高く柱となって噴きあがり、深夜の豪雨が降り注いだ。双方、撥ねる水飛沫の中に立っていた。

 

「――ッ」

 

 もしセイバーは焼き果たされるのならば、それは極光の奔流においてである。月下に意識をもって戻ったということは、凌ぎきれたことを示す。

 

「……やはり聖杯の泥の影響を被っている。……御雄!」

 

 水面に仁王立つライダーは、何やら神父にコンタクトを取っていたが神父から返事がなかったようで、やれやれと鼻を鳴らした。それから何の未練もなくセイバーに背を向け、指を鳴らした。秒をも待たぬうちに先ほどの白い鳥船が、何もない空中から音もなくぬぅと現れた。先程その上にいたはずの明もシグマも既にその姿はなく、ハルカ・エーデルフェルトだけが残っている。

 

 

「うむ。……もしお前が再び繋がりを得て戦うというのなら――公も、真の神剣を見せてやる」

 

 ひょいと軽く船の上に乗ると、気息奄々のセイバーを見下ろしてライダーは笑った。逃げるのか、などとセイバーは言わない。今の一撃で宝具の障壁の三分の一は破壊されており、単純に考えるとあと一回は防げることになるが、実質相手の宝具は回数制限がないようなもので終わりが見えている。

 

 

 悠々と空の星となったライダーを、必死で平静を装いながら見届けたセイバーは満身創痍の身体を押して川を走った。向う場所は、碓氷邸か。いや、ライダーたちの本拠地か。当てがあるわけではなかった。パスがあるためマスタ―たる明の位置はだいたいわかるはずなのだが、パスが切れているがためにわからない。だから今の明がまだ無事なのか、それとも死んでいるのかもわからない。

 水面を走りつつ水ぬれになった河川敷を見渡しつつ、セイバーは叫んだ。

 

「明ー!!どこだー!!」

「「ここだよー」」 

 

 セイバーは思わず前につんのめった。「!?」

 

 それでも、その声を聴いてセイバーは胸を撫で下ろした。重傷を負ったようには思えない声であったからだ。彼女がいる場所はセイバーから見て左手側の河川敷らしく、彼はそちらを振り向いた。

 

「!?」

 

 服が薄汚れて先程の宝具激突の水柱の影響でずぶぬれではあるものの、大西山でのような大怪我は全くない。大きく手を振って呼びかける姿からも、健常さが伺えた。

 セイバーはすぐさま彼女に駆けよろうしただろう――もし、明が一人であったなら。

 

 そこには同じ人間、碓氷明が二人、同じ声でセイバーに呼びかけていた。双方とも気配は見知った碓氷明のものだが、セイバーは天叢雲剣を構えたまま近づく。

 

「……どっちが明だ」

 

 どちらも見た目は碓氷明だが――差はある。服装はワインレッドのプリーツスカートにタイツ、短めのコートを着ていることは同じ。だが髪の長さが腰まである明と、見慣れた肩までの長さの明がいる。そして雰囲気、長い髪の明のほうが大人びて見える。

 

「これ……一応二重存在者っていえばいいのかな?説明は後でするけど、両方碓氷明だから、警戒しないでよ」

 

 髪の長い碓氷明がそう言い、二人の碓氷明は手招きをした。確かに悪意や害意を感じない為、セイバーも剣を一度消して河川敷に上がり、明に近付いた。

 

「……どういうことかわからないが、無事で良かった」

「セイバーも、ライダーは倒したの?」これは髪の長い明の言葉だ。

「……いや、見逃されただけだ。ライダーそのものに傷をつけられたわけではない」

「というかセイバーは大丈夫なの?その傷、というかパスが切れて」

 

 短い髪の明がセイバーの負傷を指さし、心配げに言った。一応、ライダーの宝具の一撃による血だけは止まった。ただ表面をふさいだだけで、中身は全く回復していない。

 二人になっていたものの明が無事であったことを確認したセイバーはそのことを忘れていたが、パスが切れているのは由々しき問題である。セイバーは傷を癒さなければ戦闘などできるはずもなく、また魔力的な問題もあるが英霊の座からのマレビトであるサーヴァントは、依代となるこの世のものがないと現界を維持できない。

 

「……ライダーの仕業だが……あの剣で、因果線を斬られた。お前は俺とのつながりを、令呪一画を使うことで強化していたから、それで見えるようになってしまったらしい」

 

 二人の明は神妙な顔をしていたが、今はとにかくパスの再構築が急務である。長い髪の明は短い髪の明をつついた。

「……とにかくパスだけでもつなぎ直そう。ほら(あなた)

 

 話はどちらかといえば長い髪の明が仕切っている……否、短い髪の明の方が何か長い髪の明に遠慮しているようにも思える。今までセイバーに話しかけてきたのは、ほとんど長い髪の明なのだ。しかし再契約の詠唱を長い髪の明はしないらしく、短い髪の明をせっついただけだった。

 

「告げる!汝の身は我の下に、我が命運は汝の剣に! 聖杯のよるべに従い、この意、この理に従うのなら―――」

 

 紫の魔力光が飛び散り、明の魔力が迸る。この魔術の使い方は、セイバーが何度も見てきたものである。多分、本来の明は短い髪の明なのだ。見た目は同じでも、何かが長い髪の明は違う。

 

「―――我に従え! ならばこの命運、汝が剣に預けよう……!」

「セイバーの名に懸け誓いを受ける!貴方を我が主として認めよう、碓氷明!」

 

 一際強い光が爆ぜた後には、静かな夜が戻っていた。そして無事にパスは短い髪の碓氷明と繋がっていた。しかしパスは繋がったものの、魔力が一向に流れてこない。

 その異変は明も感じ取っているようで、首を捻っていた。依代を得たことで消滅の危機はひとまず免れたが、外部からの魔力が絶たれたままでは戦闘が不可能だ。深手を負ったセイバーの内部魔力も、治癒に充てることで精いっぱいだろう。

 

「……とりあえず、魔力のことは後で考えよう。急いで碓氷邸に戻らないと」

「何かあったのか」

 

 長い髪の明は手短に碓氷邸の結界が破られ、キリエが狙われていることを説明した。先に一成とアサシンが碓氷邸に向かっている。しかしアサシンは消滅寸前であり、一成だけでは心もとない。消去法だと碓氷邸に向かった可能性があるのは神父に美琴であるが、先ほどのシグマが本人ではなかったということを踏まえれば、シグマの本体がやってきていることもありえる。

 

「ライダーは最初、剣を持ってきてなかった。あの剣は遠隔操作できるから、剣だけでうちの結界を斬ってから教会に呼び寄せたんだと思う」

 

 そのとき明はライダーの烏で行動不能であり、その上シグマと船により上空に連れ去られてそれどころではなかった。とにかくキリエを守るため急ぎ戻る必要があるのだが……今明側での実質戦闘要員は明二人と一成、サーヴァント戦はできないセイバーくらいだ。それに碓氷邸の異変を感知してから、すでに戦闘が終わるには十分な時間が経ってしまっている。先に向かった一成が間に合っているかどうか、といったレベルだろう。

 

「……とにかく行こう。セイバー空飛んで、急ごう」

 

 そういうと、長い髪の明は躊躇いもなくセイバーの手を取った。飛んで急ごうという意見はわかるが、高所を嫌う明にしては躊躇いがなさすぎる。いや、バーサーカー戦後などは飛行を止む無しとしていたが……。

 一方、短い髪の明は止む無しという顔で、空いたセイバーの左手を取った。やはり大本は短い髪の明だと確信しながら、セイバーは不思議に思いながらまじまじと長い髪の明を見た。

 

「何ぼーっとしてるの。急ぐよ!」

 

 長い髪の明にせっつかれ、セイバーは二人と河川敷を助走をつけて走り空を駆った。

 


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