桜坂しずくと天王寺璃奈が入室してから30分。
「2人共。そろそろ部活の時間だから、準備を終わらせてね」
「はい!」
「はい」
朱里の指示で後輩2人は素早く準備を進め……。
「朱里ちゃんってキャプテンに向いてるわよね」
「そう?自分じゃよくわからないけど……」
朱里はシニアリーグの世界大会にてキャプテンを務めている。朱里自身自覚はないが、後輩達の面倒見も良く人望もあるので、キャプテンに凄く向いている。本人のやや消極的な性格なのが難儀なところが欠点と言うべきか……?
「準備終わりました!」
「こっちも終わった」
「よし。じゃあ行こうか」
朱里の号令で後輩2人は朱里に着いて行き、上杉は後ろで後輩と朱里を見守るように歩みを進めた。
グラウンドに到着すると、朱里達以外は全員揃っていた。
「遅かったな?」
「すみません。少し準備に戸惑いまして……」
「4人に何かがあった訳じゃないから良いさ。まぁ遅刻も程々にな」
部長から軽いお叱りを受けた4人はそれぞれ1年生達のゾーンとそれ以外のゾーンに別れた。
「朱里ちゃん、真深ちゃん、おはよう!」
「……おはよう武田さん」
「ヨミは相変わらず元気ね」
「もちろん!元気なのが取り柄ですから!」
朱里の高校時代のチームメイトで、上杉の従姉妹でもある武田詠深。詠深は高校時代に朱里とエースナンバーの取り合いをしていたが、特に仲が悪くなったり気まずくなったりはしなかった。
(それにしても……)
(やっぱり似てるわね……。しずくちゃんとヨミの声)
先程の桜坂との邂逅にて声のインパクトが残っている2人は詠深の声に少し違和感を覚えている状態……。それに慣れるのには時間が掛かりそうだ。
「朱里ちゃん?真深ちゃん?どうしたの?」
「何でもないよ」
「ええ。何でもないわ」
「それ絶対何かあるやつじゃん!」
朱里と上杉は詠深の問い詰めを軽くやり過ごしていると、野球部部長の挨拶が始まった。
「1年生諸君、よくこの仏契大学野球部に来てくれた。私はこの野球部の部長を任されている神童だ。1年生とは4ヶ月くらいの付き合いしか出来ないが、互いに切磋琢磨していきたいと思っている」
凛とした表情で挨拶をしているのは神童裕菜。この仏契大学野球部の部長を務めている。そして……。
「フハハハハ!よくぞ来たな1年生共よ!私の事は大豪月さんと呼びなさい!副部長という立ち位置に甘んじているが、私には色々とやる事があるのでな。神童とは違い余り関わる事がないかも知れないが、精一杯この野球部の練習に着いて来るようにな!」
豪快な挨拶をしたのは大豪月と呼ばれた身長2メートル近い女性。1年生達は一部を除いて彼女の姿に畏怖していた。
「とりあえずは各々で各々の練習を行うと良い。大学生ともなると、もう大人にかなり近い。自身の自主性を尊重しているので、そのつもりで行動するんだ。全ては自己責任という事を忘れないように」
「去年に問題を起こした馬鹿共のような事をしなければ何でも良いわ!そんな愚か者共が出ないように私達でも粛清していく!!」
この仏契大学は昨年にとある問題が発生し、ほとんどの男子生徒が辞めている。その問題については追々明かされる事になるだろう。
「大豪月。その話はもう終わった事だ。それにおまえ達の方でも終わらせただろう?」
「……フン!」
「……まぁ1年生には関係のない話だから忘れてもらって構わない。とりあえずは今日から1週間後に行われる紅白戦について話をさせてもらう」
紅白戦……という言葉でこの場にいる全員は静寂した。
「1年生と2年生対3年生と4年生が試合をする。これは後輩達からしてみれば、下克上のチャンスだと思ってくれ。去年、そして今年の後輩はかなり力のある選手達が揃っている。この紅白戦は夏にある大会のメンバーの選出に大きく関わっている。その事を頭に入れておけ!」
『はいっ!!』
1年生、そして2年生は上級生チームを倒すのに燃え始めた。大小はあれど、それぞれやる気を出している。
「はぁ……」
たった1人残った男子生徒を除いては……。
(0)アンケート埋まらなかったので、投稿延期……。次回の投稿3月15日予定(少し投稿頻度を上げるかも?))は……?締め切りは投稿予定日の3日前
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