7回表。ツーアウト二塁で回ってくるのは、1、2年生チームの4番打者……清本和奈その人である。
「ふぅ……!ふぅ……!」
当の本人緊張し過ぎでしょ……。これ病気レベルだよ?高校の頃はここまでじゃなかったのに、これじゃあシニア……いや、下手したらリトル時代に退化してるよ?
「和奈先輩ガチガチじゃないですか!?大丈夫なんですか?」
「う、うん。た、多分だ、大丈夫だよ……?」
どこにも大丈夫な要素が見当たらない……。
「ほ、本当に大丈夫なのでしょうか……?」
「緊張が顔に出過ぎてる……」
清本の状態を見て不安になっているのは、清本との付き合いがない人達。あの様子だと、その心配も無理はない。なんなら付き合いが長めの私や初野でさえ心配してるくらいだしね。でも……。
「……特に問題はないでしょう。和奈さんならきっと打ちますよ」
口を開いたのは二宮だ。まぁこの中だと1番付き合いが長いんだし、心配がいらないのだとわかっているみたい。
「……そうだね。それに投げてるのは大豪月さんなんだ。余計な緊張なんてしてる暇なんてないよ」
「まぁなんだかんだリトルでもシニアでも頼れる4番でしたしね。和奈先輩ならきっと打ってくれますよ!」
初野もこの中だと二宮と私に次いで長いから、清本の実力をよくわかっている。気掛かりなのは、投手が大豪月さんな事だろうか……。
「行くぞ清本!私の全身全霊を受けてみるが良い!」
ズバンッ!
『ストライク!』
投げられたのはど真ん中へのストレート。それに対して清本は身体1つ動いていない……。動かせなかったとは思いたくないけど……?
「うぇ……。私達に投げてたよりも速いじゃないですか……」
「プロやメジャーでもこの球速の選手はそういませんね……」
初野や三船さん達よりも速く投げられたストレート……。これは確実に清本を意識した球速だろうね。
(私に投げた球よりも速い……。これはきっと和奈ちゃんが相手だからこその球……なのよね。それにしても凄い気迫と緊張感だわ)
二塁ランナーの上杉さんからも、大豪月さんと清本から発せられる気迫と緊張感が伝わってくるようで、リードを忘れてるんじゃと思うレベルで2人の対決に見入っている。
カキーン!!
「!?」
しかし2球目。今日初めての球速に難なく合わせて、清本はストレートを捉える。打球はレフト線に飛んでいき……。
『ファール!』
ファールとなった。ギリギリ切れてたみたい。
「流石和奈さんですねアジャストも完璧です」
「むしろ完璧過ぎてちょっと怖いまであるけどね……」
見た目は小さくて、まさに小動物……みたいな感じなのに、打席に立つと大きく聳え立つ山みたい。一体どこからそんなパワーが出てるのか……。
「あの小さい体のどこにそんなパワーがあるんだろ……?」
武田さんが疑問に思ってるみたいだけど、気にしたらきっと負けだよ。
「次の1球で決まるでしょう」
二宮の言う通り、次の1球で決まる。大豪月さんはボールゾーンに投げない投手なのに加えて、清本も次で決めると意気込んでる……。打席に立つまで緊張してた小さい子と同一人物とは思えないよね。
「行くぞ!これで三振だ!!」
1球目よりも2球目、2球目よりも3球目……。大豪月さんの投げる球は投げれば投げる程に速くなっていく。今投げた球も今日1番の球速……。
「えっ!?」
「お、落ちた!?」
……のフォークボールだった。嘘でしょ!?あの球速で落としてくるの!?
「…………!」
カキーン!!
しかし清本はそれを読んでたかの如く、完璧なスイングで高速フォークを打ち抜いた。
「打った!?」
「打球は大きい!」
その打球は空に吸い込まれて行き、ホームランとなった。
「やった!」
「逆転ですよ!」
(まさかあのフォークを打とうとはな……。やはり清本和奈、私が認めた一流スラッガーだ!)
(完璧に打ってきましたね~)
私達のベンチでは清本と上杉さんがハイタッチをしていた。この1点差で逃げ切れるかな……?
ズバンッ!
『ストライク!バッターアウト!!』
7回裏。武田さんのピッチングは好調のまま途切れる事なく……。
『ゲームセット!!』
5対4で私達1、2年生チームが逃げ切る事に成功した……。
(0)アンケート埋まらなかったので、投稿延期……。次回の投稿3月15日予定(少し投稿頻度を上げるかも?))は……?締め切りは投稿予定日の3日前
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