「初めまして!今日からグリーンズに所属するカナタ・カザナギです!よろしくお願いします!」
元気いっぱいに挨拶をしてる女の子……カナタ・カザナギ(風薙彼方)は高校生くらいに見えるんだが……?
「……オーナー。もしかしてウチに入ってくる新人って彼女の事ですか?」
「そうだ」
「見たところ高校生くらいに思えますが……?」
「カナタ・カザナギは正真正銘高校生だ。なんなら日本の高校を中退して、グリーンズに入ってもらった。何か問題でもあるか?」
オーナーはそう言うが、問題しかないだろうが!ただでさえ若手が少ないチームなのに、なんで高校中退させてるんだよ!?
「まぁ言いたい事はあるだろうが、これはカザナギ本人が日本の夏大会が終わり次第こちらに戻ってきた……という訳だ」
「戻ったきた……?という事はカザナギ(風薙)はアメリカに住んでいたんですか?」
「その辺りは込み入った事情があるだろうから、深くは触れないでやってくれ」
日本人がこの年齢でアメリカで暮らしているって、確かに訳ありに思えるもんな。まぁオーナーの言うように深入りしないのが吉だ。
「……っと、私はこれから用事があってな。カザナギの事は頼む」
「は、はぁ……」
そう言ってオーナーは去っていった。とりあえず俺達もここを出るか……。
チームメイトとの顔合わせは明日で良いとオーナーに言われたので、とりあえず俺達の自己紹介を改めてする事に……。
「えっと……」
カザナギ(風薙)は俺と2人になった途端、戸惑い始めた。まぁ年が一回り以上離れてる異性同士だからなぁ……。逆の立場だと俺も戸惑う。まぁとりあえず……。
「カザナギ……だったか。名前からして日本人だろ?俺も日本人だし、ここからは日本語で大丈夫だぞ」
「あっ、はい!ありがとうございます!」
※風薙と新島の2人切りの会話は日本語で話しているものと想定してください。
「……そういえば自己紹介がまだだったな。新島冬矢だ。ポジションは捕手だが、今ではもっぱらブルペン捕手と化してるよ。まぁよろしく」
「ではこちらも改めて……。風薙彼方です!ポジションは投手と外野手で、先程オーナーが言ってたように大会が終わってすぐにこちらに来ました……。色々と訳ありではありますが、これからよろしくお願いします!」
風薙本人から訳ありだと言われているが、そこに踏み込む必要はない。とりあえず気になるのは……。
「……風薙はオーナーとはどういう関係なんだ?」
「あっ、えっと……」
「答え難いなら、無理に答える必要はないぞ?」
何度も言うが、俺は他人に事情に深入りしない。面倒事はごめん被りたいからな。
「いえ、どう説明すれば良いのかわからなかったので……。今まとまりましたので、話します!」
元気な娘だな。これが一回り年下の活力か……。
「数日前に日本で県対抗総力戦……という4年に1度オリンピックみたいな規模のお祭りみたいなイベントがあったんですが……」
「県対抗総力戦……?名前から察するに、各都道府県から代表の選手を集めてチームを作ってトーナメントでも行うのか?」
「その認識で大丈夫です!」
今の日本の高校ではそんなお祭りが行われてるのか……。多様性の世の中ってやつか?
「……それでちょっと私事で日本で目的が終わったから、アメリカに戻ろうとしたところにグリーンズのオーナーがこれからこちらの世界に足を踏み入れないかとお誘いが来ました」
風薙の私事っていう部分に引っ掛かりを覚えるが、まぁ踏み込む必要はないだろう。
「……それで風薙はオーナーの誘いに二つ返事で了承したって事か」
「はい!」
まぁ風薙に何かしらの事情があるのは理解した。だが……。
「……要するにオーナーのいつもの気紛れか」
ウチのオーナーはこういった気紛れが多過ぎる。こういうのが今のグリーンズの体たらくになってる原因だろうが!
「……まぁ良い。これからよろしくな」
「はい!新島さん、よろしくお願いします!」
太陽のような笑顔を見せる風薙。まぁチームに潤いが出来るのは良い事……だよな?
風薙がグリーンズに入団して1週間。風薙は試合どころか1度も投球目的でボールに触れず、こうして俺と一緒に雑用をしていた。
(はぁ……。女の子とはいえ折角若手(というか高校生)の投手が来たってのに、こうして雑用とはな。風薙をマネージャーとして扱うつもりか?)
オーナーも何も言わないし、グリーンズはもう終わりだろ……。
「済まないな風薙。投手なのに1週間もボールを投げられない状況にしちまって……」
「いえ。無理言って入れてもらってるので、私は気にしてませんよ?」
当の風薙は全く気にしていない。まぁオーナーによって強引にチームに入ってる訳だし、ボスもそれがわかっての上での処置だろう。
(とはいえこのままじゃ風薙の為にはならないよな……。よし!)
「風薙さえ良ければ、投げ込みするか?」
「良いんですか!?」
俺が提案すると、風薙は今までで1番の食い付きを見せた。すげぇ目をキラキラさせてるな……。
「あ、ああ。投手は投げてなんぼだろう。一応俺も捕手だし、それなりに本格的な投げ込みが出来るしな」
「やります!投げさせてください!!」
力強い風薙の返事を見ると、やっぱり投手としてボールに触れない事にストレスを溜めていたのかも知れないな。
「じゃあさっさと雑用を終わらせるか」
「はいっ!!」
滅茶苦茶力強い返事だな……。
風薙と2人で雑用を済ませ、チームの練習グラウンドに足を運ぶ。
「誰もいませんね……」
「今日はオフだからな……」
それを差し引いても誰もいないのは問題だろ……。
「じゃあグラウンドを軽くならすか」
「手伝いますよ!」
(ハキハキしてるなぁ……)
グラウンドを軽くならして、実戦投球の練習へ……。
「いきますよーっ!」
風薙が投球動作に入る。綺麗なフォームだな……。
ズバンッ!
(球も女子高生にしてはかなり速い……。女子野球の相場はわからないが、全国クラスはありそうだ)
ズバンッ!
(だがこれだとマイナーリーグから上は厳しそうだな……。まぁ今後の成長に期待だな)
それから10球程風薙に投げてもらった。ストレートも変化球も結構良い球を投げる。将来性に期待したいところだ。
「……うん。大分肩も暖まってきたかな?次、本気で投げますよーっ!」
「……は?」
今なんて言った?今の球が肩慣らし?
「ほ、本気で投げてなかったのか……?」
「えっ?だっていきなり本気で投げたら、故障に繋がるじゃないですか」
いや、正論ではあるんだが……。
(風薙の本気……?今投げてる球も女子にしては充分速かったぞ?変化球もキレてるし、これでもエースを任せられるレベルだぞ?それが肩慣らしだと……?)
「じゃあ今度こそいきますよーっ!」
「こ、来い!」
(風薙の本気……どれだけの球を投げるんだ?)
そう思った次の瞬間……。
ズバンッ!
ボールがいつの間にかキャッチャーミットに収まっていた。
(これが……これが女子高生の投げる球だと!?)
風薙はこんな場末も場末なところで雑用なんてしてる暇なんかないぞ!?
「あの、新島さん大丈夫ですか?」
「ああ……」
これは今すぐボスに残りのシーズンを風薙に投げてもらうように伝えた方が良さそうだな……!
(グリーンズを変える……。風薙の球ならそれが実現出来る筈だ!)
風薙自身はもちろんの事、風薙の球を見てチームが発奮する事も期待出来る……!底辺も底辺に落ちぶれたグリーンズを変えるチャンスだ!
(0)アンケート埋まらなかったので、投稿延期……。次回の投稿3月15日予定(少し投稿頻度を上げるかも?))は……?締め切りは投稿予定日の3日前
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