最高の選手を目指して!   作:銅英雄

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鈴木一真は騙された……。 後編

「全員集合!」

 

ナマーズとの合同キャンプが始まって、1週間が経とうとしているある日。練習終わりに古沢監督から召集が掛かる。

 

「さて……。今日は俺達ミラクルホッパーズの球団社長から皆にお話がある。ウチの球団社長は大神ナマーズの球団社長とライバル関係に当たるが、野球の試合関係以外ではそれなりに親しい関係らしい」

 

成程な。恐らくこの合同キャンプもその球団社長からの提案だろう。

 

「…………」

 

(なんかボーッとした雰囲気の人だな。それにしてもどこかで見た事があるような……?)

 

 

 

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それにしてもかなり若い女性だな……。俺達と年齢も変わらないんじゃないか?

 

「それでは社長、お願いします」

 

「はい。球団社長の上守甲斐です。長い演説は時間の無駄となりますので、簡単に済ませようと思います」

 

こういう話って長ーい話を警戒していたが長話が苦手なのか、俺達にそこまで長話をする価値がないのか……。それにしても上守……ねぇ?

 

「有名な3人の戦国時代の武将の性格を示すこのような川柳があります。『鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス』、『鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス』、『鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス』……と」

 

有名な川柳だな。

 

「同じように述べると、私の方針は鳴かないホトトギスなどこの球団には必要ではありません。流石に殺すまではしませんがすぐに荷物をまとめて出て行ってもらいます」

 

 

ザワザワ……!

 

 

表情を一切変えずに言う社長の言葉に辺りは騒然とする。そりゃこんな物騒な話になるとそうなるよな……。

 

「なんか懐かしいな……」

 

「そうですね……」

 

動じていないのは一部のベテラン選手と、両チームの監督だけだ。懐かしい……というのに多少引っ掛かりは覚えるが、俺が気にしていても仕方がなさそうだ。

 

「話は以上です」

 

「社長、お疲れ様です」

 

「次の予定はなんですか?」

 

(あっちにいる人は社長の秘書か……?)

 

 

 

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どっちも佇まいは秘書っぽかったが、佇まいで言うなら社長の方がそれっぽさはあるような気がするな……。

 

「それじゃあ今日は解散!宿舎でしっかりと休むように!」

 

『はいっ!!』

 

その日は同期組の皆や芦沼さん達先輩選手と今日の社長の話について色々と思う事を話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから3週間が過ぎ、合同キャンプは終了。ナマーズの中でそれなりに仲良くなった山崎さんや鏑木さんとも別れを済まし、俺は部屋に戻って荷物をまとめるんだけど……。

 

(あれ……?なんだこれ?)

 

俺の目に映ったのはキャンプ前に芦沼さんからもらった荷物だった。

 

「そういえばまだ開けてなかったか……」

 

包みを開けてみると、そこに入っていたのは……。

 

「古いランプだな。蓋が付いてる……」

 

ランプに付いている蓋を開けると……。

 

 

ボンッ!

 

 

「うわっ!?」

 

「はーい!わたしは貴方の幸せをお届けする(かも知れない)魔人でございますマジン~!わたしの封印を解いた貴方には3つの願い事の権利があるでマジン~」

 

「な、なんか変なのが出たんだが……」

 

なんか魔人と称する奴がランプから出て来たんだが!?どうなってるんだよ……。

 

 

ガチャッ!

 

 

「大丈夫!?」

 

「なんか大きな物音と一真君の叫び声がしたんだけど……」

 

びっくりした衝撃で雷轟さんと鋼さんが俺の部屋に飛び込んで来た。心配してくれたのか……?

 

「あ、ああ2人共、丁度良かった。これを見てくれ」

 

俺は2人に魔人のいる方向を差したんだけだが……。

 

「……汚れたランプ?」

 

「そのランプがどうしたの?」

 

「えっ?」

 

どういう事だ?もしかして……。

 

「……いや、なんでもない。騒いで悪かったな」

 

「……そう?」

 

「じゃあ私達は戻るね。何かあったら、遠慮せずに言ってよ?」

 

 

バタンッ!

 

 

雷轟さんと鋼さんは部屋に戻って行った。そういえば隣の部屋だったな。2人で過ごしてたのか?

 

「わたしの姿はご主人様……もといわたしの封印を解いた方以外には見るのも聞くのも出来ないのでマジン~」

 

「ご主人様ってのは俺の事か?」

 

「はい~」

 

なんかお伽噺めいてきたな……。あと語尾がわざとっぽい。

 

「じゃあ願い事を3つ言うでマジン」

 

「願い事って……なんでも叶えてくれるのか?」

 

「……いや、世の中には出来る事と、出来ない事があるのでマジン」

 

「例えばなんだが、俺をアメリカの大統領にするとかは?」

 

「そんなの絶対に無理でマジン!」

 

「そ、そうか……」

 

(余り期待しない方が良いな。まぁ大統領とかは興味ないけど……)

 

しかし願い事か……。

 

「俺の願いといえば……まぁとりあえず1軍の選手になる事か?」

 

「う~ん。それくらいならなんとかなるでマジンよ~」

 

「本当か!?」

 

適当に言ってみたが、言ってみるもんだ。

 

「でも今からだと、開幕1軍は無理でマジン。今年中ならなんとか……」

 

「なんだ……。でもまぁそれでも良いか」

 

「じゃあ最初の願いは『今年中に1軍選手になる』……と。2つ目はどんな願いにするでマジン?」

 

「そうだな……。高年俸の選手になりたいな。1億円を安定してもらえる……そんな選手を目指してるし。年俸を1億円に!」

 

「ハッキリ言ってそれは無理でマジン」

 

「無理なのか……」

 

駄目元だったが、無理だったか……。

 

「『2年後の年俸が5000万』なら多分なんとかなるでマジン」

 

「5000万か……」

 

まぁそれだけもらえれば充分か。1億は高望みし過ぎたのかも知れないな。

 

(でもメジャーで活躍している日本人……風薙選手なんかは3年目にして30億とかもらってるんだよなぁ)

 

本当に同じ日本人として羨ましいぜ……。

 

「わかった。それで良い。3つ目は……やっぱチームが日本一だな」

 

願いによってそれが確定するならそれで良いが、そういう保険があっても良いよな……?

 

「……『2年後にリーグ優勝』くらいにしておいた方が良くないでマジン~?」

 

「……なんかちょくちょくセコくないか?まぁそれで良いよ」

 

「了解でマジン~!じゃあ魔法を掛けるでマジン!」

 

魔法……?

 

「アンニャアカタブラサッサっと~!」

 

 

ぼわわわ~ん!!

 

 

な、なんか俺の身に起きた……?

 

「……今俺に魔法を掛けたのか?」

 

「そうでマジン」

 

「意外に簡単なんだな。しかしこれで来年には俺も1軍選手か……」

 

入団2年目で1軍昇格ってかなり優秀な選手として見られる……よな?

 

「頑張って練習しないといけないでマジンね~」

 

それは言われるまでもない……ってあれ?

 

「さっき俺に魔法を掛けてなかったか?」

 

「はい~。さっきが言った『3つの願い事が実現しないとアンタが死ぬ』魔法を掛けさせてもらったでマジン~」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………?」

 

「ななな、なんだとぉぉぉぉ!?」

 

それって魔法じゃなくて呪いじゃないか!ふざけんな!!

 

「まぁ死ぬ気で頑張れば、大丈夫でマジンよ~。じゃあ時々様子を見に来るでマジン。バイバ~イ♪」

 

そう言って魔人は消えていった……。おい……これってもしかしなくても騙されたのか!?

 

「ちょっと待て!俺はまだ納得してないぞーっ!!」

 

俺の悲痛の叫びに雷轟さんと鋼さんに加えて今度は宮下さんまでもが飛び込んで来たが、それからの展開は一切覚えてなかった。

 

こうして俺の命を賭けた野球人生が唐突に幕を開けてしまった……。

(0)アンケート埋まらなかったので、投稿延期……。次回の投稿3月15日予定(少し投稿頻度を上げるかも?))は……?締め切りは投稿予定日の3日前

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