ポケモン トレーナーズエピソード   作:やまもとやま

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18、信心

 ヤマブキシティで行われているU14の世界大会も、一回戦がすべて終了した。

 シードされている注目のアンズとコゴミを除くすべてのトレーナーがその戦いを披露した。

 

 アイリスは無事一回戦を突破して、午後3時から始まる2回戦に駒を進めた。

 トーナメント表はベスト8が出そろった。

 

 アンズ

 ジロウ

 

 サブロウ

 アイリス

 

 コブロウ

 アセロラ

 

 ジジロウ

 コゴミ

 

 一回戦で大きな存在感を示したのはアイリスだった。

 ワタルの弟子として紹介されたこともあり、すでに注目が集まっていたが、一回戦の力強さが多くの観客に印象付けられたようだった。

 しかし、アイリス以外に、ひときわ注目を集めるトレーナーがいた。

 

 アイリスの対極のブロックに所属するアセロラも、アイリスに負けない力を見せていた。

 

 アセロラはアローラ地方出身のアイリスと同い年のトレーナーということ以外はわからない。

 それほど注目されていたわけでもなく、完全なダークホースだった。

 

 しかし、一回戦のデンゾウとの対戦にて、その力をいかんなく発揮した。

 デンゾウはシンオウ地方出身のトレーナーで、トップクラスのトレーナーの一人であるデンジの傘下で力をつけた。

 親が電気屋ということで、電気ポケモンを得意とする。

 当初はレアコイルを使っていたが、師匠のデンジのアドバイスなどもあって、ランターンを使うようになったところ、安定感が比較的に増し、本大会に参加するほどの実力をつけた。

 

 マスコミは当初、「デンゾウ君も十分優勝候補だ」と報じていた。

 ポケモントレーナー大国であるシンオウ地方出身ということもあり、影の優勝候補としてささやかに注目されていた。

 しかし、影の優勝候補の称号を奪い取るかのように、アセロラは圧倒的実力を見せつけて、デンゾウを打ち破った。

 

 アセロラはミミッキュを繰り出して戦った。

 ゴーストタイプの使い手であると予想できた。プロの間でも最も扱うのが難しいと言われるミミッキュをフィーチャーしてきたところに器の大きさがうかがわれた。

 見事に難しいミミッキュをコントロールして、デンゾウの得意とする「電磁波乗りランターンシステム」をうち破ってみせた。

 抜群の回避センスで、ミミッキュの化けの皮がはがれる前にデンゾウのランターンとレアコイルをうち破り、ダークホースの力を見せつけた。

 

 ワタルもアセロラの対戦を見ていた。

 ワタルの目から見ても、アセロラの実力はアイリスと同等ほどあった。

 

 とはいえ、アセロラはアイリスの反対の山なので、シードされているコゴミが倒す可能性もある。

 アイリスにとって、最大の関門は同じ山のシードであるアンズだった。

 

 ◇◇◇

 

 2回戦が始まり、シードトレーナーがようやく顔を出してきた。

 2回戦第一試合はアンズとジロウの対戦となった。

 

 ジロウはノーマルポケモンの使い手として知られる。カロス地方のノーマルポケモン限定のアマチュア大会で優勝実績があるなど、容易ならざるトレーナーだった。

 使用ポケモンはムーランドとべロベルト。

 基本はオーソドックスな戦い方だが、距離が開くと、「アクセルとっしんころがーるからのベロベロ」と自称する独自戦法で破壊力抜群の攻めを展開して、一回戦は観客を沸かせていた。

 

 そんなジロウに対するのが優勝候補のアンズ。

 アンズはシードされているだけあって、戦い慣れ、大会慣れしており、観客の前でも落ち着いた様子で開戦の時を待っていた。

 説明不要の超強力「イガ忍法」を展開する。これはプロの世界でも、キョウの得意戦法として有名だ。

 ワタルもキョウとは15回の対戦経験があるが、7度も不覚を取っていた。

 アンズはそれを正当に引き継いでいるので、弱いはずがなかった。

 

 アイリス陣営は控室のモニターから、アンズの対戦を見ていた。

 

「むむ、むむむむ」

 

 アイリスは宿敵であるアンズに対して、ライバル意識むき出しの視線を送っていた。

 ワタルはそんなアイリスの隣から真顔で対戦を見た。

 ドラセナは先ほどまでドリンクの買い出しに行っていて、今しがた戻ってきた。

 ナツメとイブキはワタルの後ろでおしゃべりをしていた。

 ヒガナは、モニター電源のコンセントを珍しいものを見るように観察していた。

 

 対戦が始まった。

 先手必勝と言わんばかりに、ジロウはべロベルトを繰り出した。「アクセルとっしんころがーるからのベロベロ」という戦法で一回戦を沸かせた立役者だ。

 アンズは遅れて、クロバットを繰り出した。クロバットは出てくるなり、残像をあちこちに残す高速移動で所定の位置についた。クロバットの機動性を相当鍛えているようだった。

 

「むむむ、あれが忍者ですか」

 

 アイリスはこの先対戦するかもしれない忍者の戦いに集中して、目をとがらせた。

 

「アイリスちゃん、あんまり根を詰めると、疲れてしまうわよ」

「いいえ、この目にしっかりと焼き付けておく必要があると思うのです」

 

 ドラセナの忠告は無視して、アイリスはモニターの先のクロバットをにらみつけていた。

 

 対戦は一瞬でついた。

 ジロウのべロベルトはフェイントを交えながら、隙をついてとっしん。

 そのとっしんが高速で動くクロバットを捉えた。

 

 クロバットをがっちりと捕まえたべロベルトは丸まってローリングアタックでクロバットをたたきつけ、ベロベロ攻撃でマウントを取りに行った。

 一瞬の仕掛けが功を奏し、最初の対戦はあっさりとジロウが勝利したかのように見えた。

 

「ダメだな」

 

 しかし、トップトレーナーのワタルやドラセナには見えていた。ワタルは一言つぶやいた。

 

 次の瞬間、クロバットはなぜかべロベルトの背後にいた。

 べロベルトが捉えたクロバットはそれが作り出した分身だった。

 べロベルトはその分身を一方的に叩きつけていただけであり、本物は背後から攻めの態勢を取っていた。

 

 そのまま襲い掛かる。用意周到の確実に急所を狙ったクロバットの攻めがさく裂した。

 逆にべロベルトが倒されてしまった。

 

 ジロウもキツネにつままれたように首を傾げた。

 アイリスも目を回していた。

 

「何が起こったのですか? 全然見えませんでした。どういうことですか?」

 

 アイリスは初めて見る忍者の戦いを理解できなかった。

 そんなアイリスに、ワタルは冷静に説明した。

 

「影分身だ」

「分身?」

「それも実体のほうの気配を完全に殺し、分身のほうに実体の気配を与えるレベルの高い影分身。おれも幾度となくやられた戦法だ」

 

 ワタルは過去のキョウとの対戦のいくつかを思い出していた。

 意識を集中して臨んでも見破ることができない分身戦術に、ワタルも苦しめられた。

 

 アンズが仕掛けた影分身は、キョウほどの精度ではないものの、アマチュアレベルならば誰にでも通用するハイレベルなものだった。

 

「こ、これが忍者の戦いなのですか?」

「そうだ。それを打ち破らなければ、あいつに勝つことはできない」

 

 おそらく、アンズ相手に単調な攻めは通用しない。アイリスも工夫を凝らして立ち向かう必要があった。

 しかし、アイリスは今の影分身を見て、対処法などまったく思いつくことができなかった。

 

「どうすればいいのでしょう……」

 

 アイリスはかつて見たこともない高等戦術に、気分を弱気に傾けた。

 

「あいつと当たるのは3回戦だ。いまは目の前の戦いに集中しろ」

「はい……」

 

 アイリスはそう言ったが、意識はアンズ戦に引きずられていた。

 この大会はレベルの高いトレーナーが集まってきている。目の前の相手に集中せずに勝てるほど甘くない。

 アイリスの次の相手はサブロウだ。しかし、アイリスの意識はアンズにばかり寄ってしまった。

 

 アンズとジロウの戦いは、アンズがイガ忍法で相手を翻弄して完封。前評判通り、アンズが3回戦に駒を進めた。

 

 アンズ戦が終わると、次はアイリスの出番。

 アイリスとサブロウの対戦が行われるのだが、アイリスは先ほどのアンズのことばかり考えていた。

 

「うぅ、忍者が出てくるなんて、どうすれば」

 

 控室を出て、花道に向かう際も、アイリスはアンズのことを口にした。

 

「おい、アイリス。言っただろ。目の前の相手に集中しろ。迷いの心で勝てるほどこの世界は甘くない」

「はい、すみません。集中。集中します」

 

 アイリスはワタルに言われて、気を取り直したが、アイリスのその背中を見る限り、まだアンズのことを気にかけていた。

 アンズと戦う前から、アンズの術中にはまってしまっていた。それも含めて、イガ忍術の作用なのかもしれない。

 

 とはいえ、師匠にできることは何もない。ワタルはアイリスの戦いを見守るしかなかった。

 1回戦のときとは、アイリスの後ろ姿のオーラが違っていた。いまのアイリスの心の火は消えかかっていた。

 

「……」

 

 ワタルはその後ろ姿を見て心配になったが、今更どんな言葉をかけても、いまのアイリスには通じないだろうから、そのまま黙ってアイリスを見送った。

 ドラセナも心配そうにアイリスの後ろ姿を見ていた。

 

「アイリスちゃん、大丈夫かしら」

「さあな。あいつ次第だ。おれたちに関与できることじゃないだろ」

「冷たい、ワタル」

「他に何ができるというんだ? おれが代わって戦ってやるわけにもいかんだろ」

「まあ、そう言われるとそうだけど」

 

 ドラセナも師匠としてこのとき何ができるかを心得ていなかった。

 見守る以外になかった。

 

 アイリスとサブロウの対戦が始まった。

 サブロウはカントー地方出身だが、父親がガラル地方出身のハーフだった。

 世界を旅して、さまざまなポケモンを手に入れ、現在は色々なポケモンを使いこなすエリートトレーナーだった。

 1回戦では、フシギバナを使い、技巧派の戦いを展開した。地味だが、底堅い戦いをする。

 

 アイリスにとってはやりにくい相手かもしれない。

 アイリスはワタルと同じパワー型だ。攻撃力を前面に打ち出して短期決戦を挑む。

 技巧派はそういったパワー型にめっぽう強い構えだった。

 

 それでも、アイリスがこの戦いに集中していたならば、アイリスのほうが有利に戦えるだろう。

 しかし、今のアイリスの心は乱れていた。

 

 アイリスは1回戦と同じく、オノノクスを繰り出した。

 対するサブロウは技巧派らしく、1回戦の分析からアイリスがオノノクスを出して来ることを想定して、ツンベアーを繰り出してきた。対オノノクスに有利を取れると言う分析に基づく選択だった。

 

 アイリスは見た目は1回戦と同じ流れの攻めを展開した。

 アイリスのオノノクスにおける戦い方は、敵のロングレンジの攻撃をはじいて距離を詰めて、接近からドラゴンテールで締め上げるか、ドラゴンクロ―で殴り合うか、ドラゴンホーンで突き上げるか、あるいはそれらの組み合わせで戦うというものだ。

 サブロウはそれを分析して、徹底的にオノノクスを接近させないように、つらら攻撃を連発してきた。

 

 ツンベアーの剛腕から投げ出されるつららは重たい。

 オノノクスにとって、この攻撃ははじきにくく、何度も被弾してしまい、1回戦のように接近できなかった。

 

 アイリスも熱くなり、強引に接近させようとしたが、その隙をついて、カウンターがさく裂。したたかにぶつけられたつららでオノノクスがダウンしてしまった。

 

 アイリスの戦いを見守っていた者たちも思わず声を上げた。

 

 ワタルは黙ったまま目を細めた。

 

 1回戦で存在感を見せたアイリスだったが、ここで不覚を取り、一本目を落としてしまった。

 サブロウの作戦勝ちというのもあったが、アイリスの心が精彩を欠いていたのが敗因だった。

 

 本来のオノノクスならば、苦手な攻撃もうまくさばいて見事に距離を縮めるが、心の乱れがわずかな隙と判断の後れを導いてしまっていた。

 

 一本目を落としたアイリスは開き直るように、迷いを断ち切って2体目のポケモンであるサザンドラを繰り出した。

 

 一番得意のオノノクスを落としたので、アイリスの劣勢は明確だった。

 アイリスは開き直ったように見えるが、まだ完全ではなかった。一本目を落としたという焦りもあって、サザンドラとツンベアーの対戦も、ツンベアーが優勢を取った。

 

 先ほどと同じ展開になりそうな中、ワタルは目を閉じた。

 いまもし、アイリスのそばにいるならば、どういう言葉をかけるべきかということを考えた。

 真っ暗な中、ワタルはいくつかの言葉を探した。

 

 遠い記憶の1つがワタルの脳裏にひっかかった。

 

 あれは、ワタルがジムリーダーになって間もないころ。

 ワタルはヒガナを連れて、イッシュ地方に修行に赴いていた時期があった。

 

 その修業にはシャガが同行していたが、あのころ、まだシャガはアイリスを連れていなかった。

 シャガはワタルとヒガナにイッシュの伝説について話した。

 

「キュレム?」

「そうだ、かつてイッシュ地方に氷河期をもたらした伝説のドラゴンだ。この塔に伝説として石像が祀られてるんだ」

「なんだよ、石像かよ」

 

 ワタルは残念がった。

 

「くくくく、小僧はたしか寒いのが苦手だったな」

「小僧って呼ぶなと何万回も言ってんだろ」

 

 ワタルは小僧という呼ばれ方を嫌ったが、シャガはあくまでも小僧と呼び続けた。

 

「小娘は? 寒いのは好きか?」

 

 ワタルの隣にいたヒガナは無言で首を横に振った。

 

「ふむ、お前らにキュレムの信心はなしか」

「おれは何の神様も信じてねえよ」

「神様なんていない。そう言いたそうだな」

「いたら見せてもらいたいもんだ」

「神は己の信心が創り上げるものだ。神を望むなど、小僧には10000光年早い」

「だから、小僧って呼ぶなつってんだろ」

 

 ワタルが怒りをあらわにしている隣でヒガナは首を傾げた。

 

「10000光年後っていつごろ?」

 

 ワタルらはその後、塔の中でキュレムを信仰する宗教家に会った。

 そこには、怪しい衣装を着た人たちが低い言葉で怪しい呪文を唱えて、ドラゴンの石像を取り囲んでいた。

 

「こいつらなに?」

「キュレム教徒の信者たちよ。この時期になると毎日ここにやってくる。この冬を無事乗り切れるようにとな」

「大の大人が神頼みかよ。頼りにならねえな」

 

 ワタルはそのように彼らを見た。

 その後、信者の一人がシャガに気づいてやってきた。

 

「シャガ老子、いらしておられたのですか?」

「おう、未熟な小僧らにキュレム様の威光を見せてやろうと思ってな」

「何が未熟な小僧だよ。今のおれはシャガにも負けねえぞ」

 

 ワタルは不満げにそうつぶやいた。

 

「ほう、優秀そうなお弟子さんたちですね」

 

 信者はそう言ってワタルとヒガナを順に見やった。

 

「なるほど。あなた方にはいずれ龍の導きがあるかもしれませんな。龍の聖なる風が確かに感じられます」

「そんなもの感じたことないですけどね」

 

 ワタルがそう言うと、信者はにこりと笑った。

 

「そうですか? では、目を閉じてみてください」

「なんで?」

「邪念を捨てて、己の心と向き合うのです。龍の聖なる風の声が聞こえるかもしれませんよ」

 

 信者がそう言うので、ワタルは目を閉じた。

 しかし、そのときは何も聞こえなかった。

 ヒガナも目を閉じていたが、しばらく後、目を開いて首をかしげるだけだった。

 

「そのうち聞こえる日が来るでしょう。急ぐ必要はありません。運命がいずれあなた方をその日に誘うでしょう」

 

 信者が言ったその言葉が、ワタルにはとても印象に残っていた。

 

 ◇◇◇

 

 ワタルはそのときのことを思い出していた。

 ワタルはそのときのことを思ってつぶやいた。

 

「信心か……」

 

 いまのワタルには、あのときわからなかったものが少しずつわかるようになってきていた。

 まだ不完全だが、数多くの強いトレーナーと対戦し、チャンピオンになり、さらなる強敵に打ち倒され、そして、アイリスと出会い、これまで見えなかったものが見えるようになってきた。

 

 ワタルは心が動揺したとき、常に「己を信じる」ということをモットーにやってきた。

 それも一種の信心だった。

 ワタルはその信心を心に強く思った。

 

「己を信じろ」

 

 その思いがアイリスに伝わったのか、アイリスは攻めあぐねる中で、唐突にその言葉が脳裏をかすめるのを覚えた。

 それはワタルの言葉だった。ワタルがアイリスに教えた、おそらくは「ワタル最大の教え」である。

 

「己を……」

 

 アイリスはその言葉を聞いて、これまでの邪念が突然消えるのを感じた。

 突然、目の前の世界が変わって見えた。心が透明になったようだった。

 

 そのとき、ツンベアーが後退して、力を溜めた。

 アイリスがカッカして我を見失っているのに感づいたサブロウは今がチャンスと、次の強烈な攻撃のために大きな溜めを作ったのだ。

 

 いまのアイリスには相手の心が見えた。

 アイリスの研ぎ澄まされた精神力が、とっさに敵の思惑に反応していた。

 

 サザンドラはツンベアーをしっかりと見つめた。

 ツンベアーの攻撃モーションよりほんのわずか早く、遅れてもダメ、早すぎてもダメ。遅れると攻めきれない。早すぎると、相手に悟られる。

 逆転には、最も絶妙なタイミングが求められた。

 

 心を取り戻したアイリスには、そのタイミングを見つける自信があった。

 アイリスは目を閉じて、ワタルの教えをそらんじた。

 

「己を信じろ。私はやれる。サザンドラ、いくよ」

 

 アイリスはポケモンと一心同体になると、竜の波動の最大攻撃を繰り出した。

 

 それ以外の角度ではうまくいかない。それ以外のパワーではうまくいかない。それ以外のタイミングではうまくいかない。

 

 すべてが一致したサザンドラの攻撃がツンベアーを一気に襲った。

 すさまじい攻撃にツンベアーが吹き飛ばされた。

 サブロウは態勢を立て直そうとしたが、アイリスがこれまでとは別人になったように、正確な対応でそれを許さなかった。

 

 追い詰められたところで、アイリスが逆転で取り返すと、3戦目のサザンドラとムーランドの試合もサザンドラが制し、アイリスは2回戦を突破した。

 

 ワタルはアイリスの逆転を見て、改めて感じるところがあった。

 高みに達したトレーナーたちにとって、最後に差をつけるのは心であると。

 アイリスは誇り高き龍の心を取り戻し、それが逆転につながった。

 

 アイリスが手に入れた龍の心は、ちょうどワタルがいま手に入れようとしているものだったのかもしれない。

 

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