俺の時間を穏やかにしてくれないのはなぜだ   作:ジンジャー・エール

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花女は共学になってます。
誤字は…ないはずです…
ちなみに作者はさよひなとかすありが大好物です。


俺の時間を穏やかにしてくれないのはなぜだ

 

 

 俺の名前は諏訪颯人。花咲川学園の二年生だ。

 

 

 突然だが、この世には夢オチというものがある。

 

 

 それは、今まで起きた出来事はすべて夢だったという結末のことである。

 

 

 どうしてこんな話をしているかというと、昨日告白した女の子にオッケーをもらえたところから記憶がないからだ。

 

 

 

 (目が覚めたらいつもの天井が見える)

 

 

 

 そんなオチが目に見えている。

 

 

 惜しみながら目を開けると、やはりいつもの━

 

 

 

 「おはよう、諏訪さん」

 

 

 「ぎゃあああ!!」

 

 

 

 男の悲鳴に、朝の鳥のさえずりはかき消されてしまった。

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 「なぜそんなに驚いているんですか?」

 

 

 「当たり前でしょ!」

 

 

 

 起きたら目の前に女の子…

 

 

 しかも夢に出てきたあの女の子がいた。

 

 

 その女の子の名前は氷川紗夜。

 

 

 学校の風紀委員で花咲川の番犬と名高い人物である。

 

 

 そんなことより━

 

 

 

 「ここ、どこなんですか…」

 

 

 

 明らかに俺の部屋ではない。

 

 

 こんなに整理されてないし、ギターなんて持っていない。

 

 

 

 「ここは私の部屋ですよ」

 

 

 「…いまなんて?」

 

 

 「私の部屋ですよ。昨日から一緒に住んでいるじゃないですか」

 

 

 

 紗夜さんの部屋だと…

 

 

 ということはあれは夢ではなかったということか。

 

 

 そして重大なことが━

 

 

 

 「一緒に住んでるってどういう…」

 

 

 「はい、親御さんにも了解を得ましたよ?」

 

 

 「は?」

 

 

 この年で同居なんて聞いてない。

 

 

 しかも付き合って一日で?

 

 

 というか俺の親は何しているんだ。

 

 

 

 「…俺の親はなんて言ってましたか」

 

 

 「えっと…早く孫の顔が見たいから帰ってくるなと」

 

 

 「あいつら!」

 

 

 

 なんてこった。

 

 

 俺はこのままここに住むしか方法はないのか?

 

 

 

 「ところで、諏訪さん」

 

 

 「は、はい!どうしましたって━」

 

 

 

 名前を呼ばれたと思ったら押し倒されてしまった。

 

 

 

 「さ、紗夜さん?どうしたんですか?」

 

 

 「今日は土曜日で授業はないでしょ?私もバンドの練習まで時間があります。だから…」

 

 

 

 …これはもしかしてそういうイベントか?

 

 

 夢にまで見たあのイベントなのか?

 

 

 ここは男を見せなければ…

 

 

 

 「紗夜さん、俺━」

 

 

 「日菜!私の部屋で何してるの!!」

 

 

 

 勢いよく扉を開けられ見てみると、そこにはなぜか二人目の紗夜さんがいた。

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 どうやら、一人目の紗夜さんの正体は、双子の妹の氷川日菜だったらしい。

 

 

 

 「で、説明してもらおうかしら」

 

 

 「…すみません、紗夜さんに双子の妹がいるなんて知らずに」

 

 

 「諏訪さんは静かにしてください」

 

 

 「はい分かりました!!」

 

 

 なんという威圧感…

 

 

 番犬というより猛犬だ。

 

 

 

 「諏訪さん、なにか言いましたか?」

 

 

 「いえ、なにも!」

 

 

 

 思考が読まれた?

 

 

 まさかね…

 

 

 

 「それで日菜、どうして私の諏訪さんに手を出そうとしたの?」

 

 

 

 私の諏訪さん?

 

 

 怒られてるのにニヤニヤしてしまいそうだ。

 

 

 

 「えーっと…どこまでいったらバレるかなーって思って…」

 

 

 「そんなことで…」

 

 

 「…でも、颯人くん嬉しそうだったよ?」

 

 

 「ちょっと日菜さん!」

 

 

 

 やばい…紗夜さんにめちゃめちゃ睨まれてる…

 

 

 あぁ、家に帰りたい…

 

 

 

 「とにかく、諏訪さんを家に帰してきなさい」

 

 

 

 ありがとうございます。これで日常に戻れます。

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 「ということで帰ってきました!」

 

 

 「颯人おかえり!今日は赤飯ね!」

 

 

 「は?」

 

 

 

 何を言っているんだこの母親は。

 

 

 

 「まさか一日で…颯人って意外と大胆なんだな」

 

 

 「何が!?」

 

 

 「お父さん感動したよ。40代でおじいちゃんか…」

 

 

 

 父親も何言ってるんだ。

 

 

 

 「二人とも何言ってるの?」

 

 

 「あら、帰ってきたってことは赤ちゃんができたのよね。男の子?それとも女の子?」

 

 

 「おいおい母さん、それはまだ分からないだろう」

 

 

 「あらまあそうね。分かったら教えてちょうだいね!」

 

 

 

 …思い出した。日菜さんがそう言ってたな。

 

 

 ここは正直に。

 

 

 

 「えっと、そういうのはまだしてな━」

 

 

 「「出ていけ!!」」

 

 

 

 そう言われて外に出されてしまった。

 

 

 全く、この世にはこんなに酷い親がいるものなのか。

 

 

 ああ神様、もしやり直せるなら…

 

 

 

 「あ、颯人!赤ちゃんできたら帰ってきていいからね!」

 

 

 

 もっとマシな両親のところに生まれかったです…

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 いくら春だからとはいえ、夜になるとひどく寒くなるものだな…

 

 

 また紗夜さんの家に戻るか?

 

 

 いや、あそこにも親御さんがいるだろう。

 

 

 となるとこれから野宿?

 

 

 温室育ちの俺には耐え難いことだ。

 

 

 俺に衣食住を与えてくれる人はいないものか…

 

 

 

 「…なんだ?この声は」

 

 

 

 不気味な笑い声が聞こえた。

 

 

 女の子の笑い声だ。

 

 

 え、待って。普通に怖いんだけど。

 

 

 

 「こっちから聞こえたよな…」

 

 

 

 人が怖がるのはそれが何か分からないからだと聞いた事がある。

 

 

 正体を突き止めればなんてことないだろう。

 

 

 俺は声のした方に向かった。

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 「ここからだよな…」

 

 

 

 そこは立派なお屋敷だった。

 

 

 大きい木製の門。和の象徴といった感じだ。

 

 

 

 「…開けるか」

 

 

 

 正体を突き止めるためその門を開く。

 

 

 鍵は不用心なことに開いていた。

 

 

 そして俺が目にしたものは…!

 

 

 

 「えへへへ、香澄は可愛いなぁ、ふんふ〜ん」

 

 

 

 盆栽に話しかけている俺と同じ花咲川の二年生、市ヶ谷有咲だった。

 

 

 

 「えへへぇ、やっぱりお前は可愛いなぁ」

 

 

 

 …見てはいけないものを見てしまった。

 

 

 香澄という子は知らないが、気づかれたらタダじゃすまないだろう。

 

 

 これは彼女のためだ。ここは何事もなかったように立ち去って━

 

 

 

 「メキッ」

 

 

 「誰だ!!」

 

 

 「あっ…」

 

 

 「えっ…」

 

 

 

 静寂が辺りを包み込んだのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 風呂に入れてもらった俺はいま、市ヶ谷有咲の部屋で正座させられていた。

 

 

 

 「…まぁ状況は分かったよ」

 

 

 「理解してくれてありがとう」

 

 

 

 とりあえず不法侵入で逮捕はされないようだ。

 

 

 さて、このままここに泊めてもらうか。

 

 

 

 「ところで有咲ちゃん、今晩だけでいい。俺をここに泊めてくれないか?」

 

 

 「断る。あと有咲ちゃんは辞めろ」

 

 

 

 即答だった。

 

 

 まぁそうだよな。

 

 

 面識はあるとはいえ、男を家に泊めるなんてしないよな。

 

 

 

 「朝は香澄が私を起こしに来るからな。誤解は生みたくねぇ」

 

 

 「…そうなのか」

 

 

 

 返答に少し困った。

 

 

 もしかして有咲とその香澄って子は付き合━ 

 

 

 

 「あ、さっき見た事は誰にも話すなよ!特に香澄にはな!」

 

 

 「分かったから…」

 

 

 

 そう言って俺は部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 「あの人ずっとあの家の前にいるよね」

 

 

 「うん、もしかして不審者…?」

 

 

 

 結局紗夜さんの家に戻ってきてしまった。

 

 

 仕方ない、宛がここしかないのだ。

 

 

 なんて説明しよう…

 

 

 赤ちゃんが出来るまで帰れませんなんて言えないし…

 

 

 

 「あれ?颯人くん?」

 

 

 「あ、日菜さん」

 

 

 「こんなところでどうしたの?やっぱり追い出されちゃった?」

 

 

 「実はそうなんです…ってやっぱり?」

 

 

 

 いま絶対にやっぱりって言った。

 

 

 まるでこうなることが分かっていたように…

 

 

 

 「うん、だって言い出したのあたしだもん」

 

 

 「は?」

 

 

 

 何してくれてんじゃああ!!

 

 

 お、落ち着くんだ俺…

 

 

 何かちゃんとした理由があるんだろう。

 

 

 怒りを抑えて理由を聞く。

 

 

 

 「な、なんでそんなことしたんですか?」

 

 

 「だって甥っ子が欲しかったんだもん」

 

 

 「そんな理由かよ!!」

 

 

 

 思わずツッコんでしまう。

 

 

 甥っ子が欲しかった…?

 

 

 そんな理由で俺は家を追い出されたのか?

 

 

 冗談じゃない。

 

 

 

 「颯人くんのお父さん達も賛成してたよ?」

 

 

 「でしょうね!」

 

 

 

 やはり俺の両親はどうにかしている。

 

 

 

 「でもなんで颯人くんはお姉ちゃんとシないの?颯人くんはシたくないの?」

 

 

 「そりゃシたいですけど…」

 

 

 「とりあえず中に入ろ?みんな見てるよ?」

 

 

 「え?」

 

 

 

 周りの視線に気がついて恥ずかしくなった。

 

 

 それを見て日菜さんはにやにやしている。

 

 

 こいつ許さねぇ…

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 俺が一番好きな時間は朝だ。

 

 

 頭がすっきりして、何も考えなくて済む。

 

 

 そんな朝だが、最近はそんなゆっくりとした時間はない。

 

 

 そう、今日も━

 

 

 

 「お、おはようございます諏訪さん」

 

 

 「何してるんですか…って紗夜さん!?」

 

 

 

 そこにいたのは下着姿の紗夜さんだった。

 

 

 しかも押し倒されている。

 

 

 いや、待てよ。

 

 

 日菜さんの可能性がある。

 

 

 昨日みたいに俺をからかっているんだ。

 

 

 

 「で、なんで押し倒しているんですか?」

 

 

 「だって…日菜が喜ぶって言ってたから…」

 

 

 

 恥ずかしがっている様子が尊すぎる…

 

 

 紗夜さんならこのような反応をするだろう。

 

 

 日菜さんじゃないかもしれない。

 

 

 しかし確信はない。

 

 

 何か、判断できるところはないのか。

 

 

 顔は同じ。

 

 

 身長はここからじゃ分からない。

 

 

 なにか、双子で違うところはなにか━

 

 

 

 「あなたは日菜さんです!」

 

 

 「どうして…」

 

 

 「理由は一つ!」

 

 

 

 これしかない!

 

 

 俺が見つけた双子で決定的に違うところ、それは━

 

 

 

 「紗夜さんは谷間が出来るほど胸が大きくないからです!」

 

 

 「…引っ叩きますよ」

 

 

 「あれ?」

 

 

 

 どうやら本人だったらしい。

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 あれから紗夜さんの機嫌が悪い。

 

 

 それにしても本当に叩かれるとは思わなかったな。

 

 

 まだ左頬がヒリヒリする。

 

 

 付き合って二日でこの始末だ。

 

 

 早めに解決しないと…

 

 

 

 「あの、日菜さん」

 

 

 「はーい!お姉ちゃんよりお胸が大きい日菜ちゃんに何かご用ですか?」

 

 

 「…聞いてたんですね」

 

 

 

 日菜さんの知らないことはあるのだろうか。

 

 

 いや、そんなことを考えている暇はない。

 

 

 今は日菜さんを頼るしかないのだ。

 

 

 状況を説明する。

 

 

 日菜さんならきっと、とっておきの解決策をくれるだろう。

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 「いらっしゃいませ!ご注文はなんでしょうか?」

 

 

 「えっと…チーズバーガーを一つと、桜ポテトを一つお願いします」

 

 

 

 俺は今、ファストフード店にいる。

 

 

 昼飯ついでに紗夜さんを誘った。

 

 

 ここに来れば紗夜さんの機嫌は直ると、日菜さんは言っていたが━

 

 

 

 「まさか本当だったとは…」

 

 

 「何がですか?」

 

 

 「いえ、なんでも」

 

 

 

 ファストフード店に着くなり、紗夜さんは春限定の新作ポテト、桜ポテトに興味津々だ。

 

 

 それに…ヨダレまでながしていた。

 

 

 

 「おまたせしました」

 

 

 「ありがとうございます」

 

 

 

 紗夜さんは席に着くと、すごい勢いでポテトを食べ始めた。

 

 

 とても幸せそうだ。

 

 

 …よし、今のうちに謝ろう。

 

 

 

 「紗夜さん、朝はすみませんでした」

 

 

 「へ、はむほほほへうは」

 

 

 「なんて?」

 

 

 

 食べるかしゃべるかどっちかにして欲しい。

 

 

 しかし、そんな紗夜さんも愛おしく見えた。

 

 

 

 「ごちそうさまでした」

 

 

 「早っ!?」

 

 

 

 俺はまだチーズバーガーを一口も食べてないぞ…

 

 

 なるべく早く食べ終わろう。

 

 

 

 「諏訪さん、そんなに急いで食べなくても…」

 

 

 

 あなただけには言われたくない!

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 昼からはバンドの練習があるそうで、俺は今どうしているかというと━

 

 

 

 「みんなお疲れ様!今日も良かったよ!」

 

 

 「ありがとうございます!」

 

 

 

 パスパレの撮影現場に来ていた。

 

 

 自分で来たわけじゃない。

 

 

 日菜さんに連れてこられたのだ。

 

 

 

 「颯人くん!今日のあたし、るんってしてた?」

 

 

 「えっと…してましたよ?」

 

 

 

 るんっが何か分からないが、きっと調子は良かったのだろう。

 

 

 それにしてもどこかで見た覚えがあると思ったら、日菜さんがアイドルだったなんて…

 

 

 あ、あそこにいるのは白鷺千聖さん!

 

 

 小さい頃から見てたけどやっぱり生で見るときれいだな…

 

 

 

 「日菜ちゃん?その人はまさか…」 

 

 

 

 千聖さんが深刻そうな顔でこちらを見つめてくる。

 

 

 …あ、アイドルって恋愛禁止なんだっけ。

 

 

 これはまずい。

 

 

 誤解を解かないと迷惑をかけてしまう。

 

 

 ここは正直に━

 

 

 

 「俺は諏訪と言います。日菜さんのお姉さん、紗夜さんとお付き合いを…」

 

 

 「あの、冗談はいいですから…」

 

 

 「違うよ〜。この人は正真正銘、お姉ちゃんの彼氏!」

 

 

 「え!?」

 

 

 

 そりゃびっくりですよね〜。

 

 

 俺も付き合えると思わなかったもの。

 

 

 まだ夢オチだと思ってるくらいだ。

 

 

 

 「日菜ちゃん、本当なのね?本当にこの人が?」

 

 

 

 …そこまで言わなくていいじゃないか。

 

 

 俺だって泣くときは泣くよ?

 

 

 

 「うん、本当だよ?だって一緒に住んでるもん。」

 

 

 「え!?」

 

 

 「ちょっと日菜さん!」

 

 

 

 千聖さんがこっちを見ている。

 

 

 それもすごい眼差しで…

 

 

 違うんです。やましい気持ちなんてないんです。

 

 

 もうここにはいられない。

 

 

 俺はその場を走り去った。

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 誰かが林檎が落ちるのを見て重力の存在に気づいたらしい。

 

 

 そりゃ林檎は落ちるよ、落ちないわけないよ。

 

 

 でも、もし重力がなかったら?

 

 

 林檎はふわふわと宙に浮くことになる。

 

 

 そう…

 

 

 

 「あはは、お姉ちゃん見て!風船だよ!」

 

 

 

 あの風船のように。

 

 

 

 「分かったから少しは静かにしたら?」

 

 

 「はーい」

 

 

 

 こうして見ると双子の姉妹というより母親と娘だな。

 

 

 もし赤ちゃんが出来たとしたら…

 

 

 いや、待て。学生の身分でそれは駄目だ。

 

 

 第一こんな状況がアブノーマルなのだ。

 

 

 

 「じゃあお風呂に入ってくるわね」

 

 

 「あ、あたしも入る!」

 

 

 

 そう言って二人はお風呂に行った。

 

 

 …二人で?

 

 

 女子二人でお風呂か。

 

 

 一体何をするのだろう。

 

 

 俺は有り余る想像力を使って色んな事を考えてみた。

 

 

 そうしている間に瞼が重くなって、気づいたら眠ってしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 目が覚めると、そこは俺の部屋だった。

 

 

 自分でもびっくりだ。

 

 

 いつもの寝間着を着ているし、いつもの格好で寝てた。

 

 

 目の前に女子はいないし、誰かに押し倒されている訳でもない。

 

 

 まさかこれは…

 

 

 

 「夢オチかよこんちくしょうめ!!」

 

 

 

 酷いオチだ。

 

 

 分かってはいたが、こんなことがあっていいのだろうか。

 

 

 まさか、紗夜さんにオッケーもらえたのも夢じゃないだろうな…

 

 

 今日は月曜日。

 

 

 制服に着替えて学校に行こう。

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 「全く、なってこったい」

 

 

 

 朝ごはんを食べるときも親二人はいつも通りの対応をしてくれた。

 

 

 …少し機嫌が良かったのは気のせいだろう。

 

 

 

 「一体どこから夢だったんだよ」

 

 

 

 そんなことをつぶやきながら歩いていると、市ヶ谷有咲が猫耳らしき髪型をした女の子と一緒に歩いていた。

 

 

 

 (あれが香澄って子かな?夢だから違うと思うけど)

 

 

 

 考えていると市ヶ谷有咲がこちらに近づいてきた。

 

 

 あれ、なんかすごく怒ってる。

 

 

 俺何かしたっけ。

 

 

 

 「おいお前!」

 

 

 「なんですか!」

 

 

 

 思わず敬語を使ってしまう。

 

 

 女の子にお前と言われる日が来るなんて思ってなかったよ…

 

 

 そうとう嫌われているらしい。

 

 

 

 「…誰にも言ってないだろうな?」

 

 

 「え?」

 

 

 

 急に何を言い出すんだこの子は。

 

 

 彼女の秘密なんて知らないし、ちょっと面識があるだけなのに…

 

 

 

 「覚えてないならいいんだ。じゃあな」

 

 

 「?うん」

 

 

 

 俺が覚えてないだけならそれでいいか。

 

 

 学校の時間まで余裕がある。

 

 

 ゆっくり歩こう。

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 昼休み、俺が学校にいるときの至福の時間。

 

 

 午前の授業を乗り越えてようやく訪れるこの時間が楽しみじゃないわけがない。

 

 

 今日は俺の大好物、ハンバーグ弁当。

 

 

 だったのに━

 

 

 

 「で、用ってなんですか?千聖さん」

 

 

 

 あの千聖さんに呼び出されていた。

 

 

 噂じゃ千聖さんに呼び出された者は生きては帰れないとか。

 

 

 俺、何もしてないよな?

 

 

 急に不安になる。

 

 

 

 「あなた…」

 

 

 

 ごめんなさい。何も知りません。

 

 

 何もやってません。

 

 

 だから許してください…

 

 

 

 「あれは本当なの?」

 

 

 「え?」

 

 

 

 頭の中が真っ白になった。

 

 

 いや、急にそう言われても…

 

 

 

 「…本当なのね。分かったわ」

 

 

 「えっと…それでは失礼します」

 

 

 

 助かった。

 

 

 自己解決してくれた。

 

 

 それにしても何が本当だったのだろう。

 

 

 教室に戻ろうとしたその時、無情にもチャイムが鳴り響いた。

 

 

 俺のハンバーグ弁当が…

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 午後の授業は空腹に耐えながらも、なんとかやり過ごした。

 

 

 遅めの昼飯を食べ終えて、帰ろうとしたその時━

 

 

 

 『二年生の諏訪颯人さん。至急、生徒会室に来てください』

 

 

 

 チャイムで俺の名前が呼ばれた。

 

 

 なんか今日は呼び出しが多くないか?

 

 

 本当に俺は何かしてしまったのか?

 

 

 このまま帰るか。

 

 

 そんなこと俺の清き心が許すわけもなく、俺は生徒会室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 「で、なんで俺は呼び出されたんでしょうか?」

 

 

 

 目の前には紗夜さんが一人。

 

 

 真面目な顔をしている。

 

 

 

 「今日は生徒会の仕事が五時には終わります。」

 

 

 「…はい?」

 

 

 いや、急に自分の予定話されても…

 

 

 まさか生徒会の仕事って俺をしめることじゃないよな?

 

 

 

 「ですので、それまで待っていてくれませんか?」

 

 

 「え?」

 

 

 

 待つって誰が?

 

 

 俺が待つのか?

 

 

 

 「なに変な顔をしているんですか。だって私たち…つ、付き合っているのですから…」

 

 

 

 頭の処理が追いつかなかった。

 

 

 ずっと夢だと思ってた。

 

 

 まさか…

 

 

 神様ありがとう。

 

 

 今までのは全部現実だったのですね…

 

 

 

 「分かりました。ずっと待ってますね!」

 

 

 

 紗夜さんは嬉しそうだった。

 

 

 さて、何して時間を潰そう。

 

 

 

 「ところで紗夜さん、昨日の朝のことは…」

 

 

 「昨日の朝は生徒会の仕事でしたよ?」

 

 

 

 それは夢なのかよ!!




夢オチって嫌だなぁ…後味悪いし。
と思いながら書いてました。

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