真・恋姫†無双 -革命- 餓狼奇譚   作:黒絵の具

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あらすじ欄でもお書きした通り前作の再構成作品となります。
拙い文ではございますが楽しくお読みいただければと思います。


始まりはゴミ箱から

悪友と一緒になってハマったが古い映画があった。タイトルはback to the future。

親友の科学者を救うため主人公の少年が過去に渡り歪みを修正する為に冒険する名作中の名作だ。

ハマった割にはうる覚えで申し訳ないが、たしかこの映画の作中にはこんな台詞があったはずだ。

 

『悪戯に過去を変えることで未来の君の存在が消えてしまう』

 

古い映画の話を持ち出したことにはちゃんとした理由がある。

悪戯な気持ちは微塵もないと言い切ろう、だが作中の台詞が出てくるのはこの言葉が俺のやった行いそのモノであるからだ。

確定した死の運命を定められた者”達“の未来の改竄、負けるはずの戦をひっくり返した。

あの世界において必勝の策以外の何物でもない俺という存在のみが最初から持っていたたった一つの武器、未来の知識。だがそんなものを振りかざしておいて無事でいられるなんてことはありえない。

オンラインゲームでチートを使ったプレイヤーがアカウント抹消つまりBANされるのと一緒の理屈だ。

 

「さようなら、寂しがり屋の女の子。愛していたよ、華琳」

「一刀ッ!一刀ぉ!」

 

永遠に届かないあと一歩。

永劫に触れることの叶わないこの手。

光の粒になり消える体。

自分の名前を泣き叫ぶ女の子の涙すら拭えない今の自分に対して苛立ちを感じている。

だが同時に心の奥で何かがストンと何かが丸く収まって、落ち着くような気がした。

例えるならば諦めと自分勝手な達成感。

過去改竄という傲慢な罪に対する、世界から下された北郷一刀に対する正しい罰。そして滑稽に踊り続けた愚かしい人形に贈られる終幕の報酬。

 

(華琳、俺は寂しいけど、本当に満足だよ。大切な人の夢に命かけられたんだ、しかもそれが叶ったってなったらこれ以上望むともっとバチが当たりそうだ。もう当たってるようなものだけど)

 

「…か…ん、き…をあ…し…」

 

途切れ途切れのたった一言の別れを最後に、寂しがり屋な覇王の少女の世界から北郷一刀はその姿を消した。

その光景を2人の筋骨隆々の漢女が見ていた。

 

「一刀ちゃん」

「あの男、どこまでも馬鹿な奴よ。許子将を使ってまで警告をしたというに」

「…えぇ、確かにご主人様は警告を無視して物語を壊した。

狂わせなければ夏侯淵ちゃんや黄蓋ちゃんは生きていない、周瑜ちゃんもそう。

少しでも心を通わせた相手なら全身全霊で救い幸せを願う、その為に必死に駆け抜ける。それが北郷一刀っていうワタシの惚れた漢の中の漢よ」

「貂蝉、貴様はそれで良いのか?」

「愛に殉じるのが漢女というならそれもまた悪くないものよ」

「惚れた弱みと?北郷一刀いいお前といい、この大馬鹿者ども、ムッ?!」

「何ッ!?正史に戻るはずのご主人様の魂が消失ッ!?」

「それにこの禍々しい氣、いや違う、これはまさか魔力という奴か?」

 

背筋を駆ける悍ましい感覚に2人は戦慄する。

 

「卑弥呼、どうやらこの世界は今までの外史とは違うようねん」

「そのようだ、これから起こるであろう事件の中心にはやはり」

「どうやら私達も本気で構える必要があるようね」

「うむ、行くとしよう少しでも力を蓄えねば」

 

2人の漢女は宵闇に紛れて姿を消した。

その場にいるのは愛する者を失い慟哭する少女1人だけであった。

 

◾️◾️◾️

 

男がそれを見つけたのはただの偶然だった。

気まぐれに一人で散歩に出た時にそれは上半身がゴミ箱に刺さって、意識がないのかピクリとも動かない。

周囲を見たらあまりにも異質な光景なのか誰もが遠巻きに見ているか何事もないかのように無視してその場を去るか、反応はどちらかだけだった。

 

「……別に助けてやる義理はないんだがな」

 

収集日でもないのに二、三日前に出されたゴミは腐臭を放ち男は僅かに顔を顰めた。

足を掴みゴミ箱から引っ張ると腐臭を放ちながら生ゴミまみれで青年現れた。

 

「こいつガキか?中国、いや日本人か?」

「うっ、あぁ」

 

学生の制服らしき服に身を包んだ青年は臭いのせいなのかそれとも負傷してるのか呻き声をあげている。男に足を掴まれ逆さずりのまま。

 

「生きてんならいい。だがまぁ……臭い」

 

取り敢えず日本人らしき青年を地面に下ろすと懐を漁ると青い手帳を見つけた。

アロハシャツのポケットからスマホを取り出して信頼のおける部下に連絡した。

 

『お疲れ様です、トーマス』

「ローラ、今から送る写真を元に日本大使館に問い合わせろ」

『日本大使館?何があったんですか?』

「日本人の小僧を拾ってな。放っておくのも後味が悪い」

『名前は…ホンゴウ・カズト。ふむ、なるほど学生のようですね。

すぐに調べます』

「頼んだ。まずはこいつを風呂にいれないとな、臭い」

 

俺も甘いもんだ。と言いたそうな苦笑を浮かべると男トーマス・アンドレはカズトという青年を担いで自分が運営するギルドのビルへと歩を進めた。

 

腐臭を放つゴミ箱に頭から刺さっていたホンゴウカズト。

スカベンジャーギルドのギルドマスター、トーマス・アンドレ。

後に『シルバースター』の二つ名で呼ばれる天の御使だった少年と世界最強のハンター『ゴリアテ』の邂逅には生ゴミの異臭が漂っていた。

 

 

 

 

 

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