ということで第5話、始まります。
あの事件の翌日、この日も練習だった。
皆はベータの姿を見ると、無事でよかった。怪我はないかと心配のせいか詰め寄っていた。
「私のことは大丈夫です。ヴァルさんが助けてくれましたから。」
とベータは少し微笑んだように俺に視線を向ける。
「だから言ったじゃないですか…当然のことをしただけだって。」
俺は照れくさくなって、誤魔化そうとしてそう答えた。
そして練習が始まった。
「ヴァル、お前の必殺技を見せてくれないか?」
ふとアルファに言われ、
「そんな大層なものでは無いけど、見せたことないですし、やってみますね。」
と俺は意気込んだ。
「よし来い!今日は絶対止める!」
「では…行くぞ!!」
目の色が変わった。別人格が動いたからだ。
そして俺は、そのまま必殺技を放った。
「ノーザンインパクト!」
氷を纏ったシュートがゴールへと突き進む。
「キーパーコマンド07!」
ザノウが放った技を遥かに上回る威力で、そのボールはゴールネットに突き刺さった。
「す、凄い威力だった…」
「あんな技、今まで見たことない…」
とどよめくチームメイト。
それよりもアルファは、あることに目がいっていた。
「必殺技の放った時のお前の目、180度印象が変わるようなものであった。すごい気迫だったぞ。」
と俺を褒め称えた。
「シュート打つ時は、何故かこうなるんですよね〜…」
と俺は少し苦笑いした。
その矢先に、ガンマからこんなことを言われた。
「君、もしかしてだけど、化身も使えたりするかな?」
「化身…ですか。」
噂には聞いたことはあった。だが、実物は見たことがない。
「ベータ、彼に見せてやってくれないか。」
「はーい。」
とガンマとベータでやり取りをしていた。
化身を出そうと意気込んでいた彼女の目が、変わる瞬間を俺は次の瞬間見た。
「来い!虚空の女神アテナ!」
彼女がそう呼びかけると、二丁拳銃を携えた化身がベータの背中から現れた。
「こ、これが化身…ですか。」
「あぁそうだぜ。それに…この姿を見せるのは、お前には初めてだったな。」
とベータが言った。
「なら…俺もそれに応えねえとなぁ!」
俺も負けじと目を変えた。そうした瞬間、再びオーラが放たれた。
「あ、あれは…!」
チームの皆が俺の姿を見た瞬間、唖然とした。
そこには、ヴァルの化身が姿を現したからだ。
「あの姿…まさかこの目で伝説を見ることができるとはな…」
「俺も…噂でしか聞いたことねえが、こいつがその主だったなんてな…」
「流石にこの僕でもこれは想定外だよ…」
アルファ、ベータ、ガンマも驚くほどのものであった。
「これが…俺の化身なのか…」
自分の姿に自分でも驚いていた。
チームの皆が伝説と畏れ称えたこの化身の名は…
「戦神龍ヴァルハラ」
化身の件もありながらも、練習は大事なく終わった。
「明日は全体的に休みとする。各々、自由に過ごしてくれて構わない。ただし、やらかすなよ。」
とマスターから専属のコーチへ伝言があったという。
「なぁベータ。今日の夜空いてるか?」
「空いてますが、どうしました?」
「この前の話の続きをしたいと思ってな。」
「分かりました。またその時に。」
と俺はベータと夜に2人で話すことを決め、自分の部屋へと向かうのであった。
今回出てくる主人公の化身は完全オリジナルでございます。
そして、使える必殺技一覧はこんな感じ
・ノーザンインパクト
・エターナルブリザード
・スノーエンジェル
化身技(オリジナル)
・グロリアスブレイク