遂に迎えた延岡校と宇都宮校の決勝。
予定通り崖上の砲撃陣地に到着した水田は、偵察がてら敵を探していると敵のパンター群を発見する。
進行方向的に味方の裏を取ると読んだ水田は、本隊の指示役である井深に警戒するよう連絡を入れようとした時、何処からか敵の襲撃を受ける。
幸い無傷で済んだものの、援護射撃が出来ない状況に追い込まれてしまった。
敵の進行方向と予想した地点で待ち伏せをしていた加藤は、敵の重戦車10輌が進軍している所を発見する。
その最中。水田からパンターを発見したと報告を受け、井深に警戒するよう連絡を入れた。
パンターが裏を取っていると報告を受けた井深は、挟撃を避けるためにパンターを先に処理すると考案する。機動力から見て、パンターの方が先に到達すると読んだのだ。
しかし。両軍ほぼ同時に到達し、本隊はやむ無く森林エリアに逃げ込む。
その様子を見ていた花蓮は「敵を殲滅せよ」と指示を出し、一斉攻撃で敵を追い込んでいった。
追い詰められていく延岡校。果たして、活路を見出だせるか否か・・・
γー172。
そこでは宇都宮校の対ホリ車専門の
攻勢を掛けているのは3輌の駆逐戦車。残りの1輌は背後から回り込むため離れている。
「大丈夫なんですかね。私たちロクに訓練していないのに」
「良いのよ。ここでホリ車を撃破すれば、後が楽になるんだから」
不安そうにしている砲手に喝を入れるつもりで言ったものの、
このチームは編成されてまだ間もなく、訓練期間は僅か1ヶ月。
操縦訓練や砲撃訓練といった基礎的な事しか出来ておらず、副隊長の麻美も、「こんな状態で役に立つのか」と訝しがる程だった。
隊長の花蓮は「ホリ車1輌相手にするだけなら十分すぎる。目標を撃破した後は後方支援に回って貰えれば良い」と押しきった。
こう言った新部隊を結成し、運用する時はかなり慎重になるのだが、時間がないと言う理由からか今回はほぼ即決だった。
駆逐戦車は殆どが強力な火力を持ち、調達コストや運用コストも安いのでそこそこ人気がある戦車だ。
一方で敵に照準を合わせるときは車体ごと旋回しなければならないという取り回しの悪さがあり、コスト面での人気とは裏腹に試合で使っている学校は殆ど無い。
宇都宮校も駆逐戦車を保有していなかったのだが、花蓮が何を思ったのか「決勝戦に向けて駆逐戦車だけの班を編成する」と言い出して現在に至る。
「・・・ヤークト・ティーガーですね。ティーガーⅡを駆逐戦車にした派生型ですよ」
秋川の報告を受けて、水田は下から撃ってきている戦車を見下ろした。
ここから見てもかなりの大きさであることが伺える。
前面傾斜装甲。車体中央部に設けられた固定式戦闘室。こちらを狙っている主砲・・・『ティーガーⅡ』の派生型と言うことも納得出来る。
ドイツの『ヤークト・ティーガー』。ティーガーⅡの車体を流用して造られた重駆逐戦車である。
1943年。前線から「3㎞の距離で敵を撃破出来る自走砲」の開発を求められ、要望に答えるために「128㎜砲付きの重突撃砲」というコンセプトで開発が始まった。
翌年の1944年2月に量産が開始され、『ヤークト・ティーガー』という制式名称が与えられた。
主砲である55口径128㎜砲Pak44/L55は連合軍の全ての戦車が撃破可能であり、連合軍においてヤークト・ティーガーを正面から撃破出来る戦車は存在しなかった。
戦闘室の前面が250㎜(傾斜75°)、車体前面が150㎜(傾斜40°)という重装甲で重量が75tもあった。その代償として機動力は劣悪で、燃費が非常に悪かった。
エンジン、変速機、ブレーキの故障が頻発し、敵と遭遇する前に行動不能となって自爆処理する事も少なくなかった。
列車輸送を考慮した設計もされていたが、戦況悪化の影響でそれも叶わず、自走で戦場に向かう事が多かったという。
そのため、燃料切れや故障で動けなくなる車両が多く、回収出来る車両も無かったので放棄するしかなかったのだ。
また。乗員の殆どが新兵で、戦闘には参加したものの重装甲・高火力を満足に活かすことは出来なかった。
ヤークト・ティーガーの部隊を指揮した中尉はこの戦闘を見て、『一番良い兵器が出来ても、訓練された兵が扱わねば何の役にも立たない』と記録している。
敵からの砲撃を受けたホリ車は陣地から離れ、砲弾が届かない場所まで下がっていた。
水田は攻撃してきた戦車を見るため、秋川を連れて陣地まで戻って見下ろしていた。
初めはかなり際どい位置に着弾していたが、着弾地点から離れていくに連れて、見当違いの場所に弾が落ちるようになっていった。
こちらの位置を完全に把握しているものだと思っていたが、最初にホリ車を見つけた場所に適当に砲弾を落としているだけのようだ。
「どうやって反撃します?」
「そうだな・・・まずは何処かに行った
「4輌目?」
「気付かなかったか?初弾は4発だったが、今は3発ずつしか飛んで来ない。つまり、4輌目が何処かにいる、と言うことだ」
双眼鏡越しにヤークト・ティーガーの付近を探ってみると、別に履帯跡があった。そのまま視線をずらしていくと、高台に向かう道に続いている。
「俺たちの裏を取るつもりでいるな。戻るぞ!」2人は走ってホリ車に戻り、水田が織田と神原に指示を飛ばした。
「ヤークト・ティーガーがこっちに向かっている可能性が出てきた。織田。現在の位置よりもう少し下がれ。神原は取り敢えず前方に照準を構えろ。伊藤は装填架に砲弾をセットしろ。すぐ次弾が撃てるようにしておけ」
『無理だな。今忙しい』
「忙しいって、井深たちがピンチなのよ!?」
『ピンチつったって何とかなんだろ?忙しいから切るぞ』
「あ!ちょっと・・・もう!!」
加藤がインカムを床に叩きつける。
ErsatzM10の鬼嶽に支援を求めてたが、「忙しい」の一言であしらわれてしまった。
「何なのよあいつ!!味方がピンチだって言ってんのに!!」
「落ち着きなさいって。鬼嶽はああいう性格なのよ。それより、井深は何て?」
「側にあった森林のエリアに逃げ込んで、そこから反撃応戦してるそうみたいだけど、状況は悪くなる一方だって・・・ホリ車の援護射撃があれば何とかなりそうだけど」
「支援って言っても、向こうも手一杯でしょ?レオパルトじゃどうにも出来ないし・・・どうすんのよ」
原田は前に視線を向けた。
ここからは敵が森に向かって砲弾を撃ち続けている所が見えていたが、レオパルトの武装と装甲では返り討ちに遇うことが目に見えている。
見守ることしか出来ないというもどかしさを感じつつ、ホリ車の支援を待った。
γー176の森林エリア。
ここに逃げ込んだ本隊は木を盾にして反撃していた。
ここまでで戦果はパーシングが1輌だけ。今のところ味方に損害は無いが、この状況を覆すには戦力が足りない。
目の前に敵のフラッグ車が見えるが、ここからでは撃破出来ない戦車だった。
沙樹がその戦車をじっと、睨み付けるように凝視した。その戦車は宇都宮校のフラッグ車であり、『キング・ティーガー』の異名を持つドイツの重戦車『ティーガーⅡ』。
その後ろにはアメリカの重戦車『T29』と『T30』がいる。
その3輌は他校の生徒から『三銃士』と呼ばれる程、厄介な存在なのだ。
ドイツの重戦車『ティーガーⅡ』。
ティーガーⅠの基本設計を
車体前面はパンターと同様に傾斜装甲を用いていた。旧ソ連軍ではその見た目から『新型パンター』と呼ばれていた。
火力は71口径88㎜Kwk43L/71が搭載され、敵の射程外から攻撃可能であった。障害物の無い平原であれば、その威力を存分に発揮出来たとされる。
当時の連合軍には正面装甲を貫通出来る戦車は存在しておらず、152㎜の榴弾砲を持つ旧ソ連軍の駆逐戦車、SUー152『ズベロボーイ』は装甲を叩き割ったという記録があるが、貫通はされていない。
この重装甲で重量は69t。機動面は劣悪で、ギア関係の故障、航続距離の短さに悩まされた。
パンターと同じエンジンをそのまま流用していたので慢性的な馬力不足が燃費の悪さに拍車を掛けていた。
ヤークト・ティーガーも同じエンジンを載せていたので、より深刻な問題となったのである。
戦闘には参加したものの、故障の多さに燃費の悪さが仇となり、稼働率は非常に低かった。
そしてアメリカの試作重戦車『T29』と『T30』。
この2輌はM26『パーシング』をベースとして開発が始まり、車体を延長して重装甲を施し、砲塔は新設計で105㎜T5E2を搭載していた。車体前面の装甲厚は102㎜(傾斜54°)となり、ティーガーⅡと正面から戦える戦車となった。
T30は設計そのものはT29と同じだが、155㎜砲T7を搭載出来るようにした派生型である。T29よりエンジンの出力を上げ、装填手を追加されていた。
この2輌は1945年に完成したが、この時には既にドイツが降伏していたので『日本本土侵攻』に投入しようと考えていた。
しかし、軍令部がこの重量級の戦車をどう使おうか決めかねている内に終戦を迎えたので実戦には投入されず、制式化されることもなかった。
どの戦車も重装甲で高火力・・・三銃士と呼ばれるのにも納得出来る。
フラッグ車は目の前にいる。でもこの距離で、しかも正面を向けられては攻撃しても弾かれてしまう。
敵は森林に入れば不利な状況に陥ることを察しているようで、森林の入り口付近に陣取り、ある程度距離を離している。
このままでは消耗戦になるだけ。何とか打開したい所ではあるが、現状は不利だ。ホリ車の援護があればと、誰もがそれだけを頼みの綱としていた。
「まだ殲滅出来ないの!?」
「すみません。上手く木に隠れられて当てられなくて・・・」
「ちゃんと狙いなさいよ!向こうは当ててんのよ!!」
麻美は現在の状況に苛立っている。敵が森の中に逃げたせいで戦線は膠着状態だった。
攻め込もうにも敵は弾幕を張って近付けないようにし、木を盾にしているので攻撃が通しづらいのだ。
「ったく・・・厄介な所に逃げ込んだわね。お姉ちゃん、どうすんの?」
「気にする事ないわ。こう言うことわざがあるでしょ?『果報は寝て待て』って」
γー172。
ホリ車が見えた高台に進むヤークト・ティーガー3号車は、斜面を低速で上っている。登り始めて10分程経ったが、漸く中腹を越えたばかりだった。
アクセル全開で踏み込んでもせいぜい10㎞程しか速度が出ない。降りて歩いて行った方が早いと感じる鈍足ぶりだ。
「全然速度出ませんね・・・もう
「もし下るとしたらこの道しかないわ。今のところすれ違ってもないし、まだあの位置にいるはずよ」
車長は真剣な面持ちでぺリスコープを覗いた。
辺りは木が密集し、車体が大きい戦車が通り抜けるには狭い。今登っているこの一本道が唯一の逃げ道。リスクを犯して逃げてくるとは思えない。
低速で登り続け、漸く頂上が見えた。下にいる味方に砲撃中止を促し、頂上に到着した。
車長が体を出して周囲を見渡す。敵の気配は無い。出っ張りに履帯の跡が残っているが、それ以外は消されている。
何処かにいるはずだと辺りを見渡す。しかし。そこには何もなかった。
(何処に消えた?まさか・・・森林の方に逃げた?)
下の方向に視線を向けるが、履帯の跡どころか消した痕跡すらない。何度も見渡していると、班長から連絡が入った。
『
「こちら
『は!?そんなわけないでしょ!?良く探しなさい!』
「そんなこと言われて、もっ!?」
「ん?
通信が切れた。何度か呼び掛けても応答がない。(まさか・・・撃破された?)
「班長!上です!」
(・・・支えきれない!!)
井深はこの状況を見て、直感的にそう感じた。
敵はじりじりと距離を詰めてくる。防戦では限界が来ているのだ。
突っ込むか、それともこのまま維持するか・・・どちらにしても、早期に決断しなければ全滅は免れない。
敵が迫ってくる。このまま負けるのではという諦めの空気が漂い始めていた時。
『ドンッ』、と遠くで音がした。その数秒後、目の前でM26が1輌エンジンから炎が上がった!
突然の出来事に、敵味方共に何が起こったのか一瞬混乱したが、理由はすぐ分かった。ホリ車の狙撃だ!
「・・・命中。敵戦車、機関炎上」
神原が戦況を報告し、水田は双眼鏡を通して撃破した戦車を確認する。
直撃弾を受けたパーシングがエンジンから火を吹いている。消火しているようだが、火の手に対して消火が間に合っていない。
(ガソリンは一度火を吹けば消火するのに時間が掛かる・・・日本陸軍がガソリンエンジンを嫌っていた事にも納得出来るな)
旧日本陸軍の車両は大多数がディーゼルエンジンだった。
高オクタンのガソリンが手に入りづらかったという資源面での問題もあったが、陸軍の人間がガソリンエンジンを嫌っていたという話がある。
その理由として、ガソリンは引火点が非常に低く、被弾して漏洩することがあればあっという間に火の手が上がり、手が付けられなくなってしまう。
対して軽油は引火点が高く、爆発的な引火が少ないので被弾時の安全面では有利だったのだ。
エンジン本体の機械的信頼性に劣る部分も否めなかったが、耐久性は非常に高かったという。
ホリ車がガソリンエンジンなのは、元のチリ車の開発時に強力なディーゼルエンジンの設計が出来ず、航空機用に用いられていたエンジンを流用していたからだった。
「それにしても、待ち伏せが上手く決まりましたね」伊藤が少しはしゃぎながら言った。
「ああ。前世での経験が役に立ったな」
敵が登ってくると読んだ水田は、履帯跡を上手い具合に消し、ホリ車を茂みに擬装させたのだ。登ってきたヤークト・ティーガーの車長はこの作戦に引っ掛かってしまったのだ。
登ってきた敵を撃破した後は崖下から撃ってきていた敵を攻撃して全滅させた。
邪魔が無くなったので、ホリ車は気兼ね無く支援に徹する事が出来る。漸く作戦通りに事が進みだした。
後ろで爆発音が響いたと思ったら「撃破された」と報告を受け、麻美がインカムのマイクに向かって怒鳴り付けた。
「
『も、申し訳ありません』返信してきたのは
「まさか、全滅したっていうの!?たった1輌相手に!?」
「麻美。それくらいにしときなさい」花蓮が宥める。専門チームが全滅し、ホリ車の攻撃で1輌やられたというのに全く動揺していない。
「もう!だから言ったでしょ!?役に立たないって!!」
「いいえ。彼女たちは十分役に立ったわ。ホリ車の攻撃を遅らせた事で、こっちの戦力も状況も有利・・・このまま前進して、敵を殲滅するのよ」
それを聞いた麻美は、何故あんなチームを急遽編成したのか理解出来た。
対ホリ車の専門チームと言っておきながら、最初からホリ車を撃破出来るとは思っていなかったのだ。
その目的はホリ車の遠距離狙撃を出来るだけ遅らせるためで、ホリ車の撃破は二の次だったと言うことだ。
ヤークト・ティーガーの主砲なら下から撃ち上げて高台に着弾させることなど容易に出来る。それが4門もあればホリ車は逃げることしか出来ない。
ホリ車の迎撃に回って止めなかったのは、その時点で既に勝負が付いたも同然の状態だったからだ。
敵の攻勢が少しずつ弱くなっている。このまま押せば、敵の陣営は総崩れ。後はフラッグ車を撃破し、こちらの勝利で幕切れ。ホリ車が正確に狙撃しようとこの流れを止めることは出来ないはずだ。
『隊長!!
『我々に紛れて同行していたやつがいました!!ErsatzM10です!!』
パンターから火の手が上がっている。敵の隊列の中から、全速で走るErsatzM10の姿があった。
敵は唐突な襲撃に敵は混乱しているようで、陣営が崩れ始めていた。
鬼嶽は敵を撹乱するために敵のパンター群に紛れ、攻撃のチャンスを伺っていたのだ。
見た目は違えど中身は同じパンター。エンジンも同じなので紛れてもそう簡単には気付けなかっただろう。
単独行動中に偶然発見し、紛れていけば敵の本隊と合流出来ると踏んだのだ。
『おい加藤!ボケーっとしてねぇで、次の指示出せよ!!』鬼嶽に怒鳴られ、ハッと我に帰る。そうだ。今ここで言うべき言葉は・・・
「全車、反撃開始!!」
その言葉を聞いて、各車の車長も同じ言葉を放つ。操縦手がアクセルペダルを全開で踏み込み、一斉に加速していく。
水田はその通信を聞いてニッと口角を上げた。
「神原!パーシングを集中的に狙え!後の戦車は前線にいる本隊に任せる!敵の数が半分を切ったら本隊と合流する!」
「敵が反撃してきました!接近戦に持ち込まれます!!」
花蓮の横で砲手が焦っている。接近されれば反撃しづらくなり、敵の攻撃が貫通されやすくなる。後ろを取られたら一貫の終わりだ。
「落ち着きなさい。私たちには、まだ
花蓮が不適な笑みを浮かべる。それを聞いた麻美も思わず笑みが溢れた。
そうだ。まだアレがある。こう言った時のために残していた最終兵器が・・・
「パーシング撃破。残り7輌です」神原が照準器を見ながら言った。
残るはティーガーⅡ。T29。T30。スーパー・パーシング。パンター2輌。パーシング3輌だ。
「移動する。織田。180°旋回」指示を受けてホリ車が旋回を開始する。
「待ってください・・・何か別の戦車が見えます。灰色の塗装で、大口径の主砲を持っているように見えます」
神原の報告を受けて、水田も双眼鏡を手に取った。
ここから見るだけでもかなり大型であることが伺える。
車体前面は傾斜装甲。車体の8割程を占めている角ばった砲塔。車体側面に付けらているスカート。味方を睨んでいる主砲。ここからでは良く見えないが、100㎜以上はあるように思えた。
「・・・秋川。本隊に通信。『別の重戦車が迫っている。警戒せよ』とな」
「重戦車?どんなやつですか?」
「ドイツ特有の足周りで、角ばった砲塔を載せている。車体前面は傾斜装甲。主砲の口径は多分100㎜以上ありそうだ。主砲の先に独特なマズルブレーキを付けていて、スカートを付けているな」
「・・・待ってください。まさか!?」水田からの特徴を聞いて、何故か慌て始めた。
「まだ何とも言えないんですが、もしかしたらドイツの試作超重戦車かもしれないです!」
延岡校の陣営は少しずつ押し返していた。
本隊は森林エリアの入り口まで進み、敵に対して接近戦を仕掛けようと試みている。
加藤は位置を変えず偵察を続行し、本隊に敵の位置と状況を知らせてた。敵の攻勢が少しずつ衰え始めていた。
「このままならいけるかも」
「油断しないで。そういう時に限ってロクなことが・・・待って、あれ何?」
原田が何かを見つけたらしい。少し動揺しているようだ。加藤は原田が示す方向に双眼鏡を向けた。
同時に轟音が轟き、森林エリアで爆発が起きた!爆発したと思われる場所には土埃が舞い上がっていた。
「な、何今の!?みんな大丈夫!?応答して!!」
『・・・こちら盛田。マズいことになった!井深のVK45.02がやられた!その後ろにいたT25E1も履帯を切られて動けない!!』
その一部始終を見ていた水田は何が起こったのか分からず、爆発した箇所を見ている事しか出来なかった。
先程見つけた戦車に視線を向ける。砲口から煙が出ていた。あの戦車が発砲したらしい。
「秋川・・・さっき『試作超重戦車』かもしれないと言ったな。もしかしたらそうかもしれないぞ・・・」