転校生とバンド少女たち   作:なぁくどはる

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どうも、なぁくどはるです。お気に入りの件数が増えて、もうそろそろ50に届きそうです。本当に皆様、ありがとうございます。精一杯頑張っていきますので、ぜひお付き合いいただければ、と思います。
初回の爆死が怖くてドリフェス引けてません・・・

追記:タイトル修正いたしました。本当に申し訳ございませんでした。


松原花音の苦悩

松原さんに声をかけ、中庭にやってきた俺たちは3人で弁当を広げていた。彼女たちはキチンとビニールシートを用意しており、制服が汚れないように気遣っていた。もちろん俺は、そもそも中庭で食べるなんてこと想定していなかったので、そんなもの持ってきていない。彼女たち2人のビニールシートを合わせても、3人がギリギリ座れるかどうかという大きさだったので、上着を脱いでそれをシート代わりにしようと思ったのだが、

 

「何をしているの?そんなことしたら、制服が汚れてしまうじゃない。こっちにいらっしゃい」

少し咎めるような視線をした白鷺さんに、促される。

 

「え・・・いやでも、その大きさだと3人座るのは結構ギリギリじゃない?」

「大丈夫だよ。少し詰めて座れば・・・・・・ほら」

微笑をたたえながら、少し移動して自身の隣のポンポン、と叩く松原さん。そういう問題じゃないような気がするんだけどなぁ・・・まあ、彼女たちが気にしないならいいか。

 

「じゃ、じゃあ失礼して・・・」

・・・やばい、やばいよこれ。近い、けっこう近い。松原さんと白鷺さんの整った顔が思いのほか、側にあった。肩とか超当たりそうなんだけど。てか、白鷺さんは芸能人だし当然かもしれないけど、松原さんも可愛すぎない?これ俺、刺されたりしないよね?・・・・・・大丈夫だよね?そんな不安をよそに、

 

「ほら、大丈夫だったでしょ?」

「あ、ああ、うん」

そう微笑む松原さん。しかし、俺はそれどころではなかった。ぶっちゃけドキドキして心臓発作起こしそう。いや、もう起きてるかも。だって尋常じゃないぐらい、ドックンドックンいってるし。

 

そんな俺の心境を見透かしているのか、白鷺さんは少しからかい孕んだ視線を俺に向けて、

 

「ふふふ、それじゃあ、早速いただきましょうか・・・いただきます」

「・・・?」

白鷺さんの視線の意味に気づかなかったのだろう松原さんは不思議がっていたが、いただきます、と言ってからお昼に手をつけ始めた。

 

「・・・・・・いただきます」

ちくしょう!恥ずかしすぎて今すぐここから走り去りたい!・・・というか、白鷺さん。あなたも結構近いですからね。距離的には松原さんと変わんないよ?・・・あ、あれは踏み込ませないようにしてるから大丈夫、って顔だ。さすが芸能人、リスク管理はお手のものってことか。そんなどうでもいいことを考えていると、松原さんから声がかかる。

 

「神崎くんってお弁当なんだね」

「ん?ああ、料理は割と好きなんだ。朝飯とか、晩飯とかも自分で作ることが多いし」

「ご両親はお忙しい方なの?」

松原さんとの会話が気になったのか、白鷺さんが問いかけてくる。

 

「いや、俺一人暮らしなんだ。だから、基本的には自炊ってわけ。・・・父さんも母さんも俺が上京したいって言ったら、じゃあ一緒に、って言ってくれたんだけど、理由もすごく個人的なものだったし遠慮したんだ。だから、2人は今も俺の地元に住んでる」

「・・・そうだったんだ。・・・その、個人的な理由って?」

「地元で友達とバンドみたいなの組んで楽しくやってたんだけど、もっと高いレベルに身を浸してみたい、って思ってさ。正直に伝えたら、友達も快く送り出してくれたよ」

「そんなに音楽が好きなの?」

白鷺さんの問いに、もちろん、と答える。

 

「父さんと母さんが元々音楽関係の仕事に就いてたってこともあるのかもしれないけど、昔から音楽を聴いたり、楽器に触るのが好きだったんだ」

「へぇ・・・ちなみに、どんな楽器を弾けるの?」

「んー、ギターとかベース、ピアノにドラム。基本なんでもできるよ」

少し考えてから白鷺さんに答えると、松原さんの肩がビクッ、と震えて俯いてしまう。・・・なにか気に触ることを言ってしまったんだろうか?そう思い、白鷺さんに目をやるが彼女も沈痛な面持ちだった。どこか、雰囲気が暗くなってしまった中で、松原さんに名を呼ばれる。

 

「・・・ねぇ、神崎くん」

「・・・ん?」

「・・・神崎くんは、今までに音楽を、楽器を弾くのをやめようと思ったことはある?」

「もちろんあるよ。」

「え・・・?」

間髪いれずに答えた俺に松原さんは、戸惑いながら顔をあげる。

 

「・・・正直毎日思ってるよ。なにか表現したいものがあってもそれを形にできない自分にがっかりして自分には向いてないんじゃないか、の繰り返しさ」

「な、ならどうして、音楽を続けてるの?」

「────────でも楽しいんだよ、音楽って。確かに挫折の数の方が多いと思う。でも、俺の中では挫折の100回より成功の1回の方がデカいんだ」

「──────────!」

俺の言葉に目を見開く松原さんに、なおも語りかける。

 

「成功の1回が挫折なんかより何百倍も気持ちいい。その1回があるから俺は音楽を、楽器を弾き続けられるんだ」

「・・・なるほど。たった1回報われればそれでいい、ということね」

「うん。音楽に限った話じゃないけど、そういうもんじゃない?」

「・・・そうね、確かにその通りだと思うわ」

瞳を閉じ、何か思うところがあるのか微笑みながら頷く白鷺さん。

 

「・・・そっか、そうだよね。・・・まだ諦めるのは早いのかも」

「まあ、これは俺の個人的な意見だから・・・」

「ううん、すごく参考になったよ。・・・ありがとう、かんざ───────り、良哉くん」

礼を述べたあと、頬を少し染めながら、名前で俺を呼ぶ松原さんに少し驚きつつも、笑みを浮かべて、返す。

 

「・・・!・・・参考になったならよかったよ、花音」

 

そんな俺たちを、白鷺さんが子どもを見守る母親のような優しい顔で見つめていた。

 




こんな終わりになるなんて・・・。書いてたら、なんかこんなんになっちゃいました。花音ちゃんの悩みに触れる予定なんかなかったんですけどね・・・。ほんと行き当たりばったりなんだよなぁ・・・。あいかわらず作者は後先考えず書いてますけど、それでも宜しければお付き合いください。
では、次回までしばしお待ちを。
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