どうも、なぁくどはるです。
新しくお気に入りしてくださった方、ありがとうございます。おそらく、今日明日の投稿はこれが最後になります。明後日からは夕方以降に投稿を再開しようと思ってるので、誠に勝手ながらそれまでお待ちいただければ幸いです。
「へぇ〜、良哉さんって転校生なんですか」
「うん。ついこないだ実家を出て、こっちに引っ越してしてきたんだ」
「どうして、こっちに来ようと思ったんですか?」
「元々、向こうで音楽をやってたんだけど、もっともっと上のレベルの音楽ってやつを体験してみたくてさ。それがこっちだったら叶うと思って」
あの後、なんやかんやで彼女たちのテーブルへと引っ張られてしまい、4人がけのテーブルに1つイスを用意してもらう形になった。俺を挟んで右側に上原さん、左側には宇田川さんだ。向かい側に美竹さんと青葉さんが座っている。ちなみに青葉さんの名前なのだが、羽沢さんにフォローされる形で教えてもらった。青葉さんは、モカちゃんでいいのに〜、と言っていたが、正直勘弁してほしい。紗夜やリサ、花音の例があるとはいえ、気恥ずかしいものは気恥ずしいのだ。それより・・・
「・・・・・・」
(すっげぇ見られてるよ・・・)
そう、美竹さんがこちらをじーっと見る、いや睨んでくるのだ。上原さんや宇田川さんと話している最中もずっと。
(なんだなんだ、なんなんだ!?普通に怖いよ!)
「あ、あの、美竹さん?俺なにかしたかな?」
「・・・・・・別に」
(ほんと怖いんだけど!!)
「あ〜、神崎先輩。蘭はこういう感じだけど、ホントは仲間思いのいいヤツなんで許してあげてください」
「ちょ、巴!?」
「蘭も。そんな顔してたら、神崎先輩が困るだろ?」
「・・・・・・ふん」
「ははは・・・」
これ絶対嫌われてるやつだ、と内心確信する。
「それより、りょーくんも音楽するんだね〜。どんなの弾くの〜?」
りょ、りょーくんってなんだ・・・、と思いながら青葉さんに返事をする。
「え、あ、ギターとかベースとか、かな。それだけじゃなくて楽器は基本的になんでも弾けるよ」
「す、すごい・・・」
そんなことないよ、上原さん。ただがむしゃらにやってたらいつの間にかそうなってただけだし・・・。
「あ、そうだ!じゃあ、神崎先輩!」
「ん?」
「私たちの演奏見てくれませんか!」
「・・・え?」
上原さんの急な提案に思わず、処理落ちしてしまった。
さて、俺は今どこにいるでしょう!・・・答えは『CiRCLE』でした!・・・なんでだよ。今度は湊さんとは違う女の子といるところをまりなさんに目撃され、キャー!と言われてしまう。しかも、今回は5人だし・・・それにしては、リアクション前回と変わってないんですけど・・・。もうなるようになれ、と思うことにした。彼女たちは5人で『Afterglow』というバンドを組んでおり、お昼から『CiRCLE』で練習する予定を立てていたらしく、こうして連れてこられた次第だ。だからギターケース持ってたのか・・・。それにしても、上原さん強引すぎない?美竹さんは嫌がってたけど、上原さんや他のメンバー全員が相手だとさすがに太刀打ちできなかったようだ。
「じゃあ、見ててくださいね!先輩!」
「・・・・・・了解」
悲しいことに、ここまでで俺の意思が反映された事象は存在しない。俺の力じゃダメだったよ・・・、と自身の非力さを嘆きながら、彼女たちの演奏を静かに待つ。美竹さんもギターを持ってマイクの前に立つとスイッチが入るのか、その表情は真剣そのものだった。
「・・・じゃあ、いくよみんな」
美竹さんがメンバーに振り返り、全員が頷いたのを確認したらギターをかき鳴らし始めた。
(やっべぇ・・・これが美竹さんたちの『音』)
美竹さんのアツく激しい歌声、青葉さんのあのマイペースさからは想像もつかないギターテク、上原さんの楽しげなリズムキープ、宇田川さんのもっとあげようぜ!と言わんばかりの主張の効いたドラム、羽沢さんの控えめだが決して埋もれない音色、すべてが噛み合って彼女たちの『音楽』だった。演奏が終わり、はっ、と我に返る。
「・・・・・・ど、どうでした?私たちの演奏・・・」
肩で息をしながら、上原さんが薄青色の瞳を揺らして問いかけてくる。
「・・・すっっっごかった。今も鳥肌止まんない」
そう答えると、上原さんは飛び上がりながら喜び、それを宥めつつも嬉しそうな顔の宇田川さんと羽沢さん。そして、当然でしょ〜とドヤ顔の青葉さんと満足そうな顔の美竹さん。
「いや〜、ホントすっごいよかったよ。心からアツくなれた感じがしたよ」
「えへへ〜、ありがとうございますっ!・・・じゃあ、次は先輩の番ですよ?」
「・・・ほへ?」
あの時に同じように、ついマヌケな声を出してしまった。
上原さんからとんでもないキラーパスを受け取ったあと、まりなさんにお願いしてまたギターをお借りした。特別に従業員割引でいいからね!と笑顔で言われてしまった。・・・ちゃっかりしてるなぁ。
「よし・・・じゃあ、いくよ?」
ギターを肩にかけ、彼女たちに確認する。全員から首肯という返事が返ってきたのを確認してから、ギターを鳴らし始めた。
「す、すっごい・・・」
誰が呟いたか、分からないがそんな声が漏れるように発せられる。目の前の少年は額に大量の汗を浮かべ、ギターをかき鳴らしていた。そんな彼の姿から5人の少女は目を離せなかった。そして、最後の一音を奏なで終えた少年が、ふう、と息をつく。
「えーと、これで終わりなんだけど・・・ど、どうだったかな?」
紗夜や湊さんにはお褒めの言葉をいただいたが、彼女たちもそうだとは限らない。他人に演奏を聴かせる機会は何回目になっても不安だらけだ。
「・・・す」
「す?」
「すっごかったです!!!なんかこう・・・心の中がグワーッ、って感じで!!!」
「あ、ありがとう」
グワーッ、ってなんなんだ・・・と考えていると上原さん以外の子たちからも感想をいただく。
「いや〜!ひまりの言う通り、ホントすごかったですよ!思わずアタシもアツくなりました!」
「わ、わたしも!思わず聴きいっちゃいました!」
「むむむ〜、りょーくんもなかなかやりますな〜。ほらほら〜、蘭も感想は〜?」
青葉さんがニヤニヤしながら、美竹さんに感想を促している。
(イイ性格してるよ・・・)
心の中で苦笑いして、行方を見守っていると、急に話題をふられた美竹さんが驚いていた。
「え!?あ、あたしは別に・・・」
「なんにもなかったってことはないでしょ〜?」
青葉さんはまだニヤニヤしている。
「う・・・・・・その、先輩の音楽、すごく・・・よかった、です」
目を逸らして顔も赤いが、美竹さんも感想を述べてくれる。なんで敬語なんだ?
「・・・ありがとう、みんな。そう言ってもらえると音楽人としては嬉しい限りだよ」
微笑みながら、そう言うと宇田川さんと羽沢さんは笑顔で応えてくれるが、2人ほど顔を赤くして俯いてしまう。青葉さんも笑顔で応えてくれたが、顔は少し紅潮している。
「い、今のは不意打ちだよ〜・・・」
「あ、あたしは別に・・・」
「──────────?」
上原さんと美竹さんがなにか呟いたような気がしたが、気のせいだろうか。そんな俯いて何事かを呟いていた上原さんだが、ばっ、と顔あげると、またまたとんでもない提案をしてくる。
「・・・せ、先輩!お願いがあります!」
ぶっちゃけ、とんでもなく嫌な予感がするがどうしようもない。
「な、なんでしょう・・・?」
ごくり、と息を飲む。
「私たち『Afterglow』の音楽が良くなるように手伝ってくれませんか!?」
ほーら、きたよ。えげつないキラーパス。
やっぱり、どうしても登場人数が増えると会話が多くなっちゃいます。力不足で申し訳ないです。
それでは、次回までしばしお待ちを。