転校生とバンド少女たち   作:なぁくどはる

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どうも、なぁくどはるです。

いつも読んでいただいている方、新しく読んでいただいた方もありがとうございます。

Roseliaの新カバー楽曲強い・・・!申し訳ないと思いつつ、協力ライブで毎回選んじゃいます。笑

それでは、続きをどうぞ。


蘭の想い

 

 

つぐみが倒れた、と知らせを受けた翌日。『CiRCLE』でいつものように掃除をしていると、蘭が1人で来店してくるのを目撃した。『Afterglow』のみんなは先に入ってたはずだけど・・・と思ったが、そんな日もあるか、と気にしないことにして蘭に声をかけた。

 

「おーい、蘭」

「・・・なに?」

うん・・・?なんか機嫌悪い?いや、この顔は・・・

 

「・・・なにかあったのか?」

「──────────っ!」

アタリか。蘭は感情を露わにすることがあまりないが、だからこそ変化を見抜きやすい。

 

「なにかあったとしてなに?アンタには関係ないでしょ・・・!」

「・・・確かに、俺には関係ないことかもしれない」

そう言うと、蘭がハッ、とした顔をした後、バツが悪そうに目を逸らす。

 

「でも、なにか辛そうな顔してる蘭を見過ごせない」

「──────────!」

「『Afterglow』のみんなには話せないことでも、関係ない俺にだから話せることもあるかもしれないだろ?」

蘭が話しやすいように、なるべく優しく語りかける。そして、その想いが伝わったのか、迷うような素振りを見せたあと、蘭は口を開いてくれた。

 

「・・・・・・実はあたしの家、華道の家元なんだ」

それは知らなかった。確かに技術指導や世間話だけで、そういう個人のプライベートにまで踏み込んだことなかったな。

 

「それで、高校に入ったら本格的に華道の指導を始める、って言われてたんだけど・・・」

「でも今・・・」

「・・・うん。みんなとバンドやってる。・・・実は『Afterglow』はみんながあたしを気遣って作ってくれたバンドなんだ」

どういうことだ?と不思議に思っていると、蘭が続きを話してくれる。

 

「あれはあたしたちが、『Afterglow』を結成する前のことだった。中学2年の時、あたし一人だけみんなとは別のクラスになったことがあったんだ」

5人の内の1人だけってものすごい確率だな・・・

 

「その時のあたしは、みんな以外と関わりがなくても、5人でいられればそれでいいって思ってた。だから、1人だけ別のクラスになったことに耐えきれなくなって、その・・・・・・屋上に出て、授業をサボるようになった」

「・・・・・・」

「・・・みんなはそんなあたしを気にかけてくれた。でも、やっぱり違うクラスってこともあってどうにもできないこともあった。そんなある日のことだった、つぐみが、バンドやろう!って言ってくれたのは」

つぐみが言い出しっぺだったのか・・・。確かに、ここぞという時の行動力はすごそうだもんなぁ。

 

「そして、夕方のキレイな夕焼けに見守られて『Afterglow』は誕生したんだ」

「・・・そんなことがあったのか」

蘭は軽く首肯しながら、

 

「・・・だからあたしは、バンドを続けたかった。みんながあたしのために作ってくれた『Afterglow』をあたしが壊したくなかった。・・・みんなで夕焼けを見るための居場所を・・・壊したくなかった」

・・・友達想いの蘭らしいな。

 

「でも、父さんはいい加減バンドなんかやめろ、華道の家元の後継者であることを自覚しろ、って・・・」

(蘭のお父さんが言うことも間違っていない。きっと蘭のことを想っての言葉だろう。・・・まったく、どっちも言葉足らずの似た者親子だなぁ)

「蘭はいままでにバンドをやめたくない理由をお父さんに伝えたことはある?」

「え・・・」

しばし考え込む蘭だが、思い当たるところはなかったのか首を横に振る。

 

「・・・・・・ない、かも」

「だったら、まずはそこからだな。自分がどうしたいのか、どうしてそう思ったのか。それを伝えて初めてスタートラインに立てる」

「スタート・・・ラインに・・・」

「そう、それでたとえ喧嘩になったっていい。その時は思いっきり自分、蘭自身をお父さんにぶつけてあげればいい」

「・・・あたし自身をぶつける・・・」

「自分の意志を貫き通したいなら、まずは言葉にしないとな」

そう告げると、蘭は口角を少しあげ、軽く笑顔を作った。

 

「・・・そうだね、アンタの言う通りかも。・・・・・・その、ありがと」

「──────────!よし、ほんじゃ行ってこい」

「うん・・・!」

返事をすると、蘭はスタジオに向かっていった。

 

「・・・頑張れ、蘭」

 

 


 

 

蘭を見送ったあと、一部始終を見られていたのかまりなさんにからかわれてしまった。・・・ほんとにあの人は。分かっててそういうことをやるんだからタチが悪い。まあ、あれがまりなさんなりの気遣いなのだろう、と思うことにした。そんなこともありつつ、掃除は終わったので受付の仕事をしていると、つぐみを除く『Afterglow』のみんながスタジオから出てくる。

 

(みんなにも相談したんだな・・・)

蘭の顔はさっきまでとは見違えていた。彼女たちの雰囲気も以前とは違ったものに感じた。

 

「あの、良哉さん!」

「ん?」

「その、つぐの時のこととか蘭のことも、本当にありがとうございました!」

ひまりを筆頭に、巴やモカからも礼を言われる。モカはしゃーしたー、と適当な礼だったが。

「ちょ、ひまり!?巴にモカまで・・・!」

「え、いや、それはいいんだけど・・・」

隣の蘭がめっちゃ顔赤くしてるぞ。大丈夫なのか・・・。ひまりも今度は手を差し伸べられたみたいだな。随分晴れた顔をしている。

 

「これから、みんなでつぐのところにお見舞いにいこうと思います」

「ん、いってらっしゃい」

俺は笑顔でみんなを見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから、さらに幾日か過ぎ・・・。彼女たちは誰一人欠けることなく、5人で『ガルジャム』のステージに立っていた。あの後も蘭はモカやひまり、巴に無事退院できたつぐみに背中を押され、お父さんに自身の想いをぶつけることができたようだ。その結果、一度お父さんに演奏を聴いてもらい、その如何で今後の振る舞いを決めるようだ。つまり、ここで蘭たちが蘭のお父さんに認めてもらえるだけの演奏ができなければ、『Afterglow』はここまで、ということになる。そんな蘭たちにとっては、一世一代と言うべきステージであるにも関わらず、客席から彼女たちを見守る俺は微塵も心配をしていなかった。自身の想いをぶつけ合って、ともに支え合い、乗り越えた彼女たちならきっと大丈夫だ。

 

(っと、そろそろ演奏が始まるな)

そうこうしているうちに、各メンバーの紹介が始まる。正直、期待感が抑えきれそうにない。彼女たちの演奏は聴いてきたが、『ライブ』となると観客の声援も相まって、また別次元の演奏になるのだ。

 

そうして始まった『Afterglow』の演奏は今まで聴いてきた中で、ぶっちぎりでアツかった。

 




あの病院でのシーンはカット、という形になりました。皆さんはどうか分かりませんが、私はシリアスがあまり好きではないんです。しかし、ああいう出来事があるからこそ絆は深まっていくとも思うので、難しいところです・・・。今後もバンドストーリーを絡めていくこともあると思いますが、こんな感じでカット、という形になるかもしれません。しっかり書いてほしい、って方は本当に自己都合ですが申し訳ありません。

それでは、次回までしばしお待ちを。
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