転校生とバンド少女たち   作:なぁくどはる

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どうも、なぁくどはるです。
お気に入りも気づかぬ間に、160を突破しました。読者の皆様への感謝を忘れず、一歩一歩進んでいきますので、お付き合いいただけると幸いです。


Roselia編
頂点を目指す2人


 

 

『Pastel*Palettes』のセカンドライブが成功、という形に終わってメンバーたちの絆はより深まったようだ。千聖もよくメンバーの話をしてくれる。しかし、一難去ってまた一難というべきか、俺には気になることがひとつあった。近頃、紗夜の様子がおかしいのだ。毎朝校門で挨拶してくれるのだが、『Pastel*Palettes』のファーストライブの時ぐらいからひどく焦っているような感じがあるように思える。訊いても、なんでもありません、と返されてしまえば俺にはどうすることもできない。

 

(ホント、自分の非力さがイヤになるよ・・・)

あの時、力になるって約束したのに、紗夜が辛い顔をしている時に何もしてあげられない自分に失望する。

 

俺の心境とは裏腹に、空は晴れ渡っていて少し憂鬱になった。

 

 


 

 

本日も授業を終えた俺は『CiRCLE』でいそいそと働いていた。紗夜のことは気がかりだが、今の俺には何もできない。今はただ見守るしか・・・と思っていると、いつものように湊さんが来店する。

 

「いらっしゃい、湊さん」

「良哉・・・。ようやく、私のバンドに──────────」

「入らないって。湊さんも強情だね」

「・・・あなたも頑固だわ」

見ての通り、彼女は会う度に俺をバンドに加入させようとしてくる。まあ、俺もその度に断っているのだが。・・・どこまでも平行線だった。少しの間、お互い見合わせてから軽く息をつく。

 

「今日も練習?」

「いいえ、今日はライブに出演しにきたの。あなた以外の人材を探す目的もあるわ」

確かに今日は『CiRCLE』でいくつかのグループでライブが行われる。湊さんも出演するのか・・・。詳細を見てないから分からないが、そうそう湊さんのお眼鏡に適う人物がいるとは思えないのだが・・・。それだけメンバー集めに切羽詰まっている、ということだろうか。

 

(まったく・・・なら、近くにあんな素晴らしいメンバー候補がいるのに)

そんなことを思いながら、一人の少女を思い浮かべる。いつも湊さんのことを思っている彼女ならば、湊さんとバンドを組むにふさわしいと思うのだが・・・どうやら、彼女の方もまだ湊さんとうまくはいっていないみたいだ。

 

「そっか、誰か見つかるといいね」

「ええ、そうしたらあとは──────────」

「・・・だから入らないって」

 

本当に、諦めの悪い人だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、ライブが始まった。舞台袖で作業をしている間、各バンドの演奏を観たり聴いたりしていたが、どのバンドもアマチュアの域をでないバンドばかりだった。そんな中、登場したあるバンドのギタリストに目を見張る。

 

(紗夜・・・!?バンド、組んでたのか・・・)

驚愕していると、彼女たちの演奏が始まる。

 

(あいかわらず、すごい正確性だ。・・・けど、周りが紗夜に追いついてない。なんて独りよがりな『音』なんだ・・・)

紗夜の音色は聴いていて、独りぼっちで寄る辺がない印象を受ける。初めて紗夜の音を聴いた時は、澄んだ音だと感じたが、今はそれが微塵も感じられなかった。まるで何かに追い詰められてギターを弾いているような、そんな『音』だと思った。そして、彼女たちの演奏が終了する。

 

(アウトロで少し外した部分はあったけど、正直聴く人が聴いたら、レベルのミスだと思う。けどストイックな紗夜は、納得してないんだろうなぁ・・・)

 

そして、ようやく湊さんの番が訪れる。彼女の歌は初めて聴くから少し楽しみだ。・・・それにしても、客席の方が少し騒がしいな。まあ、いいか。

 

「──────────♪」

(──────────これ、やばいな。正直、言葉にならない)

湊さんの歌声は予想をはるかに超えたものだった。思わず、作業の手が止まってしまうぐらい聴き入ってしまった。

 

(でも・・・なんなんだ、この違和感。確かにすごいと思う。けど、なんでこんなに悲しくなるんだろう・・・)

観客の盛り上がりとは別に、俺の心は謎の悲しみに包まれていた。やっぱりリサから聞いた湊さんのお父さんの話が関係しているんだろうか、と考えていると、湊さんの出番が終わる。

 

(・・・とりあえず、やるべきことをやろう)

この後に登場するバンドの案内を行うため、控え室に向かった。

 

 


 

 

ようやくライブが終わった。ライブがある日は準備だったり本番中にトラブルが起きないように気を配ったり、後片付けがあるから大変だ。せっせと、後片付けをしている俺はステージ脇で話し合っている湊さんと紗夜を見つけた。ライブお疲れ様、と声をかけようと思い、近づいていくと、2人の会話が耳に入る。

 

「・・・あなたの音楽は今まで聴いた中で、1、2を争うほど素晴らしかったです。あなたとなら、頂点を目指せる。・・・あなたのお誘い、ぜひ受けさせていただきます」

(へぇ、あの湊さんの歌声と同じくらいすごい人がいたのか)

「ええ、ありがとう。・・・それより、今日の私よりすごい人を紗夜は知っているのね。一体どんな人なのかしら?」

(それは俺もちょっと気になるかも。あれだけの演奏ができる紗夜が認めるバンドマンか・・・)

「・・・彼は私と同じギタリストなのですが、私などでは正直足元にも及ばない、そんな演奏をする人物です。彼の音は心の底まで染み渡るような、そんな音でした」

(彼、ってことは男の人なのか・・・1回会ってみたいかも)

「彼、ということは男性なのね。紗夜がそこまで言う人物・・・。私も一度会ってみたいわ」

「会えると思いますよ。このライブハウスを利用していれば」

その紗夜の発言に、首を傾げる。いや、俺、ここで働き始めてから男の人あんま見たことないんだけど・・・。背中に嫌な汗が流れたのを感じた。

 

「私はこのライブハウスをよく利用させてもらっているのだけれど、男性の使用客はあまり見かけないのだけれど・・・」

「ええ、彼はお客様ではなくここの店員ですから」

(それ、もしかしなくても俺じゃん!!俺以外男性店員いないし!!ていうか、まりなさんともう一人女性の店員さんと俺で3人しかいないし・・・)

嫌な予感は寸分違わず、的中してしまった。

 

「それって、もしかして・・・」

「あなたもご存知なのですか?神崎良哉くん、というのですけど・・・」

見つかると厄介なことになると判断した俺は、声をかけるのを諦め、退散を試みたのだが・・・

 

「ちょっと待ちなさい」

「少し待ってください」

2人の美少女に両肩を掴まれるという、嬉しいシチュエーションのはずなのだが、どうにも素直に喜べなかった。

 

気づかれてたのか・・・。ていうか、肩痛いんですけど。君たち、わりと力強くない?

 




とうとうRoselia回が始まりました。パスパレ回とAfterglow回の密度の差を見て、違いすぎんだろ・・・と感じた今日この頃です。Roselia回もいつものように出たとこ勝負でどうなるか分からないので、温かく見守っていただけると幸いです。

ちなみに、誕生日紗夜さんは出ませんでした。☆2紗夜さんはいっぱい出てくれたのになぁ・・・
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