どうも、なぁくどはるです。
お気に入り170突破、ありがとうございます。これからも、全力全開で頑張ります。
【重要】
私事で恐縮なのですが、4月からは少々忙しくなるので毎日更新はできなさそうです。楽しみにしてくださっている方、本当に申し訳ございません。しかし、更新自体をやめるつもりは一切ないので、お付き合いいただける方は今後ともよろしくお願いします。
あの後、紗夜からも勧誘を受けたが、なんとか振り切ることに成功した。正直、あの2人のストイックさにはついていける気がしない。しかし紗夜もタダでは転ばなかった。ちゃっかり、紗夜の技術向上のための指導を約束させられた。ぶっちゃけ、これ以上は何ともしようがないのだが、最近の紗夜の様子も気になっていたので、これを機に探りをいれていければ、と考えている。
「・・・やっぱり、日菜ちゃんのことが関係しているんだろうか」
自室のベッドの上で、考える。紗夜の様子がおかしくなったのは、ちょうどパスパレのお披露目ライブの頃からだ。多くの人の目に触れる機会があったあのライブは、おそらく紗夜の目にもとまっているだろう。となると、日菜ちゃんのことも知っていてもおかしくはない。紗夜の話から推測するに、2人の関係はお世辞にもいいとは思えない。そして、紗夜の日菜ちゃんに対する、コンプレックスとも言うべき過去。それらの先に今日のライブの演奏なのだとしたら、辻褄は・・・おそらく合う。
「・・・でも、これは本当にデリケートな問題だろう。ヘタに深入りしすぎると、大変なことになる・・・」
とりあえずは様子見だな、と考えをまとめたところで意識を手放した。
「おはよう、紗夜」
「おはようございます、良哉くん」
校門くぐったところでいつものように挨拶をするが、やはりこころなしか、どこか暗い感じがする。
「紗夜の演奏をみるって約束、いつにしようか」
「・・・そうですね。今週末などはいかがでしょう?」
紗夜が、口元に手を当てながら訊いてくる。それに俺は、予定を確認しながら答える。
「・・・・・・うん、日曜なら空いてるよ」
「では、今週の日曜日、ということで。その、よろしくお願いします」
「うん、了解」
花音や千聖に、彩も交えてお昼を食べたり、『CiRCLE』でバイトしたり、『Afterglow』の演奏をみたりしているうちにあっという間に紗夜との約束である日曜日はやってきた。
「あれ?早いね、紗夜」
「・・・・・・そうですか?」
時間を確認してみても、約束の15分前だ。俺も早くに着くように家を出たのだが、それでも紗夜の方が早いとは・・・真面目な彼女らしい。それにしては、そわそわしているような・・・まあ、いいか。
「とりあえず、待たせちゃったみたいでごめん」
「い、いえ!私もたのし──────────は、早く家を出すぎてしまっただけなので・・・!」
何かを言いかけて、はっ!としてしまう紗夜。
「──────────?とにかく、入ろっか」
「は、はい・・・」
俺がそう促すと、下を向き返事をする紗夜。
(なんだったんだろうか?)
紗夜の心境が読み取れず、首を傾げるしかなかった俺であった。
今日も入店早々、まりなさんにからかわれた。紗夜が俺の彼女云々だとか言っていたが、そんなわけなかろうに。紗夜みたいな美人に俺なんか相手にもされないだろう。いいとこ、異性の中では仲がいいほうの友達程度だ。紗夜だって顔を真っ赤にしながら、ち、違います!!・・・・・・まだ今は、って言ってたし。最後の方は小さすぎて聞き取れなかったけど。でも、あれだけはっきり否定されたら、あの後に何を言われていても望みはないだろう。だけど、そうだとしたらまりなさんが紗夜を優しい顔で見ていたのはなんだったんだろう。まあ、いいか。これ以上は心が壊れそうだ。
「よし、じゃあ準備ができたら早速一曲お願いしてもいい?」
「はい。・・・・・・では、いきます」
中縹色のギターを構えて、こちらを見ながら答える紗夜。
(やっぱり、紗夜の音からは『焦り』みたいなものを感じる。それが邪魔してるのか、以前は確かにあった『紗夜らしさ』が今は感じられない・・・)
「どう・・・でしたか?」
それを知ってか知らずかは分からないが、不安そうな瞳で訊いてくる紗夜。
「はっきり・・・言った方がいい?」
「──────────!・・・はい、よろしくお願いします」
「じゃあ、はっきり言わせてもらうよ。今の紗夜の音からは以前のような『紗夜らしさ』が感じられなかった。まるで、何かに追い詰められながらギターを弾いているような、そんな『焦り』みたいなものを感じた」
紗夜はその美しい若緑色の美しい双眸を見開く。
「・・・!・・・・・・前回もそうだったので、今回もこうなる可能性は考慮していなかったわけではありませんが、本当にあなたには隠し事ができませんね。私の音を聴いただけでそこまで見抜いてしまうなんて・・・」
「原因は、日菜ちゃん?」
「──────────!・・・そこまで、バレてしまっているんですね」
「こればっかりは推測でしかなかったけどね。でも、この前の紗夜の話と紗夜の様子がおかしくなった時期をふまえると、それぐらいしか思い当たるものがなかった」
目を閉じながら短く息をつき、口を開く紗夜。
「・・・ふふっ、あの時と同じですね」
「・・・確かに」
俺も少し笑顔で、紗夜に答える。
「・・・では、今度も聞いていただいて構いませんか?」
「もちろん。そう約束したし、紗夜の話なら喜んで聞くよ」
「・・・・・・やっぱりあなたでよかった」
「ん?」
「・・・いえ、なんでもないです。・・・・・・ありがとうございます、良哉くん」
彼女のお礼は聞き逃してしまいそうなほどか細い声だったが、俺の耳にしっかりと届いていたので、笑顔で頷いた。
今回は少し短めになってしまいました。申し訳ございません。紗夜さん早いうちから上方修正の予感・・・。
『Afterglow』の1stアルバムすっげぇよくて鬼リピ中です。