転校生とバンド少女たち   作:なぁくどはる

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どうも、なぁくどはるです。

前回のお知らせ見てくださった方、ありがとうございます。無理しないで大丈夫、と励ましのお言葉をいただいたのは本当に嬉しかったです。まだご覧になっていない方は前回の前書きに記載させていただいているので、そちらをご覧ください。

あ、お気に入り180ありがとうございます。


力になるだけじゃなく

 

 

「・・・このあいだ、たまたま見てしまったんです。あの記事を・・・」

「・・・あの記事、ってパスパレの、だよね?」

「はい・・・そこには水色のギターを肩にかけている妹が載っていました・・・」

あのライブでは実際に弾いていなかったが、また自分のあとを追いかけてきた日菜ちゃんに焦ってしまったのだろう。

 

「あのライブでは演奏はされなかったようですが、2回目のライブは実際に演奏していた。そして、その評判は・・・」

なるほど・・・。あのセカンドライブが紗夜をさらに追い詰めてしまったのか。なんで、あの時後回しにしたんだ・・・!この可能性を考慮しなかったわけじゃないのに・・・!

 

「・・・良哉くん?」

俺の雰囲気が変わってしまったのを察知したのだろう。紗夜が声をかけてくる。

 

「あ、ああ。ごめん、なんでもないよ」

(つぐみの時に誓ったはずなのに・・・)

つぐみの時に引き続き、今回も失敗してしまった俺自身に腹が立つ。すると、紗夜が厳しい顔でこちらを見やる。

 

「嘘ですね」

「え、いや、ホントに・・・」

「良哉くんは嘘が下手すぎます。・・・何があったんですか?私も良哉くんの力になりたいんです」

紗夜の真剣な眼差しに何も言えなくなってしまう。やがて諦めるように一息つく。

 

「・・・さっき紗夜が俺には隠し事できないって言ってくれたけど、俺は紗夜に隠し事できる気がしないよ」

「ふふっ・・・・・・他ならぬあなたのことですから」

微笑んだ後に何か言っていたような気がして聞き返すが、なんでもありません、と返されてしまう。

 

「・・・実は日菜ちゃんが『Pastel*Palettes』のギターだって分かった時に紗夜のことは気になってたんだ」

「──────────!」

「でも、俺は目の前のことを優先した。紗夜なら大丈夫って自分に言い訳しながら・・・」

「・・・・・・」

「だから、ごめん!紗夜だって辛いはずだったのに・・・俺は紗夜が辛い時に助けになるって約束したのに・・・」

勢いよく頭を下げ、紗夜に謝罪する。正直、ビンタの1発2発は覚悟していた。しかし紗夜は、優しい顔で、いいんです、と言ってくれた。

 

「良哉くんはそれでいいんです。目の前のことしか見えなくて、後先は考えていないかもしれません」

全くもってその通りなんだけど、手厳しいなぁ、と思いながら続きを待つ。

 

「でも、そんなあなたに私は救われました」

「──────────」

「あなたが私に寄り添ってくれたから、私は今もこうしてギターを弾いています。日菜との関係は・・・良好とは言い難いですが、あなたの言葉がなければ向き合おうとも思わなかったと思います。あなたがあなたでいてくれたから、私は今ここにいられる、ということは覚えておいてください」

ホントカッコよすぎるよ、紗夜は。そんな紗夜に俺なんか必要なのかと思うが、この紗夜の言葉は裏切りたくない。

 

「・・・ありがとう、紗夜」

微笑で応えてくれる紗夜は、美しかった。

 

 


 

 

「紗夜の悩みを聞くはずだったのに、ごめん・・・」

「いいえ、私は嬉しかったですよ。あなたの力になれて」

そう言ってくれる紗夜に、ありがとう、と伝えてから本題に戻るべく話をふる。

 

「・・・今度は俺が紗夜の力になる番、だ」

「・・・・・・」

「紗夜は日菜ちゃんの演奏を聴いた?」

「いえ、その、評判程度しか・・・。でも、素晴らしいものだった、と聞き及んでいます」

「確かに、日菜ちゃんのギターはすごかったと思う。俺も会場にいたからね。しかも聞いた話じゃ、ギター始めてまだ日が浅いって話だったし。」

「──────────!やはり、私なんかより・・・」

沈む紗夜に、だけど、と付け加える。

 

「バンドとして考えたら、彼女の演奏はひどいものだった」

「え・・・?」

「他のメンバーと足並みを揃える感じもないし、なにより自己主張が激しい。結成してから日が浅いっていうのはあるかもしれないけど、それにしても、って感じだった」

「・・・・・・」

静かに聞いてくれる紗夜に、続ける。

 

「それに、紗夜の演奏技術が劣っているだなんて俺は微塵も思わない。あの時聴いた『紗夜の音』は本当に聴いていて心が安らいだ」

「──────────!」

「これはお世辞なんかじゃないよ。心の底から俺はそう思ってる。紗夜が自分の音をどんなふうに思っているかは分からないし、どちらが良かったかなんて優劣はつけられないけど、『紗夜の音』が『日菜ちゃんの音』に負けているだなんて俺は思わない。・・・まあ、紗夜のファンだから贔屓目が入ってるかもしれないけどね」

最後にそう付け足して笑うと、紗夜も目尻に涙を浮かべながら、笑顔を返してくれる。

 

「・・・ふふ、今までファンなんて気にしたこともないけれど、あなたというファンがいるだけでとても心強いわ。私はひとりじゃないって思える。・・・これからも私のファンでいてくれる?」

不安げな瞳でこちらを見る紗夜に、まっすぐ瞳を合わせながら答える。

 

「もちろん。紗夜が嫌がっても俺は紗夜のファンをやめないよ。・・・それぐらい俺はあの時聴いた『紗夜の音』が好きなんだ」

「・・・・・・本当にどこまでもいけそうだわ、あなたがいれば」

「ん?」

「なんでもないわ」

笑顔を浮かべながら、そう答える紗夜に首を傾げるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとう、良哉くん。約束、守ってくれて・・・」

「ううん。俺も紗夜には助けられたし、おあいこだよ」

あの後、残った時間で技術指導を行い、お支払いしてから退店した。現在は店の前で、紗夜と話していた。すると、湊さんとツインテールの少女、それにリサが歩いてくるのを見かけた。

 

「あら?良哉じゃない」

「こんにちは、湊さん」

「ようやく私の──────────」

「だから、入んないって」

「諦めないわよ・・・」

「そろそろ諦めてください・・・」

そんな俺たちが気になったであろうリサが声をあげて、訊いてくる。

 

「え、え!?友希那と良哉知り合いなの!?」

「あれ?言ってなかったっけ?」

「聞いてないよ!いつ!?いつからなの!?」

「リサ、少し落ち着きなさい」

「友希那さんだけじゃなくて、リサ姉までこの人のこと知ってるの!?それに紗夜さんと一緒にいたし・・・」

「湊さん、お隣にいらっしゃるのはお知り合いの方ですか?」

(おいおい、どう収集つけるんだ、これ・・・)

 

いまだに落ち着かない4人を見て、ため息をつく俺だった。

 




すんげえ、ドタバタして終わりました。ようやく、先に進みそうです。次回は運命のセッションですね。

それでは、次回までしばしお待ちを。
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