どうも、なぁくどはるです。
昨日は更新できずに申し訳ありませんでした。更新できなかった間に、評価をつけてくださった方、☆9という高評価ありがとうございます。お気に入りも、気づけば200間近・・・。皆様、いつも私の作品を読んでいただきありがとうございます。
あの後、お店の前でいつまでも騒いでいるわけにもいかず俺たち5人は『CiRCLE』へと足を踏み入れた。
(なんで俺まで・・・)
湊さんから聞いた話だと、今から湊さんがバンドを組むと聞きつけた『宇田川あこ』ちゃんのオーディションを行うらしい。彼女はお姉さんの影響でドラムを叩いており、その兼ね合いもあり以前から湊さんのファンだったらしい。その湊さんがバンドを結成したとの情報を聞きつけて、ここ最近、湊さんのバンドに入れてもらえるように押しかけていた、とのこと。リサは見学なんだそうだ。・・・以上が現在までの経緯だそうだが、俺が強制連行された理由がまるで分からない。ちなみに、お互い自己紹介はすでに済ませている。
「あの、湊さん?」
「なにかしら?」
「なんで、俺まで・・・同じバンドの紗夜はともかく」
紗夜の方へ視線を移しながら、湊さんに問う。
「あなたの意見も聞きたいと思って。・・・嫌なら、私のバンドに──────────」
「ありがたくお受け致します」
即答だった。
(なんて卑怯な手を・・・!それにしても・・・)
湊さんへ恨みを込めた視線を送りながら、どこか様子がおかしいリサに声をかける。ちなみに、湊さんは意にも介していない。
「・・・どうしたんだ、リサ?」
「えっ!?い、いや、なんでもないケド・・・」
「・・・まあ、リサがそう言うならいいけど。・・・・・・やりたいことはやりたいって言っていいんだぞ」
「──────────!・・・うん、アリガト、良哉」
リサは自分を抑えがちなところがあるように思うから少し心配だ。そんなこんなしているうちに、宇田川さんの審査に入るようだ。しかし・・・
「ベースでもいれば、より正確な判断が可能なのですが・・・」
「そうね・・・・・・良哉、やってくれないかしら?あなた、楽器はなんでも弾けるって言ってたわよね」
湊さんが一瞬リサの方に目を向けてから、俺に尋ねてくる。確かに、同じリズム隊であるベースがいればより正確な判断が可能だろう。しかし俺はその申し出を断った。
「いや、俺なんかよりもずっとふさわしい人がいるでしょ?」
俺は、リサに視線を送りながら湊さんに返す。
「・・・・・・」
「ええっ!?ア、アタシ!?・・・でも、ベースなんてもうずっと」
「・・・どうなんですか、湊さん?」
「・・・譜面さえあれば、今でも弾けると思うわ」
「ゆ、友希那!?」
「ほら、覚悟を決めなよ、リサ。・・・・・・これが本当に最後のチャンスかもしれないんだぞ」
「あこもリサ姉がベースやってくれるなら嬉しいな〜!」
宇田川さんにまでそう言われてようやく覚悟が決まったのか、顔をあげて湊さんたちに告げるリサ。
「・・・アタシでよければ、やりたい」
「・・・そう。なら、リサにお願いするわ。・・・紗夜も構わないかしら?」
「ええ、湊さんに良哉くんも賛成なら私に異存はありません」
「じゃあ、ベース借りてくるから待ってて!」
そう言って、ほっとした様子を見せたリサは急ぎ足でスタジオを後にする。
「あの、良哉くん・・・」
「ん?」
「その、今井さんとは以前から知り合いのようだったけれど、彼女とはどこで知り合ったのかしら?」
なにやら、紗夜の様子がおかしい。いや、ぶっちゃけ怖い。
「ス、スーパーで買い物してる時にたまたま、ね」
「へぇ・・・それにしては、彼女がベーシストということを知っていたりと浅からぬ関係のように見えたけれど?」
「あ、いや、その、ちょっと悩みとか聞いてるうちに・・・その、あんな感じに・・・」
「ゆ、友希那さん・・・紗夜さんが怖いです・・・」
「・・・今は関わらないようにしましょう」
リサ、早く戻ってきてー!!このままじゃ俺殺されちゃう!!!
「ごめん!お待たせ!」
あれから数分経ってリサがベースを抱えてスタジオに入ってくる。
「・・・む、今はこれくらいにしておきましょう」
(た、助かった・・・正直これ以上はやばかった・・・)
「ん?なんかあったの?」
スタジオ内の妙な空気感を察知したのであろうリサが問いかけてくる。
「・・・いえ、なんでもないわ。それより、早く始めましょう」
「──────────?」
「よ、よぉーし!あこ頑張ります!!」
動揺を隠しきれていない宇田川さんに内心恨めしく思いながら、緊張の面持ちでベースを肩にかけているリサに声をかける。
「・・・緊張してる?」
「・・・うん。友希那と久しぶりにセッションするっていうのもそうだけど、これがラストチャンスかもって思うと・・・」
そう言って震える手を、押さえるリサ。
「・・・リサの今までを聞いただけだし、それで気軽に大丈夫とは言えない。けど・・・」
「けど・・・?」
リサの揺れる藍鼠色の瞳を見据えながら告げる。
「今までリサが積み上げてきたものが無駄だとは思えない。これまでは積み上げてきたものが小さすぎて実感がなかったかもしれない。でも、今日それが形になってくれる。・・・俺はそう、信じてる」
「──────────!・・・アリガト、良哉。・・・・・・良哉が信じてくれるだけでなんでもできそうだよ」
「ん?」
「んーん!じゃ、行ってくるね☆」
そうやって笑顔で湊さんたちの元へ向かうリサの背中越しに、頑張れ、と声をかけた。
「こ、これは・・・」
「一体・・・」
(ハ、ハハ・・・とんでもないな、これ)
4人でのセッションを聴き終えた俺は、そんなチンケな感想しか出てこなかった。聴いていた俺ですら、そんななのだ。歌ったり、演奏していた彼女たちはよりすごい衝撃を受けているだろう。
「す、すっごかった!!あこ、練習の時よりも上手に叩けたような気がしました!!」
「あこもそう思ったの!?実はアタシもベース触るのなんかホント久々だったんだケド、指が勝手に動いたような感じがして・・・」
「湊さんも感じましたか?」
「ええ、不思議な感覚だったわ。まるで、このメンバーじゃなければダメだと言われているかのような・・・」
湊さんの話が本当なら、このメンバーがこの時に集まったのは紛れもない『キセキ』だな・・・。
「・・・その、結局あこは不合格なんですか?」
「──────────!あ、ああ、ごめんなさい。・・・合格よ。紗夜はどうかしら?」
「私も異存ありません。あとはベースとキーボードでもいればまとまるのですが・・・」
紗夜は一瞬リサに目をやるが、すぐに湊さんに視線を戻す。
「そうね・・・」
(頑張れ、リサ)
これだけやっても決心がつかないのだろう。視線をさまよわせるリサに心の中でエールを送る。だが、ようやく心が決まったのか湊さんたちを真っ直ぐ見据え、口を開く。
「ゆ、友希那!その、えっと、アタシじゃ・・・ダメかな?友希那のバンドのベーシスト・・・アタシ、今度こそ友希那の力になりたいんだ」
「──────────!リサ・・・。気持ちは嬉しいけれど、私たちは遊びでバンドを組んでいるわけではないのよ?それは──────────」
「・・・うん、分かってる。でもやりたいんだ、ベース。友希那の傍で、もう一回」
はっきりと自身の気持ちを湊さんに伝えたリサ。果たして、湊さんはどうでるのか・・・
「・・・紗夜とあこはどう思う?」
「あこはリサ姉がベースやってくれるなら、嬉しいです!」
「・・・私も今の感覚は素晴らしかったと思いますので、賛成です。まだまだ足りないものはあるでしょうが、これから補っていけば問題ないと思います」
「2人とも・・・!」
「そうね、私も紗夜の言う通りだと思うわ。・・・リサの『音』、久しぶりに聴いたけれど変わっていなくてどこか懐かしい気分になったわ。・・・これからもよろしく、リサ」
「ゆ、友希那〜!!」
泣きながら湊さんに抱きつくリサ。口では嫌がっている湊さんだがリサを跳ね除けたりせず、されるがままになっている。そんな2人をみて喜んでいる宇田川さんと少し暗い顔をしている紗夜。
そんな光景を見て、まだまだ前途多難なバンドだな、と思う俺だった。
ちょい長めになりました。とうとう4人揃いましたね。まださまざまな問題はあるでしょうが・・・。
それでは、次回までしばしお待ちを。