転校生とバンド少女たち   作:なぁくどはる

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どうも、なぁくどはるです。
週末ぐらいしか更新できなさそうです・・・。楽しみにしていただいている方は本当に申し訳ございません。
今回は紗夜さん回になります。どうぞ。


風紀委員の彼女とのある日

 

 

「今回は紗夜より早く来れたな」

休日のある日、俺は紗夜と練習を行うため『CiRCLE』を訪れていた。そのわずか数分後に、ギターケースを背負った紗夜がこちらに歩いてくるのが見えた。

 

「ごめんなさい、少し待たせてしまったかしら・・・」

「いや、大丈夫。というより・・・」

そう、時間を確認するとまだ約束の30分ほど前なのだ。こういうところから、紗夜の真面目さが窺える。・・・若干、早すぎる気もするが。

 

「──────────?」

「・・・いや、なんでもない。とりあえず、行こっか」

不思議そうな紗夜を連れて、『CiRCLE』に入店する。受付にはおなじみ、まりなさんだ。

 

「あれ?今日は紗夜ちゃんと2人?」

「──────────?そうですけど・・・」

「ああ、ごめんね。Roseliaのみんなはどうしたのかなー、って思って」

「そういうことですか。Roselia、今日は個人練習なんです」

今日はリサがバイトの日、白金さんもお家の用事ということで個人練習とあいなったのだ。そこに紗夜が俺を誘ってくれた次第だ。にしても、リサが恨めしそうにこちらを見ていたのはなんだったんだろうか。友希那もチラチラ見てたし。

 

「なるほどねー。・・・じゃあはい、鍵」

「ありがとうございます」

紗夜も俺に続いてまりなさんにお礼を伝え、俺たちはスタジオへと歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「早速、始めるか」

「ええ」

紗夜の準備が確認できたところで、練習開始を促す。すると、ポケットでスマホが震えるのを感じた。

 

(ん?誰かからメッセージか?)

画面を開くと、差出人はリサだった。

 

『やっほー☆今休憩中なんだケド、そっちはどんな感じー?』

(こっちは今から練習始めるところ、っと)

打ち込んだ文章をリサに送信したところで、紗夜から声がかかる。

 

「あの、良哉くん?」

「ああ、ごめんごめん。それじゃあ・・・」

「いえ、それは構わないのだけど・・・その、どなたからの連絡だったの?」

そんなことを訊く紗夜を不思議に思いながら、リサからの連絡だよ、と答える。

 

「・・・なるほど」

(どうしたんだろ?)

何かを考え込む紗夜が気になったが、少しするとスイッチが入ったのか練習モードにはいる。

 

「じゃあ、いくわね。・・・今だけは私を見てて」

「──────────?お、おう?」

そう言って演奏を始める紗夜。

 

(あいかわらず、正確な音だ。そして、心が落ち着くような・・・)

紗夜の演奏を聴いていると、いつも思う。彼女はまだ自分の音を好きではないようだが、俺は彼女の音が好きだ。落ち着いていて、聴いていて安心できるような・・・そんな印象を受ける。そんなことを考えているうちに演奏が終わったようでこちらを見据えながら、どうだったかしら?と訊いてくる紗夜。

 

「・・・よかったよ、本当に」

一時期は心中穏やかではなく音が不安定になっていた時もあったが、現在はそんな影は微塵も見えない。俺はこの音が好きだし、この音を奏でられる紗夜がいち音楽人として好ましく思ってる。・・・ってこれはさすがに身内びいきかな。

 

そんな俺の想いが伝わったのか、紗夜は微笑んでくれた。

 

 


 

 

2時間ほど練習をこなしてから解散になると思ったのだが、紗夜からまだ少し訊きたいことがある、と言われ現在はファミレスに場所を移していた。正直意外だった。紗夜は以前に、こういう場所は好まないと言っていたはずなので、この場所を提案された時は少し驚いてしまった。紗夜は、ゆ、ゆっくり話をするならああいう場所の方が・・・!と顔を赤らめながら言っていたが、そんなに嫌なら別の場所でもよかっただろうに。

 

「・・・とりあえず、ドリンクバーでも頼むか」

店に入ってから、どこか沈んだ紗夜に提案をする。

 

「・・・そうね。私もそうするわ」

紗夜の同意も得られたことで、店員さんを呼びドリンクバーを2人前注文する。

 

「よし、とってくるよ。何がいい?」

「いえ、私が──────────その、以前にも来たことはあるけれど、私まだどんなものがあるのかよく分からなくて・・・だから、一緒にどう・・・かしら?」

「──────────?そういうことなら、一緒に行こっか」

何かを言おうとしていた紗夜だが、飲み込んでから2人で行こう、と提案してきた。恥ずかしそうにしてたのが少し気にかかったが、断る理由もないので、紗夜と2人で飲み物を入れにいくことにした。

 

(どうしようかな・・・・・・にしても・・・)

マシンの前で悩んでいる間、ずっと背後の紗夜から視線を感じていた。まるで何か試されているかのような気分だったが、迷った結果アイスコーヒーを入れて、後ろに下がった。それを見た紗夜が同じアイスコーヒーを入れる。席に戻る途中で、少し気になったので紗夜に問う。

 

「紗夜ってコーヒー好きなの?」

「いえ、ふつ──────────好きですよ、とても」

「──────────?そうなんだ」

なぜあらぬ方向を向いたまま答えるのかよく分からないが、とりあえず紗夜はコーヒーが好きなようだ。またひとつメンバーのことが知れた。

 

「何か食べる?時間、ちょっと微妙だけど・・・」

「そうね・・・」

時刻は15時になろうとしていたので、軽いものでも食べようかな、とメニューを広げながら紗夜に訊く。紗夜は食べるかどうか悩んでいるようだが、ある1品を見ては逸らして、見ては逸らしてを繰り返している。・・・正直、紗夜のイメージには合わないが、好き・・・なのだろうか?

 

「・・・間違ってたら申し訳ないんだけど、紗夜ってフライドポテト好きなの?」

「なっ!?わ、私は別に・・・!」

口では否定しているが、目線はフライドポテトの写真を捉えていた。

 

(確実だと思うけど・・・紗夜は絶対認めないよなぁ)

紗夜は頑固なところがあるし、普段のイメージからこういう食べ物を好んで食すと知られると恥ずかしさもあるのだろう。個人的には、好きなものを食べればいいと思うのだが、紗夜の頑固さは筋金入りだ。・・・よし。

 

「じゃあ、俺はなんか小腹空いたし食べるよ。・・・紗夜はホントにいいの?」

「・・・ええ、構わないわ」

そう言う紗夜の顔はすごく残念そうだった。

 

「すいませーん!」

「はい、ご注文でしょうか?」

「はい、フライドポテトを2人前お願いします」

紗夜がバッ、と顔をあげる。それに微笑みと頷きを返す。

 

「かしこまりました。では、ご注文を繰り返させていただきます。フライドポテトが2人前、でお間違えないでしょうか?」

「はい、それでお願いします」

「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」

そう言い残し、颯爽と去っていく店員さん。その後ろ姿を見送っていると、紗夜から声がかかる。

 

「あの、良哉くん・・・さっきのは・・・」

「ん?俺一人だけ食べるのも申し訳ないと思って。よかったら紗夜も一緒にどうかな、って思ってさ。もちろん、嫌だったら俺が食べるし気にしないで」

「・・・そういうことなら仕方ないわね。せっかく出していただいたお料理を残すわけにもいかないし」

満更でもなさそうな顔でそう言う紗夜を苦笑いしながら見つめながら、注文したものを待つこと数分後。先程と同様の店員さんが、料理を運んできてくれる。

 

「お待たせ致しました。こちら、ご注文のフライドポテトになります。ご注文は以上でしょうか?」

「はい、どうもありがとうございます」

「ありがとうございます」

「それでは、失礼致します」

そう言って一礼して、先程と同じように去っていく店員さん。さあ、食べるかとフライドポテトを見ると、全体の約3分の1ほどスペースができていた。いや、さすがにそんなはずはない、と思いながら紗夜の顔を見ると、口をモグモグさせながら思いっきり顔を逸らしていた。

 

(え、さすがに早すぎない?あの反応からして、嫌いではないと思ってたけど、ここまでなの?紗夜、ポテトめっちゃ好きじゃん)

「・・・あの、紗夜さん?もしかして──────────」

「・・・わたひじゃないわ」

(めっちゃモグモグしてんじゃん!それでその言い訳は無理でしょ!)

犯人は明らかだが、なかなか犯行を自供しない。まあ、いいかと思い、俺もポテトを食べ始めるが、明らかに紗夜の食べるペースがおかしい。俺が1本、2本食べる間に紗夜は5本、6本食べるのだ。これにはたまらず、ツッコミをいれてしまう。

 

「いやいや!早すぎだから!」

「な、なにがかしら?」

「食べるペースだよ!!」

目線をさまよわせながら、とぼける紗夜。

 

(ここまでやってまだ認めないか・・・)

どうやったら白状するか考えていると、いつの間にか机の上からポテトがキレイさっぱりなくなっており、お皿だけになっていた。

 

「いや、絶対おかしいよ!!!紗夜、ポテト大好きでしょ!!!」

「・・・良哉くん。ここはお店なのだから、少し静かに」

そう言われれば、と思い周りのお客さんに謝罪した後、今度は小声で紗夜に言う。

 

「これは絶対おかしいから!俺、まだ数本しかポテト食べてないんだけど!」

「・・・・・・気のせいじゃないかしら」

「だったら、こっちを見てもう1回言って」

「・・・・・・・・・・・・」

「ほら、無理じゃん!・・・紗夜、ホントはポテト好きなんでしょ?」

くっ!と表情を歪めながら、ようやく認めた。

 

「・・・・・・このことは、誰にも言わないでくださいね」

(いや、俺が言わなくてもそのうちリサとか白金さんあたりが気づくと思うんだけど・・・)

まあ、そんなことを言ってしまったらまずいことになりそうな気がしたので心の内に秘めておいたが。

 

「まあ、紗夜の新しい一面が知れてよかったよ。俺は普段のキッチリしてる紗夜も好きだけど、こういう肩の力が抜けてる紗夜も好きだよ」

「す、好き・・・!?」

「──────────?」

「あの、その・・・!あ、ありがとうございます・・・」

顔を赤らめている理由がよく分からないが、とりあえず返事をしておいた。

 

 


 

 

「今日は本当にありがとう。おかげでまた少し成長できた気がするわ」

「ううん。紗夜はまだまだ伸びしろがあるんだから、これからさらに成長できるよ。だから・・・」

「──────────こんなところで満足はしないように、でしょ?」

「──────────!・・・うん、頑張ってね。1ファンとして応援してるよ」

「ええ、ありがとう。・・・・・・あなたがいればきっともっと」

「ん?」

「なんでもないわ。・・・・・・また、付き合ってくれる?」

「もちろん。紗夜の助けになれるならなんだってするよ」

俺の想いが少しでも届けばいいな、と紗夜の瞳を真っ直ぐに見つめて伝える。

 

それが伝わったのかは分からないが、彼女の笑顔は夕陽に照らされていつもより数段綺麗だと思った。

 




ぶへぇぇぇ・・・。こういう日常回は書いてて楽しいですね。シリアスはやはりどうも書いてて辛くなってしまいます・・・。

それでは、次回までしばしお待ちを。
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