ペース配分を見失ったことにより、頭を抱えています。このままじゃハロハピだけで20話ぐらいいっちゃうよ・・・。どうすれば・・・。
「バンドで世界を笑顔にする・・・!」
「私たちの音楽で世界を・・・笑顔に・・・!」
「「・・・・・・でも、どうやって?」」
(もういいんだよ!その流れは!!)
「あのさあ・・・それもう1時間ぐらいやってるけど大丈夫?」
黒髪少女の言う通りだ。先程からこの流れをもう1時間ほど繰り返している。最初は成り行きを見守っていたのだが、開始10分を過ぎたあたりから雲行きが怪しくなり始めた。案の定、この体たらくだ。もう何回心の中でツッコんだか分からない。・・・もう帰りたい。
「でも・・・難しいです・・・どうすれば・・・」
(花音は真面目だなぁ・・・)
あの3人に付き合って頭を悩ませている花音を見て心を和ませる。もはや俺には考える気など毛頭なかった。だって、あの人たちすぐふざけるんだもん。
「ただ歌って演奏すればいいのかしら?なんだか少し違う気がするのよね」
「まあ、バンドで世界を笑顔にしようと思うならまずは───────」
何も発言しないというのも、申し訳ない気もしたので俺の考えを述べようと思ったのだが、まさかの横槍が入る。
「はぐみ分かった!はぐみがギターを弾きながら変な顔するのはどう?」
(えー、俺のセリフ奪っといてそれなの・・・?)
「はぐみさんの楽器はギターじゃなくて、ベースだよっ」
(花音も真面目にツッコまなくていいのに・・・)
本人はいたって真面目なのだろうが、俺にはふざけてるようにしか見えない。しかし、花音はそんな北沢さんにも真摯に対応している。そんな花音の優しさに胸をうたれてしまった。・・・ホントいい子だよなぁ。
「そうだったっけ?・・・そんなことより、『さん』なんていらないよ?」
「え、えっと・・・じゃあ・・・はぐみ、ちゃん?」
仲を深めて?いる2人を横目に見ていると、瀬田さんが発言する。
「とてもいい考えだけれど・・・すまない。私にはできない・・・。私は何をしても美しくなってしまう運命なんだ・・・!」
この人はマジでふざけてるようにしか見えない。北沢さんはまだ真面目に考えている節があるが、芝居がかった口調もあいまって瀬田さんは真面目に考える気がないように思えてしまう。・・・出会った時は少し変わってるが、普通の人だと思ったんだけどなぁ。
「そうなの?薫の運命って大変なのね!」
(ん?)
なにやら、また雲行きが怪しくなってきた。
「──────────!?こころ・・・君は今、私の運命を理解してくれたのか・・・!この世にそんな人がいるとは思わなかった・・・。君は私と同じ魂をもった・・・運命の相手だ!!」
「あら、ありがとう!」
(噛み合ってそうで噛み合ってないよな・・・この会話・・・)
2人の絶妙なすれ違い度にもはや感心すら覚える。
「でも、理由もなしにここにいる人なんていないと思うわよ?こうしてあたしたちがここにいる時点で、なにか理由ができていると思わない?」
(俺は特にないんだけど・・・)
黒髪少女も微妙そうな顔をしている。気持ちはおそらくひとつだろう。
「「「理由・・・・・・」」」
「私、いつも人に言われるままだったけど・・・こんな私でも、理由・・・あるんでしょうか・・・?」
沈んだ表情の花音に声をかける。
「きっとあるよ。今すぐには見つからないかもしれないけど、ここにいるうちに見つかるさ。もし見つからなくても、作ればいいだけの話だしな」
「良哉くん・・・うん、そうだよね」
花音が笑顔を見せてくれる。彼女の気持ちが少しでも軽くなったなら、よかった。
「あの・・・」
「ん?」
ふいに、黒髪少女が声をかけてくる。
「おふたりって、付き合ってたりするんですか?」
「は!?」「ふぇ!?」
2人して顔を真っ赤にしてしまう。花音のためにもハッキリNOと言わなければ・・・!
「えっと・・・その・・・」
「ち、違う違う!花音と俺は付き合ってないよ。花音みたいな可愛い子に俺なんか相手にもされないだろうし・・・」
言ってて悲しくなってくるが、花音のためだと思いグッとこらえる。
「・・・・・・」
「え、えーっと、か、花音さん・・・?」
しかし、その花音は頬を膨らませてこっちを睨むように見つめてくる。・・・普段のイメージもあってまったく怖くはないが。むしろ、すごく可愛い。
「・・・良哉くんのバカっ」
「えぇ・・・」
「・・・なるほど。よく分かりました」
「何が!?」
黒髪少女にやれやれ、といった感じで何かを察せられてしまう。
(一体なんなんだ・・・)
2人して何かを話しているが、内容は聞こえない。が、花音が慌てたり顔を赤くしたりと忙しないのは分かった。・・・何話してるんだろう。超気になるんだけど・・・。
「はぐみは・・・ずっと『戦って』きたから・・・強い、とか負けない、以外にも理由があるなんて初めて知ったよ・・・」
「当たり前じゃない!だってあなたたちはこのバンドのメンバーなんだから!」
「「──────────!」」
(ホント、人を導くことに関してはピカイチだな。無意識でやってるんだろうけど・・・まあ、そこがこころのすごいところだな)
こころのカリスマ性にはいつも驚かされる。しかし、黒髪少女は瞳を閉じて小さく首を横に振っていた。・・・まあ、何事も例外はあるよね。
「シェイクスピアも言っている。天の力でなくてはと思うことも、人がやってのけることもある、と・・・。そうだ!喜劇をやるというのは──────────」
「いやだから、バンドの話なんだって!!」
ホント、いい加減にしてくれ・・・。思わずため息をついてしまう。
「う〜ん・・・出会った人に笑顔になりましょう!って声をかけるのはどうかしら?」
(なにそれ?新手の詐欺文句なの?)
「いや、あなたその作戦校内でことごとく失敗してたからね?」
「まあ、そうなるだろうな・・・」
「そうなの?結構です、あはは、ってみんな笑ってくれたわよ?」
(それは純粋すぎるよこころ・・・)
瞳から何かあついものが流れそうになる。
「それ失敗してるんだけど、自覚なかったんだ!?」
いいツッコミだなぁ・・・なんて余計なことを考えてしまう。
「でも、せっかくバンドを作ったんだから何か違うことがしたいわっ。そうじゃなきゃ、楽しくないもの!相手に楽しくなってもらうには、まずあたしたちが楽しくないといけないもの!」
「そうだよね!はぐみ、こころちゃんの考え方すっごく好き!こころんって呼んでもいい?」
(知らん間にあだ名で呼ぶまでになってる・・・)
気づかぬ間に、こころとはぐみの仲が深まっていたことに驚愕する。
「もちろん!・・・・・・それにしてもなかなかでてこないわね。あたしたちの『楽しいこと』」
それはみんなが脱線させるからじゃ・・・と思わなくもなかったが、なんとなく言わない方がいい気がしたので黙っておいた。
「う〜ん・・・バンドって難しい・・・」
(え、これってバンド云々の問題なの?)
「いや、そもそもあなたたちまだ楽器すら持ってないじゃん」
そう、それだよ。いいこと言った。ミッシェルの中の人。
「「「──────────楽器!!そうだ、演奏!!!」」」
「やっと分かってくれましたか・・・」
いや、ホントにね。苦節1時間ちょい・・・。長かったな、ここまで・・・。バンドについて話し合い、ようやく楽器を持つところまできた。
「そうだわ!じゃあ、さっそくみんなに・・・」
「こころさま。皆様がお使いになられる楽器を全てご用意させていただきましたので、こちらにお運びいたします」
「えっ、準備早くない!?」
怖い、怖いよ!まだ、言ってから何分もたってないのに・・・。ホント、なんなんだ、あの黒い服の人たち・・・。黒髪少女も驚きの表情を隠せずにいた。
「よしっ。楽器も揃ったことだし、早速バンドをやってみるわよ!きっと何か起こるわ!みーーーんな、笑顔になる!!」
「え、ちょ──────────」
「考える前に感じろ、だね!うんっ、超同感!それじゃ、何か掛け声がいるねっ!」
(はい!?掛け声ってなに!?普通に始めたらダメなの!?)
腰掛けていた北沢さんが、両手を広げて渾身の掛け声を披露する。
「思いついた!『ハッピー!ラッキー!スマイル!イエーイ!』これでどうかなっ?」
(なにそれーー!!もう意味分かんない・・・)
誰かに助けてほしかった。
「すごくいいわっ!!じゃあ、掛け声と同時にスタートするわよ!ハッピー!ラッキー!スマイル!イエーイ!」
「えっ、ちょ、こころちゃん、あの・・・!」
いきなりのスタートに戸惑いの声をあげる花音。当然だろう。何をするかも分からないのに、いきなり始められても困る。
「「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」」
「・・・・・・こころ。今気づいたんだけれど、私たちはどんな音楽を奏でればいいのかな?」
(遅い・・・遅いよ、瀬田さん・・・もっと早く気づいてほしかったよ・・・)
「本当に何も決まってなかったんだ!?」
「いやまあ、当たり前なんだけどね」
驚く黒髪少女に、ツッコむ。
「ご、ごめんなさい・・・私も、言おうとしたんだけど・・・」
「いや、花音は謝らなくていいと思うよ」
「え、でも・・・」
律儀に謝罪する花音だが、気にする必要はまったくないだろう。・・・こころが突っ走っただけだし。
「あれ、かーちゃんからだ・・・。──────────!」
「──────────?」
北沢さんの様子が少し気にかかったが、黒髪少女の叫び声で意識がそちらに向く。
「もうダメだ!!この3人はバカだ!3バカだ!!花音さん!それにあなたも!これ以上振り回される前に帰りましょう!!」
「でも、私・・・」
黒髪少女に一緒にこの場を離れよう、とお誘いを受けるが何か思うところがあるのか悩んでいる様子の花音。
「花音さん・・・?ああ、もう・・・あたしも帰るに帰れないじゃん・・・」
(面倒見がいいと言うか、優しい子なんだな・・・)
「あなたはいいんですか?」
ふいに、黒髪少女に問われる。
「俺は花音が残るなら残るよ。俺がいることで力になれるなら、手伝ってあげたいし」
「・・・・・・はあ。・・・・・・・・・ホントにこれで付き合ってないの?」
「え、何か言った?」
「いえ、なんにも」
気になって問い返すが、なんでもないと返されてしまう。
(なんだったんだ、一体・・・?)
1人首を傾げるしかなかった。
このわちゃわちゃ感がまさに『ハロハピ』って感じですよね。薫さんは、演技なのかそうじゃないのか分かんないんですよね・・・。狙ってやってそうな感じもするんですけど、どうなんでしょうか。
それでは、次回までしばしお待ちを。