転校生とバンド少女たち   作:なぁくどはる

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どうも、なぁくどはるです。
少し余裕ができたので、書いてみました。といっても、ここ1,2日だけです・・・。しかも、短めっていう・・・。ほんとにごめんなさい。
お気に入り、290ありがとうございます。


『ハロー、ハッピーワールド!』

 

 

「そう!ミッシェルはこのバンドのDJよ!DJがいるバンドってかっこいいと思わないっ?」

うーん・・・。分かるような分からないような・・・。

 

「美咲ちゃん、ど、どうかな?」

「まぁ、CD流すだけなら・・・」

奥沢さん的には概ね賛成のようだ。てか、DJって何するのか俺知らないんだけど。こころも知らないだろうなぁ・・・。

 

「それじゃ、決まりね!さっそくスタジオにいきましょう!」

 

にしても奥沢さん、こころのバンド抜けたがってたけどいいのだろうか?

 

 


 

 

ミッシェルがDJを行うことが決定したあの日から1週間が経過した。こころたちは今も練習に励んでいる。

 

(今日もまりなさんにからわれた・・・。まあ確かに、毎回いろんな女の子と一緒にいるヤバいヤツだもんな。・・・・・・傍から見たらヤバすぎない、俺)

練習を始めようとしているこころたちを見ながら、自分がかなりヤバいヤツなんじゃないかと思い始めていた。

 

「それじゃあ、みんなっ。練習の成果を見せてちょうだい!ミッシェル、音楽をお願い!」

この1週間、各自楽器の練習をしていたようだ。俺も時間があるときは練習に付き合ったりしていたが、大体はバイトや他のバンドの練習に付き合ったりしていたので、ぶっちゃけ楽しみだ。

 

「えっと・・・こう?」

ミッシェルが音楽をかけ始める。まだ慣れていなくてたどたどしい手つきではあったが、初心者なのだ。無理もないだろう。

 

「・・・なんだ、結構──────────」

ミッシェルの言う通り大きな乱れもなく、まだ結成したばかりのバンドだということを考慮してもだいぶいいんじゃないだろうか。はぐみも相当練習を重ねてきたのか、初めてベースを弾いたときとは比べ物にならない。薫は・・・あいかわらずわけの分からないことを言っているが、ギターの腕前も以前とは見違えるほどだ。まあ、まだまだ改善の余地はあるのだが。

 

「信じられないけど、わりとバンドしてる・・・」

ミッシェルの気持ちも分からないでもない。なにせ始まりが始まりだったのだから。花音とこころと俺の駅前での演奏だったり、薫やはぐみとの出会い。そして、メンバーの楽器経験の少なさ。不安要素はたくさんあったが、今ではおぼろげながらも1つの形を成している。・・・ホント、すごいことだよなぁ。

 

(花音も上手に叩けてるんだから、もうちょっと楽しそうにすればいいのに)

上手に叩けてはいるのだが、少し肩に力が入りすぎている印象を受ける。

 

「やっほーーー!みんな、盛り上がってるかしらっ!」

(・・・・・・俺は何も見てない。こころが平気でバク転してるところなんて見てない。なんでみんなこの光景を前に普通に演奏してるんだよ・・・)

メンバー全員、こころのバク転を目の当たりにしても平然と演奏を続けている。花音は演奏に必死でそちらを気にしている余裕がないのかもしれないが。目の前の光景に呆気にとられていると、演奏が終了する。

 

「とってもよかったわ!これでライブも完璧ねっ!」

さっきのバク転は、ライブに含まれるんだろうか・・・。後でこころに訊いてみよう。

 

「すごいよ!このバンド、最強っ!」

「音楽とはなんと素晴らしいのか・・・!」

「って、まだ1曲しかできるようになってないからね」

(1曲だけなのかよ!!)

さっきのこころの言葉を加味し、あのパフォーマンスができるなら問題はないだろう、と思ったのだが、なんとまだ1曲しかできないらしい。・・・ライブが不安だ。

 

「1曲できたってことは、何曲でもできるってことよ!」

(─────!ホント、こころのポジティブさには驚かされるよ・・・)

「・・・ホント、スーパーポジティブ。まあでも、それなりによかったかもね」

「確かに。これだけできれば十分だと思う」

「ほ、ほんとっ?良哉くん。わ、私ちゃんと叩けてた?」

不安そうな眼差しで花音が問いかけてくるが、嘘はないようにしっかりと答える。

 

「しっかり叩けてたし、何も不安がることはないと思うよ。花音の優しさがちゃんと音になってた。・・・ドラム続けてよかったな」

「──────────!う、うん・・・!」

今にも泣き出しそうな花音を見て、無意識に頭を撫でてしまう。

 

「えっ」

「あ」

「り、良哉くん・・・今・・・」

「ご、ごめん!俺、無意識で・・・!ホント──────────」

「も、もうちょっと続けて・・・ほしい、な・・・?」

「──────────」

突然の思わぬお願いに固まってしまった。

 

「ダ、ダメ・・・かな・・・?」

「いや、ダメじゃないです」

即答してそれじゃあ、と再び花音の癖のある白縹色の髪を撫でる。

 

「・・・・・・これで付き合ってないって言うんだから、タチが悪いよ」

後ろでミッシェルが何か言っていたような気がしたが、花音の頭を撫でることで精一杯だった俺の耳には当然届くことはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だいぶいい感じだよね!この調子でライブを盛り上げちゃうぞーっ。・・・・・・って、こころん。1つ訊きたいんだけど・・・」

「なにかしら?」

「このバンドの名前ってなーに?決まってないよね?」

今気づくのか・・・。普通、結成した時に考えるもんだと思うんだが、まあこのバンドは多少ズレたとこあるしなぁ・・・。

 

「ふー、あっつ。やっぱ着ぐるみって蒸すわ。あ、ようやくお気づきですか、みなさん。あたしが気を利かせてバンド名は未定で出演依頼してますのでご安心を」

すげーな、奥沢さん。抜かりない。・・・てか、よく名無しのバンド参加させてくれたよな。基本、結成したてのバンドが参加するライブだからそういうケースも多いのか?

 

「バンド名なら決まってるわっ!」

「決まってんのかよ!」

「決まってるなら言ってよ!」

意図せず、2人そろってツッコんでしまう。

 

「『ハロー、ハッピーワールド!』世界を笑顔に!って意味よっ」

「「ハロー・・・」」

「「ハッピーワールド・・・」」

安直な名かもしれないが、すごくいい名前だと思う。本当に世界を笑顔にしてくれそうだ。

 

「誰かを笑顔にするには、まず自分が笑顔になって話しかけないとね!『ハロー!』って!」

「「うん、すごく・・・!」」

「安直かもしれないけどいいんじゃないか?名前から笑顔にするぞっ!って感じが伝わってくるし」

「こころちゃんらしいし、私も好きかな・・・」

「まんますぎる気もするけどね。・・・てか、あっつ。ちょっとあたし、コーヒー飲むからこれ脱ぐわ」

メンバーからは好評のようで、おそらくそれがこころのバンドの名となるのだろう。

 

「「「う、うわあああああ!!!」」」

「え!?なになに!?」

急に大声をあげられて驚いてしまう。

 

「ミ、ミッシェルの頭が女の子になっちゃった!!ミッシェルって頭は女の子で身体はクマだったの!?」

ここまでして気づかないのもどうなんだ・・・。そもそもあれはクマでいいのだろうか・・・。ていうか、奥沢さんの格好・・・なんか・・・いろいろ・・・。いや、不躾に見るのも・・・。

 

「違うわ!中に女の子が入ってる!いつの間にかミッシェルと入れ替わったんだわ!!」

「そんなことより、み、美咲ちゃん・・・!その格好じゃ・・・!」

「え?・・・・・・あ、そうだ、神崎さんいたんだった!!」

「──────────!?」

結構ハッキリと見てしまったとはいえ、自身の心を戒め現在はちゃんと奥沢さんに背を向けている。

 

「神崎さん・・・」

「は、はい・・・なんでしょう・・・?」

「・・・・・・見ました?」

「・・・・・・見てしまいました。ごめんなさい!!」

「はぁ・・・・・・いいですよ、今回は。あたしが不注意だったところもありますし」

「え、いや、パシリでも何でもするよ?なんなら、土下座でも・・・」

「いやいや!そこまでしなくてもいいですから!」

「まあ、土下座は冗談半分だけど、俺にできることがあるならさせてほしい。女の子にとってはやっぱり嫌なことだろうし・・・」

花音には温かい目で見られ、薫にはさすが私が認めたプリンスだ、などと言われている。・・・プリンスなんて柄じゃないだろうに。

 

「──────────!・・・・・・じゃあ、コーヒー奢ってください」

「え・・・そ、そんなんでいいのか?もっと何か別の─────────」

「いいんです、これで。あたし、今コーヒー飲みたかったし」

そうまで言われてしまってはこれ以上食い下がる方が迷惑だろう。

 

「・・・分かった。買ってくるからちょっと待っててくれ」

「はい、お願いします。・・・・・・・・・・・・花音さんが好きになった理由、分かる気がするなぁ」

 

部屋を出ていく背になにか呟きが聞こえたような気がしたが、扉が閉まる音に重なってうまく聞きとれなかった。

 




ホント、頭取っても分からないってもはや純粋とかいうレベルを超えてますよね。やっぱり着ぐるみという概念がないんでしょうか。笑

それでは、次回までしばしお待ちを。
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