転校生とバンド少女たち   作:なぁくどはる

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どうも、なぁくどはるです。
マジで話のペース上げないとヤバいんじゃね?って思い始めたので、頑張っていきます。今のままの方がよかった、ってかたは本当に申し訳ございません・・・。


あなたのワガママなら

 

 

ハロハピ初ライブから数日後。場所はこころの家の一室で、初ライブ後初めての作戦会議を行っていた。はぐみはあいかわらずソフトボールのキャプテンを務めている兼ね合いで少し遅れての参加となっていた。なんにせよとにかくこころは、もっともっとライブをしたいそうな。しかし、結成したてのバンドに期待をかけてくれるライブハウスは少なく出演を断られる方が多いのが実情だ。花音や奥沢さんもこころにそう説明して納得を得ようとしたのだが・・・

 

「分かったわ!」

「ようやく分かってくれましたか・・・」

「お客さんが来てくれるのを待つんじゃなくて、あたしたちが行けばいいのね!」

「うん、そういうことじゃなくてね!?」

こころの奇想天外な発想にはいつも驚かされる。奥沢さんも隣で驚きのあまり絶句していた。

 

「それじゃ、さっそくライブハウス以外でライブできるところを探すわよっ。みんな、手伝ってちょうだい!」

「え、俺のツッコミ無視なの!?」

まさかの全スルーであった。

 

「いや、案外理に適ってるのか・・・?」

奥沢さんの呟きに花音も同意を示していた。確かに、自分たちを売り込むという点においては、こころの考えは間違っていないかもしれない。

 

ちなみに、タイミングを見計らってハロハピから抜ける意志を伝えようとしていた奥沢さんの行動はこころたちに届くことはなかった。・・・うん。心を強くもってくれ、奥沢さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからは公園やら、商店街やら、果てには薫のファン限定イベントなるものも開催された。驚きだったのはどのイベントも大成功で幕を閉じたことだ。薫ファンイベントでは気絶者多数という、まさに地獄絵図だったわけだが・・・。人気すぎだろ、薫。

 

こころはどのライブも成功に終わったことをすごく喜んでいた。確かに、どのライブにも笑顔が溢れていた。しかし、着ぐるみに入っているせいで分かりづらいが奥沢さんの雰囲気が少し沈んでいるような気がする。

 

「・・・ねぇ、神崎さん」

「ん?」

ライブ成功を喜ぶこころたちを尻目に奥沢さんは案の定、少し暗い声音で問いかけてきた。

 

「神崎さんは本当にこころの言うように、世界ってどこもかしこも優しいと思いますか?」

「・・・・・・こころたちには内緒だって約束してくれるか?」

「・・・はい」

口約束だったが、奥沢さんなら言いふらしたりすることもないだろうし、なにより彼女は約束を破るような人間ではない。

 

「・・・俺はかなり低い可能性だって思ってる。そりゃ、こころは知らない仲じゃないし、応援はしてあげたいって思う」

「・・・・・・・・・・・・」

「──────────でも、こころはキレイすぎる」

それを聞いた奥沢さんはミッシェルの頭を少し動かす。その先にはメンバーと喜びを分かちあっているこころがいた。

 

「確かにあのキレイさはこころの美点だけど、あのままじゃ誰かの、何らかの悪意にぶつかってしまったとき耐えきれずに折れてしまうかもしれない」

いまだ奥沢さんの目線が動くことはない。

 

「──────────だから、奥沢さんが支えてあげてほしい」

ミッシェル越しだが、視線が交わったような気がした。

 

「な、なんであたしなんですか・・・?」

「うーん・・・ごめん、ちょっと間違い。奥沢さんが、っていうか奥沢さんや他のメンバーで、だね」

「で、でも・・・あたし、このバンドから・・・」

「・・・本当に?」

奥沢さんは着ぐるみの中だが、息を飲んだのが分かった。

 

「・・・ホントに奥沢さんはこのバンドから抜けたいって思ってる?奥沢さんの心は本当にそう言ってる?」

「あ、あたし・・・は・・・」

「ホントはどこかで楽しい、って思ってたんじゃない?」

「──────────!」

根拠はなかった。けど、彼女はなんだかんだ言いつつも、こころと、こころたちとここまで一緒にいる。その事実が俺にそう思わせた。

 

「・・・ま、これは俺の勘なんだけどさ。でももし、こころたちと一緒にいることが悪くないと思っているなら、これからもこころたちを支えていってあげてほしい。それは他の誰かにできることなのかもしれないけど、俺はその役目は奥沢さんがいい。・・・って、これはワガママすぎるか」

最後に少し笑って彼女に告げる。着ぐるみに入っているためどんな表情をしているか分からないが、笑っているような気がした。

 

「・・・ホントですよ。神崎さん・・・いや、良哉さんって案外ワガママっ子だったりします?」

「──────────!どうなんだろ・・・。案外美咲の言う通り、そうなのかも」

「ふふっ、でも良哉さんのワガママなら聞いてもいっかなって思えちゃうから不思議です」

「それは・・・嬉しいような、申し訳ないような・・・」

 

年下の女の子にそんなことを言われては苦笑いするしかなかった。

 

 


 

 

そんなゲリラライブをこなしているとあっという間に数日が過ぎた。・・・マジで濃かったなぁ、この数日。俺は今、『CiRCLE』で掃き掃除を行っている。こころたちは今日も練習のようだ。はぐみはあいかわらず遅れているようだが・・・。

 

「お、はぐみ」

「・・・うん?りょーやくん・・・」

そんなこと考えながら掃き掃除をしていると、はぐみがやってくるがどうもいつもの元気がないように思える。

 

「・・・どうかしたのか?」

「実は・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はぐみからの話を要約すると、同じソフトボールのチームのあかりちゃんという子が少し前に事故にあってしまい手術をすることになったとのこと。その手術は無事大成功、と相成ったのだが、どうもあかりちゃんが車椅子から立とうとしないらしい。そしてこのまま座わったまま生活を続けてしまうと、今後歩くことができなくなるみたいなのだ。

 

「そっか・・・」

すべてを語り終えたはぐみは俯いてしまう。それだけ、その子のことを心配しているのだろうし、想っているのだろう。

 

「・・・りょーやくんはどうしたらいいと思う?はぐみ、どうしたらいいか分かんなくて・・・」

「そうだな・・・その子にも何か理由があってそうしてるのかもしれない。手術ってやっぱり怖いものだろうし、怪我した時は痛かったと思う。はぐみもスポーツやってるなら怪我ってやっぱり痛いし怖いだろ?」

「うん・・・」

「その痛みや怖さをもう一回経験しなきゃならない、ってなったらはぐみならどう思う?」

少し考えてから自身の考えを話してくれる。

 

「・・・やっぱり嫌だ、って思う。痛いのとか怖いのって嫌だし・・・」

「その子もそうなんじゃないか?座ってるときは痛みはないかもしれないけど、立ち上がったらもう一度その時の痛みを感じるかもしれない。・・・そう思ったらはぐみなら立てる?」

「・・・分かんない」

「その子にしか分からないことだけど、そんなふうに何か思うところがあって立てないのかもしれない。だったら、まずするべきなのは・・・」

「なに!?教えて、りょーやくん!!」

急に詰め寄られて驚いてしまうが、すぐに落ち着いてはぐみに優しく語りかける。

 

「残念だけどそれは教えられない」

「な、なんで──────────!?」

「はぐみが自分で気づかなきゃいけないことだからだ」

「・・・はぐみが・・・自分で・・・」

「それでも、どうしても分からなかったら・・・」

「分からなかったら・・・?」

しっかりと伝わるようにはぐみの目線に合わせて、話す。

 

「こころたちに相談したらいい」

「──────────!こころん・・・たちに・・・」

「きっとはぐみの力になってくれるさ。だって、友達だし仲間なんだから」

「・・・うん!そうだよねっ。ありがと、りょーやくん!」

それだけ言い残し、こころたちが待つスタジオへ急ぐはぐみ。走っていくはぐみの背にはいつもの雰囲気が戻りつつあるような気がした。

 

「・・・頑張れ、はぐみ」

 




ちょっと急ぎ足で書きました。なんかこれくらいのテンポで書いてる方が楽しいと感じた今日この頃です。

それでは、次回までしばしお待ちを。
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