転校生とバンド少女たち   作:なぁくどはる

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どうも、なぁくどはるです。
この小説も気づけば50話を突破しました。最初の頃が懐かしいです。とか言いつつ、まだ書き始めて1ヶ月と少ししか経ってないんですけど・・・。至らない点もあるかと思いますが、お付き合いいただければ幸いです。


誰よりも優しい君なら

 

 

はぐみがこころたちのスタジオに入って少し経過してから全員が楽器を持って、まだ時間は残っているにも関わらず『CiRCLE』から出ていってしまった。ウチは予約した時間分のお金をいただくことになっているので、その時間より早めに出てしまっても最初に決めた時間分の代金をいただかなくてはならない。しかし、まりなさんがこころたちが俺の知り合いということで、融通をきかせてくれた。・・・ホント、いい人だよなぁ。

はぐみも出ていく頃には、いつもの笑顔だったのできっと大丈夫だろう。こころが笑顔じゃない、ましてやそれが自身の仲間だったなら放っておくわけがないのだ。なにせ『世界を笑顔に』するのだから。

 

(あかりちゃん、元気になるといいな・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。昼休みでのことだった。いつものように花音や今日は千聖や彩も一緒に食事をとっていた。

 

「・・・・・・」

「・・・ねぇ、良哉」

「・・・ん?」

「・・・花音、どうしちゃったのかしら」

「・・・私も気になってたんだ。今日の花音ちゃん元気ないな、って」

おそらく花音の顔を曇らせている原因は昨日のことだろう。この花音の表情を見ればうまくいかなかったことぐらい容易に予想できる。

 

「・・・なぁ、花音」

「・・・・・・・・・・・・」

「花音?」

「──────────!ご、ごめんね。どうしたの、良哉くん?」

どうやらかなり参っているようだ。千聖や彩と目線で確認してみるが、2人とも同意のようだ。

 

「・・・昨日、ダメだったのか?」

「・・・・・・うん。みんなでいろいろ頑張ったんだけど・・・あかりちゃんは笑顔になってくれなかったんだ・・・。はぐみちゃん、必死で頑張ってたのに・・・」

「そっか・・・」

「はぐみちゃんもみんなも頑張ってたのに、私何もできなかった・・・」

そう言ってまた顔を俯かせてしまう。どうしたものかと悩んでいると、千聖になんとかしろとでも言いたげな表情で睨まれてしまう。あの、それ怖いんでやめてもらっていいですか・・・。

 

「なぁ、花音」

「──────────?」

「花音は何もできなかったっていうけど、それは花音がそう思ってるだけでホントは違うかもしれないぞ」

「・・・・・・どういうこと?」

「それは花音の主観でしかないってこと。客観的に見ればもしかしたら、気づかないうちに誰かの力になってたかもしれない」

「・・・・・・・・・・・・」

「もしそうだとしたら、今の花音の考えはその人を裏切ることになる」

ハッ、とする花音。

 

「確かに花音みたいに反省も後悔も大事なことだ。でも、どっちもそれだけで終わっちゃいけない。反省したあとはそれを次に活かさないといけないし、後悔は二度としないようにしなきゃならない」

「良哉くん・・・」

「別にいつも自信を持てなんて言ってるわけじゃないし、反省も後悔もしていい。迷ったっていい。誰かに助けてもらってもいい。けど・・・」

「・・・・・・けど?」

「そうやって1人で抱え込んじゃダメだ。俺がいる。千聖だって彩だっている。こころたちもいる。みんな花音に助けられてきたんだ」

「でも・・・私、何も・・・」

食い下がる花音。

 

「俺は花音に傘をさしてもらった。花音にクラゲについていっぱい教えてもらった・・・・・・・・・・・・友達になってもらった」

「──────────!」

「花音は俺にとって大事な友達なんだ。だから、困ってるなら力になりたい。悩んでるなら一緒に考えてあげたい。・・・辛いなら傍にいてあげたい」

花音の美しい双眸が潤み始める。

 

「良哉の言う通りよ、花音。あなたが言ってくれたのよ?悩んでるなら相談してほしい、って」

「ち、千聖ちゃん・・・」

「私も・・・花音ちゃんには助けてもらったし、なによりお友達だもん。力になってあげたい」

「彩ちゃん・・・」

千聖と彩にも励まされ、涙を堪えきれずに両手で顔を覆ってしまう花音。

 

「うっ・・・ぐすっ・・・」

こういう時どうすればいいか分からず、アタフタしていると千聖に背を叩かれる。

 

(なんとかしろってことなんだろうけど、どうしろと!?)

とりあえず花音を泣かせたままにさせるわけにもいかず、近くまで行き頭を撫でることにした。

 

「・・・ごめんね、良哉くん・・・そのままで・・・」

「・・・分かった」

そう答えた瞬間、花音が勢いよく俺の胸へ飛び込んでくる。かなり驚きはしたが、なんとか踏みとどまれたのでそのままの状態で頭を撫で続けた。

 

花音の涙でシャツが滲んでいく感覚があったが、それで花音が笑顔になってくれるならまったく気にならなかった。

 

 


 

 

「あ、ありがとね、良哉くん・・・」

「お、おう・・・」

その時は意識していなかったが、落ち着くとものすごく恥ずかしかった。なにせそれなりに長い時間真正面から抱き合うような形だったのだ。千聖と彩にいつまでやってるの?とツッコまれてしまった。

 

「・・・・・・・・・・・・今度は私が」

「・・・・・・・・・・・・いつか私も」

「──────────?」

なにやら2人がものすごい顔でこちらを見ているが、どうしたのだろうか。花音は何かを察したようで、あはは・・・と苦笑いしている。

 

「・・・あのね、私・・・あかりちゃんの気持ち・・・分かる気がするんだ」

再び花音が語り始める。

 

「変わりたいって思っても、どうにもできない自分がいるんだ・・・」

「・・・変わるって怖いことだからな。1人では怖くても、誰かとならそれを乗り越えられるかもしれない。そばにいてくれる人ってすごく大事なんだよ」

「・・・そうだよね。私はそれを良哉くんに教えてもらった。だから、今度は私がそれをあかりちゃんに伝えてあげたい」

「花音ならできるさ。誰よりも優しい花音なら」

恥ずかしげだったが、ハッキリとうんっ!と言ってくれた花音。

 

花音の元気な返事に、千聖と彩と俺は3人で笑い合うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから数日後、花音たちは再びあかりちゃんの元へ出向いているらしい。なんと今日はこころと薫が漫才をするらしい。なにそれ、超見たいんだけど。薫が漫才とか絶対おもしろいじゃん。・・・いや、そんなこともないか。やっぱ見なくていいや。

 

(花音、頑張ってるかな・・・)

あのお昼から花音は悩みを吹っ切れたみたいだ。沈んだ顔は見せなくなった。隠しているだけかもしれないが、花音ならいつかきっと相談してくれる。今ならそう思える。

 

「ちょっと、良哉さん。あたしの話聞いてる?」

「ああ、ごめん蘭。さっきのところは──────────」

今はこっちに集中しようと、蘭との話に意識を向けた。

 

心の中で花音やこころたちにエールを送りながら・・・

 




ハロハピはスケールのデカさに比例して、個々の問題もだいぶ深いものな感じが個人的にはあります。ただ、バンドの個性ゆえでしょうか・・・あんまりシリアスに感じないのが不思議ですよね。こころたちならやってくれるって気がします。

それでは、次回までしばしお待ちを。
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