転校生とバンド少女たち   作:なぁくどはる

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星との約束が果たされる時

 

「はぁ〜結構いろいろあるんだなぁ」

「そっか。良哉くんは文化祭初めてなんだよね」

「そういえばそうね。あなた、転校してきたのだったわね」

「それなりに重要なイベントだったはずなんだけどなぁ・・・」

 

 そんなわけでやってきました、文化祭当日。俺たちのクラスは王道の喫茶店を選択した。何でもこれが一番儲かる可能性が高いのだそうだ。

 

 まあ、現役アイドルで女優もやってる千聖とか、その千聖に負けないくらい美人な花音とかもいるし、納得っちゃ納得だな。

 じゃあ、喫茶店案が決まった時のみんなのあの顔はなんだったんだろうか。

 

 実は喫茶店案が通った時にクラスメイトが一斉に良哉の方を向いたのだが、全員心は一つだった。

 

『こいつがいれば勝ちは確定だ』と・・・

 

 そんな事もありつつ、現在は千聖と花音の三人で校内を徘徊していた。

 俺たちのシフトは午後からなのでこうやって遊んでいても問題はない。ただ、シフト決めの際に一悶着あったのは内緒だ。

 

「あら、良哉くん?」

「あれ?紗夜。どうして・・・って、風紀委員の見回りか何か?」

「その通りよ。こういう行事の際は羽目を外す生徒が多いから」

 

 三人で2年のフロアを散策していると、風紀委員の腕章を身につけた紗夜に出会う。

 紗夜とは偶然の遭遇だったが、腕章を見れば何をしていているのかは何となく予想はできた。

 

「にしても・・・」

「ん?」

 

 紗夜は後ろの花音と千聖に目をやる。

 

また貴方はそうやって・・・

「───────?」

 

 小声で聞き取れなかったが、ため息をつく紗夜を見るにいい事は言われていない・・・・・・多分。

 

「・・・・・・朴念仁」

「・・・・・・ほんと、鈍いんだから」

「えぇ・・・なんで・・・?」

 

 唐突の罵倒だった。

 

「とにかく、良哉くんもあまり羽目を外しすぎないように」

「りょーかい。気をつけるよ」

「では、私は見回りが残っているから」

「ん。頑張って」

 

 それだけ告げると紗夜は翡翠色の髪を靡かせ、颯爽と去っていってしまう。

 

 忙しそうだなぁ・・・手伝ってあげたいとこなんだけど、俺も自分のクラスの出し物があるしなぁ・・・

 

 もし時間ができたら紗夜を手伝おうと決心し、再び三人で歩き出す。

 

「あ、俺行きたいとこがあるんだけどいい?」

「私は大丈夫だよ」

「私も構わないわ」

 

 了承の旨を返してくれた二人に礼を伝え、目的地に向かった。

 

 


 

 

「いらっしゃいませー!カフェやってまーす!美味しいパンもありますよー!」

「元気だな、香澄」

「あっ、良哉さん!来てくれたんですねっ」

「誘ってもらったしな。それに山吹ベーカリーのパンと聞いたら黙ってられない」

「あ、あはは〜」

 

 香澄とは先日偶然出会った時に、名前を呼んで呼ばれる関係になった。なんでも良哉さんならいいのだそうだ。その意味はあまりよくわからなかったが。

 

「貴方、そんなにパン好きだったかしら・・・」

「山吹ベーカリーのパン限定だけどな」

「そんなに美味しいんだ・・・」

「花音も一回食べればわかる。あのふわふわした食感、薄すぎず濃すぎない絶妙な味付け・・・あ、やばい。ヨダレが・・・」

 

 あまりの有様に二人には苦笑いをされてしまう。

 

「あ、神崎先輩だ。おはようございます」

「お、おはようございますっ!」

「おたえに牛込さん。おはよう・・・・・・あ、こっちの二人は──────」

「白鷺先輩と松原先輩ですよね」

「ん?二人の事知ってるのか?」

「お、お二人とも有名人ですから」

 

 千聖はともかく花音も有名人?どういう事なんだ?

 

「ふ、ふぇぇ・・・わ、私も有名人なの?」

「はいっ!ふわふわして可愛いって」

「あ、それなら納得」

「そうね。私も異論ないわ」

「や、やめてよ、二人とも〜!」

 

 真っ赤になって俺をポカポカする花音。なぜ俺だけ殴られてるのかわからないが、ぶっちゃけ全然痛くない。

 

 そういうところが可愛いんだよなぁ・・・

 

「松原先輩楽しそう・・・私もしていいですか?」

「なんでそうなる」

「お、おたえちゃん・・・」

 

 おたえは俺を叩く花音を見て楽しそうだと思ったらしく、自分も叩いていいかと問うてきた。もちろん答えはノーだ。

 そんなやり取りをしているとある事に気づく。

 

「あれ?市ヶ谷さんと山吹さんは?」

「有咲は別のクラスだからそっちに行ってますっ。さーやは・・・」

 

 いつも一緒にいるイメージがあったから同じクラスだと思ってた。市ヶ谷さんがいない理由は理解できたが、山吹さんの名を口にする香澄の表情はとても暗い。

 

「・・・・・・何かあったのか?」

「実は・・・さーやのお母さんの体調が良くないみたいで今も病院に行ってるんです・・・」

「山吹さんもそれの付き添いって事か。山吹さんのお父さんは?」

「パンを学校に持っていく仕事もあって付き添えなかったみたいです」

「なるほどな・・・」

 

 これからの予定を考えていると、後ろから声がかかる。

 

「良哉くんのことだから行くんでしょ?」

「止めても無駄でしょうし、クラスのみんなには私たちから上手く説明しておいてあげるわ」

「───────さんきゅ。じゃあ、ちょっと行ってくる」

 

 本当にありがたい。俺の勝手にこうやって手伝ってくれる二人には頭が上がらない。今度何かお礼しなきゃな。

 

「私はカフェ巡りがいいなぁ・・・」

「私もどこかへ連れて行ってもらいたいわね」

「・・・・・・はい」

 

 なんともカッコつかなかった。

 とにかく、山吹さんのもとへ向かおうと教室を出ようとしたところで誰かに袖を掴まれる。

 

「・・・・・・さーやのところに行くんですか?」

「おう、心配だし。それにこないだ香澄と約束したばっかりだろ?」

「え・・・?」

「香澄と山吹さんの力になるって」

「───────!・・・・・・ありがとうございます、良哉さん。さーやの事よろしくお願いします!」

「任せてくれ」

 

 それだけ伝えると俺は一番近い病院に向かって走り始めた。

 

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