少年の心にわずかに残るもの
(ポピパのライブよかったなぁ・・・)
Poppin'Partyのライブから数日が経過していた。
にもかかわらず、あのライブは俺の胸の中に残り続けている。それぐらいあの時の香澄たちは輝いていた。
(バンド・・・・・・・・・か)
転校する前を思い出す。
それほど大きい町ではなかったし、人もそれなりのよくある町だった。だからこそだろうか。人との結びつきが強かったように思う。誰々が告白してフラれたなんてのは翌日には友達みんなが知っていた。それぐらい狭いコミュニティ、良く言えば全員が身内とでも言うのだろうか。
(あの頃は学校が終わると俺ん家に集まってみんな好き放題演奏してたな)
両親が音楽に関係する仕事に就いていた事もあり、我が家には防音室や楽器が一通り揃っていた。それを全員が好きなようにかき鳴らすのだ。全員が他人の事なんて考えないものだから聴くに堪えない酷いものだった。
(けど・・・・・・・・・楽しかった)
そう、楽しかったのだ。バカみたいに自己中に演奏しても楽しかった。みんなが笑っていた。あの頃はただそれだけでよかった。でも・・・
(父さんと母さんに連れられたあのライブが俺の運命を変えた)
ある日俺は両親に一つのライブに招待された。仲間内でも音楽の話題は尽きなかったという事もあったし、一度本場の音楽というのも体験してみたかった。この時の俺はそんな軽い気持ちだったんだ。
だけど、そのバンドの演奏を一度聴くと否応なしに惹き込まれた。表現力豊かなボーカル、素人目に見てもわかる飛び抜けた技術を有したギタリスト、決してリズムが乱れることのないベース、周りを鼓舞するかのように鳴らされるドラム、そしてそんな音をしっかりと整えて支えているキーボード。
気がついたら演奏が終わっていた。その日は一日興奮して眠れなかったのを覚えている。俺もあんな演奏がしてみたいと。
だが、それが奇しくも今の俺を作り上げてしまった。あんなに楽しかったはずのバカ騒ぎがどこか物足りなくなってしまったのだ。しかし、それを口に出せずようやく話せたのは高校進学の直前だった。みんなの驚いた顔は今でも思い出せる。笑顔で送り出してくれた事も。
そしてそれは、今も俺の心にしこりのようなものを残している。
「・・・・・・・・・やくん。良哉くん!」
「っ───────ど、どうしたんだ花音」
「・・・・・・・・・ううん、なんでもないけど・・・何か悩み事?」
「い、いやなんでもないよ」
そう答えるが花音はそれが嘘だと気付いているだろう。他のみんなも。
「・・・・・・・・・本当、嘘が下手ね」
「えっ?何か言ったか?」
「いいえ、なんでもないわ」
千聖が何か呟いたようだが、いささか小さくて聴き取れなかった。
「・・・・・・・・・そっか。でも、何かあったらすぐに言ってね。力になるから」
「そうよ。貴方にはたくさん助けてもらったのだから」
「・・・・・・・・・ありがと花音、千聖」
「どうしたの?」
「え?」
「今日の貴方、変よ」
「そ、そうか?」
「ええ」
「ん〜、アタシも気になるかな〜。ほらほら、おねーさんに話してみなさい☆」
「そうです。良哉くんはただでさえ頑張りすぎなのですから、こういう時くらい私・・・・・・・・・私たちを頼ってください」
「───────?あ、ありがと。まあ、でもほんとに何もないから大丈夫」
紗夜が何故言葉に詰まったのかはわからないが、彼女たちの心配は素直に嬉しい。けど、こんなの言えるわけない。友達を
「ふう・・・。みんな、休憩にしようか」
「はぁ〜、さすがのモカちゃんもくたくただよ〜」
「た、確かに・・・。私ももう限界だよ・・・」
「いや〜!今の演奏もアツかったな!」
「と、巴ちゃんは元気だね・・・」
「ねえ、良哉は・・・・・・・・・良哉?」
「・・・・・・・・・」
「りょーくん、どうしちゃったんだろうね〜」
「・・・・・・・・・さあ」
蘭たちが心配そうにこちらを見ていたのに俺は気付きもしなかった。
そんなある日の夜。俺のもとに一本の電話がはいる。
「・・・ん?電話か。誰から───────!!!」
そこに表示されていたのはかつての友人の名前だった。
それを取る勇気は今の俺にはなかった。
ごめんなさい・・・!今回かなり短いです・・・。キリのいいところって思うとこの辺になってしまいました。本当に申し訳ございません。