日がすっかり暮れ、廃寺では弘樹と桔梗。そして客人である島左近こと美緒と杉谷善住坊ことヨウコが食事をしながら話していた
「私の郷里の大和の国ではここ美濃と同じように役人が重い年貢をかけ。しかも村人から物資を奪いその品を私利私欲のための金もうけのために横流しをしてしまうなど。悪行をしておりました。そのため貧しい農民たちは毎日の煮炊きもできないほど困っておりましたので、それではいけないと思い。私は役人に訴えたのですが、聞き入れてもらえず。やむを得ず。役所に殴りこんで根本となる悪徳役人を片付けてこの地に来たのです」
「そうだったんですか・・・・・」
雑炊を食べながら弘樹は美緒の話を聞いた。
「それで美緒・・・・・どうするの?」
「ここまで賞金目当ての犬が来ている以上、逃げ道はないわね。まあいざとなれば斬り死にするまでよ」
「その時・・・私も手伝う」
「その件なら、さっき私が村長さんに話したところ。匿ってくれるそうだ。この村に住む人は皆、行き場を失い村を追い出されたものが集った村らしいから一人や二人増えても問題はないそうだ。住む場所もこの寺に住んでください。幸い住んでいるのは私と桔梗さんだけですから。桔梗はどう?」
「私は構いません。私も困っている人を放っておくことはできませんから」
俺が桔梗にそう言うと桔梗も意義がなく頷く。すると美緒さんは涙ぐみ
「弘樹殿!桔梗殿!貴公たちの心優しき言葉。この島清興。決して忘れません!」
「いや。お礼を言うのはこっちの方です。私たちもあなたたちのような同志が来るのを待っていたんです。俺は今のこの時代にこそ、国を・・・民が苦しみ貧困のない世を作るべきだと思っていました。それが今私の立てた組織。那智党です」
「そう言えば…さっきも言っていた。国民社会主義日本労働者党って」
「弘樹殿。社会主義とはどういう物なのか?」
「社会主義というのは個人の財産権を制限し、産業や富を共有管理する。つまり資本や財産をみんなで共有する平等な社会体制のこと。まあそっちになるとどっちかというと共産主義に偏っちゃうんだけどね。まあつまり。今まで一部の者が得するより、みんなで平等にそして均等に分配するという考えかな?」
「なるほど・・・・・それで弘樹殿の社会主義はどういう考えなのか?」
「俺のこの時代での社会主義思想は国民国家を目指したいと思っている」
「国民国家?」
「国民が自分たちの道を選び進みゆく。それが国民国家だ。いつまでもこれまでのようにほんの一部の人たちがすべてを決めてはいけない。この国・・・日本を一つの国家にまとめ上げ、そして南蛮勢力に後れを取らない近代国家となり。そして一部の指導者が国を動かすのではなく。国民が国のかじ取りをする。つまり国民国家となってこそ、俺の闘争は終わり完成する。それが俺の理想であり野望だ」
国民国家・・・これが弘樹の掲げる野望であり理想だ。誰もが笑顔で暮らせる世の中とまではいかない。だが、いつまでの一部の者だけが得をし、国を仕切ってはいけない。国民自ら国を動かさなければいけないと思った弘樹は最終目標である国民国家を目指したのだ
「だが・・・・今の党の力ではそれを成すことができない。俺だけでは何もできないんだ。それで今日まで、党が活動し動くための資金集めと同志を集めていたんですが、桔梗さんを含め。あなたたち二人が手伝ってくれれば必ず理想に近づける気がするんです。どうか力を貸してください」
弘樹は頭を下げる。弘樹は歴史上での彼女たちのことは知っている。だからこそ、彼は彼女たちの力が必要だった。
頭を下げる弘樹に二人は頷き
「弘樹殿。頭を上げてください。弘樹殿の理想。立派な志です。あなたのような理想を持つ人こそ。国を取り仕切るべきです。民もきっとあなたのような人を待ち望んでいたはずです。不詳この島美緒清興もぜひ那智党に入党し同志に加えさせていただきたい」
「美緒が行くなら…私も行く。私も村の人たちが安心に暮らせる世の中を望んでいる。だから私も那智党に入る」
「私はもとより那智党員であり貴女の相方です。最後までお付き合いします」
参院はそう言い弘樹は嬉しくて少し涙ぐみそうだがその涙を抑え
「ありがとう・・・・本当にありがとう」
三人の手を取り礼を言う。
「では我が主よ。今ここに再び誓いを立てましょう。那智党の理想をかなえるがため乾杯を」
「うん」
美緒の言葉に弘樹は立ち上がり壁に掛けてある那智党の旗。
すなわちナチスの旗であるハーケンクロイツの旗に右手を上げ
「では、我々はここにて再び天に誓う!我ら国民社会主義日本労働者党・・・・すなわち那智党は民と力を団結し!国を貧困のなき世へと生まれ変えるため闘争す!我々が動き出すことで世界は変わるだろう!義に背き民を苦しめ私利私欲に生きるものを排除し新しき世界を作ることをこの場で誓う!! Sieg Heil!!」
そう高らかに彼は宣言するのであった。こうして那智党は新たな同志を迎え入れ。ついに動き出そうとするのであった・・・・・