美緒とヨウコが那智党に入党ししばらく経った。
那智党は今までは派手な活動をしていなかった。するとしてもいつものように畑仕事や村の特産品を売りに行ったりしていたのだが、少しだけ変わったところがあった。
それは村の手伝い屋ではなく自警団として活動し始めたからである
国の領主の兵は泥棒が出ても何もしない。ならば自らで守ろう。そこで現れたのが弘樹たち那智党である。
弘樹たちが村の人たちに
「領主が自分の国や民を守らなければ俺たち自身で守ろ!国を愛し、家族を守りたいものは武器を取り立ち向かおう!!」
と、そう演説すると村の若者や家族を守りたいものは弘樹たち那智党に志願し、そして、那智党はただの組織ではなく村や家族を守るための組織。すなわち自警団として活動を開始した。
軍事訓練は武士の島左近こと美緒が指導をし、射撃、弓の使い方は猟師であるヨウコが指導し、少数ながらも那智党に軍事組織が出来上がるのだった。
そして夜。弘樹は村の人たちの前で演説をした
「今、この美濃の国力は衰退している!果たしてこのままでいいのか!!いったい誰がこの国を守るのか!いったい誰が!!」
大げさな身振り手振りをしながら弘樹はそう言うと村人の一人が
「それは我々、農民や、国民だ!!」
「そうだ!そうだ!!」
一人の農民の言葉に皆はそう言うと弘樹は頷き
「その通りだ!!今こそ。我々国民が一致団結するのだ!!誰かに守ってもらうのではない我々自身が祖国や家族を守り、戦うのだ!!」
「「そうだっ!!」」
弘樹の言葉に皆は賛同の声を上げる。
そして弘樹の演説は各地の村に広まった。
『一人の若者が人民のため、平和な世、人民のための世を目指すため立ち上がり同志を集めている』
その噂は広まる速度は想像以上に速く、美濃だけはおろか、近江、伊賀、そして尾張にまで広がり、村を捨ててまで来た人、商人、そして行き場を失った浪人までもが集まってきた。
その数は千人以上上り、そして素浪人組が多いことから那智党はいつしか那智素浪人組・・・・略して那智素・・・ナチスと呼ばれるようになっていた。
「まさか。俺の立ち上げた組織が何の偶然だか、ナチスと呼ばれるなんてな・・・・」
「弘樹さん?どうしたんですか?」
「いいや。なんでもないよ桔梗さん」
寺の中で弘樹がそう言うと横にいた桔梗が首をかしげてそう言うと
「は、ハイル!!」
「何事ですか、騒々しいですよ?」
那智党員の若者が那智党の敬礼。ローマ式敬礼をし入ると、桔梗が口を開く。今の桔梗は草ではなく、那智党の参謀であり諜報員局長であり事実上那智党№2である
「し、失礼しました!実は総統にお知らせしたいことがあります!!」
党員は慌てた口調でそう言う。因みに党員達は弘樹の事を「総統」と呼んでいる、というか弘樹がそう呼ぶように頼んだ。
「お頭」や「棟梁」「那智様」とよばれる事に言いようのない気恥ずかしさを感じた弘樹が、苦肉の策で呼ばせている訳だ。それ以前に頭や棟梁だと山賊みたいなので、それだったら総統の方がましだと思っている
「も、申し訳ありません。ですが村長が見せたいものがあるとおっしゃっていまして」
「村長が?わかったすぐに行く」
俺はそう言い、桔梗。そして途中で美緒やヨウコと合流し、ともに村長のところに行く。そして村長は俺たちを連れて森の中を歩く
「村長。いったいどこへ連れて行くんですか?」
「結構、森の奥に来ているが?」
俺と美緒が村長に尋ねると
「実はな・・・弘樹さんのその腕についてある印と旗のことなんじゃが・・・・」
「ハーケンクロイツ・・・・逆卍のことか?」
「ええ。その印。昔どこかで見たような気がしましててね・・・それで思い出したことがあるんです。私がまだ子供だった時よくこの森を遊び場にしておったんですが。鉄でできた扉を見たんですよ」
「鉄の扉ですか?」
「ええ。開けようにも鍵が掛かっているのか?開けれませんでしたがその扉に弘樹さんと同じ紋章が彫ってあったんです」
「へ~」
そう言いながら弘樹たちと村長はどんどん森の中を進む。そして岩壁のところまで着くと、そこには確かに鉄でできた大きな扉があった
「ここです・・・・」
「本当に鉄でできてる・・・・」
ヨウコは扉を叩き鉄でできていることを確認する。そして扉の上の方にはナチスのハーケンクロイツの紋章があった
「まぎれもなくナチ党の印・・・しかも扉もこの時代にはない鋲打ちでできてる・・・・・村長。これ本当に開かないんですか?」
「うむ・・・・残念ながらな。だがここに何やら文字が書いておってな」
「文字?」
そう言い村長の指をさす方を弘樹が見るとそこには確かに文字が書かれていた
「(これって・・・・ドイツ語?合言葉を言えっていうのか?)」
弘樹は興味本位でドイツ語を習っていたのでドイツ語が読めた。
その文字には『忠誠を誓うのならば唱えよ』
と書かれていた
「(忠誠・・・・しかもナチスと言ったら)・・・
「え?」
弘樹がそう呟いた瞬間。ゴゴゴと重い音がし、そして扉が開いた
「開いた・・・・」
「弘樹さん・・・今の言葉は?」
ヨウコが驚く中、桔梗は弘樹がさっき言った言葉の意味を聞く
「ああ、さっきの言葉はヒトラー…つまりこの旗を立ち上げ、国を作った男の名だよ。ハイルはその国の言葉で万歳って意味だよ」
「じゃあ、弘樹さんの旗や合言葉のジークハイルとかの南蛮語ってそこから?」
「ああ。俺的にはその旗の意味を変えたいがため掲げているんだけどね?」
「意味を変える?」
弘樹の言葉に首をかしげる中、みんなその中に入る。するとそこにはれるほど大量の木箱だった。
「なんでしょう?この箱?」
「開けてみよう・・・・」
そう言いみんなはこの中を取り出すと、その中身はこの時代にない物ばかりだった
「これは・・・・モーゼルのKar98kライフルにMP40サブマシンガン・・・MG34とMG42汎用機関銃とワルサーP38拳銃にモーゼルのc96拳銃それにルガーP08・・・・それにこれはパンツァーシュレックにパンツァーファウスト。これは・・・・迫撃砲にすごいラインメタルの37ミリ対戦車砲に対戦車砲兼用の野砲として作られた7.5cm FK 7M85まである。それに、火薬に……こっちのは小粒金か、凄いな」
木箱は大小合わせて100以上、それには様々な物が満載されていた。それは第二次世界大戦でドイツ軍が使用した兵器ばかりであった。
武器以外にも双眼鏡、信号弾、各種医薬品に無線機、ドイツ国防軍と親衛隊の軍服に大量の小粒金など、驚くほど大量の物資がこの洞窟内…いや、格納庫内にあった。
それもご丁寧にマニュアル付だ
「弘樹さん・・・これって?」
「ああ桔梗。この武器とかは俺のいた世界のドイツっていう南蛮の国の兵器だよ・・・・・しかも説明書付きか。しかもなぜか日本語の?・・・・ん?」
そう言い、弘樹はマニュアルを手にする。そのマニュアルはなぜか日本語で書かれていた。しかもそのマニュアルは
『パンツァー運用方法』
と書かれていた
「(パンツァー?パンツァーってまさか・・・)」
弘樹がそう思った瞬間
「な、なんですかこれは!?」
村長が奥に行くと大声を上げる。その声に皆はそこに向かうと
「なんだこの鉄の塊は?」
「大きい・・・・」
彼女らの目の前には見たこともない鉄の塊があった。だが弘樹はそれに見覚えがあった
「これって・・・ドイツの輸送トラックにキューベルワーゲンにシュタイヤー。ハノマークのSd Kfz 251兵員輸送車・・・・それにこれって」
そう言い、弘樹はあるものの前に立つ。その塊には鼻の長い砲みたいなのが付いていた。
「これって・・・・・Ⅱ号戦車f型に38t軽戦車c型・・・・それにこれってⅢ号戦車J後期型にⅣ号戦車G型にⅢ号突撃砲G型だ・・・・それに燃料もある」
そう弘樹の目の前にはこの時代の兵器よりも強力な戦車とそれを動かすのに必要な大量の燃料が入ったドラム缶があったのだった。
なぜこんなものが戦国時代の日本にあるのか、そして誰がこんなものを送ったのか弘樹たちにはわからなかった
考えてみても答えは出ない、だが、やるべきことは一つだけあった
「桔梗・・・みんな。党員や自警団の人を集めてくれ。今から、これらの武器の使用方法を教える」