那智党ことナチスの動きは順調に進んでいた。領地の経済は上がり、誰一人暮らしに困るものはいなくなりつつあった。
そしてその話を聞き、他国からやってくる商人や流民も多くなり、いつの間にか那智党は事実上、関ヶ原を一体とする西美濃を支配する勢力になりつつあった。
だが、それはもちろん反菅勢力を生み出すことにもなる。現在、近江の浅井家。美濃を収める斎藤家、特に斎藤竜興や斎藤飛騨の勢力が那智党に対し快く思っておらず、潰そうと画策もしていた。浅井玄現主である久政はいつ那智領へ侵略しようか会議はしているが娘の長政らの穏健派の反対によって実行は停滞している。
そして、また弘樹は演説するため、会場へと向かうと
「弘樹さん・・・・いえ総統」
「いつもの呼び名でいいよ。どうしたの?」
親衛隊長官となっている桔梗が弘樹に話しかける
「はい『ショッカー』からの情報で今日の集会に斎藤飛騨の家臣連中が紛れ込んでいるとの情報が入りました」
彼女の言うショッカーとは弘樹が作った。親衛隊直下の密偵諜報機関である。表上は新聞社及び全土に行商人や旅人に扮した人員を送り込むスパイ組織である。しかもその職員は皆桔梗らが集めた素破つまり忍者を中心と集めた部隊だ。
この戦国時代で蔑ろな情報。どの時代においても情報とは即ち戦力である
弘樹はその諜報機関に軍や政同様、予算を、人材を惜しみなく注ぎ込んで、この時代では武田の『歩き巫女』以上の最高峰とも言える情報機関となっている
「恐らく強制的に我々を弾圧する気です。どうします?始末しますか?それとも今日の演説は中止に?」
「いや、両方ともまだしなくていい。むしろ好都合だ。予定通りにやる……桔梗さん」
「分かってます」
弘樹の言葉に桔梗は小さく頷く。そして予定通りに演説が始まった
そして情報鳥いに演説を聞きに来た観客の中に数十人の斎藤飛騨の家臣の武士たちが紛れ込んでいた。
「今我々那智党のするべきことは、ただ一つ!日ノ本を一つの国家にまとめ国民が戦に怯えず安心に暮らせる世を作るためだ!だが、今の現状!その平和への一歩を踏みにじろうとする勢力がいる!それは美濃当主斎藤竜興公を操り人形のように操り自ら主導権を握ろうとする斎藤飛騨やその愚侍どもだ!奴らは城下の商人に脅しをかけ!財産や商品を強奪するまさに山賊まがいを起こしている!」
弘樹がそう言った瞬間
「演説を止めろ!」
「そうだ!斎藤家を潰そうとする患部め!!ぶっ殺してやる!!!」
と、斎藤飛騨の武士たちは刀を抜こうとした瞬間、一人が頭に衝撃が走り倒れる。それを見た斎藤飛騨の家臣たちは背後を見ると・・・・
「ぶっ殺すですって?・・・・・やれるものならやって見なさい蝮の腰ぎんちゃくどもめ」
そこには桔梗を先頭とする黒服に襟にssの文字を付けた。那智党親衛隊隊員が、小太刀もしくは棍棒をもって斎藤飛騨の家臣太刀を睨みつけ、そしてあっという間にその家臣たちを斬る。もしくは袋叩きにした。その間も弘樹の演説は続く
「我々は本当の平和のため戦いかつ続ける!すべては平和のために!!」
「総統万歳!!総統万歳!!!」
とそう言うと観客から、歓声が巻き起こるのであった。
演説が終わり、弘樹と桔梗は領地の城・・・・と言ってもまだ改装工事のためその城下の少し大きな屋敷にいた
「今日の演説。お疲れ様です弘樹さん」
「ありがとう。今日はちょっとひやひやしたけどね。それで奴らはどうなった?」
「はい。なるべく殺さずにして置き数名を逮捕しました。残った連中は死にはしないでしょうが、今後の生活に苦労すると思います」
「そうか・・・・」
そう言うと
「弘樹・・・いる?」
と、ヨウコさんが入ってきた
「ああ。ヨウコさん。どうかしたんですか?」
「弘樹に客人が来ている・・・・・」
「客?誰から?」
俺が訊くとヨウコさんは
「西美濃三人衆の一人・・・・・安藤守就」
「っ!?」
その言葉に俺は少し驚く。安藤守就と言えば西美濃を収める西美濃三人衆の一人であり実力者。史実ではあの竹中半兵衛の舅だ
「……分かった。すぐに行こう」
俺はそう言うとヨウコさんに連れられ客間へと向かう。そして客室に着くとそこには長い赤毛の女性が座っていた
「お客人・・・・連れてきた」
「ありがとうございます。それであなたが、国民社会主義労働者党の党首・・・・・那智党の総統と呼ばれている那智弘樹殿ですか?」
「はい。あなた様は西美濃三人衆の一人であらせられる安藤殿でありますか?」
「はい。いかにも私は西美濃を収める美濃三人衆の一人であり、斎藤家にお仕えする者。名は安藤守就と申します」
「それで、安藤殿。斎藤家にお仕えするお方がなぜこんな小さな田舎領地に?もしや先ほどの演説で斎藤飛騨の部下たちに暴行もしくは逮捕したことを抗議しに来たのですか?」
「いえ、そうではありません。むしろよくやってくれたと言いたいほどです。この頃、飛騨守とその部下は、義龍様のご息女の竜興様の側近だということをいいことに自分の権力を好き放題し横暴なことをやっていたので、家臣内での評判も悪かったので、先ほどの演説での一件はむしろ少しすっきりとしています」
と、にこにこ顔でそう言う安藤さん。俺は斎藤飛騨に会っていないのでわからないが、そんなに悪い女なのか・・・・というより、どこまで嫌われているんだよ。一回その顔を見て見たいものだ。
「では、いったい何しにここに来られたので?」
そう言うと安藤さんは真剣な表情をし
「那智殿の話は美濃中に知れ渡り、特に我が主、義龍様のおひざ元の街でもその名は轟いております」
「・・・・それで?私はあまり回りくどいのが苦手ですゆえ、できればはっきりと言ってくださると助かります」
そう言うと、彼女は
「では単刀直入に申し上げます那智殿。私とともに稲葉山城へ赴き、我が主、斎藤義龍様に会ってはもらえないでしょうか?」
「それはどういう?」
「義龍様があなたに会いたいとおっしゃりましたので」
「私は小さな土地を収める身元不明の人間です。なぜ義龍公が?」
「ご謙遜を。那智殿の演説の他収める土地の田畑を見させてもらいました。見たこともない農具やそして地を走る鉄の車を使い物凄い速さで開墾されていましたね。特に川の高い場所に水を引く道具・・・水車でしたかな?ぜひ我が領地にも導入したいと思ったほどです」
ちゃっかりと偵察してたな…まあ桔梗たちssの知らせで知っていたけど
まあ、どちらにせよ。こうして斎藤家の人が内に接触してくるのはかえって好都合だ。それに義たちに会って言いたいこともあったしな
「分かりました。城への赴きの件。了解しましたが、何せ急な話上、少しだけ時間をもらいたい」
「確かに、あなたの言うことはもっともです。では三日後お迎えに参りますので」
「分かりました。では三日後に・・・・それで安藤殿は今どちらの宿舎に留まっているのですか?よければ送りましょう」
「いえ、ここからすぐ近くなので、お気遣いありがとうふございます・・・では」
そう言うと彼女は一礼し俺も返礼して彼女は家を出て行った
「……桔梗さん」
「はっ!」
彼女が完全に帰ったことを確認すると俺は桔梗さんの名を呼ぶと、シュタット俺のそばに桔梗さんが現れる
「みんなを集めてくれ。会議を開く」
「御意に。ハイル・フューラ」