結婚前提のお見合いで俺は竹中半兵衛さんと二人っきり部屋の中で座っていた。
まずい・・・・正直言ってこういうの初めてだからどんな風に話せばいいのかわからない。正直言って気まずい。
でも何か話さなければと思い俺は彼女に話しかけた
「そう言えば竹中さんは好きなことはあるのかな、それと好きな食べ物があったら教えてくますかな?こう見えて俺は料理が得意でして。那智領主になる前はよく・・・・」
とそう言うと竹中さんは
「那智殿。そんなに気を遣わずとも良いですよ、私は知っていますからこれはあくまで那智党と斎藤家の政略結婚ですから気にしないでください」
と、冷静な表情でそう言う。まあそれは俺もわかっていたけどね。
「そうですか・・・・・竹中さん」
「詩乃で構いませんよ那智殿」
「そうですか。なら私のことも弘樹と呼んでください。私は堅苦しいのが苦手でして」
「そうですか・・・・・公共の場で激しく演説された時とは大人しく違いますね?」
「俺の演説を聞いていたんですか?」
「はい。何度も・・・・とても過激なことを言うお方だと思いました。あの言葉はいつも練習しているのですか?』
「いいや。確固たる世界観で常に正しい結論が出せる。今の室町の世・・・いや戦国の世に残っているのは古いしきたりや凝り固まった慣例だけ、それでは国民の平和や安寧を保証することはできないし日ノ本全体を救うこともできない」
「なるほど・・・・それで弘樹殿はどうやって救うおつもりですか?」
前髪で顔が隠れながらも彼女は俺に真剣に問う。俺は
「詩乃さん・・・あなたはお菓子は好きですか?」
「はい。好きか嫌いか問われると好きです」
「どこで買われるのですか?」
「時たま城下の店で」
「では責任がだれがとるんですか?」
「責任・・・・ですか?」
「そうだ。その店の責任者がお菓子の味が落ちた時の責任はとるのか?否。誰もとらない。皆知らない顔をする。だからこそ必要なのだ。変革と責任を取る指導者が」
弘樹の言葉に詩乃は黙って聞く
「今のこの国は忘れかけている。数々の文明の遺産。東大寺の大仏や金閣寺は道化者の産物か?否!その時代の優れた指導者の遺産であり象徴だ。米が食べられるのは米を作る農家のおかげ。異国の侵略を防げたのはその指導者のおかげなのですよ」
「では弘樹殿はこの日ノ本の指導者になるつもりですか?」
「民が俺を必要とするのであればそうするつもりです。ですが私だけの力では無理なのです。一人でできることなんて限られているよ。私は党の仲間や国民と力を合わせ日ノ本を平和な世の中にしたいと思っている」
「仲間とですか・・・・」
詩乃がそう言うと俺は
「あなたもその一人なんですよ。詩乃さん」
「っ!?・・・・なぜ私なのでしょうか?」
「あなたは誰よりも平和を愛する人。民のことを想う人だと思っています。だが、斎藤家にいてもその力は発揮されない。しかもだ。義龍様ならいざ知らず、じき後継者である斎藤竜興一派はあなたのことを疎み潰すでしょう。あなたのような知ある人ならきっと戦乱の世を速く収めることが可能になるかもしれない。近しい人たちを守れるかもしれない。だがら君の力を借りたい。政略結婚だという形だけのものではなくね」
彼女をまっすぐ見つめ、俺は心の中で浮かんだ言葉を彼女に送る。彼女は驚いた顔をするが、少し笑い
「あなたは・・・・・変わったお人ですね?」
「ええ。よく言われます」
「変人である私をここまで求めるなんて思ってもいなかったので少し驚いています」
「変人ですか・・・・斎藤家の人は見る目がありませんね」
「いいえ。斎藤家だけではなく私みたいな変人がどこに行っても同じでしょう。弘樹様の言う通り、この平安の世はつまらないしきたりや慣例で凝り固まっています」
「なら、その凝り固まった世界をほぐし変えて皆を驚かせてみよう」
「驚かす・・・ですか?」
「そうです。そう言う保守的な凝り固まった堅物に飛び膝蹴りをくらわせるくらいやったら、気分もスッキリするんじゃありませんか?」
「飛び膝蹴り・・・・・ふふ」
俺の言葉に彼女は笑う
「想像して少し楽しそうだろ?」
俺がそう言うと彼女は頷く
「それに先ほど詩乃さんは自分のことを変人とおっしゃったが、私たちナチスも変人の集まりだ。革命家の集まりだ。指導者とは国を動かすものは皆変人が集まったものだからな」
「まったく。あなたというお方は・・・・ですがあなた様の言葉。深く心に響きました」
「心の底から思ったことをあなたに言いましたからね」
俺はそう言うと詩乃は微笑んで
「那智弘樹様。改めてこの竹中半兵衛。通称詩乃。わが身、わが魂をもってあなたの妻としてそしてあなたと共に歩む仲間としてお仕えします・・・・旦那様。弘樹様にすべてを捧げます」
「うん。よろしくな詩乃」
「はい。末永くよろしくお願いします・・・・旦那様」
そう言い詩乃はニコッと笑うのだった
部屋での会話の後、俺と詩乃はは城周りを歩いていてその背後には安藤さんが歩いて俺と志乃が話しているところを微笑ましく見ていた
「そうか、詩乃も魚が好きなのか。実は私は釣りが趣味でね。玉に息抜きで川に行って釣りに行っているんですよ。もし都合が会えば一緒に釣りをして釣った魚を料理をしようか。料理はこう見えて好きだから自信がありますよ」
「それは本当ですか、実は私はこれまで料理などしたことがなくて・・・もしよろしければ教えてください」
と楽しく話していると。俺は何かの気配を感じた。なんかいやな予感が。俺は彼女の前に立つ
「え?弘樹様?」
少し驚く詩乃だが、その瞬間、俺の頭に冷たい水がかけられた。その瞬間城壁の上から笑い声が聞こえた。その笑い声に俺は見上げるとそこにはいかにもヤンキーぽい女の子が桶を持っていて、その後ろには紫色の和服を着た女性が一緒になって笑っていた
「西美濃の青瓢箪に水でもあげようと思ったが、まさか同じ西美濃のならず者とは傑作ね!!噂通り女のような奴だ!!」
とゲラゲラと笑う女に安藤が
「竜興様!!なぜこのようなことを那智殿に!!飛騨守殿!!説明しなさい!!」
と大声でそう言う。詩乃は手拭いで俺の髪を拭いてくれていた。なるほど・・・・桶を持っているのが斎藤竜興か・・・そして隣にいるのが斎藤飛騨。斎藤家を滅亡させるきっかけを作った人物か。
それにしても竜興は義龍殿の娘とは到底思えない不良っぷりだな。これは苦労するわけだ
安藤さんがそう言う中、飛騨と呼ばれた少女が
「それはこちらのセリフ。なぜ竹中殿と那智殿こそ斎藤家の領地で何をしておられるのですか?」
嫌味たっぷりでそう言う飛騨はこう続けた
「竹中家はもともと斎藤家の敵。そして那智殿は身元不明の浪人を集めた野良犬同然のならず者共。嗚呼・・・なぜ、国主様は咎めなかったのか・・・・」
そう大げさな演技でこちらを挑発する。見た目は普通に可愛いのに性格が最悪だな
「何をおっしゃりたいので?」
俺の言葉に飛騨はニヤッと笑い
「本来なら領地を我々から与えられた那智殿。我々は人質を要求するところですが・・・・そちらの領地はいろんな特産品で実に儲かっているとか・・・・金銭で目こぼしをしてやってもいいと竜興様はもうしておられるのです」
とそう言う中、はあまりにもバカバカしさに思わず笑ってしまう
「ふっ・・・・たったそんなことだけのことでよろしいのですか?たったそれだけのことでしたら、こんな小細工使わなくても差し上げましょう。それだけで我々の独立とそしてこの竹中半兵衛殿の進言を素直にそして真剣に聞いていただけるのならとても安い条件ですよ」
と、そう言う。実際竜興一派は詩乃の政や対織田に関しての対策進言を無視し独裁政治をしようとしている。俺が金を払うだけで素直に詩乃詩の話を聞いてくれるのなら何もの障害にもならない
「弘樹様・・・・」
「大丈夫です詩乃。さて車を待たせていますので一先ずは私の家で休みましょう」
「は・・・はい」
そう言い俺たちはその場を後にしたが、挑発していた竜興は悔しそうな顔をし、飛騨は
「・・・・・気に入らない」
そう、忌々しそうに弘樹のことを見つめて、桶を激しく地面に叩きつけるのだった。