明朝
「・・・・・・・」
弘樹と婚約した竹中半兵衛こと詩乃は居住を稲葉山城から婚約者である弘樹の居城。那智城に移った。
因みになぜ婚約かというとお互いのことをもっとよく知りたいからと双方の意見により婚約という形になっていた
「詩乃様おはようございます」
「おはようございます桔梗さん。鶫さん」
目が覚め井戸の水で顔を洗おうとした詩乃に親衛隊長官である桔梗と那智党党員の鶫が挨拶をした
「昨日はよく眠れましたか?」
「はい。よく眠れました・・・・ふわぁ・・・」
「顔を洗いになりますか?桶に水は汲んでおります」
「ありがとうございます」
そう言い詩乃は桔梗から桶を受け取り顔を洗う
「はい。手拭いです」
「ありがとうございます」
鶫から手拭いを受け取り顔を拭くと
「詩乃様。何か必要なことはございますか?こちらに来たときは何も持たずに来ましたので足りないものがあれば用意しますが?」
「今のところは・・・大丈夫です」
桔梗の言葉に彼女は答えると鶫は
「今日は総統と一緒に領地を回るんでしたね?」
「はい・・・」
「では、恐らく町の方も回りますので、そこで一緒に買い物をすればよろしいですね」
「総統に言いにくい品物があったら気軽に頼んでください」
「ありがとうございます・・・・・・ところで鶫さん。弘樹様は?」
「総統はおそらくまだお休みになっていると思いますよ?」
「お休みなのですか?」
「はい。いつもは早起きなのですが、昨日の夜遅くまで書類仕事をしていたんです。浅井との不可侵条約の件とか織田の牽制とか内地の改革とかで」
「あの方とは党結成からの付き合いですが、いつも領民のために死力を尽くしておりますから。お優しいお方です」
「そうですね・・・・・身分関係なく気軽に話かけたり、たまに農家に行って畑仕事を手伝ったりと変わったお方ですが、尊敬します」
と、桔梗と鶫がそう言うと詩乃は
「弘樹様のことを慕っているんですね?」
「「はい。それはもちろん」」
と笑顔で答えると詩乃もおまわず笑顔になる。そう言う自分も彼に惚れてここにいるわけなのだから
「ですがもうそろそろ起きてもいい時間ですね?」
「そうですね。そろそろ起きないと他の者に示しがつきませんし・・・・」
「そうだ詩乃様。我々は朝食の準備をしますのでその間。総統を起こしてもらえますか?」
「起こす・・?」
「はい。本来ながら私の仕事ですが、先ほど部下に報告したいことがあると言われまして…お願いします」
「・・・・承知しました」
桔梗に頭を下げられ詩乃は頷くのであった
目が覚めたのは、戸の襖が開く音のせい
「(ああ・・・・もうこんな時間か)」
俺は半ぼけながらそう思った。だがおかしい、いつもなら桔梗が優しく声をかけてくれるし、鶫と美緒だったら大声で起こしに来る。ヨウコの場合はなぜか拳銃をぶっ放して起こす。あの時は何事かと親衛隊が大ぜい駆けつけて大騒ぎになったよな・・・・
だが起こしに来た相手は無言だが気配は感じる
「よいしょ・・・・」
と声が聞こえた。この声は詩乃か・・・・・少し前に俺と婚約を結んだ女の子。前髪で顔は隠れているんだがめっちゃくちゃ可愛い。
まさかあんなに可愛い子と婚約を結ぶなんて元の時代で生活していた俺には想像もつかなかったろうな
「弘樹様・・・・本当にまだ寝ていらっしゃるのですね?」
と、そう言う声が聞こえる。本当は起きているのだが、彼女がどういう起こし方をするのが気になるため俺は狸寝入りをすることにした
だが、彼女は俺のそばに座ったまま何もしない。
どうやって起こすのか考えているのかな?でも心なしか彼女から花のようないい香りが漂ってくる。
「・・・・弘樹・・・さま?いいえこれではダメですね?」
そう言いまた考え込んでしまう。何が駄目なのか俺には分からない
「そうですね・・・・やはり」
そう言うと何やらごそごそと動き布団がめくれ朝の清々しい空気が流れ込む
「よいしょ・・・・」
と、詩乃が布団に入りこもうとする。え?もしかして添い寝か?いや確かに俺たちは婚約関係だけど・・・・そう思うのもつかの間、
「・・・・やはりこれもダメですね」
と布団から出てしまう。なんか残念な気がした・・・・いったい彼女は何をしたいのだろうか?
「他に起こす方法・・・・・気持ちの良い目覚め・・・」
と俺のそばでぶつぶつと呟く詩乃。どうやら、どうやったら俺が違和感なく自然と気持ちよく起きれるか考えてくれたみたいだ。
そんな気遣いしなくても、ゆすって起こしてくれればいいのに
「そうですね・・・・・どうすれば・・・」
そう言い彼女は考え込んでしまう。これ以上の狸寝入りはかわいそうだな
「・・・・・何をしているの?」
「ああ・・・・お目覚めになりましたか」
俺が目を開けると詩乃がニッコリと笑って言う。何その笑顔マジで天使なんだけど・・・
「うん。起きたけど・・・・何を考えてたのかな?」
「はい。弘樹様に心地よい目覚めをと思いまして・・・・他人に慌ただしく起こされるのはなかなか深いですので、できれば弘樹様に自発的に起きれる方法を考えていました」
「そうか・・・・ありがとな。詩乃」
「い、いいえ。私はまだ何も」
「いや。俺のために考えてくれたんだろ?ありがと」
「お、お喜びになられて何よりです」
俺は彼女に礼を言うと詩乃は顔を赤くしてしまう
「だが、詩乃。俺は君の声で起こされる方が好きかな?不快じゃないし普通に起こしてくれればいいよ」
「そ、そうですか?」
「ああ、みんなそうしているし、ヨウコなんか耳元で銃をぶっ放して起こすんだぞ?」
「銃をぶっ放す・・・・・」
詩乃は若干引いた表情をする。まあ、そりゃそうだろう
「いや、詩乃が銃を使わなくてもいいんだ。詩乃が枕もとでささやいて起こすのもよし、詩乃のやりやすいように・・・・」
「弘樹様・・・もしや。先ほどは寝たふりをしていたのですか?」
「まあ・・・そのなんだ。詩乃が入ってきたのと同時にね。詩乃がどうするか気になったから、気に障ったらごめん」
「構いません…敵の手の内を探るのは戦の基本ですから」
「敵って…詩乃は敵じゃないだろ?」
「物の例えです」
「そうか・・・・」
物の例えというにはいささか奇妙だが・・・・まあ良しということにしよう
「じゃあ、ついでに訊くけど、詩乃は何で布団に入ろうとしたの?」
「そ、それは・・・・///」
そう言うと詩乃は顔をまた赤くし少しもじもじする
「お、お布団に入って、耳元で優しく声をかけて起こす方がいいと思ったのですが・・・・」
何、その夢みたいな起こし方。毎日してほしいんだけど・・・・
「私の体じゃ貧弱で・・・・・」
「え?」
「いえ、なんでもありません秘中の秘です」
小声で何か言っていた気がしたんだけどなんか誤魔化された。まあ思いついてやろうとしたけれど恥ずかしくてそれができなかったってところか。少し残念な気がするけど、まあ当然か
俺がそう考えていると
「弘樹さん・・・・お目覚めですか?」
と、親衛隊服を着た桔梗さんがやってきた
「ああ。桔梗おはよう」
「おはようございます。お食事のご用意ができましたので、詩乃様もご一緒に」
「分かった。それじゃあ詩乃。行こうか?」
「は、はい」
取りあえず俺は詩乃と桔梗とともに朝食をとるべく部屋を出るのであった