美濃斎藤家当主である斎藤義龍が亡くなり、次期当主がその娘、斎藤竜興となったのだが、斎藤家家臣たちはそのことを織田に知られれば攻められる可能性があるため、箝口令をしいていた。
当然ナチスにも秘密にはしていたのだったが、ナチスと深い関わりを持つ西美濃三人衆の一人安藤の口から知らされていた。
そのため、弘樹は最高幹部を集め会議を開くことにしたのだ
「全員集まったな?」
「はい」
那智城の内部にある総統会議室に弘樹他、美緒、ヨウコ、鶫、桔梗らと言ったナチス大幹部が集まっていた。そしてその大幹部の中には詩乃の姿もあった。
彼女もまた、ナチス幹部となり、役職も軍師兼ナチス参謀総長という高いくらいにいた。理由としてはただの総統の妻だけではなく軍師としてそして参謀の地位につかせるべきと桔梗の推薦があったからだ。
桔梗も参謀の地位にはついている者の戦略としては力不足であり本来の任務は密偵。そのため参謀には知略のある軍師が必要不可欠との進言がありそこで桔梗は詩乃を参謀総長にと推薦したからだ
もちろん弘樹もそれを了承した。弘樹は詩乃にそのことを話すと彼女も承諾し、他の幹部も彼女を迎え入れたのだった。
そして今現在円卓の机を中心としハーケンクロイツの掲げられている旗の下に弘樹がそしてそれを囲うように幹部たちがいて会議をしていた
「総統・・・・それで今回の会議の議題は?」
鶫がそう訊くと弘樹は
「まず、本題に入る前に。桔梗さん。例の「ペーパークリップ作戦」の報告を聞きたい」
弘樹の言うペーパークリップ作戦とは優秀な人材をナチスの戦力として勧誘させる作戦であり、これからナチス戦力拡大のため優秀な人材。つまり幹部士官級の人材を探していたのだ
「はい。東の地から西の地まで人を送り、探しております。そして・・・・総統が依然おっしゃられた川並衆棟梁、蜂須賀正勝についての件ですが、態度保留でした」
「そうか・・・・」
蜂須賀正勝・・・「尾張の川並衆」と呼ばれる土豪であり野武士。のちの豊臣秀吉の宿老になる人物だ。それに一個軍団ほどの兵力を持つ人物であり工兵などの仕事なんかのプロだ。できれば我がナチスに欲しい人材だが、まあ、のちの報告を聞けば蜂須賀の土地の住人も那智領に来ているし
、その住人たちを通して得だと感じればこっち側につく可能性もあるし、万が一は俺が直接交渉すればいいな
そして他にも人材確保についての報告を聞いたが数はかなり少なかった
「最後に、伊賀忍者の霧隠才蔵他、その配下の者が現在こちらへと向かっている。とのことです」
霧隠才蔵・・・・真田十勇士の一人であり、真田幸村に仕えた架空の忍者と言われた人物だが、この世界では存在し、桔梗さんの知り合いみたいで声をかけたところ同志になってくれることになった
「そうか・・・・ご苦労だったね桔梗さん」
「いえ」
そう言うと俺は次の話題を話した
「さて・・・・ここからは本題に入ろう。皆も知っている通りに、美濃斎藤家当主斎藤義龍公が亡くなられた」
義龍の死は美濃三人衆の一人である安藤から話を聞いていた。現在西美濃三人衆もナチスの同志となっている。
「今は稲葉山城城下では箝口令が敷かれてはいるが、今現在実権を握って政をしているのはご息女の竜興殿だ。だが、どうやら彼女は政には興味がないらしい・・・・・桔梗さん」
「はい」
そう言うと副総統であり諜報機関の責任者である桔梗が書類を手に立ち上がり
「現在、諜報機関『ショッカー』の斎藤家内部を探る密偵からの報告によれば、竜興殿は政には一切手を出さずに酒やら蹴鞠などの遊びに興じ、彼女の重臣である斎藤飛騨殿は重臣の立場を利用し、横領、城下町の住民の税を増やし、それに反抗する者の逮捕、もしくは品物金品を巻き上げるなどの行為を繰り返している・・・とのことです。実際私も様子を見に行きましたが、城下では商人の出は減り、その場にいた斎藤家の武士が商人の金品や商品を強奪したりとの蛮行をしておりました」
桔梗の報告が終わると、美緒たちは
「武士にあるまじき行為だな・・・・」
「許せない・・・・」
「自分で敵を作るようなことをするとは…情けない人たちですね」
と、呆れてそう言い詩乃は
「義龍様が病に伏していた時に竜興たちにその兆候がありましたが・・・・・そこまで落ちていたとは・・・・」
と、あきれるのと若干悲しそうな表情でそう呟く。ナチスに入党した彼女であったが、やはりかつていた斎藤家がそこまで落ちたことが悲しいんだろう
「それで総統・・・・どうしますか?ついにやりますか?」
国防軍軍司令長官である美緒がそう訊く。彼女の言う意味。それは『斎藤家を攻め滅ぼすか?』とのことだ。それはナチス設立時に斎藤家が民を疎かにするような大名であれば武力で追い払うという物だ。ナチスこと国民社会主義労働者党の設立時は軍事と経済が安定していないためそれが実行できなかったが、今現在のナチス湖と那智党は事実上西美濃を支配し、軍事力も経済力も安定し、数年は戦ができるほどの物資が豊富にあった
「・・・・・美緒さん。国防軍の方はどうですか?」
「はっ、今現在国防軍の数は約3万人。兵の士気も高いです」
現在の国防軍の総勢は三万であり、その中には戦車や大砲を装備した部隊がある。無論鉄砲隊もいる。ただ鉄砲隊の使う鉄砲は火縄銃ではなく有坂産中心とする鉄砲鍛冶屋にて作られた単発式ボルトアクション式の銃となっていて、他にも青銅で作られた長砲身型の4斤山砲も装備されている
「ヨウコさんの擲弾軍団の方は?」
「こっちも兵の練度もばっちり・・・」
弘樹の言った擲弾軍団とはヨウコ事杉谷善住坊を中心とする、鉄砲を主力とした狙撃兵軍団である。使用する鉄砲はこの時代では一番の命中率を誇るマウザーの98kライフルを使用している。そして使用者の擲弾兵は国防軍、親衛隊の中で射撃がかなり上手い人物が所属している。
「鶫さん。武装親衛隊の方は?」
「はい。現在のところ、一万弱の兵となってはいますが、同じく戦に出ても戦えるほどの練度はもっています」
武装親衛隊。ナチスドイツでは親衛隊の中の武装兵力だったが、ここでは精鋭を集めた選りすぐりの精鋭部隊となっており、鶫さんはそこの最高責任者だ
「総統。いつでも戦える準備ができています」
鶫さんがそう言う。
『もし私がなくなった後竜興がこの国を治める器でないと判断したのならお前がこの美濃を収めよ。私亡き後の美濃・・・・・任せてもいいか?』
不意に弘樹の脳内に義龍の言葉が聞こえた。彼女と初めて会った時に弘樹は義龍にもし自分の娘である竜興に美濃を収める器ではなかったら代わりに美濃を譲ると言われ、さらに美濃一国を譲る『美濃譲り状』彼女から直接渡され今なおその譲り状を大事に持っている
そのことは詩乃も知っており、義龍にも
『お前は十分斎藤家に尽くしてくれた・・・・これからは好きに生きろ』
と言われていた。だからこそ彼女はナチスに入党したのだ
そして弘樹は
「(・・・・義龍さんの約束・・・・美濃譲り状の約束。そろそろ果たす時が来たようだな)」
実際竜興は美濃を収めるどころか好き勝手やり民を苦しめている
弘樹は義龍と交わした約束を果たすべきと感じた・・・・
「そうだな・・・・そろそろやるか・・・・美濃盗りを」
「っ!?では!!」
「ああ・・・・みんな。俺は義龍公に渡されたこの譲り状を大義名分に美濃全土を取ることに決めた」
「いよいよやるんですね?」
「ああ。だが決行は準備のことを考え10日後に決行する。それまで各自、斎藤家に悟られないように兵の鍛錬や武器の手入れなどの準備を怠らないように心がけてくれ・・・・・ジークハイル!」
と、弘樹は幹部たちにそう言い右手を上げると、詩乃を除いた幹部も立ち上がり右手を上げて
「「「「
と、声を上げるのであった