東美濃。斎藤家本城である稲葉山城に来客が来た
「本日は私の妻の見舞いに来ました。どうか城門を開けられよ」
ナチス総統である弘樹と他数名のナチス党員が稲葉山城にやってきたのだった
事は数日前に遡る。計画通り、詩乃は斎藤家の人質として稲葉山城に戻った。だが・・・・
「竹中殿・・・・おめおめ我が主。竜興様の居城。稲葉山城に戻ってくるとはいやはや情けない。さすがは東美濃のやせ武士。さすがはならず者・・・ナチスの妻であるな。所詮風下の武士はしょせん、はるか風下へと着地する運命なのであろう」
と、斎藤竜興の重臣。黙っていればかわいい姫武将。斎藤飛騨に罵倒されていた
すると詩乃は
「飛騨殿。私が武士の風上であれば、
得意の毒舌で飛騨に講義すると飛騨の目つきが吊り上がり
「相変わらず減らず口を!」
「減らず口というのは、自分勝手な理屈を捏ねるという意味・・・・・そう、斎藤飛騨殿の仰りようはまさに減らず口と言えるでしょう」
「な、何を!」
詩乃の言葉に彼女はかっとなるがすぐに冷静となり
「・・・・ふっ。所詮は田舎侍でありあの野良犬のナチスの妻・・・・奥方がこうであれば夫であるあの那智弘樹もろくでもない男なのだろう」
と、そう言うと詩乃は少し目を細め
「ろくでも…ないですか・・・・・我が夫。那智弘樹は今現在の斎藤家よりも立派に国主を務め、何よりあなた方よりは比べならない立派なお人です。侮辱は止めていただきたい。それにあの方は野良犬などではありません・・・・誇り高き狼です。美濃を毒で犯し蝕む毒蛇と違って・・・・・」
その言葉に飛騨はついに切れ
「う…うるさい!うるさい!うるさい!!」
と、そばにある木刀を手に取り
「気に入らない!あの男もお前も!!本当に気に入らないっ!!竜興様に変わり、斎藤家に逆らえばどうなるか教えてやる!!」
そう言うや否や、木刀で殴りかかろうとした瞬間!
「何をしておられるのです飛騨殿!!」
「「っ!?」」
そこに現れたのは、斎藤家家臣であり主君龍興の叔母、長井道利であった
「おやめなさい飛騨殿。人質は大事な交渉材料です」
「し、しかし・・・」
長井に言われ渋る飛騨だが、長井が彼女の耳元へ行き
「それに今現在の竹中殿はそのナチスから金品を搾り取れる金蔓・・・それはよくお分かりのはずですが?」
「そんなことはわかってる!龍興様もそれをわかって、嫌がらせも消極的にされている。だが、もし人質が大切だというのであればもっと上乗せするようにやつら言うべきだな」
「ごもっとも・・・・しかし竹中殿に嫌がらせをしていると連中に知れたら、西美濃まとめて謀反やむなし・・・・・連中は亡き義龍様の恩義で大人しくしているにすぎません。奴らの技術力は我々を凌駕していることを忘れ無きように」
「分かってる!」
長井の言葉に飛騨は頷くと
「運がいいですな竹中殿。今回は長井殿に免じてここで引きましょう・・・・・ただ」
そう言うや否や飛騨は詩乃を平手打ちし張り飛ばすと
「斎藤家に楯突こうものなら、もっと痛い目にあうことを覚悟されるがいい!」
と、そう吐き捨て長井とともに去っていき、張り飛ばされた詩乃はその姿を恨めしそうに見ていたのだった
だがその後も飛騨は詩乃に対し酷い嫌がらせをし続けるのだった
ある日のこと
「飛騨守様!!」
と、斎藤家家臣の男が現れる
「どうした?」
「はっ!竹中様が病にお倒れになりました!激しくうなされ苦しんでおられます!腕のいい医者に見せても原因はわからぬとのことです」
「な、なんだと!?」
その言葉に飛騨は驚く
「(まずい・・・以前平手打ちしたせいか?いや前に井戸の冷水を頭から被せたのが原因か!?大事な金蔓が死んでは元も子もない!どうすれば!)」
自分がしてきた嫌がらせで詩乃が病に倒れたと思った飛騨は顔を青ざめどうすればいいか考えると、家臣の男性が
「飛騨様。発言、宜しいでしょうか?」
「なんだ?」
「那智領では優秀な人材を集めており、医学に精通した者も多数、集まっているという噂も・・・・竹中様を直せる手掛かりがあるやもしれません」
男の言葉に飛騨は考える
「ううむ・・・仕方ない。那智弘樹に連絡しろ!後、見舞に金品をたくさん積めと言え!」
そう言うと飛騨は去り、残された男はすっと立ち上がり、廊下を歩くと二人の斎藤家家臣の男性と出会う。そして右手を上げ
「ジーク・ハイル」
というと二人も軽く右手を上げ
「「ハイル・フューラー」」
そして時は戻る
「本日は私の妻。竹中半兵衛重治の見舞いに来ました。見舞いの品のほか、龍興様の献上品。そして城を守備する皆様方への慰労に品々をご用意しました」
親衛隊や国防軍の隊員を引き連れたナチス総統である弘樹が城門で待っていた飛騨にそう言うと、飛騨は弘樹の後ろにある献上品を見て
「これはこれは那智殿。わざわざご苦労。だがしかし、ここは国主竜興様の居城。不審なものを持ち込ませるわけにはいかないため検分させてもらうぞ!」
献上品の中に武器が隠されていないかどうか確認するというと弘樹は
「飛弾守殿・・・・・ここは検分したということで通してはもらえませんか?妻に早く会いたいので…もちろんタダとは言いませんよ」
そう小声でそう言い、飛騨の袖の下に、砂金の入った大きい巾着を入れる。それを見た飛騨はニヤッと笑い
「う・・・うむ。聞いてやらぬこともない」
と半ば嬉しそうに言う中、弘樹は
「(やはり乗ってくると思ったな・・・・・桔梗さんら「ショッカー」の報告は訊いている。お礼の品を龍興に報告していないのも、俺が支払っている詩乃の生活費代の大半を横領していることも・・・・なら)土産物をお見せしろ」
「はっ!」
親衛隊員の一人にそう言うと、積み荷にかぶせている布をまくる。そこには米俵や酒樽はもちろん海外の珍しい物や反物などが大量に積まれていた
「御覧の通り、各国の名品。そして酒や米などはもちろん我が量で採れた作物や反物。さらに堺から取り寄せた唐物や南蛮の高級品をご用意しました…お世話になっている斎藤家の皆様へのお礼の品々です」
弘樹の言葉にそ名を見た飛騨は目の色を変えうろしそうな満面の笑みを浮かべ
「よしっ!事前にもらった目録通りだな。よしこいつらを通せ!」
「え?飛騨様。一つ一つ検分しなくてよろしいのですか?」
見張りの足軽が飛騨に言う。彼の言うことももっともなのだが、飛騨は
「それでは時間が掛かりすぎる!一刻も早く竹中殿を医者に見せた方がいいだろ!」
「いや、しかし・・・・」
「何だ貴様。私の命令に逆らうのか?」
「い、いえ!申し訳ございません」
飛騨の人睨みに足軽はダメッてしまう
「お心遣い感謝します飛騨殿・・・・・・それとですが貴殿への心づけの品々もあちらの荷物の中にございます」
「あとでゆっくり確認しよう」
弘樹がそっと小声で飛騨にそう言うと彼女は嬉しそうにニヤついていた
それを見た弘樹は
「(検分などしていては自分の懐にも入らないからな・・・・それに俺も都合が悪い)」
弘樹は荷車を見る
「(この荷車は二重底になっている・・・・もちろん中身は刀とライフルとサブマシンガンなどの武器だ。あとは夕食に清酒を振る舞うだけだ・・・・・)」
心の中でそう思いながら弘樹たちは無事に稲葉山城の中へ入ることに成功した。
この時、飛騨はもちろん斎藤家は知らなかった。
今夜、この城で地獄が待っていることも知らずに・・・・・・