戦国†恋姫Ⅹ 戦国の独裁者   作:疾風海軍陸戦隊

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稲葉山、狼の長いナイフの夜

その日の夜、稲葉山城内では弘樹たちの振る舞う酒や料理でにぎわっていた。

その中、詩乃がいる部屋の前にいる斎藤家の家臣が胡坐をかいて、その宴の声を聴き羨ましそうな表情をしていると

 

「竹中様の見張りの交代に来ました」

 

「おうっ待ってたぜ!」

 

若い男性がそう言うと嬉しそうに立ち上がりよだれを垂らしながらその場を去ると、交代した男性は戸を軽くたたく。

そして中では

 

「…合図のようだな。もう芝居はいいよ詩乃。みんな」

 

弘樹がそう言うと、中にいた那智党大幹部と詩乃はほっと息をつく

 

「いやはや。緊張しましたな・・・・」

 

「美緒でも緊張する時・・・・あるの?」

 

「ヨウコ・・・・お前はなにが言いたいんだ?私だって緊張する時はあるぞ?」

 

と、話す中弘樹は

 

「それにしても、かなりの人質代と生活費の大半を横領している飛騨にしては珍しく。素敵な部屋を用意してくれたんだな・・・・」

 

俺は詩乃が生活していた部屋を見渡す。部屋は広く、窓もあり、さらには親切に花瓶に花が添えられていた。そして詩乃の部屋の隣には傍付きの部屋があるため、人質の部屋としてはかなり優遇されていたみたいだ

 

「はい…飛騨はともかく、美濃斎藤家の中にも那智党を支持する重臣も多くいるため、部屋は来客用のが用意されていましたから・・・・それに飛騨の嫌がらせや龍興様の嫌味言を除いては、とても安心して過ごせました」

 

と、少し微笑んで言う詩乃。飛騨と龍興の詩乃に対しての嫌がらせは、諜報員からの報告を聞いていた。わざとぶつかって転ばせたり、冷や水をかけたり、自身の存在を否定するような暴言を吐いたりと・・・・

 

「詩乃…本当に待たせてごめんね。辛かっただろ?」

 

俺は彼女の手を取り申し訳なさそうに言うと詩乃は首を横に振り

 

「いえ・・・これも作戦です…それに弘樹様が必ず来てくださると信じていました」

 

と微笑んでそう言ってくれた。俺は涙が出そうになった。すると

 

「失礼します」

 

と、桔梗と親衛隊服を着た金髪で青眼の少女が入ってきた。彼女は最近、ナチスに入党し、親衛隊に配属になった桔梗と同じ忍者。霧隠才蔵。通称は霞という。そして彼女は右手を上げ

 

「ジーク・ハイル」

 

と合言葉を言うと俺と幹部も軽く右手を上げる

 

「それで桔梗さん。霞。様子はどう?」

 

「万事上手く事が運んでいるようです」

 

「具体的に頼む」

 

「一般の武士や兵士は食事と一緒に清酒を口にて、その大半が酔っているとのこと。守備兵にも食事で振舞われた清酒の噂を流し、今まさに清酒を守備兵が飲んでいる真最中です。合図と同時に織田信長の不意打ちだと城内に触れ回る手はずも整っています」

 

「そうか。さすがだよ桔梗さん。霞さん」

 

「お褒めの言葉、恐縮です」

 

と、嬉しそうに頭を下げる桔梗と霞。そして俺は詩乃に

 

「詩乃。ここはもうすぐ戦場になる。お前は親衛隊の人と一緒に安全な所へ避難してくれ」

 

とそう言うが詩乃は首を横に振り

 

「いいえ。私も同行します」

 

「詩乃・・・・でも」

 

「それに私は斎藤家の最期を見届ける義務がありますので」

 

「詩乃・・・・わかったでも俺の傍にいてくれ」

 

「分かりました」

 

詩乃の力強い言葉に俺は頷いた。そしてその場にいた幹部や国防軍、親衛隊の兵を見て指示をした。

 

「武装して斉藤飛騨とその一味、そして斉藤龍興を討つっ! 泥酔している者であっても容赦するな、非戦闘要員以外は全て討ち取れっ!稲葉山城内の異変を絶対に外に漏らすな!」

 

「「「ハイル!!!」」」

 

史実のように綺麗に奪取し、斉藤龍興を逃す訳には行かない。西美濃から稲葉山城までを一気に勢力化に置く。そして斉藤龍興を討ち、国人衆たちの拠りどころを無くして美濃を掌握する。すでに国民の指示は那智党に行っている。そしてプロパガンダとして、土岐市から土地を奪い、土岐の名をかたる斎藤家に天誅を下すという手配も桔梗さんの手で完全である

 

そして全員がモーゼル銃か槍、そしてMP40を手にシュタールヘルムを被った完全武装の国防軍と武装親衛隊。そして、桔梗さんも親衛隊服から、忍び装束の格好をして完全武装していた

 

「桔梗さんが先導するっ! その者たちに付いて国防軍・武装親衛隊は非戦闘要員以外は片っ端から討ち取れっ! 桔梗さんたち諜報員は並行して織田信長の不意打ちだと触れ回れっ! 狼作戦!開始!!」

 

俺の号令の元、国防軍と武装親衛隊、分隊一気に駆け出した。

 

 もちろん、俺もじっとしてなどいない。

 

 

 二ヶ月前に行った悪党たちと破戒僧たちの住んでいた寺の襲撃がフラッシュバックする。

 

 泥酔させて油断したところを、完全武装の一団で一気に叩く。こう言うと酷似しているが状況はこちらの方が酷い。何しろ悪党や戦闘経験のない僧侶ではなく相手は武士と兵士だ。さらにあの時とは比べ物にならないほどに少人数。

 普通ならこんな戦いは挑まないよな。いや、こんなこと計画しない。史実の竹中半兵衛・・・・俺の奥さんは本当に天才だと正直思ったよ

そして場内にいる、泥酔した斎藤家の兵士たちはナチス軍のMP40サブマシンガンや槍によって討ち取られた。

 

「・・・・・撃て!」

 

ヨウコの号令に続いてMG42機関銃とマウザー銃の銃声が城内に響き渡る。

郭から本丸へと向かってきた兵士たちへ向けての射撃だ。知らない者が見れば、触れ回っているデマのように進入してくる織田軍への射撃に見える。実際は本丸の異変に駆けつけて来た斎藤軍兵士を射殺している

酔いと混乱の中、急速に城内の兵士が減っていくのが分かる。

 

「今のところ順調だな・・・・・」

 

俺がそう呟くと、

 

「見つけたぞ!逆賊め!!」

 

と、一人の斎藤家の兵士が飛びかかってきた

 

「くっ!」

 

剣は間に合わない。俺はホルスターから、ワルサーP38を取り出そうとしたが、銃を向けた瞬間、その兵士が俺にタックルしてきて揉み合いになった。そして兵士が脇差を抜きをレの首に突き刺そうとするが俺は必死にその腕をつかみ抵抗する。すると

 

パァーン!!

 

銃声が鳴り響いた。だが俺のワルサーではなかった。その銃声が鳴り響いた時俺を殺そうとした兵士の口から血が流れ倒れる。そしてその兵士の背後にはワルサーppkを持った詩乃がいた。それは護身用に俺が詩乃に渡したものだった

 

「ひ、弘樹様!ご無事ですか!!」

 

俺は死んだ兵士をどかし、一息つくと、詩乃が慌てて俺に駆け寄った

 

「ああ・・・・詩乃。助かったよ」

 

俺がそう言うと詩乃は俺の胸に飛び込み

 

「本当に・・・心配しました・・・・どうか無茶はなさらないでください」

 

「ああ…なるべくそうするよ・・・・ありがとう詩乃」

 

俺は詩乃の頭を撫でてそう言う。本当に可愛い奥さんだよ。ここまで心配されて俺は本当に幸せ者だ

俺がそう思っていると

 

「総統!お怪我は!?」

 

と、太刀を片手に鶫さんが現れた。体は相手の返り血なのか少し赤く染まっていた。

 

「大丈夫だ。詩乃が助けてくれた」

 

「そうですか・・・ですが、また襲われるかもしれません。私の傍についてください」

 

「分かった。そうするよ」

 

そう答え、周囲に目を向けると、少なくとも俺の目の届く範囲の戦闘は終息に向かっていた。下の階では美緒が降伏した兵に武装解除を勧告し、銃を突き付けられたものは潔く武器を手放し両手を上げた

 

「報告!」

 

と、そこへ霞が現れ

 

「美濃斎藤家の重臣、長井、日根野、日比野を打ち取ることに成功しました。ただ、斎藤飛騨。斎藤竜興の姿が見えません」

 

「・・・・そうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ!あの野良犬どもめ!!」

 

一方、斎藤飛騨はボロボロになりながらも城から脱出しようとしていた

 

「今に見ていろ!必ずや復讐をしてやる!!」

 

と憎しみ気にそう言うのだが・・・・

 

「果たして、その機会はあるでしょうか?」

 

「っ!?」

 

目の前に声がし、前を見る飛騨。そしてその先にある闇から、スゥっと桔梗が現れる

 

「き・・・・貴様は!!」

 

「あなたたちの時代は終わりました。ここは潔く諦め降伏してください。今なら私が総統に口添えして死を先延ばしにすることが可能ですよ?」

 

とそう言うのだが・・・

 

「ふ、ふざけるな!!誰があんなのならず者に降伏などずるものか!我々は蝮!毒蛇だ!いずれ我々斎藤一族が天下を取り!すべての頂点に立ってやる!そして貴様らや竹中半兵衛は我々をコケにした報いで死んだほうがましに思える苦痛を・・・・・」

 

「これでもまだ減らず口が言えますか?」

 

飛騨がそう言いかけた時、桔梗は血塗られた小太刀を布で拭っていた。

 

「・・・・・え?」

 

桔梗が言ったのと同時に彼女の右腕が落ち、切り落とされた右腕から大量に血が溢れた。桔梗が目に見えない速さで彼女の腕を斬り落としたのだ

 

「う・・・うわぁぁぁーーーー!!!手が!!私の手がっ!!」

 

パニックになりそう泣き叫ぶ飛騨に桔梗は彼女の胸ぐらをつかみ

 

「天下を取り頂点に?・・・・何を血迷ったことを言っているのですか?」

 

「ひっ!?」

 

桔梗の氷のように冷たい瞳に飛騨は恐怖を感じ

 

「天下を取り世界の頂点に達し、そしてこの日ノ本を統べる王は総統閣下ただ一人!!」

 

普段物静かな桔梗が、怒りの表情で飛騨にそう怒鳴る。そして桔梗はルガーを飛騨の額に突きつける

 

「最後の情けです・・・・最後は痛みを感じさせないようにあの世に送ってあげるわ」

 

「や・・・やめ」

 

そう飛騨は震えながら命乞いをしようとしたが桔梗は容赦なく引き金を引き、飛騨は即死した

 

 

 

 

 

 

「総統閣下。先ほど桔梗様が斎藤飛騨を討ち取ったとのことです」

 

「そうか・・・・あとは斎藤龍興だけか・・・・・」

 

残りは斎藤家当主である龍興だけ・・・・そう思っていると

 

「弘樹・・・・戻った」

 

「ああ…ヨウコさん」

 

そこへヨウコさんが何かを担いで戻ってきた

 

「ヨウコさん・・・・それは?」

 

俺が訊くとヨウコは担いできたものを下ろし指をさして

 

「斎藤龍興・・・・・・城下の下にある小舟で川を渡って逃げようとしたから仕留めた」

 

ヨウコは指さしたのは眉間に穴をあけ即死した、斎藤龍興だった。ヨウコの話では城裏にある川を見てきたところ、小舟で脱出しようとしていた人物を発見し、それを狙撃して討ち取ったら、それが斎藤龍興だったということだった

 

「そうか…お手柄だよヨウコさん」

 

俺がそう言うとヨウコはニコッと笑い。そして周囲から勝鬨が上がる

 

「総統。ご命令道理降伏した者たちの中で我が党に臣従を申し出たもの、非戦闘員は牢に閉じ込めておきました」

 

「ありがとう美緒さん。後で私が直々に話をするよ」

 

俺は美緒に言う。この後は美濃平定と忙しくなるし無用な敵を作る必要はない。討ち取られたものの一族も女子供が無事ならば寝返る人も出るだろう

 

「総統‼勝鬨を!」

 

鶫さんの言葉に俺は頷き。俺は右手を上げ

 

「ジーク・ハイル!!」

 

と俺がそう言うと皆頷き

 

「ハイル!フューラァー!!!」

 

「ジーク・ハイル!!ジーク・ハイル!!!ジーク・ハイル!!ジークハイル!!!」

 

俺の言葉に皆も右手を上げ声を上げ、勝鬨を上げるのだった

 

こうして美濃の毒蛇は倒れ、新たに鍵十字を掲げる狼が美濃の政権を取ることになるのだった

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