美濃斎藤家は那智党のクーデター作戦。通称「狼作戦」によって壊滅した。
討ち取られた斎藤龍興は首を取ることもなく、丁重に斎藤道三、斎藤義龍が眠る墓地へと埋葬された。
そしてクーデター成功から翌日。那智党が休む時間は無かった。
そう戦後処理だ。
「現在、稲葉山城に那智党の国防軍、および旧斎藤軍の兵が入り、戦後処理をしています。現在は島様の指揮の元、織田軍の監視体制に入っています」
「ご苦労、それと周囲にはまだクーデター…反乱成功の報は出すな。幟も那智党ではなく斎藤家の二頭波紋はそのまま掲げてくれと島司令官に伝えてくれ」
「了解しました」
「総統。新聞社には今年の5月25日に公表するように言いました」
「ちなみに内容は?」
「はっ!斎藤龍興の重臣、斎藤飛騨及び長井が反乱。そしてその反乱を止めるため、竹中半兵衛と那智党は大悪党飛騨、長井を懲らしめるため立ち上がったしかし、飛騨、長井は反乱が失敗し、主君斎藤龍興を道連れに自害す・・・としています」
「よし、
「了解しました!」
と、現在俺は、戦後処理…つまり美濃平定への仕事に追われていた。
戦も仕事も後始末が非常に大変である。クーデターが成功してもそれで終わりではない。美濃の平定をしないとすぐに周辺諸国に攻め込まれ瓦解する。しっかりと地盤を固めなければならない。
そのため、今現在忙しい一日を過ごしている。
まず最初に、東美濃は俺たち那智党が押さえている。しかし東美濃。国主は現在不在だ。そのため守護職*1であり元々の持ち主である土岐頼次が必要だ
なぜなら、このまま美濃の国主を務めると不要な敵を作る可能性があるのだが・・・・・・
「・・・・え?美濃を任せる?」
「はい」
俺は桔梗さんの言葉を聞いて唖然とする。桔梗さんら親衛隊秘密諜報機関「ショッカー」の情報網で頼次も場所が見つかりすぐに桔梗さんの部下である霞さんを使者として送ってきたのだが、
帰ってきた返答は「那智党党首である那智弘樹殿に美濃一国をすべて任せる」という、予想外の返事だった
「詩乃・・・・・」
「はい」
「これって冗談とかじゃないよね?あとから「ごめん、うっそ~」とか言われるとかじゃないよね?」
「私に訊かれても・・・正直私自身も驚いていますし・・・・」
俺の言葉に詩乃も同じように困惑した表情だ。それもそうだろ、俺自身も混乱している。
普通なら美濃国主に返り咲けるチャンスなはずなのに?
「すみませんが書状をもらってもいいですか?」
「はっ!」
詩乃の言葉に霞は書状を渡し、目を通す・・・・・
「なるほど・・・・・」
「なんて書いてあるんだ?」
軽くため息をつく詩乃に俺は訊いてみると、詩乃は俺に書状を渡し俺は見る
「・・・・・詩乃はこれ、どう思う?」
「大方、劉禅*2の言葉に呆れる司馬昭の気持ちになった気分です」
「…だよな、俺も同じ気分」
俺も呆れた表情で答えた。書状の内容は霞さんが伝えたのと同じで、頼次は今暮らしている場がとても快適であり美濃国主に戻る気は一切なく、美濃統治を那智党総統である俺に全部任せると大まかに言えばそう書かれていた。確かに詩乃の言う通り、呆れたくもなる
「弘樹様は劉禅のこと知っているので?」
「まあね三国志は基本好きだし。まあ俺は「諸葛亮でも救えない」と言われる人物にはならないよう気を付けるよ。詩乃に愛想つかされたら嫌だしね」
「その呼び名はあまり好きではないので、おやめください弘樹様」
ジト目で俺を見る詩乃。詩乃の仇名は「今孔明」と呼ばれているが、本人はその仇名は嫌らしい。
すると副総統である桔梗は
「なら、これで美濃は事実上、弘樹さんの土地ということになりますね」
「まあ、結果的にはそうだな・・・・」
予想外の展開に俺はそう呟く。去年まではただの高校生だった俺が戦国時代で一国の大名になるんだからな・・・・
「確かに、義龍様の「美濃譲り状」に美濃守護職、土岐頼次に美濃を任せるという書状。そして民の支持も多いいですので美濃国主になることはそう難しい問題ではないと思います・・・・」
詩乃が頷いてそう言う。確かに今、那智党を支持する美濃の国民の数は90パーセントを超えているし、俺のもとには義龍さんが認めた譲り状がある。そして前美濃守護職だった頼次にも美濃国主になることを認めてもらっている。条件は十分だ
「弘樹は不安?」
ヨウコさんが心配そうに訊くと
「まあ…少し前までただの高校生・・・・平民だった俺が美濃国主ってさすがにうまくいきすぎて逆に怖いかな・・・・・すまない情けなくて」
俺が軽く笑うと詩乃は
「大丈夫です弘樹様。あなた一人だけではありません。私やみんながいます。弘樹様もおっしゃってはいたじゃないですか。『みんなで平和な世の中を作ろう』と・・・一人で抱え込まなくていいのですよ?」
詩乃の言葉に、その場にいたヨウコ。桔梗。霞が頷いた
「詩乃様の言う通りです。弘樹さんは弘樹さんの道を行けばいいんです」
「うん…私も・・・美緒も手伝う」
「私も総統の意のままに」
と、皆そう言ってくれた。この場に美緒さんや鶫さんはいないけど、きっと彼女たちも同じことを言うだろう
「みんな・・・・本当にありがとう!感謝に絶えないよ!」
俺はみんなに礼を言う。そして俺の覚悟は決まった。
「・・・・覚悟は決まったのですか?弘樹様?」
皆が解散した後、残った詩乃は俺に訊いた
「ああ・・・・決まった。でもまだ少し怖いな」
「当たり前です。それで怖くないなどとおっしゃったら呆れてしまいますよ」
「だな・・・・」
俺はそう言い外の景色を見ると詩乃は
「奇麗な景色ですね・・・・」
「ああ・・・・ずっとこの景色を詩乃と見られたらな」
「平和な世になればきっとみられますよ」
と、詩乃は俺に寄りかかり俺も彼女に少し寄りかかる
「俺はまだ、未熟者だ。だから詩乃・・・・これからもみんなと一緒に支えてくれるか?」
俺がそう言うと詩乃は少し顔を赤らめ
「はい・・・・ずっと、あなたのおそばにいます・・・あなた」
と、そう笑顔で俺にそう言うのであった
その後、俺は集まった民衆に対し演説を始めた
「本日、我々美濃を収める那智党は君たち国民と共に平和な世への道へと進む!それと同時に新時代の始まりを示すこととなる!いずれは天下泰平の世。すなわち!戦や飢餓に怯えることのない平穏な時代がやってくる!」
皆が彼の演説を聞く中、弘樹の声は響き渡る
「我々ナチスは君たちに平穏な時代へと導くことを約束する!そして様々な障害を乗り越え!やがて手にする平和の世のため!未来に生きる子孫のため我々は君たち国民と共に戦い続ける!国民が平和な世を生きるために!これより我々は平和な世へと進軍する!!」
弘樹が言い割ると、副総統である桔梗も
「すべては国民のため!総統のため!我が総統に栄光あれ!総統閣下!!万歳!ハイル・フューラー!!フューラー!!ジークハイル!!!!」
と、大きく右手を上げそう言うと民衆から歓声が沸き、そして那智党員は那智党党かである「旗を高く掲げよ」を高らかに歌いだす
そして歌い終わると
「ジークハイル!!ジークハイル!!ジークハイル!!』
と右手を上げそう叫び、そして民衆もまた右手を上げそう叫び、
その声は美濃中に響き渡るのだった。
こうして那智党は美濃を支配し、
この外史の歴史に名を遺す国民国家を目指すファシスト政権が誕生したのだった