我々はこの物語を知らない
これは人が人を殺す物語
でも人が人に殺される物語でもある
空虚なかかしは重力加速度を受け
サボテンと猫は少年を裁く
静かな生ける屍は覚悟を持って全て凍りつき
南十字星の下で少女は復讐に燃える
これは人が、人を殺す物語。
「誰だって人を殺っちまうのは簡単さ、でもそうじゃないだろう?」
目の前の長身の男は、カビ臭く、年
代物のバーカウンターの奥で話を続
ける。
「例えばの話、だ。例えばの話、お前は本当に『あいつ』を殺してないとする。だとしてもだ。これからお前は十二人の人を殺す。 いや、お前『達』か?ハッ、今『それなら一人や二人殺しても変わんねえ』って思っただろ?『それ』だ。『それ』がお前の心の剣、精神の鎧になる。いいか、これだけは忘れるなよ?」
『殺意は強さと同義だ』
バーテンダーのようでどこか無機的な、予知スタンド「レボリューション」を自らの内に収め、長身の男はニヤついて消えた。
______________アメリカ、某州
(ひとは時に究極な不運である。究極な不運は『絶頂』の真逆にあり、そこに落ちるものは全て等しく孤独だ。)
「……まさに、この状況だぜ……」
一人のアメリカ人が、大勢の警官に銃を突きつけられ立っている。
足元には、美しく花のような__否、もともとは美しかったであろう枯れ葉のような女の死体がペンキをひっくり返したような量の血を撒き散らして倒れている。
「抵抗するな!おとなしく手を頭の上に回せっ!このグズ豚がッ!」
その呼び方はそっくりそのままあんたに似合いそうだな、とブライアン・ブラウンは心の中で悪態をつきながら太った警官に従った。
「あ、あのですねェ〜違うんスよおまわりさん…ほんとに、ほんとに、『降ってきた』んですよこの女がァ〜俺の真上から!鳩がフン落とすミテェな雰囲気で…」
「黙れェェ!!それ以上喋ったら許さんぞッ!!」
「…………………」
(やべえ……これはかなりリアルにやべえ……)
コツン
「…………?」
(足元に石が当たっただけか…いや?さっきまでこんなものはなかったはずだが…?)
思わず拾い上げたブラウンの指に、石の尖端が突き刺さる!
「いっ、いってェェェェ!!」
思わず寝転がり悶える。右親指からは尋常ではない血液が流れていた。
「動くんじゃあないと言っているだろうが!!ここで射殺されたいかこのスカタンがァ!!」
太った警官が威嚇射撃をブラウンの足元に向け放った。
「うおおおおおっっ!!!!!」
避けるために床を蹴った、その瞬間。
ゾァァァァァァァァァ
(なんだ…この…自分で自分を鏡で見つめているような不安感は…)
ゾァァァァァァァァァ!!
(うっ!こ、この『悪霊』はッ!俺の『側に立つ』この『悪霊』はッ!!)
「一体どういうことだァァーー!!!」
ブラウンから突如現れた半透明の剣闘士は、道路を砕き地下へと主を導く!!
「貴様、何をしたッ!!追え!!」警官達は慌ててその場で追いつこうとしたが、とうにブラウン達は消えていなくなっていた。
_____________地下水路
「ハァーー……ハァーー……なんだ…今のは…」
『スタンド』
「誰だッ!!」
ブラウンが即座に構えると、またあの『悪霊』が出現する。
「まァ落ち着きなよ大学生の旦那ァ……『スタンド』だよ。あんたのその『悪霊』はよ………」
ブラウンが目を凝らして見つめると、100mほど先に男が立っているのが見える。東洋人の様だ。
「なぁ、あんたあの娘、殺したんだろ?やっちまったなぁ……殺っちまったなァーーー!!!!!」
「違う!俺はやってない!!」
「否!あんたは確かに殺した!!その『スタンド』で!!!そして俺は!『あの方』のためにあんたを……殺す」
「何の話だァー!?冗談じゃねえ!!」
身構えるが、その東洋人は動かないどころか遠ざかっている様な気がする。
『ニャャオオオ〜〜〜ン』
「!?」
咄嗟に足元を見ると、三毛猫が鳴きながら歩いている。その口には……ダイナマイト。
「なんだってェェェ!?!?!?」
必死にガードするが間に合わない!!
2014年2月1日、アメリカ某州で、誰もいない筈の地下水路で大規模爆発事件が起きた。
「畜生あの野郎ォ〜〜逃げやがって
!!絶対ェ殺す!殺してやるッ!!」
東洋人は悪態をつきながら、血の流れでる右足を押さえ走った。
『あの方』のために。
To be continued………
『カクタス・アンド・バントライン』
破壊力A スピードE 精密性B 射程距離B 成長性A 持久力C
サボテン型と猫型の二つで一対となるスタンド。サボテン型で自らの身体を傷つける事で、150mの距離までを猫型が爆破する。自傷が大きいほど、威力も増す。