アイアンマンなオリ主とヒーローアカデミア   作:どごちゃん

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こんにちは。


彼の原点(オリジン)、雄英試験。

 

 

 世界は不平等だということに気がついたのは僕が3歳のときだった。

 

 僕は今まで親にねだった物を買ってもらえなかった経験はないし、常に家には使用人がいた。僕の家は俗に言うとてもお金持ちだった。

 

 世界は不平等だ。

この世界では人口の約8割が持つとされる個性、僕は——

 

「残念ながら息子さんは無個性ですな。」

 

 ありとあらゆる高名な個性のエキスパートたちは口を揃えて僕を無個性と判断し、親はそれを医者の誤診でないと判断すると僕に優しく語りかけた。

 

「いい、トニオ。あなたが無個性であっても関係ないわ。あなたはあなたのやりたいことをしなさい。いいわね。」

 

 母は思いっきり僕を抱きしめて、

 

「父さんはいつだってお前の味方だぞ。無個性だって関係ないんだ。お金はここで稼ぐんだ。」

 

 父はそう言って僕の頭を優しく撫でてくれた。

 

 僕はヒーローを目指すことにした。無個性がヒーローになるのは難しいがサポートアイテムを使えばそんなに難しいことではないのでは?と思うようになった。

 

 例えば抹消ヒーローイレイザー。彼はマイナーだが着実な実績を残している。そんな彼の個性は対象を見ることで個性を打ち消すと言う能力。

 それ以外は身体能力を増強させるような個性は無い。

 

 それでこれだけ戦えていると言うことは体を鍛えた上で個性の代わりになるサポートアイテムがあれば僕も充分にヒーローとしてやっていけるはずである。

 

 こう言った説明を拙いながらに両親に伝えると、2人は僕を抱きしめて肯定してくれた。

 

「お前は賢いと思っていたがここまで先を考えることができるなんてな!流石僕らの自慢の息子だ!」

 

「あなたがやりたいことを私たちは全力で応援するわ。どんなサポートアイテムが必要か考えているの?」

 

 僕は昔家族と見た見たヒーローの名前を思い出しながら答えた。

 

「僕はアイアンマンみたいになりたいんだ。」

 

 その日から僕の夢が始まった。

その日から空手を始め、サポートアイテムを作成できるだけの知力をつけるべく勉強に励み、体が大きくなった中学生からは筋力トレーニングも始めた。

 

 幸いに実家が太かったお陰で質の良い学習が出来たしサポートアイテムを作る上での資金はいくらでもあった。僕は恵まれている。

 

 こんなに恵まれている僕はヒーローにならなくてはならない——

 

 

 

 

 

 

 懐かしい夢を見たな。今日は英雄高校の受験日だってのに。

 

 日課のトレーニングは今日のために1週間ほど休み、体調は完璧。スーツのオーバーホールや調整は完全に終了している。考えうる限り最高のコンディションだ。

 

『おはようございます、トニオ様』

 

「ああ、おはようジャービス。父さんと母さんは?」

 

『すでにお仕事に、お二人から言伝を預かっております。』

 

 ザザッという雑音の後に聴き慣れた2人の声がする。

 

『え?もうここに話していいの?…えーオホン。トニオ、あなたなら大丈夫よ。全力を出しなさい。ほらお父さんも』

『ああ、トニオ!ぶっかましてやれ!僕らの愛息子が来たぞ!ってな!』

 

『以上でございます。』

 

「ありがとうジャービス。これは合格するしか無いな。朝ごはんを食べようか。使用人さんを呼んでくれ。」

 

『かしこまりました。』

 

 

 

 

 

 

 雄英高校受験会場入り口。

 

 使用人さんの運転する車で入り口まで来た俺はトランクから真紅のスーツケース、アイアンマンの待機形態を取り出すとリュックを背負う。

 

「いってらっしゃいませ、御坊ちゃま。微力ながら応援しております。」

 

 使用人さんの応援を背に俺は会場に足を踏み入れた。視界の端ですっ転ぶモジャモジャ頭が見えた。あっ、女の子に助けてもらってる!いいなぁ。

 

 

 

 

 

 午前中の筆記テストは対策を完全にしてきた甲斐もあって全問正解だろう。アイアンマンを作り上げた頭脳に不可能はないのだ。

 

 午後は30名ほどのグループに分かれてバスに乗り、各々が実技試験を受けるらしい。

 

 お昼休憩を挟んで俺たちは早速バスに乗り込んだ。

 

 バスの中はお通夜かというくらいに鎮まりかかえっていた。

 

 (無理もない、かくいう俺もそれなりに緊張してるしな。)

 

 バスを降りて俺はすぐに手に持っていたスーツケースを地面に置いて留め具を外すと中に腕を突っ込み腕部装甲に当たる部分に腕を通して引っ張り上げた。

 

 カチャカチャと金属同士が擦れる音とともに装甲が展開されていき、最後に頭部の装甲からスライドしてHUD付きのフルフェイスヘルメットが顔を隠す。

 

「うわぁ、何あれ、カッケー!」

 

「サポートアイテムって持ち込みありだっけ?」

 

 周りの生徒は自身の体に備わった個性1つで試験を迎えようとしている中、派手にサポートアイテムを展開したトニオは悪い意味で注目を集めていた。

 

『ハイスタート!』

 

 プレゼントマイクの声が聞こえるのと同時に俺はすでに展開済みのアーマーから脚部のスラスターをふかして他の生徒を一足跳びに一気に前へと躍り出る。

 

『ショータイムだ。』

 

 両手を前に掲げるとキュイーン!という独特の甲高い音が響く。

リパルサーレイのチャージ音だ。

 

 ヘルメットの中ではHUD上で目の前の2ポイント敵3体と3ポイント敵1体にロックオンをし、発射。

同時に仮想敵が爆発した。

 

「弾着よし、練習通りにいけば戦えるな。

ジャービス、一度高度を上げる。敵ロボットの位置をマッピングしてくれ。」

 

 そういうとアイアンマンは両手を下に向けると背面のスラスターと共に一気に加速すると廃ビルを飛び越えてさらに上空へ舞い上がり、鳥瞰的に敵の位置を把握する。

 

『地形データ更新、仮想敵ロボットの位置をマッピング——完了。』

 

 あとはジャービスの指示に従って仮想敵の多い地点を飛び回りながらすれ違いざまにリパルサーレイや拳をロボットに叩き込めば爆発と共に視界の左下にこの試験開始時からカウントしている獲得ポイント数はどんどんと増えていく。

 

 (こんなに簡単で良いのだろうか。何か俺たち生徒に知らされていない隠しポイントがあってもおかしくない。かと言ってジャービスはネットワークに接続しない事を条件に今回の試験に持ち込んでいる以上調べることはできない。考えろ、ヒーローを目指すものを合格させるには……)

 

 考えながらもロボットを破壊するアイアンマンはそこで1人の生徒が怪我をしていることに気がついた。

 

 (そうか、救助もポイントに加算される可能性がある!であれば試す価値はあるはず。ジャービス!この仮説をもとにボーダーラインを再計算!何点で合格できるか分からない以上一度この子を助けて様子を伺うぞ。)

 

『かしこまりました。トニオ様。』

 

「そこの君、怪我をしているだろう。無理をしないで。もう大丈夫だ。痛み止めの湿布だ。これを貼ってゆっくりとそちらに向かうといい、救護の詰所がある。途中まで一緒に行こう。」

 

「でも、君のポイントが……」

 

「なぁに心配はいらない。僕はもう十分ポイントを集めたんだ。」

 

「すごいや、それ個性?強いんだね。」

 

「そういう言い方はあまり好きじゃないな。」

 

「ご、ごめんなさい。」

 

「いや、いいんだ……ほら着いたぞ。僕は残りの敵を倒すから君も安静にするんだぞ!」

 

 救護詰所に負傷した子を預けた俺はそのまま振り返らずに試験会場に戻ろうとする。

 

 コーン!と思い金属と金属がぶつかり合う音と共にヘルメットのバイザーを下げると2、3歩走った後に空中に身を投げ出し空を切り裂く、と同時に

 

『しゅーりょー!!!!』

 

 プレゼントマイクの声が試験会場に響き渡る。試験終了だ。

 

「終わりか、ジャービス、ポイントは?」

 

『仮想敵ポイントが117、救助のポイントは不明です。』

 

「上々だ。帰るぞ。今日は疲れた!」

 

 こうして俺の英雄高校受験は終わった。おそらく合格しているだろう。

筆記試験に関しては確実に合格圏に入っている自信があるが実技試験が怪しい。

 

 無個性を理由に不当に不合格にされることはないと思うが敵ロボットのの破壊以外にも隠しポイントが設定されていた場合、純粋に足切りに届かない可能性がある。どうなるか分からない。

 

「くそー、怖いなぁ。士傑高校も受験しておくべきだったか……」

 

 帰りの車の中では使用人さんが気を使って黙っていてくれたおかげで俺は今日の結果を振り返ることに集中できた。

 

 家の広大な庭を通り過ぎてこれまた大きい玄関の前に誰かが立っている。

 

「あらお帰りなさい。結果はどうだったの?」

 

「母さん。どうだろう。よくわからないんだ。」

 

「あなたならきっと受かってるわよ。さ、今晩はトニオの好きなパネトーネをデザートに買ってるからね。食べなさい。」

 

「やったあ!ありがとう母さん!」

 

 

 2週間後。

 

 

『——そしてレスキューポイント!君は途中から気が付いたのかな?敵ポイント117、レスキューポイント20の合計137ポイント!堂々の一位だ!来いよトニオスターク!雄英は君を待ってるぜ!』

 

 

「ここからだ。ここから俺の物語が始まる。」

 

「トニオ!何カッコつけてるの!ご飯冷めちゃうわよ!」

 

「母さん!今行くよ。」

 




駆け足。
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