「「「「「「個性把握テスト?!」」」」」」
「そうだ、お前ら個性を充分に使った経験に乏しいだろう。だからここで一度自分が何ができて何ができないのか把握してもらう。そしてそれをもとに成長してもらう。」
一見尤もそうなことを言っているが目の前のこの人物は本当に教師なのだろうか。
そもそも合理性を説くわりには廊下でミノムシのように寝袋に包まっていたし。
まさかあの格好のまま職員室から来たとは思えないし、何より入学式をスキップするなんて正気の沙汰とは思えない。
「先生?一つ質問があります。」
意を決してトニオは仮称先生へと話しかけた。
「先生は本当に先生でしょうか?」
「…どういう意味だ?」
「簡単に言えば胡散臭いです。お手数だとは思いますけど他の先生を呼んでいただけますか?できれば隣のクラスとか。」
「…説明を省く意味でその方が合理的か」
「あとその寝袋はどう見ても合理的に見えないです。」
「…今先生を呼んだ。少し待て。」
この後やってきた先生に流石に入学式には出席すべきだと諭され俺たち1-Aも無事入学式に参加できた。
それにしても仮称先生は本当に先生だったなんて、おったまげ〜!!!
雄英学園、校庭。
「トニオスターク、お前入試一位だったろ、このボール思いっきり投げてみろ。」
「はい、かしこまりました。」
先ほどとはうって変わって丁寧になったトニオは仮称先生——相澤というらしいに言われるまま円の中に入り思いっきりボールを投げる。
『ピピッ!70メートル』
クラスメイトがどよめいた。
「よし、次は個性を使って投げてみろ。」
「先生、俺個性無いです。」
「何?ああ、お前はそうだったな。サポートアイテムの使用を許可する。そのアイアンマンは今後お前の個性として学園では扱う。」
「かしこまりました。じゃあ遠慮なく…っと。」
常に持ち運んでいる待機状態のスーツケースを地面に置き、留め具を外して腕を突っ込みアイアンマンを展開した俺はスーツの補助機能を使って全力でボールを投げる。
『ピピッ、1000メートル』
今度こそクラスメイトがざわついた。
「あいつが入試一位ってマジ?」
「てか無個性?!」
「ヤバすぎんだろ!」
「個性使い放題とか流石雄英!」
「面白そ〜。」
みんな好き勝手ワイワイと騒いでいる。
相澤先生の目の色が変わった。
「面白そう、ね。じゃあこうしようか。今回のテスト、成績が一番低かった人は除籍処分だ。」
相澤先生のトンデモ発言を受け幾らかの生徒が抗議するも虚しく俺たちは真剣にテストを受けることになった。
握力
全力で握ると握力を測定する機械が潰れてしまった。バチバチと火花を散らしている。
『ガガッ…ピピッ!測…定……不能!』
「おおー!触手の個性に続いてあいつも機械ぶっ壊しやがった!」
立ち幅跳び
『ピピッ!飛距離、無限』
『先生!エネルギー尽きるまで飛べますけどどうしますか?』
「降りてこい。」
「(ウチも無限出さな……うぇっぷ)」
50メートル走
『ハイスコアを出すには——
「始め!」
——飛べばいい。』
豪ッ!という音と共に浮かび上がったアイアンマンはそのまま空中を切り裂くように進みゴールラインを通り過ぎる。
『2.5秒』
「もう少しスタートダッシュを練習すればタイムを縮められそうだな。」
走り(?)終わって振り返っていると1人の男子生徒に話しかけられた。
「君、早いんだな。僕……俺の名前は飯田天哉。君はトニオスターク君だよな?」
「そうだ。そういう飯田君こそ随分と早いじゃないか。そういう個性か?」
「ああ、僕の個性はエンジン。しかし驚いたな入試一位が無個性だったとは!」
「あまりそういう風に言われるのは好きじゃ無いんだ。悪いけど。」
「ああいや、すまない。侮辱する意図はなかったんだ。」
「なら良いけどさ。結構気にする人もいるんだ。俺は幸いにも実家のおかげでこうしてヒーロー目指せてるけど。」
「そうか…軽々しい発言を謝罪させてくれ!!」
そういうと彼、飯田君は綺麗に90°のお辞儀をした。
「目立ってるから!いいよ、気にしないで!ほら、まだテスト残ってるから頑張ろうぜ!」
「君は強いだけじゃなくて優しいのか!素晴らしいな!」
こいつ良いやつなんだろうけど面倒臭すぎる!!!
その後——
「除籍は嘘……!君たちを騙す合理的虚偽……!」
ざわざわとクラスがにわかに騒がしくなる。
「当たり前ですわ、少し考えればわかりますわよ。」
「そういうことッ……!」
心なしか顎がシャープになった相澤先生は除籍処分は嘘であると言い張っているがそれこそ嘘だろう。大多数の生徒は信じている様だが——
やっぱこの先生胡散臭い。
雄英高校、食堂。
午前中、入学式の後に個性把握テストを行った1-A以外の新入生はすでに下校している。
俺たち1-Aは本来入学式の後に行うガイダンスを個性把握テストに充てたため午後にガイダンスを行う事になり、学校に残って他の新入生より1日早く食堂で昼食をとる事になった。
「にしてもトニオのサポートアイテムって本当に自分で作ったのか?すげーな!あ、俺切島鋭児郎。よろしくな!」
「よろしく、俺のサポートアイテム、アイアンマンはいろんな人に手伝ってもらったけど確かに俺が作ったものだよ。」
「へぇ〜!漢らしいな!!」
食堂のご飯は全てランチラッシュというヒーローが作っているらしく実家のご飯に負けない美味しさだった。
ランチラッシュは主に災害時に炊き出しなどで活躍するヒーローらしい。
災害時に派遣されるヒーローと言うのもヒーローの形として考えておくべきかもしれない。
「切島はどんなヒーローを目指してるんだ?」
「俺は漢の中の漢、レッドライオットを目指してるんだ!」
「俺はあんまり詳しくないけど、今調べたらかっこいいじゃないか。」
「だろ!? トニオお前話が分かるな!」
俺は切島との会話を楽しみながら今後自分が目指すべきヒーローについて考えるのだった。
——1週間後。
「私が普通にドアを開けて来た!」
「オールマイト!」
「銀時代のコスチュームだ!!」
「1人だけフォントが違う!」
オールマイトの授業は対人戦闘訓練。いきなり2人ペアを作ってヴィランチームとヒーローチームに分かれて戦うらしい。
ヒーローチームはヴィランを行動不能にするか核弾頭にタッチしたらクリア。
ヴィランチームはヒーローを行動不能にするか制限時間の間核弾頭を守り切ればクリア、だ。
俺は推薦入学したという八百万百(やおよろずもも)さんとヒーローチームとして戦うことになった。敵は同じく推薦入学組の轟君と透明人間の葉隠さん。
轟君の個性は氷を大量に発生させるものだったはず。氷結対策は万全とは言え機械は高温と低温に弱いのが現実。
これは最終的に頭脳プレーが勝敗を分けるな(知将並感)
『よーいスタート!』
オールマイトの声がスピーカー越しに聞こえる。試合開始だ!
「八百万さん、行くよ!プランAだ!」
「なんですの!それ!」
「近づいてぶん殴るだ!!!」
「頭脳プレーは!?」
『じゃあ近づいて頭突きかましてやる!』
「おバカさんですわ!!!」
バカとはなんだ、しっかり頭脳を使っているだろう。
「とにかく私はどうすれば良いんですの?」
『俺がとりあえず角のある部屋に直接壁突き破って突っ込むからゆっくり下から登ってきて!多分それで上手く行くから!』
『スキャン結果、核弾頭は4階の角部屋にあるようです。』
『でかしたジャービス、そういうわけで八百万さん、頼んだ!』
そういうとアイアンマンは飛び上がった勢いそのままに文字通り頭を使って壁を突き破り核のある部屋に突入した!
『オラァ!ヒーロー様の到着だ!神妙にお縄につけィ!』
どうやら頭脳プレーは続行しているようだ。遠く離れた八百万のところにまで声が響いている。
「全く、仕方ありませんわね!」プリプリ!
八百万百は頼られると弱かった!
「お前、トニオスタークだな。そんな派手に登場していいのか?」
『頭を使った結果だ!いざ!!』
言うが早いかあらかじめチャージしていたリパルサーレイを轟に向けて発射するトニオ。
「読めてんだよ、そんくらい!」
しかし轟は厚い氷を目の前に出現させる事でリパルサーレイを受け止めるだけでなく射線を遮る事にも成功する。
『マジ? どこ行った』
『トニオ様、上です!』
「もう遅ぇ!」
轟は分厚い氷が熱線で溶けた蒸気に紛れて上から奇襲を仕掛けてきた!
『俺のアイアンマンに熱源探知が組み込まれてない訳ないだろ。』
しかし轟がそう攻めてくるのは折り込み済み、トニオはヘルメットの下でいやらしい笑みを浮かべると胸を張り出し、胸部のユニビームを轟に向けて発射した。
熱線が氷を溶かすシューシューという音や天井を焦がしたのか悪臭があたりに立ち込める。
体が動かない。
『クソッ、すれ違いざまに一発食らったか。』
轟は氷を発生させながらビームに飛び込み、落下地点にいるアイアンマンの関節部分を凍らせた様だった。
ユニビームを避けれない事を悟った轟はやむを得ずコスチュームで受けのだろう、先ほどまで左半身を覆っていた岩の様なコスチュームが所々剥がれている。
「これでお前は動けねぇ、俺も動けねぇが後は葉隠がやってくれる……」
「それも読めてましてよ!」
バァーン! という効果音が聞こえるくらいドヤ顔で登場した八百万さんがコスチュームから拳銃を作り出して轟君に向ける。
『八百万さん、ずいぶん早いじゃん。あとすごいコスチュームえっちだね。』
「はっ倒しますわよ。あんだけドンパチやってれば嫌でも急ぎますわ!……コホン。とにかく、葉隠さんに気をつけてくださいまし、わたくしはこのまま轟さんを拘束しますわ。」
『そっか……ところでそのコスチュームなんでそんなにえっちなの?』
「個性を使う上でこれが一番最適ですの!」
『なるほどね……ところで』
「まだ言うか!」
八百万さんの背後、蒸気が不自然に揺らめくのが見えた。
『後ろに葉隠さん来てる——』
「そう言うことはもっと早く言ってくださいまし!」
八百万は叫びながらコスチュームの穴の開いた部分、おへそからうねうねと捕縛網を作り出すとそのまま後方に放り投げた。
『ヒーローチームWIN!!!』
「おおー、めちゃくちゃな作戦で勝った。ありがとう八百万さん。」
「百でいいですわよ、トニオさん。全く、あなたもっと真面目な人だと思ってましたわ。」
「なんだよ、勝てたんだしちょっとくらいはっちゃけたって良いじゃないか。」
試合は終了したのでこれ以上アイアンマンを着る意味もないのでガシャガシャと音を立てながら装甲を仕舞い込む。
何はともあれ勝利は勝利。それはそれとしてこの後VTRを観た相澤先生にめちゃくちゃに怒られるのでした。
文体とかキャラが安定しないンゴねぇ……