呪霊と話せる体質のようです   作:酒呑ちゃんと結婚したい

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色が、色が付いてるぞ…

一瞬赤だったんですけどね、まぁがんばります


2話 最強

「こんにちはー、五条でーす!」

 

急に現れた男。その正体は呪術界最強、五条家当主、頭がパッパラパー、遅刻魔の五条悟である。

この男、ルックスはとても優れている。190cmを超える身長にすらっとした長足、目は隠れているが鼻筋や唇も整っている。しかし、その利点を補ってなお余る残念さを生み出しているのが人間性である。

説教するほどではない微妙な遅刻、最強だという自負からくる傍若無人な態度、上司の指示を無視しての勝手な行動。例を上げれば枚挙にいとまがないほどである。

 

そんな男が今回急に現れたのは平等院。つまり酒吞と由比がいるところである。

果たしてどうなるのか、その結果は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちはー、五条でーす!」

 

急に現れたこの男、初対面だと言うのにやけになれなれしいし、格好もおかしい。目元を包帯のようなもので隠しているのだ。一体どこの相澤先生リスペクトなのだろうか。

 

「おっ、そこの女みたいなやつが酒呑童子かな?」

 

前言撤回、こいつかなりヤバそうだ。角の生えていない状態で酒呑童子だと断言しているし、何より雰囲気がヤバい。あいつの周りの空間だけ妙な感じがする。

 

「…呪術師が来るとは予想しとったけど、なんやえらいはよぉ来はったんやなぁ?」

 

「行方不明の特級呪物があれば捜索くらいするでしょ。それに復活時あれ程の呪力が出たんだ、猿でも気づくよ」

 

「へぇ…その言い草、どうやらあんたはんなかなか強いみたいやね…うん?…ははは…こら驚いた、あんたはん五条家…しかも道真の子孫やないの。そら自信あるのも納得やわぁ」

 

「道真って…あの道真公?日本三大怨霊に数えられる、学問の神の?」

 

「へぇ…さすがは酒呑童子、それくらい気がつくんだね。そこの少年、下がりな。下手したら死ぬよ?」

 

「はっ?」

 

「術式順転『蒼』」

 

五条と名乗った男が呟いた瞬間、酒呑童子が吸い寄せられたように動いた。

 

「はっ!?一体何が!?」

 

「旦那はん、これが術式っちゅう、一種の特殊能力のようなもんや。旦那はんも頑張ったら使えるようになるから頑張りや?」

 

吸い寄せられたものの軽やかな身のこなしで打撃を避けた酒吞が俺の疑問に答える。

 

「へぇ…ふぅん…そこの少年、なかなか面白い術式だね。気に入った、うちに来なよ!」

 

「はぁ!?」

 

急にヘッドハンティングされた。一体何が何なのかわからない。

 

「呪力と術式について、酒呑童子を祓いながら教えてあげよう!」

 

「いや、そんな簡単には祓われへんよ?ウチが負けたんは頼光の牛女ただ一人やさかい。それにあれも不意打ちやったしなぁ?」

 

「大丈夫、僕最強だから。じゃあまず呪力について。呪力は「人間の負のエネルギー」、つまり恨みとかが元となってて、基本的に生まれてくる人間はすべて呪力を持ってるんだよ。そこにいる酒呑童子とかはその呪力の産物だよ」

 

「なるほど。え、じゃあなんで会話できるんだ?」

 

「そのへんはなんとも言えないかな。呪力が人間から出たエネルギーだから、その産物である呪霊も等級が高いほど人に近づく。そんな学説が今の所最有力かな」

 

「じゃあ天与呪縛は?」

 

「ん?天与呪縛は生まれた瞬間から何かを縛りの対象とすることで一部の能力が底上げされることの総称だよ。でもなんでその言葉を知ってんの?」

 

「酒吞に教えてもらった」

 

「旦那はんは世にも珍しい『等級関係なく呪霊と会話できる』天与呪縛の持ち主やからねぇ。食べるのがもったいないほどの逸材やから」

 

「え、なにそれチョーおもろいじゃん!てことは蠅頭とかも?」

 

「ハエみたいなやつなら話せるぞ」

 

「いいね、ますますうちに欲しくなったよ」

 

「で、術式やけど、呪力を使った技みたいなもんやね」

 

「そう、呪力を電気、呪術を家電だと思えばいいよ」

 

「でんき?かでん?なんや、ウチの知らん間にえらい発展したんやなぁ」

 

「人口も増えたし、なおさら人を喰うあんたは野放しにできないんだよ」

 

「人を喰うのは何事にも変えられんくらいの快感やけど…旦那はんと約束したしなぁ。呪霊しか食べへんことにしたんよ」

 

「…はっ?あの酒呑童子が?人を喰うのをやめる?そんなわけ…」

 

「ちゃぁんと旦那はんと縛りも結んだしなぁ?」

 

「まぁ、約束はしたけども。ちゃんと守れよ?」

 

「ふふふ…約束はちゃぁんと守るさかい、安心しぃや?」

 

「ははは…いいねいいね!ますます面白い!呪霊と会話できる天与呪縛の持ち主で『特級呪霊 酒呑童子』と縛りを結べる逸材!こりゃ最高だね」

 

「えっと…何を…」

 

「君、呪術高専に来なよ。てか確定ね」

 

「…もし行かなかったら?」

 

「呪詛師認定が降りて殺されるね。なんせ酒呑童子を従えてるし術式持ちだからね」

 

「なるほど、じゃあもう一つ質問を。俺がそこに行けば酒吞は死にませんか?」

 

「少なくとも君が呪詛師になったりしなければ君が死ぬまでは祓われないよ」

 

「わかりました、いきます」

 

「よし!そうと決まったら高専に行こう!東京だけど大丈夫、瞬間移動で…」

 

「いや、あの、修学旅行中なんですけど」

 

「へっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「点呼取るぞー。赤坂、今井、宇佐美…」

 

はい、今ホテルで点呼取られてます。あのあと五条さんは俺に名刺を渡して消えた…なら良かったんですが、何故かついてきてます。この人イケメンだから周りがザワッとしてるんだよなぁ…。

 

「童、童はいるかー?」

 

「はーい、ここにいます」

 

あ、ちなみに酒呑童子もここにいます。仕組みはよくわからんがネックレスになってます。服は一緒に消えました。多分ネックレスの中の酒吞が着てるな。

 

「おーい由比、部屋どこ?」

 

「いや、部屋まで来るんですか?」

 

「話とかないとだめなこととかあるし、何より泊まる部屋がないからさ」

 

それくらい準備してこいや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

晩御飯も食べ終わり、風呂にも入った後で五条さんは俺の部屋へ来た。

シングルルームなので当然ベッドは一つしかない。

 

「もーらい!」

 

取られた。本気で蹴飛ばしてやろうか。

 

「そうだ、術式について説明しよう。手握ってみ」

 

ほれほれ、と促されるまま五条さんの手を握ろうとするものの、間に何かがあるようで手にたどり着けない。

 

「これが僕の術式、無下限呪術。アキレスと亀みたいな感じで、僕に近づくと無限に遅くなっていって距離は決して0にならず、透明の壁に遮られているかのように届かなくなるんだよ」

 

「なるほど、じゃあ俺の術式は?」

 

「由比の術式は呪具操術っていって…ほれ、これを操ってみな」

 

そう言って投げられたのは藁人形。趣味悪すぎるだろ。

 

「そんなんできるわけ…あ、できた」

 

「おっ、由比は呪力を知覚してないけど、操ることはできるんだね。それならB級映画with呪骸のステップは飛ばせるから話は早いな。呪力はね、全身にまとわせるイメージを持つと良いよ」

 

「旦那はん、練習中悪いんやけど、お酒くれへん?そろそろ現代の酒を飲んでみたいんよ」

 

ネックレスの中で漢字ドリルと算数ドリルをしていた酒吞が、飽きたのかこっちに出てきてそう言った。平安時代と字が違う、と京都の街中に出てきてからショックを受けていた酒吞のために本屋で買ったのだ。すごい目で見られたけど。

 

「いや、俺まだ15だから買えないよ。五条さんに頼んで」

 

「やだよ僕下戸だし。伊知地に買わせればいいから」

 

伊知地さんは五条さんの後輩に当たる人で、補助監督という立場らしい。もっぱらパシリみたいになってるけど。

 

結局酒は伊知地さんが買ってきてくれた。本当に申し訳ない。

 

「修学旅行っていつ終わんの」

 

「明日には終わって長野に戻ります」

 

「んじゃそのときに親御さんに伝えないとね」

 

「あ、親は海外に住んでるし進学は自由にって言われてるんで大丈夫ですよ」

 

「じゃあさっさと修学旅行終わればいいのにね」

 

「無茶言わないでくださいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝、それは一日の始まりであり、気分良く目覚めることが重要視される。

 

そんな中俺は憂鬱だった。いや、寝る前に酒吞が俺と寝たいと言い出したり、ベッドが空いてないからと言ってソファで寝たから体が痛かったり、酒吞が密着してきたから体の一部が絶好調になったのを見つからないようにするので大変だったり、寝ぼけた酒吞が俺を喰おうとしてきたのが理由なのだが、全部他人には言えないから結局旅行でテンションが上ったことにした。

 

ともかく今はもうバスの中、ぐっすりと寝られる。

ちなみに酒吞には京都でお土産を買ってある。内緒でだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長野の俺の家に帰ったら、そこには五条さんがいた。

 

「やっほ、久しぶり。書類とか持ってきたよ」

 

必要書類を書き上げ印鑑を押すと、

 

「よし、じゃあ行こうか」

 

と言い出した。五条さんに手を握られた。

瞬間、浮遊感とともに景色が変わった。

 

「さぁ着いた。ここが都立呪術高専だよ。これが学生証ね。じゃ、校長に挨拶に行こうか」

 

そう言われ後を追うと、建物が見えてきた。

 

「こんにちはー五条でーす!」

 

引き戸を勢いよく開け放ち、どこかで聞いた挨拶をする五条さん。その奥には…

 

「…悟、六分の遅刻だ」

 

蝶野〇洋がいた。いや、正確には別人のようだがそっくりである。

 

「で、その子が例の子か」

 

「そうだよ、童由比、一般家庭出身の呪霊と会話できる天与呪縛の持ち主さ」

 

「はじめまして、校長の夜蛾だ」

 

「はじめまして、童由比です」

 

「ところで君はなぜ呪術師を目指す?」

 

どこからか現れたファンシーな人形が俺の頬を狙った一撃を放ってくる。間一髪で避けるものの中々に手強い。

 

「その人形は私が出したものだ。答えとしてふさわしい言葉を聞いたら止めよう」

 

「くそっ…!!酒吞!頼む!」

 

そう叫ぶとネックレスが淡く光り、酒吞が現れる。…のだが、なぜか酒吞は俺の腕の中にいた。所謂お姫様抱っこである。

 

「ちょっ…酒吞!?余裕ないんだけど!?」

 

「気張りぃや旦那はん。これくらい自力でなんとかできひんと今後困るで?」

 

「ほう、君が酒呑童子か」

 

「どうも。以後お見知り置きよろしゅうな?」

 

人形を蹴飛ばし考える。俺のやりたいこと?なんだ…

 

「持たざる人を救う…いや、こんな偽善的な考えじゃないな。…そうか、俺は呪霊と仲良くなりたいんだ。酒吞みたいに話せばわかる奴らだから、きっと共存できる」

 

「じゃあ話が通じない奴らが出てきたら?」

 

「その時は祓うさ。ただその力をつけるためにも、俺はここに来たんだ」

 

「合格だ。君がそうできるよう、我々も協力しよう」

 

夜蛾さんはそう言うと人形を止めた。

 

「悟、寮に案内してやれ」

 

「は~い。じゃあ由比、こっちだよ」

 

酒吞を抱いたままなことに気が付き降りるように促す。

 

「酒吞、降りてくれ」

 

「うーん、ウチとしては旦那はんのぬくもりを感じれるからこのままがええんやけど…しゃーない、降りたるわ」

 

五条先生の案内で寮に着く。よし、お隣さんに挨拶しよう。

 

「こんにちは、今日入学した童由比っていいm「はいはーい」へっ…ぱんだぁ!?」

 

 

 

 

 

 

 

何ということでしょう。隣の部屋の住民はパンダでした。




ちなみに酒吞さんの格好は超オーバーサイズパーカー(下着なし)だけです。
ズボンは気に入らなかったので脱ぎました。
だって酒吞さんが145センチで由比が175センチ、30センチ差だもんね。
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