【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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101話

 さて、みんなで賑やかに『キルクスのいりえ』を進んでいるんだけど、このキルクスのいりえには少しだけ厄介なところがある。それは「道路」という名前が入っているのに道がほぼないことだ。どういうことかというと、道が舗装されていないというわけでなく、入り江という名前が表している通り、陸地が湖によって浸食されているため、本当に地面がない。

 

 いっそ道路ではなく水道という名前に変えるべきでは?と思わなくもないレベルで地面のないココを、スパイクタウンの方へと進むためにはどうしたって水を渡る必要がある。しかし思い出してほしいのは、ここは雪やあられが降り積もる寒冷地帯。たしかにミロカロスやインテレオンの力を借りれば、これくらいの水道を波乗りですいすい泳いでいくのは簡単だろう。けど、それはすなわち自分の体を濡らすということになる。

 

 いくら寒さに耐性がある方だという自覚のあるボクでも、この気温の中を体を濡らして過ごすというのは割と真面目に体調を崩しかねない。

 

 ……現に、バウタウンで四日連続で体を冷やしたときは綺麗に風邪をひいてしまい、ユウリたちに心配をかけたわけだしね。

 

 いくら寒さに強いと言っても、長時間体を冷やして平気というわけではないので、できればこの湖を、体を濡らす可能性のある、ポケモンの力を借りて泳ぐという方法以外で進む必要が出てくる。

 

「ラプラスがいればその限りじゃないんだろうけど……私たちのメンバーで体を濡らさずに人間を運べるポケモンなんていないもんね……」

「みずタイプというだけだったらユウリのミロカロスや、フリアのインテレオンがいるし、『なみのり』を憶えるということを考えたら俺のカビゴンや、クララのヤドランとかが該当するけど……」

「う、うちのヤドランに乗ってこの水を……む、無理無理ィ!!絶対濡れるし寒いィ!!」

「まあ、そうだよなぁ……オレもカビゴンに乗るってなると流石に濡れそうだし……」

 

 やっぱりみんな濡れるのは嫌なようで、この水道を渡る方法を考えるのに四苦八苦している。

 

「というか、ホップはそもそもアーマーガアに乗れば関係ないよね」

「おお!そうだ、その手があったぞ!!」

「あ、ホップずるい!私も乗りたい!!」

「ちょ、空路行けるのは俺だけじゃないぞ!?フリアもモスノウの力を借りれば、空を飛ぶのはきつくても氷の糸を使っていろいろできるだろう?」

 

 次に出てくる案は空から移動する方法。

 

 確かに、水に触れる可能性がゼロになるので一番取りたい方法ではあるけど、そもそも空を飛んでいるポケモンがボクたちの手持ちに少ない。順番に空路で運ぶにしても、アーマーガアとモスノウが一度に運べる人数に対して、こちらの人数が多いから複数回に分ける必要があるし、往復するにしてはこの入り江の幅は広すぎて、時間と労力が物凄くかかってしまう。アーマーガアとモスノウの体力だって無限ではないし、モスノウに関しては力が強い方ではないのでそもそも対岸まで運べるかどうかすら怪しい。対岸までの距離だって、正直視認できないくらいには遠い。となってくると、全員を安全に確実に運ぶ方法ってやっぱり少なくて。

 

 いっそのこと、ヨノワールも飛び出して、アーマーガア、モスノウとの3匹がかりでみんなをゆっくり空運ぼうかと考えて……

 

「ああ、いや、……モスノウの力を借りれば行けるのか。モスノウ!!」

 

 ある一つの方法を考えて、懐からモスノウを呼び出す。

 

 急に呼び出されたモスノウを見てどうするのか気になったホップたちが一斉にボクのモスノウを見つめるけど、気にせずモスノウに指示を出す。

 

「モスノウ、『ふぶき』!!」

「フィィッ!!」

 

 ボクの指示に頷いてモスノウが行うのはふぶき。入り江に次々と降りそそぐ暴雪雨はその水面をどんどん凍らせていき、入り江を流れている氷河ほどにはなっていないとはいえ、人が数人乗れるかなくらいには凍り始めた。

 

「おお、凄いぞ!!こうやって水面を凍らせて歩けば皆で行けるな!!」

「じゃあ早速うちからこの氷の上をォ……」

「ああ、待って待って。まだ強度に不安があるからもうちょっと補強してから……」

 

『おお!!道が出来テール!!』

『あの上を進むぞー!!』

 

「え?」

 

 急冷で作った氷であるため、ゆっくり歩く分には問題なけどドカドカ歩くと壊れる可能性があるなぁと思ったので、もう少し補強をしようとしていたところに突如現れるのはエール団の人たち。

 

 ボクがやろうとしていたことを無視して走り出すのその姿は、明らかにボクの声が聞こえているはずなのに無視して突き進もうとしているのがよく分かった。すれ違いざまにこちらを見て悪い顔をしていたのが見えたから、おそらく確信犯だろう。

 

 ボクたちの邪魔をしたかったのか、はたまた本当に先に行きたくて困ってたところに道を作ってくれる人がいたから、丁度いいカモネギとして利用してやろうと言う魂胆か、どちらにせよ、ボクたちの進行を一時的に止められてしまうため、エンジンシティのホテルのでの一件のせいもあってか不満顔を浮かべるユウリとホップ。

 

 エンジンシティの件を見るにおそらく前者だとは思うんだけど、こちらのパーティに応援するべき相手であるマリィがいるのにそんなことをするのかなとも思うため、本当に渡りたかっただけの可能性もあるにはある。だから一概に邪魔をしに来たと断定するのは出来ないけど……

 

「あの〜!!直ぐにその氷から降りた方がいいですよ〜!!」

 

 先程も言った通り、ドカドカ歩かれると壊れる可能性があるので、すぐに動くように忠告をする。

 

『そんなこと言って、自分たちが進めればいいとか冷たいことを言うつもりでアールか?』

『誉れ高いジムチャレンジャーは親切心も兼ね備えないとダメール!!』

 

 しかしそんなボクの言葉なんてお構いなしといった感じに、モスノウが凍らせてできた道を走っていくエール団の二人。比較的小柄であるボクたちが少し強めに足踏みをするだけで壊れそうな強度なのに、ボクたちよりも全然背も体格も体重も、何もかもが大きい2人の大人が走り出せばどうなるか。そんなことは火を見るよりも明らかで……

 

『『うわああああッ!?』』

 

「「「「うわぁ……」」」」

 

 同じ文字なはずなのに両陣営から聞こえる全く意味合いの違うその言葉は、水面を張っている薄氷が派手に割れる音とともに響き渡った。そこからさらに聞こえるのは2つの着水音。ぼちゃんという嫌な音とともに水に落ちた2つの人影は、数秒もしないうちに頭だけを何とか水面に出して酸素を求めながら、現在進行形で自分の体から体温を奪うこの極寒の地獄から抜け出さんとバタバタし始める。

 

『『し、死ぬ~~~~ぅ!?!?!?!』』

 

「だから言ったのに……インテレオン!!」

「ミ、ミロカロス!!」

 

 予想通りの結末に溜息を吐きながらインテレオンを出すボクと、寒中水泳をしている人たちがいるとはいえ、耐性のない人がこんなことをすれば命が危ないとすぐさま察してミロカロスを呼び出すユウリ。

 

 呼ばれた2匹のみずタイプポケモンは、おおよそ人間では出せない圧倒的な素早さでエール団の下へと近づいて鮮やかにレスキュー。そして2人のエール団を捕まえた瞬間にすぐに踵を返してボクたちの下へ帰って来る。

 

「ホップとマリィとクララさんは焚火の準備してもらっていい?」

「おう!任せろ!!」

「すぐに準備すると!!」

「うぅ、みてるだけでこっちも冷えてくるゥ……」

 

 その間に暖を取るための準備をホップたちに任せ、ボクとユウリでタオルを準備。程なくしてインテレオンとミロカロスによって水上に引き上げられた2人を、タオルで水気を取ってあげながらホップたちが準備した焚火の方へと案内していく。

 

「「へ……へ……へっくしょん!!……し゛ぬ゛か゛と゛お゛も゛っ゛た゛……」」

「そりゃそうですよ……」

「フリアの忠告を聞かないからだぞ」

 

 タオルで一通りの水気を取ったのちに、すぐさま焚火に近づいて体をがたがたと震わせるエール団。少しでも体を温めようと反射的に動いてしまうその姿は、自業自得だとわかっていても少し可愛そうに見えてしまう。ホップも口ではこう言いつつも、心配心と親切心が勝るみたいで今も頑張って焚火の調整をしていた。本当ならもう放っておいてもいいんだけど、やっぱり友達の応援団というのがどうしても自分の心に引っかかってしまい、のけ者にしきることが出来ない。

 

 マリィ以外の皆がその意見で一致いてしまっているため、どうも強く出ることもできずにいた。そんなボクたちの姿を見て、だんだんと体が温まって動けるようになったエール団がようやく口を開く。

 

「た、助かった……」

「本当に……死ぬかと思った……」

 

 思い出すだけでもまた寒さがぶり返すらしく、時折身震いしてはいるものの、それでも呂律が普通に回るくらいには回復したみたいでほっと一息。

 

 焚火に関しては正直使い捨ての物を使っているだけだし、テントを張っているわけでもないのでボクたちはこのまま先に進んだとしても全く問題がない。なので、このままこの焚火をエール団にあげて、ボクたちは先に行こうとお互いで視線を合わせて意見を一致させる。

 

 ボクたちも寒い所には長居したくないための措置だ。

 

 そうと決まれば善は急げ。

 

 ボクとユウリはインテレオンとミロカロスをボールに戻し、他の皆もカバンを背負っていつでも出発できる準備は完了だ。もうここには用がないので、再び入り江の水面を凍らせる準備をしながら、流石にここから無言でいなくなるのもどうかと思ったので、エール団の方に声をかけておく。

 

「もう大丈夫そうなので、ボクたちは先に━━」

「全く、なんでちゃんと忠告しなかったのであーるか!!」

「……え?」

 

 この焚火を置いてボクたちは先に行く。その旨を伝えようとした瞬間にエール団から飛んでくるのはまさかのクレーム。最初は何を言われたのかわからなくて、みんな揃って思わずぽかんとしてしまい固まってしまう。それを反論がないと捉え、さらに調子に乗ったエール団が言葉を続けてきた。

 

「ちょっと足を踏み出して壊れるとわかっていたのならちゃんと教エール!!」

「さては、我々を陥れるための細工だったな!?」

「お、おい。こいつら何言ってるんだ?」

「わ、わからない……」

 

 一足先に石化から戻ってきたユウリとホップが口を開くものの、その内容はいきなりエール団から叩きつけられた理不尽に対する疑問。先ほども言った通り、ボクは彼らが渡る前に忠告をを入れているし、それに対してのレスポンスも返ってきているため、聞こえなかったと言いう言い訳も通用しない。なので、ユウリ達の疑問は至って当然の反応なんだけど、そんな反応をしているボクたちのことなんか無視して彼らはさらに言葉を続ける。

 

「そもそも!最初から分厚く凍らせればよかったのでアール!!」

「お前のモスノウ、弱すぎーる!!」

「むっ……」

 

 どうせまた意味のないクレームを言い続けられる。そう思っていて、とりあえずめんどくさくなってきたのでもういっそのこと無視して先にに進んでやろうか。なんて思った時に聞こえてくるのは、ボクの大切な仲間であるモスノウを貶す言葉。さすがにこれは無視できずに思わずむっとしてしまい、表情にもそれが出てきてしまう。その姿が気に入らなかったのか、エール団もボクを見てさらに言葉を続けてきた。

 

「その目はなんでアールか!!」

「自身の力不足を認めないのは恥でアール!!」

「注目選手も、しょせんは子供でアール!!」

「おい!そもそも悪いのはこっちの話を聞かなかったお前たちだぞ!!」

「耳に垢でも詰まってんじゃねえのおどれらァ!!」

 

 クレームを言いながらどんどんテンションを上げていくエール団の2人による言葉攻めはどんどん激しくなっていく。それに対してホップとクララさんもさすがに我慢ができないといった様子で口をはさむ。ユウリも何か言いたそうな表情をしているけど、彼女はどうやらぐっと我慢してるみたいだ。

 

 一方でマリィの表情があまりすぐれないのがちょっと気になるところだけど……とりえず今はそれどころではないのでおいておこう。

 

 このままでは全くもって意味のない言い合いという、無駄な時間が生まれてしまう。現状このまま寒い所に長居したくないボクたちにとって、こんなところで時間を使うのは本当にもったいない。かといって、もうすでに平和的な解決ができるところは超えてしまっているだろう。

 

「はぁ……もう、めんどくさいなぁ……仕方ない、モスノウ。ちょっと来てくれる?

「フィィ?」

ちょっとお願いしたいことがあるんだけど……

 

 ならばいまするべきは、相手の会話をぶった切ってでもさっさとこの流れを終わらせること。溜息を吐きながら、いまだにどうすればいいのかわからなくておろおろしてしまっているモスノウを呼び、小声であることを指示する。

 

……いい?

フィィ!!

よし、お願いね!……さて」

 

 これで仕込みは完了だ。あとはエール団と何とかしてバトルに持ち込むようにしないといけないので、まずはホップとクララさんを止めよう。

 

「はん!これだから子供は面倒でアール!!」

「おとなしくしていればいいのでーす!!」

「お前たちなんかより子供の方がよっぽど聞き分けがいいぞ!!」

「喧嘩売ってんのなら買うゾゴルアァ!!」

「はいはい、2人とも落ちついて……クララさんなんかキャラ壊れてるから」

 

 まずはエール団とホップたちの間に体を入れて言い争いを中断。彼らの視線をボクに向ける。

 

「元凶がなに言っテール!!」

「ちょっと成績がいいからってすぐにダーテングになっテ―ル!!」

「それはダーテングに失礼では……?って違う違う」

 

 エール団の言葉に思わずツッコミを入れてしまうけど、すぐに首を振って予定通りに話を進める。

 

「確かに、ボクの腕はまだまだ甘い所があります。あなた方の言う通り、最初から分厚い氷で凍らせてしまえばこんなことにはならなかったでしょう」

「やっと認めたでアールか!!」

「遅いでアール!!」

「お、おいフリア……」

 

 ボクが認めたことが不満なのか、ボクのことを想ってなのか、とにかくまだ反論したそうな雰囲気を醸し出すホップ。そんな彼をさりげないウィンクひとつで抑えて、ユウリの方にも視線を向ける。すると、ユウリはボクの意図に気づいてくれたらしく、こちらを向いて頷き、みんなに声をかけてボクの後ろに下がるように集まっていく。

 

 みんながちゃんとボクの後ろに下がり、ボクがこれからしようとしていることに巻き込まれない位置についたのを確認して、ボクは次の言葉を紡ぐ。

 

「ですが、そもそもこの水を凍らせることすらできないうえ、人の話も聞かない人には言われる筋合いがないですね。しかも……明らかに自分より弱い相手に」

「「な、何だと!!」」

 

(うわぁ、仕方ないとはいえ、らしくないこと言ってる……)

 

 おおよそ普段の自分が言わない言葉故、物凄く違和感を感じて気持ち悪いけど、ここはぐっと我慢。

 

「そこまで言うならバトルで決メ―ル!!」

「泣いて謝っても許さなーい!!」

「「フォクスライ!!」」

「モスノウ!!」

 

 ボクの簡単な挑発に乗ってフォクスライを呼び出すエール団の2人。それに対してボクは、いまだにボールに戻してなかったモスノウを近くに呼び込む。

 

 1対2の変則的バトル。

 

 当然数が多い相手が有利なため、ホップが参戦しようとしてくれるものの、それをユウリが止めているような会話がうっすらと聞こえてきた。ユウリにちゃんと作戦が通じてて、ちゃんとこちらのして欲しかったことをしてくれていることに嬉しさを感じながらも、今は目の前のことに集中する。

 

「たった1匹とは、舐められテール!!」

「その慢心、後悔するデース!!」

「「『あくのはどう』!!」」

 

 ユウリの行動から1対2で勝てると思われていることに気づき、そのことに対して舐められていると判断した2人がすぐさまフォクスライへと攻撃命令を下す。

 

 技はあくのはどう。

 

 フォクスライの口元に集まっていく黒色のエネルギーは、パッと見ただけでもなかなかの威力を秘めていることが見て取れ、いくらこおりのりんぷんによってダメージを抑えられるモスノウと言えど、少なくないダメージを負う可能性がある。それも、2体分一気に飛んでくるのなら尚更だ。

 

 しかし、それはあくまで、()()()()()()()()の話。

 

「モスノウ、『ふぶき』」

「フィィッ!!」

 

 ボクの指示とともに放たれる雪の嵐。周りの空気を巻き込んで放たれるこおりタイプの大技は、先程水面を凍らせた時よりも何倍もの威力を持ってフォクスライたちを襲っていく。あくのはどうにて迎撃しようにも、ふぶきの速度が予想以上に早かったのか、技を打つ前にふぶきが襲いかかってきてしまい、2匹揃ってもみくちゃにされていく。

 

「「ああぁぁぁぁれええぇぇぇぇ!?!?」」

 

 さらにふぶきはフォクスライたちだけでなく、その後ろに控えていたエール団をも巻き込んで吹き荒れる。せっかく温まった体を再び冷やされて、水に落ちた時ほどではないにしろ、寒さでまた体をを震わせてしまうこととなったエール団の2人は、2匹のフォクスライと一緒に仲良く地面に不時着。技の当たりどころが悪かったのか、2匹のフォクスライも目を回しており、戦闘不能の様子を見せていた。

 

「いったたた……ト、トレーナーごと攻撃とは、卑怯でアール!!」

「それが許されテールなんてアリエーナイ!!」

「それは失礼しました。ですが、あなたがたの意見を尊重するならこれしか無いと思いまして……」

「「……は?」」

 

 トレーナーごと放たれた攻撃に憤りをぶつけてくるエール団。確かに、ちょっとやり過ぎたかなと思う反面、うちのモスノウはちゃんと人間への害が出ないように技を調整していたし、そもそも今のふぶきは()()()()()()()()()()()()()。その意味を最初こそ理解できなかったエール団。

 

 すぐに気づきそうにないそんな彼らに、仕方ないので指で下を指し、地面を見るように伝えると、そこでようやく気づいてくれた。

 

「「ま、まさか……」」

 

 今2人が立っている場所。そこは、先程まで自分たちが溺れかけていた場所。つまり、本来なら水の上である場所。先程の光景がフラッシュバックした2人は、また落ちるのでは無いかと慌ててその場から動こうとし……

 

「「な……なぁっ!?」」

 

 見渡す限り、全ての水面が凍っているこの状況に腰を抜かしてしまった。

 

「これで皆さん無事に渡れますね!では失礼しますね?行こ、みんな。モスノウもありがとね」

「フィッ!」

 

 そんなエール団の横を歩きながらみんなを呼んで先に進む。この時にモスノウをボールに戻すのも忘れない。ボールを腰のホルダーに戻しながら先を行くボクに、他のみんなもすぐに駆けつけてくれる。

 

「凄いぞフリアとモスノウ!!入り江を一瞬で凍らせるなんて!!でもなんかおかしかったような……?」

「確かに凄い……けど、どうやって?」

「さっきのふぶきのこと?」

 

 隣に駆けて来たホップとユウリからかけられた言葉。それは先程のふぶきについて。最初に凍らせるために打ったのと、さっき打ったのとで威力が違いすぎることについてだろう。

 

「別に特に何も無いよ?ただ、ボクがエール団と話して時間を稼いでいる間、ずっと『ちょうのまい』をしててってお願いしただけだね」

 

 エール団との会話。あれはモスノウが積む時間を稼ぐためのもの。能力を一時的に上昇させる技は、基本的にはボールに戻ると元に戻ってしまう。しかし、これは逆に言えば、ボールに戻さなかったら続くという意味でもある。そして今日ボクはモスノウを1度もボールに戻していない。なので、フォクスライを呼ばれるまでにとにかく積みまくって、いきなり能力の極まったモスノウの攻撃で、さっさと凍らせてしまったという訳だ。

 

 特に深いタネがあるわけでもなかったんだけど、ホップとユウリは素直に感心したらしく、ため息をついていた。

 

 ちょっと恥ずかしい。

 

「みんなごめん……多分、あたしのせいで……」

 

 一方でここまで喋らなかったマリィは明らかに落ち込んだ様子を見せていた。マリィ自身が悪いことなんてひとつもないんだけど、マリィからすれば自分の応援団の起こした問題なのなだから、その気持ちはなかなか割り切れるものでは無い。

 

「大丈夫、みんなマリィのせいって思ってないから」

「センパイが気にしなくても大丈夫的なァ?」

「うん……」

 

 みんなもそれをわかっているので、励ます言葉があまり思いつかない。少しだけ重くなってしまう空気。しかし、ここで足を止める訳にも行かない。

 

「とりあえず、先に進もう!!足を止めるのが一番勿体無いよ?」

「「「「うん!!」」」」

 

 少しでも明るくなるように元気に声を出すボク。その姿を見て、少しだけ明るくなったみんなの返事。

 

 周りを見渡すと、先程よりも目につくようになったエール団と他のジムチャレンジャーとのいざこざ。

 

(まだまだ、一波乱ありそうだなぁ……)

 

 その事に内心ため息をつきながら、ボクたちはまた足を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




キルクスのいりえ

実機だと全部水ですけど、実際には皆さんどうわたっているんですかね?
渡る方法自体はたくさんあるから困ることはなさそうですけどね。

エール団

厄介オタク。
ここで邪魔した理由は、みんなが引き返した後こっそり迎えに行けばマリィさんだけが先に進めるのでは?という意図があったりします。

ちょうのまい

公式バトルではないので陰で積みまくれば、常に最強のモスノウを準備できますね。
特攻、特防、素早さ常時4倍のモスノウなんて考えたくないですが。




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