【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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105話

 ゴゴゴゴと、物々しい音を立てながら開いていくスパイクタウンを塞いでいたシャッター。ゆっくりと開き、外の光を取り込み始めたその入口は、一番シャッターの近くにいたクララさんをゆっくりと照らしていく。

 

 同時にシャッターが開いたことによって流れ込んでくる風。頬を撫でる少し肌寒いその風が、クララさんの髪や服を後ろからさらっていく。決して強風ではないため、クララさんの体が動くことはないけど、風によってなびく髪と服は自然と視線をクララさんに集めていく。

 

「うちもジムチャレンジャーだし、いつかマリィセンパイとぶつかる……勿論、うちだって夢があるわけだし、負けたくないし……なによりも、マリィセンパイのファンとして、恥ずかしい姿を見せたくないから、全力でマリィセンパイとぶつかる。マリィセンパイの夢を邪魔したいわけじゃない。うちはただ、全力で夢を追い求めるマリィセンパイの姿を近くで見つめていたい!だから!全力でぶつかるって話ィ!!だからァ!!」

 

 シャッターが完全に開け放たれ、外からなだれ込んでくるジムチャレンジャーたちと、外に待機していたエール団。しかし、彼らの足もクララさんの姿を確認するとその動きを止めてしまう。

 

「こんなくだらないことを独断でして、他の皆に……そして何よりも、マリィセンパイに……迷惑をかけるんじゃねェ!!」

 

「……俺たちのしてきたことは、お嬢の邪魔だったでアールか?」

「そ、そんな……」

「じゃあこの騒動ってやっぱりエール団が勝手に……」

「少なくともマリィ選手のせいで起きた事じゃないのか……」

 

 クララさんの魂の叫びが、今ここにいる全員の耳へと響き渡る。その言葉は、エール団に対しては今までの行動を改めるものとして、ジムチャレンジャーへは、この騒動の原因がエール団の独断によって行われたものとして伝わっていく。

 

 それはくしくも、最初のクララさんが掲げていた作戦を最高の形で遂行したこととなる。

 

「おまたせ!……って、これどういう状況と?」

「表が騒がしくなってきたと思ったら……今度は何ですか?」

 

 スパイクタウン封鎖事件が終息へと向かう中、後ろから声がかけられたので振り向くと、そこにはマリィともう一人、猫背の態勢を維持したままこちらに歩み寄ってくる人影があった。

 

 それは瘦身の男性で、タチフサグマを連想させるような白色と黒色の髪型に、目元に大きな隈を携えたその姿は、先ほどの少しダウナー気味な喋り方も相まって、どこか暗いイメージをどうしても連想させてられてしまう。そんな人物が着ているあくタイプのマークが大きく描かれたシャツを見て、この人がどんな人であるのかを確信する。

 

 スパイクタウンジムリーダー、哀愁のネズ。

 

(この人がマリィの……そしてスパイクジムの……)

 

「ねぇみんな。あたしがアニキを呼んでいる間に何があったの?」

 

 ネズさんの姿に視線が吸われていたところにマリィから声を掛けられハッとする。

 

 ネズさんに注目をするのはまだ早い。今はこの騒動がどうなっているのかを2人に説明して、この騒動にちゃんと決着をつけるのが先決だ。

 

「クララさんがエール団を説得してシャッターを開けているところだね。どうもクララさんの地雷をエール団が踏み抜いちゃったみたいで……」

「私たちも最初はマリィたちを待とうと思ったんだけど……」

「クララのあの暴走はたぶん誰にも止められないと思うぞ……」

「え、えと……お疲れ様?」

 

 ボクたちとインテレオンたちの疲れた表情を見て、どんなことが起こったのかの大まかな内容を汲み取ってくれたマリィが苦笑いを浮かべながら労ってくれる。その事に感謝をしながら、ボクたちもそれぞれのポケモンをボールに戻していきほっと一息。

 

 正直まさかここまで連続で戦闘をすることになるなんて想像してなかったから物凄く疲れた。けど、多分一番疲れたのはボクたちの一番前を走り切っていたクララさんだ。怒りという後押しがありながらも、手持ちのポケモンも常に2匹以上展開してシャッターまで走り切ったその運動量はボクらの中でもダントツに大きい。

 きっと物凄く疲れているだろうと思い、彼女に視線を向けてみると……

 

「いいかお前らァ!!真のファンならァ!!どんなことがあっても絶対に応援しなきゃだぞォ!!ひたすら信じていくぞォ!!」

『おっす!!クララ姐さん!!』

「うちが真のファンの姿をみせてやっぞォ!!」

『一生ついて行きやす!!クララ姐さん!!』

 

 スパイクタウンの入り口から光りが降り注ぐ中、エール団たちに向けて拳を突き出しながら高らかに演説するクララさんの姿と、その姿を見てなぜかテンションを上げながら叫びだすエール団の姿。

 

「なにあれ?」

「……なんか、変な宗教出来てない?」

「ここまで来るとなんか怖いぞ……」

「というより、この感じだとあたしから鞍替えしてるように見えると……」

 

 クララさんに向かって拳を突き上げて叫ぶエール団の姿が、マリィの応援団からクララさんの応援団に変わっているようにも見えてしまう。マリィもそのように受け取ってしまったのか、目に見えて不満ですと言ったように頬をちょっと膨らませている。マリィにはちょっと申し訳ないんだけど、その表情が普段とのギャップもあってちょっとかわいく映る。この姿をエール団が見ようものなら、発狂する人も出てきそうだ。

 

(なんならクララさんも倒れてしまいそう……)

 

 簡単に想像できてしまう未来にちょっとだけ苦笑いを浮かべていると、ふとボクの横に並ぶ影。

 

「今回の騒動、あなたたちにご迷惑をかけてすいませんでしたね。おれ、耳はいいのでシャッターの方が騒がしいこと自体には気付いていたんですが……こんなことになっているとは想像もしていなくてですね」

「聞こえてたんですか?」

 

 ボクの言葉に申し訳なさそうに頷くネズさん。そんなネズさんの視線の先には、クララさんとエール団の変なノリに一瞬気を取られてしまうものの、ネズさんの姿を確認してすぐに駆けよって来るジムチャレンジャーたち。

 

「このスパイクタウンが騒がしくなることなんてめったにありませんからね。いやでも耳に入りますよ。それに、腐ってもここは7番目のジムを担っている場所なので……すでにちらほらと挑戦者が現れている時期ですし、静かな時とのギャップが一番激しい時期なのでいつも以上に音は耳に入ってきます。しかし、言葉の内容まではわからないので、この場の状況まではわからなかったのですよ。この騒動の収拾、感謝しますよ」

「いえ、ボクたちはなにも……」

「一番頑張ってくれたのはクララだぞ!」

「私たちはちょっとお手伝いしただけです」

「それでもですよ。マリィと仲良くしてくれていることも含めて、感謝します」

 

 こちらに少し視線を向け、そっと微笑むネズさん。その表情からは、先ほどまで感じていた暗さを感じさせない、穏やかで優しい雰囲気が伝わってくる。それだけマリィのことを慕っているという事だろうか。

 

 ユウリと言いホップと言いマリィと言い、兄弟間の仲に恵まれているみたいでとてもうらやましい。ボク自身は一人っ子だから、こういう兄弟間の思いやりというか、絆というか、みていて微笑ましいやり取りは結構憧れだったりする。

 

(ボクにもこういう兄弟がいたら、また違った道を行っていたのかな?)

 

 そんなifの未来を少し考えながらまだ何か話したそうなネズさんに視線を向けるが、そんなボクたちの会話を遮るかのようにジムチャレンジャーたちの足音が割り込んでくる。いよいよジムチャレンジャーたち全員がネズさんの近くまで迫っていた。

 

「あなたたちとは色々話したいことは多いのですが……まずは他の人にこの件についての説明をしないといけませんね。あなたたちにとって重要なことも一緒に話してしまおうと思うので聞いておいてください。個人的な話は……そうですね、この件について落ち着いた後にでも改めてしましょうか。やれやれ、今日は柄にもなく沢山喋る必要がありそうです」

 

 はぁ、とため息をつきながらボクたちのそばから歩いて行くネズさん。

 

 その後ろ姿が、普段からの癖でなっているように見える猫背のせいで本当にめんどくさいという感情を醸し出しており、ネズさんの2つ名である哀愁を態度でしっかりと表しているように見えてしまい、思わずクスっと来てしまう。

 

 みんなの前に立ったネズさんが、すこし気怠そうに、それでいて大きくはないのになぜか遠くまではっきりと届く芯の入った声で説明をしていく。

 

 

「皆さん、この度は大変迷惑をおかけしました。この件につきましては……」

 

 

 そこから始まるのはネズさんによる今回の騒動の真実の説明と、それによって生じてしまったジムチャレンジへの支障に対しての改めての謝罪。そして、今回のジムチャレンジにおいて、スパイクタウンのジムではジムミッションは行わずに、そのままジム戦を行うこととする旨だった。

 

 恐らく、今回の騒動のせいで本来ならもっと早くジムミッションを受けられたのに、エール団によってその大切な時間を奪ってしまったため、その時間を少しでも返上するという意味を込めての対処だろう。

 

 普通なら放送局だったり、リーグ委員会あたりにいろいろ言われる可能性のある対処方法だけど、ジムミッションもジム戦も、そのすべての内容をそもそも放送していないスパイクタウンのジムならではの対応だ。少々そのあたりを変えたところで、特にお咎めもないという事なのだろう。

 

 さすがにジムバッジを適当にばらまくとかしたら問題になりそうだけどね。

 

 そんな感じで紡がれるネズさんの言葉を聞きながら、ようやく騒動の終わりを感じて安心したため息をつくマリィへと皆が寄っていく。

 

「お疲れ様マリィ」

「何とかなってよかったな」

「本当、一時期はどうなるかと……」

「全くと……みんな、ありがとね」

 

 未だに演説をしてるクララさんを放っておいて、4人で行われるちょっとした労い合い。当事者であるマリィにとっては本当に気が気じゃない話だっただろう。

 

「アニキも、ジムチャレンジャーのみんなが納得する案をまとめてくれているみたいで本当に良かったと」

「見た目だけだと少し頼りなさそうだけど、こうしてジムリーダーとしていろいろしているところを見ると、凄い人なんだなって伝わって来るぞ」

「ホップ、褒めているのはわかるんだけどもうちょっとオブラートにだね……?」

「あはは、よかとよかと。普段のアニキが凄く見えないのは、何となくあたしも理解しているから」

 

 ホップの真っすぐすぎる言葉に思わずツッコミを入れると、笑って受け流すマリィ。どうやらマリィの目から見ても、普段のネズさんはちょっと頼りないというか、威厳が少ないらしい。

 

「けど、いざという時はすごく頼りになると。だからこそ、ジムリーダーも7番目っていう凄い所を任されているし、ダイマックスが嫌いで、絶対にダイマックスをしないのに、それだけのハンデを背負ったうえで他のジムリーダーに引けを取らないどころか勝っちゃうんだから……やっぱりアニキは、あたしの自慢のアニキで、あたしの目標と」

 

 ネズさんをじっと見つめるマリィの表情もまた、先ほどネズさんが見せた穏やかの表情に凄く似たものを浮かべていた。こういう姿を見ると、『ああ、兄妹なんだなぁ』と嫌でも実感させてくれる。

 

 ホップとユウリもそれを感じたようで、3人そろってまた少し微笑む。

 

「む、いきなり笑いだして何かおかしなところでもあったと?」

「「「いいや、別に~」」」

「その言い方!絶対何かあると!!」

 

 3人だけで通じて笑っていたところに飛んでくるマリィの不満の声。それに対して素直に返答してもよかったんだけど、黙っていた方が面白そうといういたずら心が芽生えてしまい、3人同時にはぐらかしてしまう。その姿が気に入らなかったみたいで、ボクたちの予想通りのちょっとむきになった面白い反応を返すマリィは、少しだけ不機嫌そうな顔をしながらまた文句を言うものの、ボクたちが笑っている姿につられて同じように微笑む。

 

 そのまましばらく行われる4人で笑い合う時間。

 

 先ほどまでの騒動のせいでいろいろ余裕がなかった状態とは違い、騒動が落ち着いたことによってみんなの緊張も抜けて再び戻って来るいつもの空気感。それがとてつもない大きな安心感を運んできてくれる。

 

 ネズさんの話を聞きながらも流れる、そんな安心感あふれた空気感。

 

 みんながネズさんの話を聞きながら、ネズさんに挑むために気を張り詰めているところに、ボクたちだけがちょっと場違いな空気感を見せているけど、今だけは許してくれるだろう。

 

 ふと感じるネズさんが送ってくれたとてもやさしそうな視線が、ボクたちのそんなひと時を許してくれているような、そんな気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ~……やっぱりここの安心感凄いね」

「スパイクタウンが寂れているって言っても、さすがにここの設備が変わることはなかとよ」

「安心と信頼の設備だぞ」

「それでこそポケモンセンターって感じだよね」

 

 ネズさんによるジムチャレンジャーへの説明と、クララさんによるエール団への演説が終わったのを確認したボクたちは、もう日が暮れてきたという事もあって、スパイクタウンにある唯一のポケモンセンターへとその身を置いていた。

 

 朝から昼にかけては寒冷地を進み、夕方はエール団との連戦というかなりの体力を使う1日を過ごしたこともあり、ポケモンセンターに入ったボクたちはすぐさま寝泊りできる部屋を取り、その中で過ごしていた。

 

 ネズさんの話的には、あの説明会が終わった時点でもうジム戦を挑むことが出来るようになっているらしいので、今からでもネズさんに挑むのは全然可能なんだけど、先ほども言った通り今日1日の運動量がとてつもなく多いので、今日はこうしておとなしくしておこうという意見にまとまった。ボク個人としては、今から挑戦しろと言われても、別に戦えなくもないんだけど……

 

「う゛ぃ゛……の゛と゛か゛い゛た゛い゛ィ゛……」

「そりゃあれだけ叫べば……ね」

「アニキの説明が終わっても演説してたもんね、クララ……」

「さすがに長話しすぎだぞ」

「絶対『姐さん』って言葉に浮かれて調子に乗ったんでしょ」

「う゛ぅ゛……か゛え゛す゛こ゛と゛は゛も゛な゛い゛ィ゛……」

 

 絶賛のどをつぶしてしまったクララさんがいるため、みんなで足並みをそろえるということもあって今日は休もうということになったというわけだ。さすがにこんな状態のクララさんを戦わせるわけにもいかないしね。

 

 クララさん的には、ボクたちだけで先に挑んでもよかったみたいなんだけど、それについてはマリィが待ったをかけた。

 

『あたしのためにここまで頑張ってくれたクララを置いて行くなんてできないけん。みんなで待と?』

 

 マリィに言われなくてもクララさんを置いて行くことなんてしないけど、マリィからのこの発言によってますますクララさんを置いて先に行くなんてできなくなった。実際、今回の騒動で一番活躍してくれたのはマリィの言う通り間違いなくクララさんだ。そんな彼女をここで置いて行くのはさすがに忍びない。特にマリィの意見に対して異論が出ることも無く、挑むのは少し経って態勢を整えてからにしようという結論に。この言葉を聞いて、クララさんが涙を流しながらマリィに飛びついたのはまた別の話だ。

 

(それに、実際少し間を開けてよかったと思うしね……)

 

 心の中でそう呟きながらそっと窓の外を眺めると、そこにはとぼとぼとポケモンセンターの入口を出入りしていくたくさんのポケモントレーナーの姿。気にするべきはそんな彼らの態度で、全員が全員俯きながら歩いており、とても落ち込んでいるように見える。その理由はとても単純で、この出入口を歩いているトレーナーたち全員が、ネズさんに勝つことが出来なかったためである。

 

 ポケモンセンターへ入っていくる人は今まさに負けたばかりの人たちで、ポケモンセンターから出ていく影はおそらくネズさんとの実力の差に絶望してここを去っていく人たちだ。ジムチャレンジの期間はまだまだ余裕があるとはいえ、ここまで来ればジム戦もかなり本気よりの戦いを向こうもしてくる。そうなれば当然突破するものも減っていく。今まで少しずつ、ジムチャレンジャーが減っていくこの現象を何度も目にはしてきたけど、ここまで負けている人を見るのは初めてだ。

 

 ガラル地方、2番目に強いジムリーダー。

 

 その肩書きは伊達なんかではなく、それは今日の突破したジムチャレンジャーの数が0であるという事実にて、その片鱗が証明されていた。

 

 どうやら、毎年このジムを突破できる人数は2桁を切っているらしい。その情報だけで、このジムが如何に難関かがよくわかる。いよいよ持って、気合いを入れないと簡単に負けてしまうだろう。

 

(ボクが戦う時まで、しっかりとコンディションは完璧にしないとね)

 

 兎にも角にも、今はポケモンとクララさんの喉を休めるのが先決。今日の連戦で疲弊しているであろう皆を癒し、万全の状態で試合を迎える。今のボクにできることはそれだけだ。

 

(さてと、ネズさんと戦うにあたって、どの子で戦おうかな……)

 

 とりあえず頭の中でイメージバトルをするために、何となくジム戦のことを頭に浮かべていると、ボクたちが泊まっている部屋の扉がコンコンコンと、3回ノックされる。そこそこに遅い時間なため、突然の訪問者に思わず首を傾げて顔を見合わせるボクたちだったけど、さすがにここで居留守はマナーが悪すぎるし、誰が来たかの思考をして、訪問者を待たせるのもおかしな話なので、「はーい」と返事をしながら、たまたま1番扉の近くに座っていたユウリが、扉の方に向かって行き、そのドアノブを捻る。

 

 ガチャッと軽快な音をたてながら開く扉の先には、丁度頭の中でボクと戦っていた人物が立っていた。

 

「アニキ!」

「「「ネズさん!?」」」

 

 急な来訪者に思わず立ち上がりながら声を上げるボクたち。ちなみにクララさんは、ネズさんの名前を叫ぼうとして、喉の痛みからむせてしまったので、マリィがそっと背中を撫でている。

 

「何をそんなに驚いているんですか。説明会の前に、落ち着いたら個人的な話をしようと伝えたはずなんですがね……」

「「「「ああ〜……」」」」

「やれやれ」

 

 首をすくめながらそういうネズさんに少し申し訳なさが募る。思い返してみれば確かにしそう言われた気がするものの、ポケモンセンターの部屋に入るや否や、今日一日の疲れと緊張から解放されて一気に気が抜けてしまって、色々と抜け落ちてしまっていたのだから、これくらいの凡ミスは許して欲しい。

 

「ま、構いませんよ。大した話をする予定もありませんし」

「本当に申し訳ないです……」

「だから気にしないでくださいよ。ただ……」

 

 ネズさんの目がスっと細くなると同時に膨れ上がるプレッシャー。気にしないでとは言っているものの、もしかしたらどこかで地雷を踏み抜いたのかもしれない。そんな考えが過ってしまい、思わずみんなで固まってしまう。

 

 一体何を言われるのか、ビクビクと脅えながら震えるボクたち。普通に口を開いているだけなはずなのに、スローモーションかと錯覚してしまうほど、ゆっくりと開かれるネズさんの口にみんなが注視し、次の言葉に身構える。

 

 みんながじっと見守る中、物凄く真剣な表情を浮かべたまま、ついに紡がれたネズさんの言葉。それは……

 

「……マリィは、怪我とか病気とか、そういったものに襲われていませんか?」

 

「「「「……へ?」」」」

「あ、アニキ!?」

 

 マリィの身を案じる言葉だった。

 

「え、えっと……」

「さあ、答えてください!マリィは、何も怪我とかしていませんか……?」

「す、すこぶる健康体ですよ……ね、ユウリ?」

「う、うん!フリアの言う通り、特に怪我等は……」

「あ、でも一回ポケモンハンターに襲われて……」

「「ホップ!!」」

「あえ、言っちゃまずかったか!?」

「ポケモンハンターに襲われたんですか!?大丈夫ですかマリィ!?」

「そんなことがあったのォ!?マリィセンパイだいj……ゲホォッ!?」

「く、クララ!?女の子の口から聞こえちゃダメな音が聞こえたと!?あんたの方が大丈夫と!?」

「マリィ!!どこか見えないところに怪我は!?」

「ああもうアニキも!!そんなのないから!!平気だから離れると!!」

 

 この言葉から始まる謎のカオス空間。一気に騒がしくなるポケモンセンターでのこの騒動は、ジョーイさんによるお叱りが飛んでくるまで続いた。

 

 激動で、緊張のすることの多い一日だったけど、最後はネズさんも一人の人間なんだなぁと、親近感を感じながら終わることとなる。

 

(最後は怒られちゃったけど、ネズさんの面白い一面が見れて、とても有意義な一日だったなぁ)

 

 やっぱりボクらにはこれくらい緩い方が性に合っている。そのことを改めて実感した瞬間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ジムミッション

という話ではここではジムミッションは無しに。
実機でも実質ないようなものでしたしね。
あのエール団との連戦がそうだったと思ってください。

宿

アニポケだと、ポケモンセンターの宿って一度にそこそこの人数が止まれるようになってますよね。
最近水の都を見直したのですが、そこでも四人くらいで泊まれる部屋にサトシたちが泊っていたので、あの世界ではやはり止まる部屋はかなり広いのかもですね。

ネズ

シスコンです(失礼)
実際、実機でもちょっと過保護なところもあったので、ポケモンハンターに襲われたことあると聞くと、さすがに焦りそうですよね。
そのあとお風呂も実は一緒になんて言ったら失神しそう……()




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