無事(?)ワクチンの副反応による頭痛で倒れていました。
「スカタンク、『だいもんじ』!!」
「ドラピオン!!『つじぎり』ィ!!」
スカタンクより放たれる業火を、黒色に光る両手の爪で切り裂いて止めようとするドラピオン。実際にだいもんじそのものは、スカタンクがほのおタイプではないゆえ、本来の威力ではなかった技だったため、ドラピオンの一撃にて何とか止めることに成功はしていたものの、ネズさんはそれを見越して既に行動していた。
「スカタンク!!相手が技を止めたその隙に『ふいうち』だぜ!!」
つじぎりとだいもんじの散った炎の隙間を駆け、ドラピオンの懐に潜り込んだスカタンクが強烈な一撃をドラピオンの体に叩き込む。
「ッラァ!?」
「ドラピオン!?」
攻撃中の隙だらけな体に叩き込まれた正確な一撃は、耐久力に自信のあるはずのドラピオンを容赦なく吹き飛ばす。
せめて少しでも威力を落とそうと、自分から後ろに飛んで軽減しようと考えてはいたものの、それすらも読み切ったネズさんのスカタンクが、さらに一歩踏み込んで攻撃することによってその威力減衰をゆるさない。
派手に吹き飛び、バトルコート外のフェンスに叩きつけられるドラピオン。すぐさま起き上がって、戦線復帰に行こうと体を動かすものの……
「ド……ラァ……」
「……ッ」
どすんと、地面を揺らしながら大きな音を立て、地面に突っ伏したドラピオンは、そのまま目を回し動かなくなる。
「ドラピオン戦闘不能!!スカタンクの勝ち!!よってこの戦い、ジムリーダーネズの勝利!!」
「ふぅ……あなたとの戦いもまた、ギリギリでしたね。ありがとうございました」
「……ありがとうございましたァ」
お互いがお互いのポケモンを戻しながら告げられる対戦後の挨拶。はたから見てもかなり熱い戦いで、正直最後までどっちが勝つかなんて全然わからなかったけど、最後は常に相手を観続けていたネズさんに軍配が上がった。
ギリギリのバトルに満足したのか、少しだけテンションが高そうなネズさんの言葉と、負けたのが悔しくて、その感情が声からも漏れていたクララさん。悔しそうにフェンスの出入り口に向かって歩き、ボクたちに合流したクララさんはそのまま……
「うええぇぇん!!負けちゃったよォ!!」
「うん、頑張ったね……やっぱりアニキはつよか」
マリィへと抱き着いて泣き崩れる。そんなクララさんを抱きしめながらあやしていくマリィは、ぼそっとネズさんを褒めながら視線をそちらに向ける。
「ああ、本当に強いぞ……あのジムチャレンジャーたちが誰も勝ててないのがよく分かったぞ……」
「うん。本当に強い……私たちも全力で頑張っているはずなのに……
マリィの言葉に続くホップとユウリの言葉。みんながここまでネズさんを褒める理由。それはユウリの言っている言葉通りの結果になっているから。
ネズさんのもとに辿り着いたボクたちは、ホップを先鋒として、ユウリ、マリィ、クララさんの順番でネズさんに挑んだものの、結果は全員敗北。ネズさんとのバトルは4対4のシングルバトルなんだけど、勿論ホップたち全員最後の1対1まで突入はしている。何ならユウリとマリィに関しては、手持ちが2匹残っている状態でネズさんをあと1匹まで追い詰めていた。しかし、それでもネズさんが最後は押し返していた。ネズさんの額に汗が浮かんでいることから、間違いなく苦戦はしているし、おそらくここ数日で戦ったジムチャレンジャーと比べたらユウリたちの方が強いことはネズさんも理解してくれているはずだ。だからこそ、クララさんとのバトルの後も少し満足げな表情を浮かべていたんだと思う。
しかし、それでも、ネズさんの壁を超えることが出来ない。
今回のジム戦においては、対戦を待っている間もネズさんのバトルを観戦することが出来るため、後になればなるほど戦いやすくなるはずだ。勿論ユウリたちもそれを理解しているからこそ、ネズさんとの戦いは一切目を離さずに見つめていたし、バトルでも要所要所で対策を頑張っているところは目にすることが出来た。なのにその上をネズさんは行っていた。
最後の最後でどうしても粘られて返される。
この粘り強さは、恐らくネズさんがこのガラル地方で生き残るために備わった力だ。ダイマックスがあまり好きではないから使わないと明言しているネズさんだけど、当然ながら対戦相手にとってはそんな事情なんて知ったことではない。なので、いくらネズさんがダイマックスを禁止したとしても、ネズさんの対戦相手はそんななんてお構い無しにダイマックスを行ってくる。しかし、ネズさんはその上で勝利している。それはつまり、相手だけがダイマックスをしてきたとしても、『そのダイマックスを乗り切れるだけの防御力と立ち回り』または、『ダイマックスを押し返すことが出来るだけの火力』のどちらかを備えているということになる。
恐らくネズさんは前者のスタイル。敵の攻撃を耐えたりいなしたりして、相手の裏や不意を着いた攻撃。あくタイプらしく、慎重かつ大胆で、それでいてトリッキーなその動きは、自身の強みをしっかりと理解した動きだ。それに、ネズさん本人の性格のせいなのか、もうひとつ厄介なところがあるんだけど……それはその時に言おう。
とにかく、ダイマックスという強力な手札を使わずして、ダイマックスを使ってくるほかのジムリーダーを超える実力を持っているネズさんにとって、相手も自分と同じ土俵となるダイマックスのないこの戦いは、間違いなくネズさんに対して有利なバトルとなっている。つまり、このバトルは一見お互いダイマックスが使えない平等なルールに見せかけて違うというわけだ。
成程そう考えれば、手加減をしたこのジム戦用のパーティでも、誰もネズさんに勝てないというのは納得できる。ネズさん視点、普段からダイマックスをどうやって耐えるかの思考をしなきゃいけないのに、ここではその必要がないのだから。
「さて……この楽しいバトルも、いよいよ最後の1人になってしまいましたね……さぁ、大将さん。あなたの出番ですよ」
「……」
ネズさんがこちらをじっと見つめて、『早くバトルコートに来い』と言っている気がした。その視線に呼ばれるようにフェンスの出入口に向かって歩き出し、バトルコートに入る。
「フリア!!」
「……?」
バトルコートの、トレーナーが立つ場所に足を踏み入れようとした時にかけられる声。そちらを向くと、フェンスをしっかりと掴み、真っ直ぐこちらを見つめるホップの姿。ボクとホップの目が合ったのを確認したホップが、次の言葉を続ける。
「絶対勝てよ!」
「応援してるから!」
「気張っていくと!」
「ファイットォ!」
「……うん、頑張る!」
ホップに続いたみんなからの応援を背中に受けて、頷きと返事を返しながら今度こそ立ち位置に着く。
「良い仲間たちです。マリィとも仲良くしてくれているみたいで、本当に感謝しますよ」
「いえ、むしろボクも色々頼っている部分もあるので、お互い様です」
「それでもですよ。少なくとも、今日こんなにも楽しいバトルができているのは、間違いなくあなたのおかげでしょうからね。言ってはなんですが、ここ数日戦った人の中で、楽しいと思える人は残念ながらほとんど居なかったので、今日は本当にいいバトルができて嬉しいのですよ。正直、あなたがたにはバッジをあげてもいいと思えるくらいには充分強くなっていると思っています」
「なら、少しくらいは手加減してくれませんか……?今回においてはネズさん、ボク以外の方にもちょっとだけ本気出してますよね?」
「「「え!?」」」
フェンスの外から聞こえてくるマリィ以外の驚きの声。マリィは家族ということもあり、やっぱりこのことに気づいていたみたいだけど、普通は気づけるようなことではないからみんなの反応が普通なはずだ。ボクだって、いつもみんなと違う難易度に挑戦し続けていたからたまたま分かったと言うだけだから。
「……別に意地悪をしたかった訳では無いのですよ。それならマリィとの戦いで手を抜けばいいので」
「あ、いえ!そこを疑っているわけでは……」
「ならいいのですが……」
ここに来て、ジムリーダーとして設定されていた強さよりも少し上にして戦うというのは、先の事件も含めてまた忖度をしているのではと疑われる行為ではある。ネズさんもその勘違いを危惧して早めにこの発言を残したのだろうけど、既にネズさんの人となりはなんとなく把握しているつもりだし、そんなことをする人だとも思っていない。それこそ、本当のそういう意図があるのなら、ネズさんの言う通り、マリィとの戦いの時に手を抜けばいいだけなのだから。
けど、それをしていないということは、もちろんこの急なちょっとした難易度の上昇には意味がある。ボクの予想が当たっていれば、それはジムミッションを無くしたことと関係があるだろう。
「今回、おれが少しだけ本気を出している理由は、ジムミッションがないからです。ジムミッションというのは、そもそもジムリーダーに挑める資格があるのかを試す場所。この時点で1度ふるいにかけられるのです。しかし、今回はその試験がこちらの不手際でひとつない状態です。試験の数は減りました。ですが、だからといって試験が簡単になったと言われる訳にはいかないのです」
ジムチャレンジはあくまでも最後のトーナメントへ挑むための予選だ。その予選の難易度を下げて、万が一にも相応しくないものを通す訳には行かない。故の急な難易度。
(この話聞いたら、何人かクレームを出しそうだなぁ……)
予想はしていたし、納得はできる話だけど、それはそれとして苦笑いを抑えることがなかなかできない。この後ネズさんが色々文句を言われないことを願うばかりだ。
「さて、長話はこの辺にしましょう。あまりオーディエンスを待たせるのも宜しくないですからね」
ネズさんに言われて周りを見渡すと、ボクたちのバトルを今か今かと待っている様子の人たちがチラホラと確認出来る。
ネズさんの説明に驚いていたユウリたちも、話の内容に納得するやいやなや、すぐに気持ちを切り替えて、ボクとネズさんのバトルからひとつでも何かを吸収せんと、食い入るようにこちらを見つめていた。
ここにいる、すべての人間がボクたちを見つめている。
人数が少ないから緊張することはない。なんて思っていたけど、人数が少ない分、観客との距離が近いせいか視線をさらに強く感じてしまうためか、いつもの戦いとはまた別のプレッシャーがボクを襲ってくる。
固唾を飲んでしまうボクを見たネズさんは、それを確認したうえでまたマイクスタンドを取り出し、懐のダークボールに手を伸ばす。
「さぁ!!いよいよ今日のフィナーレだぜ!!泣いても笑ってもこれが今日最後!!最も、泣くのはお前だけだとわかりきっているがな!!」
マイクを持ちだした瞬間一気に変わるネズさんの喋り方とプレッシャー。
フェンス越しには何度も見てきたはずなのに、こうやって真正面で対面してみるとまた違った凄みがある。その凄みに押されないように、こちらも腰を落としてボールに手を添えて戦闘態勢。
「行くぜよそ者!!ここがどこで、おれがだれなのか思い知らせてやるぜ!!」
ジムリーダーの ネズが
勝負を しかけてきた!
「いくよ!エルレイド!!」
「いくぜ!スカタンク!!」
ネズさんの叫び声とともに切って落とされたスパイクジム戦。繰り出されたポケモンは、ボクからはエルレイド。ネズさんからは先ほどクララさんのドラピオンを落としたスカタンクが登板してくる。間違いなく先ほどとは違う個体だということは、対面した瞬間に感じる圧の時点でよくわかるんだけど、果たしてこの子がどんな子なのか、そしてどれくらい手加減をなくしている子なのかがわからない。
いや、正確にはどんな子なのかは、ネズさんの戦闘スタイルから知ることこそできる。その理由がそろそろ分かるだろう。
「みんな匂うけどいいよな!?『ふいうち』!!『どくどく』だ!!スカタンク!!」
(『ふいうち』と『どくどく』を覚えている個体ってことか……)
ネズさんがマイクを振り回しながら叫ぶのは自分のスカタンクがどの技を使うことが出来るかというもの。簡単に言ってしまえば、一種のネタバレだ。
ネズさんの悪いクセ、とでもいえばいいのだろうか。こうやってバトルの時、テンションが上がって、キャラが変わってしまうのは見ての通りなんだけど、そこからさらにネズさんの調子が振り切れると、こうやって自分の手持ちの情報をさらけ出していく。
この現象は、ボク以外のみんなが闘っていた時も何回か行っていた。マリィに聞いたところ、このクセはネズさんが音楽を始めたあたりから徐々に姿を現し始めたクセらしく、一時期はこのネタバレを直そうと四苦八苦していた時期もあったと聞く。
理由は当然、相手がどんな技を使ってくるかなんて、分からない方が有利なのだからそれに越したことはないからだ。
ポケモンは基本的に4つしか技を使うことがない。これは、4つ以上の技を覚えることが出来ないというわけではなく、ポケモンが高い練度を維持し続けて覚えることが出来る技の数が、4つが限界だという理由だ。ただ『なきごえ』を発するだけなら、別に5つ目の技として覚えようとすれば覚えることなんか簡単だ。しかし、その『なきごえ』が相手の攻撃をちゃんと下げられるほどの物なのか、はたまた遠くまでその声を届かせることが出来るほど強力なものなのかとなると、話は大きく変わってきてしまう。
戦闘で使えるほどの練度に達している技を4つ憶えている時点で、無理して覚えた5つ目の技は、ポケモンという種のスペック上どうやっても高練度を維持するのが難しくなってしまい、とてもじゃないけど実戦で効果がちゃんと現れるほどの練度で維持できない。それどころか、下手をすればちゃんと使えていたはずの技でさえ練度が落ちてしまっていた、なんてことだってあり得るほどだ。
どこかの誰かの言葉を借りるなら、『メモリが足りない』といったところか。そのため、どんな凄いトレーナーのポケモンでも、ポケモンが使ってくる技は4つだ。野生のポケモンだとまた話は変わって来るんだけど、例えチャンピオンだとしてもこの制約は変わることはない。
ここでネズさんの話に戻るんだけど、さっきみたいに自分のテンションに任せて2つも自分が使う技を暴露するということは、自分の戦法を無条件で丸々半分開示しているようなものだ。そんなもの、不利行動以外なんでもない。だから直したいという気持ちは当然ながらわかる。けど、現実としてはこうやって現在でもこの悪癖は治っていない。
ではなぜそんな不利なクセを背負っているのにここまでの強さを維持することが出来るのか。その話については、今度はクララさんの挑戦が終わった後の説明で、後回しにしてしまったところまで戻るんだけど、むしろこのクセを利用して厄介な戦い方をしているからであり、その戦法があくタイプという種類と、とてつもなくマッチしている。というのが大きな理由だろう。
「エルレイド!『かわらわり』をしながら警戒!!」
前に走りながら両手を白く光らせたエルレイドが、上段に右手をあげ、左を守りに使えるように構えておく。そんなエルレイドのその構えを見た瞬間、ネズさんが素早く指示を飛ばす。
「スカタンク、
上から振り下ろされる腕を、側面から爪で叩くことによって横に逸らし、隙が出来たエルレイドに、すぐさま毒を吹きかけようと構える。
「『サイコカッター』を繰り出しながら下がって!!」
この毒を貰うわけにはいかないので、あくタイプのスカタンクには効果がないものの、どくどくを中和して弾くことのできるエスパー技で弾きながら一回下がる。
(……エルレイドのかわらわりを弾いたの、
ネズさんの悪癖が厄介な理由。それはそのクセを対戦相手との読み合いに利用してくること。
さっきエルレイドのかわらわりを逸らしてきた技。普通に考えればふいうちだ。なぜなら、あんなに簡単にネタバレしたのだから。だけど、ここまでのユウリたちとの試合で、基本戦術がふいうちなら自身を強化して戦えばいいと判断したみんなが、そういった技を使おうとした瞬間、今度は同じような指示だったのに、ふいうちではなく
当然ふいうちを警戒して手を出す回数を減らしていたみんなは、急に飛んできたつじぎりに対応することが出来ずに、回避することも間に合わずに弾き飛ばされていた。それからというものの、攻撃をすればふいうちが、しなければつじぎりが、と、2つの技の塩梅を物凄く細かく分けて使いこなしてきたため、その対応に追いつかずにどんどん押されてそのまま押し負ける。それがネズさんとの戦いの大体の内容だ。
なまじ中途半端に相手の情報を知っているが故に、逆にその技を強く意識させられてしまうためにこちらの手が無意識に制限させられてしまう。
ネズさんの戦法を簡単な例えをするのであれば、じゃんけんで勝負をするときに、最初に『自分はパーしか出さない』と宣言をして、そこから変な心理戦を仕掛けてくるような人。
単純な3分の1の勝負なはずなのに、この一言で一気に思考が加速してしまう心理戦へと変わっていくこの感覚に物凄く似ている。そのまま思考することに飲まれて、結局体が動かずにグーしか出せないところまでそっくりだ。
ただでさえ、相手の攻撃を見て攻撃ができるふいうちに、ガラルでは使っている人を見たことがないけど、相手のポケモンが交代するところに使うことによって技の真価が発揮されるおいうち。相手の攻撃を利用して攻撃するイカサマなど、トリッキーな技や戦法を得意とするあくタイプなのに、そこにネズさん特有の読み合いや戦術が加わることで、その厄介さがさらに加速していく。
だからこそ、あくタイプとマッチしている。
あくタイプというのは、ネズさんのためにあると言っても過言ではない。そう言い切ってしまえるほど、ネズさんの戦い方とマッチしている。しかも今回に限って言えば、ふいうちかつじぎりか、ではなく、ふいうちか何かの技、と、対となっている技の正体がわからない。
(エルレイドはお互いのタイプが干渉しあっているからあくタイプの技は普通に受けるだけ。それにしてはやけに思いっきり腕が弾かれていたような気がするから、そもそも
「突っ込め、スカタンク!!」
「ッ!?エルレイド!『リーフブレード』!!」
再び何かの技を構えているような、それでいて普通にふいうちを構えているような、ぱっと見ではどっちか判断できないその構えを確認し、突っ込んでくるスカタンクに対して草の刃を構えるエルレイド。
先ほど言っていた、思考に持っていかれて反応が遅れる典型的パターン。
動きが遅れたエルレイドはすぐさまリーフブレードを構えるものの、素早く懐に潜り込んだスカタンクの
本来は遠距離技ではないリーフブレードだけど、マジカルリーフで疑似リーフブレードを再現していた時の経験と、サイコカッターのように斬撃を飛ばすことのできる技を新しく覚えたことによる応用だ。
あく、どくという、こと受けることに関して、じめん以外の弱点が存在しない優秀なタイプであるスカタンクに対してはあまりダメージは期待できないけど、近接主体のエルレイドにとっては貴重な遠距離技代わりだ。頼っていかなきゃ勝てない。なぜなら、さっきの攻防でスカタンクの別の強さも確認できたため。
(思考しすぎて体が追い付いていないのもそうだけど、あのスカタンク意外と速い!!)
見た目からは想像できない素早さに思わず舌を巻く。
まだ2回しか技をぶつけ合っていないのに、ネズさんの強さがありありと伝わってきたと同時に、頭が熱を持ち始める。
(本当に強いね、この人)
「スカタンク!『どくどく』だぜ!!」
「よけて!!」
毒の液をこちらに飛ばしてくるのをみて、左右に走ることで回避するエルレイド。
「走れ!!」
(来た!!次は……どっちだ?)
どくどくをよけたところを狙ってまた走り出すスカタンク。
次はふいうちか、それとも別の技か。
「迷う前に押し切る!『インファイト』!!」
「エルッ!!」
エルレイドが両の拳に力を込めて、走って来るスカタンクに構えを取る。先ほどは迷ってしまったから対応が遅れてしまった。なら、次はその反省を生かしてふいうちをされても真正面から叩きつぶす力業。普段のボクならあまりしない行動だからこそ、ネズさんには意外と通るかもしれないと判断しての一手。そしてどうやら相手の技はふいうちではなかったらしく、さらにインファイトという高火力技も予想していなかったのか、驚きの表情を浮かべたのちに、拳の雨にさらされて吹き飛ぶスカタンク。
この読み合いはボクの勝ちだ。
「エルレイド!このまま攻めるよ!!」
少なくないダメージがスカタンクに入ったのを確認したボクは、そのまま攻め切るため、エルレイドに攻撃の指示を出す。けど、エルレイドの足が少しおぼつかない。
(まさか……)
嫌な予感が駆け巡り、エルレイドの体に視線を移す。
「エ……ル……ッ!!」
そこには、両手を毒の液に浸されたエルレイドの姿。
「慎重な君は『かわらわり』で両対応してくると思ったのですが……そのいざという時の思い切りの良さはさすがですね……だが!おれの上を行くなんざ100年はえぇぜ!!」
(『どくどく』を体にまとってわざと殴られに来たんだ!!)
毒の液を飛ばし、どくどくを遠距離態と意識させ、次に先ほどの攻防戦とふいうちをちらつかせて相手の選択を誘導し、殴らせて接触した瞬間に毒を流す。
テンションは上がって、口調や情緒はむちゃくちゃなのに、戦法はありえないくらいクレバー。
「お前の命は秒読みだ!すぐ倒れるか、毒で倒れるか、好きな方を選びな!!スカタンク!!いくぜ!!」
「エルレイド!!なったものは仕方ない!短期決戦でとにかく前へ!!」
「スゥッ!!」
「エルッ!!」
インファイトを受けたスカタンクと、どくどくを受けたエルレイド。
お互い倒れるまでそう遠くないポケモンが、それでも目の前の敵だけは倒して見せると、覚悟を見せながら駆け出した。
初手
初手スカタンクは実機と違いますね。
実機ではズルズキンが初手となっています。
スカタンク
実はエルレイドよりも素早さ5速いスカタンク。
これはエルレイドが遅いのか、スカタンクが速いのか……
メモリが足りない
某変態ピエロの言葉がよぎりますね。
おいうち
剣盾にはそもそも存在しない技ですね。
どくどく
殴った側であるエルレイドが毒になっているのは、某海賊の監獄のお話みたいですね。
体感2回目よりもつらくはなかったですが、期間が長かったです。
皆さんも気を付けてくださいね。