【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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109話

 指先を構えていつでも攻撃できるぞと、こちらをちらっと見るインテレオンと、すぐにでも攻撃したいとうずうずしているズルズキン。

 

 ペースを握られている以上先に動いてダメージを与えたいけど、相手がズルズキンということは先手は多分取られる。

 

「インテレオン、『ねらいうち』!!」

「ズルズキン!!いつものいくぜ!!」

 

 一応遠距離攻撃を打って牽制はしてみるものの、放たれた水の弾を紙一重でくぐり抜けながらインテレオンの近くまで走ってくる。そんなズルズキンに向けて、少しでもその邪魔になるように更にねらいうちを連射するインテレオンだけど、いつもジム戦で戦っているバトルコートよりも数段狭い今回の場所では、遠距離攻撃と言うのはやはり難しいみたいで、あっという間に距離を詰められる。

 

「インテレオン!!『アクアブレイク』で追い返し━━」

「『ねこだまし』だぜ!!」

 

 迫ってきたズルズキンを追い返そうと両手に水に刃を構えたところで、ズルズキンがインテレオンの目の前で手を叩く。空気が破裂するような軽快な音と共に、ほんの少しの衝撃波がインテレオンを襲い、その音と衝撃によってインテレオンが怯むと同時に、構えていたアクアブレイクが解除される。

 

 威力こそ決して高いものでは無いけど、自分が場に出てすぐの時、相手よりも素早く、そして確実に相手をひるませることの出来るこのねこだましは、相手の出鼻をくじくのにかなり有効な手であり、かつ自分のターンに引き込む能力の高いものとなっている。実際、ねこだましのせいで怯んでしまったインテレオンは、ズルズキンにとって格好の的である。

 

「ズルズキン、その隙だらけなボディに『かわらわり』!!」

 

 当然そんなチャンスを逃す理由なんてなく、ズルズキンの右手がインテレオンに向けて振り下ろされ……

 

「かかった」

「ズルッ!?」

「ッ!?」

 

()()()()()()()()()()ねらいうちが突き刺さる。

 

「さっきの『ねらいうち』の跳弾か!?」

 

(気づくのが本当に速い……!!)

 

 この攻撃の正体は、ネズさんの言う通り最初に打ったインテレオンのねらいうちの跳弾だ。

 

 先程も言った通り、ここスパイクジムのバトルコートはダイマックスが無い兼ね合いで、他のジムと比べるとその大きさは天と地と言っていいほど小さく狭い。また、バトルコートの周りには簡易的なフェンスや、ライブ用のステージがすぐ近くにあったりと、狭い場所に無理やり作りましたと言われると納得してしまいそうになるほど周りに建物が多い。そのため、遠距離で戦おうとすると、どうしても距離を詰められやすくなっているので接近して戦うのが有利なバトルフィールドとなっている。だからこそ、ボクも初手はエルレイドだったわけだしね。

 

 けど、これは決して遠距離タイプが戦えないということにはならない。

 

 壁や建物が近いのならば、逆に言えばそれを利用することも出来る。

 

 周りの建造物を使ってインテレオンのねらいうちを跳弾させることによって、インテレオンの攻撃ルートは無限に広がることとなる。これは、普段のジムフィールドでは障害物が無さすぎてできない戦法だ。

 

 相手が地の利を得ようとするのなら、こっちだって使えるものはなんでも使ってやる。

 

「『とんぼがえり』をして飛び回って!!」

「レオッ!!」

 

 ねらいうちを受けてバランスを崩したズルズキンに向かって、とんぼがえりでダメージを与えながらボクの後ろにある建物の壁に着地したインテレオンは、そのまま壁やフェンスを足場にして高速で飛び回る。

 

「ズルっ!?ズルっ!?」

 

 自慢の素早さをいかんなく発揮するインテレオンの姿に、ズルズキンの視線が右往左往する。防御、特防、攻撃方面は強いけど、素早さが圧倒的に遅いズルズキンではインテレオンの素早さに追いつくのはとても難儀なはずだ。

 

「インテレオン!そのまま『ねらいうち』!!」

「レオッ!!」

 

 建物から建物へと高速で飛び回るインテレオンが、そのスピードを維持したまま人差し指をズルズキンへ向けて、ねらいうちをいろんな方向から打ちまくる。

 

 インテレオンの移動の中心にいるズルズキンは、インテレオンの動きについて行けず、集中砲火を喰らう形だ。

 

(さっきまでは、エルレイドでスカタンクの動きに対応しようとしたから負けた。悔しいけど、読み合いや駆け引きでは、ボクはおそらくネズさんについて行くことが難しい)

 

 スカタンクが毒を出したらその対処を、攻撃をしてきたら逸らして、そして隙を見つけたら何とか食らいついての繰り返しだったさっきの戦い。そんな戦い方をしていたからボクの方が後手に毎回回ってしまい、そのせいでエルレイドの強みである攻撃の強さを生かすことが出来なかったのが、これまで流れを取られ続けてしまった原因だと予想する。

 

(ならば、今回はその逆を行く!!)

 

 エルレイドとスカタンクの対面の時と違い、今回はインテレオンの方が何倍も素早さが高いので、バトルの流れを展開を操作する力はこちらが上……だと思う。なので、動きで相手を制圧できるのなら、今度はこちらが相手に対応させる戦いをする。

 

(ネズさんなら、インテレオンの対策の技を入れていてもおかしくなんてないけどね……)

 

 未だに飛び回るインテレオンからのねらいうちの雨にさらされているズルズキンを見つめながら、ネズさんがどう動くかをじっと観察する。

 

 スカタンクのどくどくの時のように、あらかじめ放たれている技はないはずだし、残っていた毒はすべて、エルレイドのサイコカッターと、モスノウのふぶきで消え去っているので、ズルズキン以外に注目しないといけない場所はないはずだ。見落としもないはず。

 

(さぁ……どう動く……?)

 

 じっとズルズキンに視線を向け、どう対処してくるか構えていると、ゆっくりとネズさんの口が動き出す。

 

「ズルズキン、やるやつはこういう時こそ落ち着くんだぜ」

「…ズルッ!」

 

 先ほどまで慌てていたズルズキンが、ネズさんの一言で一瞬で落ち着きを取り戻し、開幕のいかくを発動した時のような鋭い顔つきに戻る。

 

 何か仕掛けてくる。

 

「ズルズキン!そのかっこいい目でしっかりと観な!!『みきり』だぜ」

「ズル……ッ!!」

 

 きらりと光るズルズキンの瞳。ズルズキンがくるりと周りを見渡した瞬間、さらに空気が変わる。

 

 注意しないといけないけど、現状はこちらのやることはまだ変わらないので、インテレオンはねらいうちをしつづけていると、ズルズキンがついに動き出す。

 

 後ろから飛んできた水の弾を屈んでかわし、次いで来る左右からの水弾をスウェーで避ける。ズルズキンの目の前でぶつかり合った水弾が弾け、その衝撃がズルズキンを襲おうとするが、その衝撃に身を任せ後ろに飛ぶことによってこれすらも回避。けど、その回避すらも読んでいたインテレオンが、回避場所の真上からねらいうちが当たるように発射しており、タイミングばっちりに水弾がズルズキンを襲う。

 

「『じごくづき』!」

 

 しかし、みきりで無理ならそこのフォローはトレーナーの腕の見せ所。回避が間に合わないと判断したネズさんが技を指示し、それに従ったズルズキンが真上にじごくづきをすることで、最後のねらいうちも防ぎきる。

 

(ズルズキンの遅い速度を、ネズさんの判断力で補っている形だね……やっぱり簡単にはいかないか……でも!!)

 

 最初の方で防ぎきれていない攻撃分ちゃんとダメージは入っているし、いくら防がれてもこちらはダメージがない。

 

(ならまだ続行で大丈夫!けどそのままだと対処は簡単にされるから……)

 

「インテレオン!!もっと速く!!もっと乱雑に!!『ねらいうち』!!」

 

 みきりで躱されても、じごくづきで落とされても関係ない。落とされたなら次は落とされないようにもっと素早く複雑に!!

 

 先ほどよりもさらに速く壁や天井、フェンスを足場にして飛び回るインテレオンが、ねらいうちを次々と発射する。このねらいうちも、先ほどは最後の真上からの攻撃以外はまっすぐズルズキンを狙って攻撃をしていたけど、今回は跳弾をふんだんに利用した攻撃に変更する。

 

 ねらって打っているものもあれば、全く狙うことをせずに適当に打っているものも混ぜることによって相手に軌道を全く悟らせない。デメリットとしては、適当に打ったもののせいで自分に帰ってくる可能性があるというところだけど、たとえ自分に当たったところでインテレオン自身のタイプにはいまひとつでしかないため、ダメージレースで勝つことが可能だ。同じ数被弾しても、総ダメージは絶対に相手が多くなる。

 

「ズルズキン!まだまだいけるよな!?『みきり』!!」

 

 更に弾幕が激しくなったバトルフィールドで、それでもまだ避けようと全力で目を光らせるズルズキン。先ほどの回避で体が温まったのか、弾幕は濃くなっているうえ、適当に跳弾している弾もあるから弾道予測は難しいはずなのに、それでもズルズキンは攻撃を見切る。

 

 飛んで避け、体を傾けて躱し、あたるものはじごくづきで弾く。

 

 攻撃の嵐の中を紙一重で切り抜ける様は、嵐の中心で舞を踊っているようにも見え、思わず見とれてしまいそうになる。しかし、そこはぐっとこらえてすぐさまこちらの攻め方に工夫を入れる。

 

「インテレオン!ちょっと難しいかもだけど、尻尾で『アクアブレイク』!!」

「む?」

 

 ボクの指示に従って尻尾にアクアブレイクの水を纏うインテレオン。この行動の意味が分からない様子のネズさんから、初めて少し悩ましげな声が聞こえる。

 

「弾いて!!」

 

 これが演技なのか、はたまた本当にわかっていないのかは判断できないけど、とにかくこちらからどんどん仕掛けていく。インテレオンが器用に尻尾を振り回していると、適当に打って跳弾していたねらいうちが尻尾に当たり、軌道が変わる。

 

 変わった先は勿論ズルズキン。

 

 本来なら気を付ける必要のなかった弾でさえ自分を襲い掛かり始めるこの状況に、みきりでの回避がだんだんと厳しくなってくる。じごくづきでの技逸らしも間に合わなくなってきているのか、少しずつ掠る回数が多くなってきている。このままいけば、ただでさえ勝っているダメージレースでさらにリードを取ることが出来るだろう。

 

 インテレオンの方が耐久面での劣りは大きいのでまだまだ油断はできないけど、前半と比べて流れは完全にこちらが取り戻している。このペースでいけば少なくともズルズキンは落とすことが出来るだろうけど……

 

(勿論、こんなあっさりやられるなんて絶対にないよね)

 

 ボクの手持ちが割れているのは間違いない。他の人ならジム戦で自分の手持ちを見られてから対策をされるなんてことは絶対にないはずだけど、自分で言うのもなんだけど、ボクは特別視されているせいでこの常識に当てはまらない。今までのジムリーダーたちとの戦いを考えれば、ネズさんもボク相手に何かを仕込んでいるとみて間違いないだろう。

 

 特にボクの手持ちで警戒されている気がするのはインテレオンとエルレイドだと思うので、インテレオンを止めるための何かが絶対あるはず。そして、エルレイドとモスノウを倒して流れを取っている状態なのだから、インテレオンが登板されるのは予想できる状況だ。

 

 インテレオンの対策を仕込むならここだろう。

 

「ズルズキン!!『じごくづき』の角度を変えていきな!!」

 

 そんなボクの予想に応えるかのように指示を出すネズさん。指示された通りじごくづきを出す角度を変えて攻撃するズルズキンによって、ねらいうちの弾が、ただ弾きおとされるだけでなく、インテレオンがねらいうちを打った時と同じように跳弾して、逆にインテレオンに返され始める。

 

「レオッ!?」

「インテレオン、大丈夫だよ!!」

 

 まさか自分に返されると予想してなかったインテレオンが、一瞬面くらってしまい被弾。態勢を崩しそうになるものの、ボクの言葉を聞いてすぐに高速機動へと立て直す。

 

 インテレオンにとっては予想外だったかもしれないけど、ボクにとっては正直予想通りの行動だ。でなければこんな時にわざわざインテレオンにアクアブレイクの指示を出して、難易度の高いことをいきなりお願いなんてしない。

 

(跳弾をするなら、逆に利用されることも考えないとね)

 

「尻尾の『アクアブレイク』で返されたものを更に返してあげて!!」

 

 指で新しいねらいうちを放ちながら、尻尾でズルズキンから返されたものをさらに返していく。

 

「まるでテニスかバドミントンだな!!ズルズキン、お前の反応の良さを見せてやれ!!」

「インテレオン!!無理に全部返さなくていいよ!!有利なのはこっちだから避けることと新しい弾を打つことを中心に組み立てて!!」

 

 ズルズキンとインテレオンの間で繰り広げられる超高速、そして超高密度の弾のラリー。もはやボクとネズさんでは処理しきれない量の沢山の弾が飛び交う戦場は、インテレオンのスピードとズルズキンの反応、どちらが先に音を上げるかの勝負になっていく。

 

 弾くズルズキンと避けるインテレオン。そして、そんな両者を彩る弾丸の嵐。

 

 まるで一つの映画を見てるかのような迫力の風景に、観客もボクらも、誰も声を上げることが出来ない。

 

 きっとすぐにどちらかが限界を迎える。そう予想して見つめていたけど、エルレイドとスカタンクのバトルの時と違い、この均衡が一切破れる気配がない。

 

 誰もが息をのむその時間。そして一向に傾かない均衡。

 

 しかし、この均衡がこのまま傾かないのであれば、先ほども言った通りダメージレースでこちらが有利になるはずだ。お互い均衡を保っていると言っても、かすり傷は着実に増えていっている。そうなれば、基本的に場を埋め尽くしている攻撃は全部みずタイプの技だ。だからインテレオンに対してはいまひとつでしか返ってこないから、どうやったって先にズルズキンが先に倒れる。

 

(まだ、何かある)

 

 何を仕掛けてくるのか、もはやボクからインテレオンに指示をすることがないので、ただひたすらに注視するだけになる。

 

(さあ、来い!!)

 

 何をしてくるのか凝視し、動きがあったらすぐにそれに合わせる。そのつもりでじっと見つめていると、ようやくネズさんの口が動き出す。

 

「ズルズキン!!前に走って『じごくづき』!!」

「……え?」

 

 何が来るかと期待していたところに飛んできた指示は、この嵐の中前に走るという無謀とも取れる指示。こんな弾幕が吹き荒れる中で、足の速くないズルズキンが前に走ってしまうと攻撃について行くことが出来ずにさらされてしまう。そんなことは簡単に想像できるのに、なぜ今ここで前に走るなんて指示を出すのか。

 

 ネズさんの指示をきいて、その言葉を愚直に信じたズルズキンが前に走り出すと同時に、先ほどまでさばいていた攻撃をズルズキンが次々と受けてしまう。自ら被弾しに行く動きに、どうしても自分の思考が真っ白になってしまう。と同時に、ボクの思考停止にインテレオンも巻き込まれたみたいで、動くのをやめこそしていないが、明らかに手数が減ってしまう。

 

 本来ならネズさんに反撃のチャンスを与えてしまう明らかな隙。だけど、攻撃の嵐にさらされて大ダメージを負っていたズルズキンが、そのダメージの大きさに足を止めてしまっていたので反撃が来ることはなかった。

 

 明らかなこちらのチャンス。だけど……

 

(なんか気持ち悪い……相手のミスでできた隙なんだけど、ネズさんがこんな雑なことをするのかな……いや、この考える時間がもったいない)

 

 恐いけどここは攻め時でしかないのは確か。ズルズキンの足は止まっていて、今もねらいうちが直撃して体をのけぞらしている。けど、場にあるねらいうちの数がズルズキンに当たったことによってどんどんその数を減らしているので、今の正しい行動は、この攻撃の嵐を弱らせない事。

 

「インテレオン!!『ねらいうち』の数を増やして!!攻撃の手を止めちゃだめだ!!」

「レオッ!!」

 

 ボクの言葉ではっとしたインテレオンがすぐにねらいうちの構えを取る。指先をズルズキンに向けて、攻撃を再開しようとして力をため込むインテレオン。

 

 弱っているズルズキンにとどめを刺すべく構えたため、指先に今まで以上に力をため込んでいるその姿は、この一撃で決めるという意思がありありと伝わってきた。

 

「ズルズキン!よく頑張ったぜ!!」

「ズルッ!」

 

 その時に響いたネズさんの声。そしてネズさんの声に応えるズルズキン。2人の声に思わず視線をズルズキンに引っ張られてしまい、そちらを見つめると、のけぞった状態から起き上がったズルズキンの顔が、思わず身震いしてしまいそうなほど恐ろしい形相をしていた。

 

「ズルズキン!『こわいかお』で相手をちびらせてやれ!!」

「ズル……ッ!!」

「レオッ!?」

「なっ!?」

 

 こわいかお。

 

 相手を恐怖で縮こまらせて、素早さをガクッと下げる技。素早さをうりとしているインテレオンにとっては、体力を削られるより致命傷になる技。ズルズキンにとどめを差せるという気持ちがはやまって、ほんの少しだけ足が止まってしまったその一瞬をついて放たれた技は、インテレオンにしっかりと刺さってしまい、インテレオンの足が目に見えて落ちていく。

 

 その代わりに、怖い顔を当てることに集中してしまったためか、インテレオンが放ったねらいうちがズルズキンにしっかりと刺さり、そのままズルズキンは倒れることとなる。

 

 

『ズルズキン戦闘不能!!勝者、インテレオン!!』

 

 

(……やられた)

 

 ズルズキンを倒したのに、ボクの頭に残った感想はまたもや一本取られたという事。ネズさんはおそらく、最初からズルズキンでインテレオンを倒すことを考えていない。インテレオンを落とすのに2体がかりというのは、一見最初に作ったリードを捨てるように見えるけど、そうではない。ズルズキンでインテレオンの機動力を奪えば、インテレオンは耐久には難があるポケモンなので、次のネズさんの手持ちのポケモンより機動力を落とすことが出来れば、インテレオンを倒すことは難しくない。そうなれば、たいして自分に被害を出すことなく勝つことが出来るわけだから、結局1体2の盤面に落ち着かせることが出来る。

 

 流れは取っていたけど結果は変わらない。そしてここでインテレオンの機動力を奪うということは、次に出てくるのはインテレオンに対して絶対的に有利を取れるポケモン。

 

「さあ、鈍間なあいつにお前の魂を見せてやれ!!『パンクロック』で『オーバードライブ』をかき鳴らすせ!!ストリンダー!!」

 

「ストリンダー!?」

 

 観客席からマリィの驚きの声が聞こえてきたけど、そちらに視線を向ける余裕はない。

 

 ストリンダー。

 

 ユウリも手持ちにしているそのポケモンは、どく、でんきタイプのポケモンだ。ユウリの持っているストリンダ―と比べて、オレンジ色ではなく水色を基調とした、いわゆるローの姿と言われるフォルムだけど、能力に変化があるという話は聞いたことがないので姿が違うことは気にする必要はない、と思う。

 

 それ以上に、ここにきてでんきタイプのポケモンが来るという事。

 

 あくタイプのジムなのにあくタイプがないことについては特に疑問はない。マリィからもともと話は聞いていたし、シンオウ地方にもデンジさんやリョウさんのように、自分の専門ではないタイプを持ったポケモンを手持ちにしている人がいるからだ。

 

 素早さが落とされていなかったらまだ何とかなったけど、落とされてしまったインテレオンではどうやったって勝つのは不可能だと思っている。

 相手がネズさんならなおさらだ。

 

「インテレオン……ごめん……」

「レオ」

 

 メロンさんとのバトルと言い、今回のバトルと言い、ちょっとインテレオンには不憫な枠を与えてしまっている。けど、インテレオンもこちらを見てうなずいているあたり、許してくれているようで、それが唯一の救いだ。

 

(けど、タダでやられるつもりはない!!)

 

「インテレオン、『きあいだめ』」

 

 目を閉じ、集中力を上げるインテレオン。恐らく一度しか攻撃できないので、その一撃で少しでも大きな傷跡を残すため、自身の最高火力を叩き込む準備をする。相手が特性『パンクロック』の、そこから『オーバードライブ』が飛んでくるのならなおさらだ。避ける脚もないインテレオンに勝てる道理がない。

 

「ストリンダ―!『オーバードライブ』!!」

「インテレオン……『ねらいうち』」

 

 同時に発射されるお互いの攻撃。ストリンダ―を中心に、波紋状に広がる電撃の音。その中心を、インテレオンの水弾が貫通してストリンダ―に向かって飛んでいく。ねらいうちが相殺したわけでなく、オーバードライブの1点を貫通して飛んでいったため、電撃はインテレオンを捉えて痺れさせる。しかし、インテレオンが自分の体力を犠牲にしてはなった攻撃は、確かにストリンダ―の急所を捉えた。

 

「ありがとう……インテレオン……」

 

 

『インテレオン戦闘不能!!勝者、ストリンダ―!!』

 

 

 ねらいうちを急所に受け、思わぬダメージを負ってしまったストリンダ―だが、最後の最後に防御行動がとれたのか、思ったよりはダメージが入っていない状態だ。

 

「さあよそ者!!いよいよお前の最後だぜ、どうする?このままおとなしく帰るか、それとも醜くあがくのか、お前の底を見せてみな!!」

「……」

 

 ジムリーダーとの戦いでここまで追い込まれたのは初めてだ。そして、ここから逆転をするのなら……

 

(……そうだよね。ここしかないよね)

 

 決して今まで手加減をしていたわけじゃない。インテレオンや、エルレイドたちを弱く思っているわけではなく、彼らを信用していないわけでもない。けど、やっぱり最初から彼に頼るのはちょっと違う気がしていた。

 

 けど、ボクに対してネズさんにここまでしてきて、そしてここまで言われたら……

 

「だすしか……ないよね!!」

 

 腰にあるボールの一つ。今までジム戦で出したことの無いそのボール。

 

 ユウリ達もそのことに気づき、息をのむ声を声が聞こえた。

 

「いくよ……!!」

 

 ボクの相棒のジム戦デビュー。

 

 この子に、このジム戦の、全てを託す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




マリィ

ストリンダ―と叫んだのは、実機でもこの場面でストリンダ―が出てこないため。
この段階ではあくタイプしか出しませんし、マリィさんもこのストリンダ―がネズさんにとって大事なポケモンだということを知っているからの言葉ですね。
それだけネズさんもメンバーがガチになってきてます。

ストリンダ―

性格によって姿が変わるので、正確にはちょっとだけステータスが変わるのですが、それはあくまで「性格補正による変化」なので、種族値は変わらないことから変わらないとしています。

切り札

満を持して。
いざ、出陣。




コライドン。ミライドン。
個人的にはミライドンに薙がれそうですけど、Twitterに流れているコライドン
も無茶苦茶かっこいいんですよねぇ……
まあ、どちらにしても両方買うのでどっちも手に入れるのですが……

マルチでもできるみたいですけど、これってメインストーリーも繋げたまま進められるんですかね?だとしたらとても熱いんですけど……気になりますね。
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