【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

111 / 374
111話

(……今のは?)

 

 ネズさんとのバトルに心が盛り上がり、ヨノワールの気持ちも伝わってきた瞬間起きた、謎の視界のぶれ。一瞬だけだけど、確かにあったそれに一瞬気を取られる。

 

(この感覚、もしかして前にもあった……)

 

「ノワッ!!」

「ッ!?」

 

 記憶に確かに残る思い出に手をかけようとして、ヨノワールの言葉で現実に戻される。

 

(そうだ、今は考え込んでいる場合じゃない!!)

 

 ネズさん相手の長考は、スカタンク戦のような反撃の隙を当てるきっかけとなる。とにかく今は前だけ見て戦うことに集中する。

 

「ヨノワール!!『いわなだれ』!!」

 

 ヨノワールが地面に手を当てた瞬間降りそそぐ岩の雨。相手にあてるつもりではなく、障害物を作ることを前提としたその攻撃は、いろんなところに岩の柱を作り上げ、影や障害物が次々と生まれてきた。

 

 影に潜み、相手の隙をつく戦い方もできるヨノワールの得意なステージを自ら作り上げる。

 

「タチフサグマ!!テンション上げてくぜ!!『ふるいたてる』!!」

 

 一方で、自身のステージを作り上げることがあまり得意でないタチフサグマは、場を取られることは仕方ないと諦めて、自身の能力を上げることに尽力する。自身の攻撃と特攻を強化するこの技は、特殊方面に関してはあま意味がないかもしれないけど、物理攻撃で弱点を突くことが出来るタチフサグマにとって、一度でもヨノワールを捉えることが出来れば一気に倒し切ることが出来るという、安心感が生まれる。

 

 逆にこっちは一回でもミスをすれば致命傷になってしまため、若干プレッシャーが来るから、少し慎重にならなくてはいけない。

 

(だからといって、怯えても何もないよね。一気に行こう!!)

 

 しかし、それでこちらの手数が減るのはもっとだめだ。だからこそ、こちらの選択は攻め。

 

「ヨノワール!!GO!!」

 

 さっき作った岩柱の陰から陰へ移動し、ネズさんやタチフサグマの視界を切りながら走っていくヨノワール。ヨノワール自体は体が大きいのに、その体を陰の中に沈めているせいでかなり見つけずらくなっているはずだ。

 

「そう何回も影を使わせるかよ!!タチフサグマ!!あぶりだすぜ、『なみのり』!!」

「なっ!?」

 

 対するタチフサグマはなみのりによって水を呼び出し、場の全体を水に沈めていく。特殊攻撃の得意ではないタチフサグマでは、ふるいたてるによって特攻が強くなっているとしても、岩の柱をくずほどまでの威力は出てない。しかし、影に沈んで地面の中にいるヨノワールに攻撃をするには十分な威力となる。

 

「すぐに影から出て!!」

 

 このまま潜っている状態でこの技を受けてしまうと、水に沈められて窒息させられかねない━━ゴーストタイプに窒息の概念があるかはわからないけど━━とにかく、決していい方向には向かわないので仕方なく空中へ飛び出すヨノワール。

 

 間一髪で空中に逃げ出すことのできたヨノワールが視線を下に向ければ、岩の柱が半分くらい浸かっているような状況が目に入っているだろう。波が岩にぶつかって弾ける水の音が、ここが本当に屋内なのかどうかを疑問視させるほど辺りに響き渡る。

 

 ちなみに、これだけの水がバトルフィールドにあふれかえっているのに、近くに立っているボクや観客の皆が平気なのは、このスパイクタウンにいるバリヤードたちが壁を形成してくれているからだ。インテレオンのねらいうちは、適当に打っていると言っても観客には当たらないように調整はしていたし、そもそもフェンスで守られていたから当たることはなかったけど、今回のような全体攻撃はさすがに放っておくと被害が出かねないので、エール団の人が急遽呼び出してバトルコートを覆ってくれたというわけだ。

 

 タチフサグマがなみのりを覚えているあたり、もしかしたらこういう状況は、このスパイクジムでは日常茶飯事なのかもしれないけどね。

 

 よくよく見れば、足元付近には壁がないのか、少しずつ水が外に流れ出ているのが分かるし、近くに排水用の側溝もあるため水はけに関しては大丈夫だろう。

 

 とにかく、無理やり空中に引き出されたヨノワール。慌てて空へ出たせいで、周りの状況を確認するのに少し時間を要してしまい、一瞬周りを見渡すヨノワール。当然それは隙となり、視線が逸れたところに死角からタチフサグマが飛び出して、じごくづきを繰り出してくる。

 

「ヨノワール!!後ろに『かわらわり』!!」

 

 ただ、ボクの視界からはタチフサグマの姿は見えているので、後ろからくるのはわかるからすかさず指示。ボクの言葉を信じて、ヨノワールは振り向きながらかわらわりを放つ。

 

 空中でぶつかるじごくづきとかわらわり。しかし、空中ということもあってか、鍔迫り合いになることなく、元々空中に浮かぶことが出来るヨノワールが踏ん張りを効かせ、タチフサグマを何とか吹き飛ばす。元々物理攻撃が高いヨノワールにとって、この手の打ち合いはまだ得意な方であるのが幸いした。そのまま吹き飛ばされたタチフサグマが、地面に落ちて水に流されればかなりチャンスなんだけど……

 

 タチフサグマは空中で綺麗に受け身を取り、岩の柱のてっぺんに着地する。

 

「タチフサグマ!!駆け抜けちゃいましょ!!」

 

 ネズさんの言葉とともに吠え、同時に柱から柱へ次々と飛び移っていく。

 

「ヨノワール!!『いわなだれ』!!」

 

 意外にもかなり器用なタチフサグマの行動にちょっと驚くけど、岩の柱を飛び移るということは移動先が読みやすいという事。そこを利用して、移動先を読んでいわなだれを先に落としておく。当然この攻撃をよけようと体をひねるものの、それによってバランスを崩してしまい、水の中へ落ちていく。

 

「『かわらわり』!!」

 

 そこに追撃を叩き込むべく、ヨノワールが走り出す。

 

「『なみのり』!!もっと調子に乗っちゃいましょッ!!」

 

 しかし、この水を呼びだしたのはタチフサグマだし、タチフサグマはなみのりを覚えている。つまり、水に溺れることなく、自由に水を動き回れるということで。

 

「うちのタチフサグマの、意外な特技に驚きやがれ!!」

 

 ヨノワールのかわらわりを、ものすごい勢いで水面を滑ったタチフサグマがスライドターンを決め回避。そのままヨノワールの裏に回り、全力のじごくづきを叩きつける。

 

「ノワッ!?」

「ヨノワール!?」

 

 思い切り吹き飛ばされ、岩柱に叩きつけられたヨノワールから苦悶の声が漏れる。一方でタチフサグマは、ようやく致命打を与えられたということにテンションが上がり、さっきよりもさらに素早く水を移動していく。

 

(いやいや、どういう原理!?マッスグマの時点でなみのりを覚えるのは知っているから、泳ぐのは得意なことは理解できる。でも、この素早さは……みずタイプも涙目の動きなんだけど!?)

 

 もはやみずタイプを名乗った方がいいのではという程の動きで泳ぎ回るタチフサグマ。もしかしたら先ほどのふるいたてるによって、火力が上がるのと同時に、なみのりに関してのみ泳ぐ速さも相対的に上がっているということかもしれない。

 

 水が満たされたことによって相手の動きが制限されたと思ったのに、まさかの反撃にちょっと戸惑う。けど、ここで止まればあの機動力にはりつけにされておしまいだ。

 

 タチフサグマという消して速くないポケモンでこの戦い方は正直かなり驚かされた。けど、立ち向かえないわけではない。

 

(相手が素早さで挑んでくるのなら、こっちは手数で勝負だ)

 

「ヨノワール!!自分の足元に『いわなだれ』!!」

 

 ヨノワールが手をかざすと同時に、ヨノワールの足元にどんどん積みあがっていく岩の固まり。次々と積み重なっていくその岩は、ヨノワールの真下に岩でできたの地面を作り上げているようにも見えるはずだ。地面があるということは、当然ながらそこに影が生まれるという事。そして影ができるということは、ヨノワールの技の一つが使えるようになるという事。

 

「タチフサグマ!相手に踊る隙を与えさせずに倒し切るぜ!!『なみのり』しながら『じごくづき』!!」

 

 それを黙って見ているネズさんではない。何をしようとしてるかまでは分かってなくとも、少なくともボクに好き勝手動かせる訳にはいかないという考えだろう。その判断は間違えていないし、実際1番されたくない行動だ。

 

 かといって、ここで引く訳にも行かないし、この行動を阻害される訳にもいかない。

 

「ヨノワール!!ここで引いちゃダメだよ!!『かわらわり』!!」

 

 なみのりによるスピードを利用して、四方八方から飛び出しながら突撃してくるタチフサグマに対して、かわらわりを構えて逸らす準備をする。

 

(ヨノワールの反応速度と、ボクの正確な指示が組み合わさったら切り抜けられるはず!!)

 

 ちょっとの隙も見逃さないようにじっと見つめるボクと、そんなボクの視線に気づいて小さくうなずくヨノワール。何も言わなくても伝わってくれるこの感覚がたまらなく心地いい。

 

 まずは真正面から腕を突き出しながら飛んでくるタチフサグマの迎撃をする。ヨノワールの胴体を狙って飛んできたそれを、側面からかわらわりを当てて横に逸らすことで受け流し、ヨノワールの後ろの方へ飛ばす。受け流されたタチフサグマは、そのままヨノワールの後ろに飛んでいくけど、すぐさま水面に着地して反転。後ろから再び襲い掛かる。

 

「しゃがんで!!」

 

 ボクの指示に従って頭を下げるヨノワールの、頭があった場所にタチフサグマの手が通る。頭の上を手が通ったのを感じ取ったヨノワールがすぐさま回転。タチフサグマの横腹めがけてかわらわりをぶつけようとし、避けることもブロッキングも間に合わないと判断したタチフサグマが、腕をクロスして防御姿勢へ。急造の防御だったため、こちらの攻撃を少し軽減させることしかできなかったタチフサグマに確かなダメージが入るものの、吹き飛ばすまでには至らなかった。しかし、タチフサグマを空中で怯ませることには成功した。

 

「今!!」

 

 ボクの言葉を聞くと同時に追撃するべく前に出るヨノワール。かわらわりを上段に構えて攻撃をしようとするヨノワールに対して、不格好な態勢ながらも、それでも反撃しようとするタチフサグマが、近づいてくるヨノワールの頭めがけてじごくづきを繰り出そうとする。

 

(大丈夫。苦し紛れのせいで技がゆっくりだし、振りも今までに比べて大振りだから避けられる!!)

 

 ヨノワールもそれを理解しているため、若干体をかがめながらさらに懐へ。

 

(視える……!)

 

 余程ボクもヨノワールも集中しているのか、タチフサグマの動きがスローに見え、簡単にじごくづきの下を潜り抜けていく。

 

(よし、完全に攻撃はよけきった!今なら確実に叩き込める!!)

 

 じごくづきが確かに頭の上を通過して後ろに行ったのを視認したうえで前に走り、攻撃を構えたその時。

 

 

()()()()()()()()

 

 

(え?)

 

「ノワッ!?」

「ヨノワール!?」

「……?」

 

 再び一瞬だけ訪れた視界のぶれが治ったと思った瞬間目の前を見れば、確かに避けたはずのじごくづきが、なぜかヨノワールに掠っているところと、ネズさんが少し首をかしげているところが目に入った。

 

 幸い致命傷にはならなかったし、タチフサグマにも軽くかわらわりが当たったため、後ろに飛ばすことが出来てはいた。だから掠ったことによって生まれた隙に付け込まれることにはならなかった。けど問題はさっきの視界のぶれ。

 

(このぶれ……やっぱりあの時の……)

 

 シロナさんにも相談したことがあった、ボクがシンオウ地方でスランプに陥ってしまった原因。極度の集中状態になった時、相手の動きがスローに見えるようになって、どんな攻撃も避けられると思った瞬間、一瞬だけ視界がぶれたと思ったら、なぜか避けた攻撃にぶつかってしまうこの現象。

 

 最初は相手がよけた動作を確認してから、こちらに攻撃を当てられるように軌道を修正したと思っていた。けど、誰と戦ってもこの現象が起きてしまうため、さすがに自分に原因があるという結論に至り、かといって対処法がわからず、そこからかなり被弾率が上がってしまい、負けがかさむようになってしまったという過去がある。

 

 これがボクがスランプに落ちてしまった原因。

 

 コウキに、追い付くのを一瞬でもあきらめてしまった理由。

 

(なんでこんな時に!?)

 

 一種のトラウマのようなこの現象に、また頭の中がごちゃごちゃになりそうになる。

 

 このままでは、またあの時のように、勝てなくなってしまうんじゃないか。思わずそんなことが頭をよぎり……

 

(違う!それを乗り越えるためのガラル地方の旅だ!!)

 

 パニックになってしまいそうな頭を無理やり整理して、意識を何とか引き戻す。

 

 急に起きてしまったフラッシュバックだけど、この壁を乗り越えないとまたあの頃に戻ってしまう。またあの虚無な日々を過ごすのだけは絶対に繰り返しちゃいけない。何が何でもここで乗り越えなくちゃいけない。しかし、この視界のぶれをどうにかする方法が思いつかないのも事実だ。この原因と対策が思いつかない以上、この先、相手に攻撃を繰り出されるたびになぜか避けられないというこの現象に襲われ被弾し続けることになるだろう。

 

 これが威力の低い技ならまだ被弾しても許容できた。しかし、相手はヨノワールの苦手なあくタイプをガラル地方で一番極めているネズさんだ。既に一発貰ってしまっていることを考えても、これ以上の被弾は絶対に避けたい。

 

(なら……とにかく今この瞬間勝つことだけを考えよう。ないものねだりをしていても仕方がない……技が避けられないなら、避ける必要がないくらい攻め続けてやる!!)

 

 元々これから行う技は、攻めに特化した作戦だ。支障は起きない……はず。だからいまだけは……

 

(特攻だ!!)

(……ノワッ!!)

 

 ヨノワールもこの現象のことは理解しているから、この先どう戦うのかは言わなくても理解してくれる。だからすぐさま次の行動を指示する。

 

「ヨノワール!!『かげうち』!!」

 

 タチフサグマを弾いて水に落としている間に、岩でできた地面に手を当てて、再びかげの手をたくさん呼び出すヨノワール。一方でタチフサグマは、水に落ちた後もすぐさまなみのりを発動し、水面へ飛び出してくる。

 

 かげうちが怖くはあるけど、ノーマルタイプを含むタチフサグマには効果がないため、無理やり突破するつもりのようだ。確かにこのままだとタチフサグマにダメージは入らない。けど、かげうちとタチフサグマの間に何かを挟めばその限りじゃないはずだ!!

 

「ヨノワール!!影の手で岩を掴んで総攻撃!!」

「そのための『かげうち』ッ!?タチフサグマ!下がれ!!」

 

 ボクの指示で何をしようとするのかをすぐに察したネズさんが、慌てて回避行動を指示する。さすがの察しの良さだけど、かげうちが展開できた時点でこの作戦を防ぐのは困難なはずだ。

 

 ヨノワールの足元より生まれた無数の影の手すべてが、いわなだれによっていたるところに転がった岩をその手でつかみ、一斉にタチフサグマを追尾していく。その様は、まるで追尾性能を持ったパワージェムに襲われているような感覚だろう。

 

 急に自分を襲ってくる無数の岩に対して、素早くなみのりを行い、水面を滑って逃げるタチフサグマ。時にじごくづきを使って岩を弾き、時にジャンプして岩を飛び越えて避けていくその姿は、とてもこの戦法に初見で挑んでいるようには見えない。しかし、いくら対処がうまくても、自分を襲ってくる岩の数が多すぎて、被弾の数もそれなりにかさんでいる。

 

 それでもただでやられないのがネズさんという人で。

 

「タチフサグマ!!『かげうち』の手だ!!『かげうち』の手を『じごくづき』で切り裂け!!」

 

 この技に対する解答にすぐさまたどり着き、岩を持っている根元の影を切り裂くように動き始める。確かにこのまま岩から逃げ続けても、こちらは遠くから影の操作だけに集中して眺めておくだけでいいので、ネズさんが逃げ続ける限り状況は好転しない。

 

 まさしく正しい行為ではあるんだけど、その行動にたどり着くのが早すぎる。

 

 なみのりのスピードに任せて、岩から逃げる軌道から岩の下をくぐり抜けるような軌道に変更したタチフサグマが、それでも当たりそうな岩をじごくづきで逸らしながら、すれ違いざまにかげうちの手を切り裂く。

 

 ドボンという岩が沈む音にも目をくれず、次々と影を切り裂くタチフサグマに対して、こっちもただ見つめるだけでなく、追加でかげうちを発動して岩の追尾団を補充する。そうなれば、相手の攻撃をくぐって切り裂く必要のあるタチフサグマと、手を増やすだけでいいヨノワールでは技の回転率が違う。

 

 対処は見つかってもまだこっちが有利。しかし、ネズさんの対応はまだ終わらない。

 

「タチフサグマ!!ここで『なみのり』だぜ!!」

 

 影を切り裂きながらヨノワールへと近づいていくタチフサグマが次に行ったのはなみのり。最初よりも水位の下がっていたフィールドが、この技のせいでまた元に戻ってヨノワールを飲み込まんと迫ってくる。当然この技は避けるしかなく、空中に飛び出したヨノワールはこのなみのりを無傷で避ける。

 

 しかし、ネズさんの狙いはヨノワールへの攻撃ではなく、ヨノワールが乗っていた岩の地面……つまり、かげうちの出処。

 

 影の上から水でおおってしまえば、かげうちは機能を停止する。結果、タチフサグマを追いかけていた岩はその動力を失い次々と落下。その落ちてくる岩を伝って、タチフサグマがヨノワールに向かって空中を駆け抜ける。

 

 なみのりを避けたばかりのヨノワールに向けて渾身のじごくづきを構えるタチフサグマの腕は、今から避けるには鋭く、そして速い。この攻撃を受けても倒れることはないだろうけど、すでに一撃強力なものを貰っている状態なので、もう一発受けてしまうとかなり向こうに形勢が傾いてしまう。

 

 いつもならまだいなすことも視野に入れるけど、今は視界のぶれが起きてしまっているので、タチフサグマの攻撃を確実に避けられるか怪しい。だからこそ……

 

「この瞬間を待っていた!!ヨノワール!!」

「タチフサグマ!!何かされる前に決めちまえ!!」

 

 何かが来ることを予感したネズさんが慌てて攻撃するように指示するものの、タチフサグマとヨノワールの間に岩が落ちて、一瞬視界が遮られた瞬間に()()()()()()姿()()()()()

 

「なっ!?」

「グマッ!?」

 

 瞬きをした瞬間に完全に姿を消したヨノワール。その事に戸惑い、あたりを見渡しているタチフサグマは明らかな隙となる。その隙を目にとらえたヨノワールが、タチフサグマの()()()()()かわらわりを叩きつけた。

 

「後ろから……まさか、落ちてきた岩の陰を使って!?」

 

 ネズさんの言う通り、落ちてくる岩の裏に隠れて一瞬だけ視界から外れ、後ろから攻撃した。それがこの攻撃の正体だ。

 

 空中という障害物が本来ないはずの場所でのまさかの奇襲。

 

 かくとうが大の苦手であることも加味してとんでもないダメージが入る。しかも、ダメージが大きすぎてタチフサグマの態勢がまだ崩れたままだ。

 

「このまま仕留め切って!!」

「意地を見せろ、タチフサグマァ!!」

 

 今ならとどめを刺せると判断し、かわらわりをそのまま3発叩き込んだあたりで、本来なら倒れてもいいはずのタチフサグマが意地を見せ、最後の反撃にとじごくづきを返してくる。

 

 そこから行われるのはお互いノーガードの殴り合い。

 

 避ける体力のないタチフサグマと、避けることが出来ないヨノワールによる空中の殴り合い。

 

 もはや戦略なんてない意地と意地のぶつかり合い。しかし、互いにかなりの体力を消耗していたため、そのバトルは長く続かない。3回ほどお互いの攻撃を交換した辺りで限界を先に迎え、気力が折れたのは……

 

「グマァッ!?」

 

 タチフサグマだった。

 

 かわらわりが横腹に直撃し、空気を吐きながら体をくの字に曲げてしまう。

 

(ここで決める!!)

 

 

「叩きつけろッ!!」

 

 

「ノッワァァッ!!」

 

 

 空中で無防備になっているタチフサグマに、かわらわりの打ち下ろしを叩きつけて、水であふれるバトルコートに叩きつける。

 

 派手な水柱を上げながら響く爆音に、バリヤードの壁のおかげで水がかからないと知っていも、思わず腕で顔を覆ってしまう。その腕を顔から離したとき、水と岩の柱が流れて見渡しがよくなったバトルフィールドには……

 

「グ……マァ……」

「……」

 

 中心で目を回して、あおむけに倒れているタチフサグマと、それを見下ろすヨノワールがいた。

 

 

『タチフサグマ戦闘不能!!勝者、ヨノワール!!よってこの戦い、フリア選手の勝利!!』

 

 

 聞こえる審判の声を、湧き上がる観客の声。

 

「か、勝てた……」

 

 皆の声に、勝ちを徐々に実感し始めたボクは、再び襲ってきた視界のぶれに、思わず倒れそうになるのをぐっとこらえながら、ヨノワールに拳を突き付けて、お互いの頑張りを称えあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




視界のぶれ

シロナさんも言っていた、フリアさんの調子が悪くなった理由。
スランプになったきっかけでもありますね。
さて、なぜこんなことが起きるようになってしまったのか。
ちなみに、最初こそはこの視界のぶれのせいでヨノワールと喧嘩しそうになりましたが、これも自分が悪いのでは?と思うようになってしまったため、『ヨノワールは信じてるけど自分のせいで勝てない』と思いこむようになってしまった。というのがあったり。
ガラルにきてのバトルは、ビートさんとの戦いでは起きなかったし、まだ大丈夫だろうと思ってネズさんに挑んだから、普通にヨノワールを場に出せたというわけですね。
勿論この視界のぶれについても、追々明かされて行きますよ。

なみのり

実機ではどこからともなく水が出て、波が襲い掛かって来るのでこういうのもありかなと。
もはやみずタイプですね。

かげうち

大量のかげうちの手が岩をもって殴りかかって来る。軽く恐怖ですね。
皆さん丸太は持ちましたか?
しかし、この攻撃の仕方……どこで見たような……?

決着。

無言で見下ろすヨノワール。まだまだ余力はありそうですね?
ともかく、難関突破。




アニポケでシンジが丸くなったうえにイケメンキャラになってて思わずほっこり。
良いキャラになりましたね、本当に。
ゴウカザルとの仲もかなり改善されているみたいでよかったです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。