【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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114話

「う〜ん……」

 

 少し遠くから聞こえてくる、かわらわりとリーフブレードのぶつかる音。お互い武器を持っているわけでなく、腕から伸びている刃と、白く光る手刀をぶつけ合っているだけなのに、本物の刃と刃をぶつけあったかのような快音が鳴り響く。

 

 現在進行形で行われるエルレイドとヨノワールの模擬試合。

 

 ボクが指示を出している訳でもないのにかなりのハイレベルで行われるその戦いは傍から見ても見ごたえがあるのか、遠くからホップたちの視線を物凄く感じるけど、とりあえずそちらは気にしない方向にして、2人の戦いを横目に確認しながらこれまでの特訓を振り返ってみる。とはいっても、あのぶれる視界と腕の痛みを感じた時からそんなに日にちは経ってないんだけどね。

 

 ちなみにヨノワールとエルレイド以外のポケモンたちも、各々が各々の強化のために特訓をしている。

 

 具体的に言えば、防御が得意で攻撃面が得意ではないブラッキーとマホイップがお互いの技をぶつけ合って、自分の攻撃力を底上げするような特訓を行い、一方でインテレオンとモスノウは、タイヤで作った複数の的を用意し、どれだけ素早く打ち抜くことが出来るかという、素早さ面の強化にいそしんでいた。また、インテレオンとモスノウは、ときたま二人で連携技をしていたりする。ヨノワール戦で、ねらいうちをふぶきで凍らせて氷弾にしたのを気に入ったのか、それらを使った連携技を色々試していた。

 

 基本的にポケモンバトルはシングルバトルだから、連携技を作ったところであまり意味のないものかもしれないけど、次のジム戦のことを考えたら悪くはないから今は2人に任せよう。

 

 さて、では肝心のヨノワールとの違和感の検証について話を戻そう。

 

 あれからまだ数日しか経ってないけど、少しだけ分かったことがある。あの視界がぶれた時、なぜかわからないけど、そのまま視界のぶれを維持し続けると、どうやらボクとヨノワールが見えているものがリンクし、同時に自由に切り替えられるらしい。

 

 どういうことかというと、ボクがインテレオンを見て、ヨノワールがエルレイドを見た時、ボクの視界はインテレオンを見た映像とエルレイドを見た映像を自由に切り替えることが出来るということだ。

 

 そしてもうひとつわかったことが、どうやらこのモードになっていると、ヨノワールが受けた痛みがボクにも少し帰って来るみたいで、今ヨノワールとエルレイドがしているような殴り合い途中で視界を共有しようものなら、ボクの腕は一瞬にしてピリピリとしびれだしてしまう。

 

(原因もわからなければ、この状態のメリットもよくわからない……向き合ってみて、今まで見ることのできなかった視点からいろいろこの現象を見ることが出来るようになったけど……)

 

 分かったことは確かにあった。しかし、結果としてはただただ謎が深まるばかりというものに落ち着いてしまう。勿論結論を出すにはまだまだ早いし、本当ならもっと考察を伸ばしたかったんだけど……この視界共有(仮名)、実はかなり体力の消耗が激しい。それこそ一昨日はこの現象を本気で調べるために、かなりの時間ヨノワールと視界を共有していたんだけど、視界を共有している間はアドレナリンがあふれていたのか疲れに全く気付くことなく、そろそろ終わろうと視覚共有を切った瞬間に、体がうまく動かずに倒れてしまった。しかも、倒れたと同時に意識を失ってしまったらしく、ユウリたち曰く死んだように倒れたから本当に焦ったとのこと。幸い体に異常はなかったので大事に至ることはなかったんだけど、代わりにユウリにこの視界共有の時間を、ちゃんと力を使いこなせるまで制限されてしまった。

 

 最も、ボクもあの感覚を何回も味わいたいわけではないから、言われなくても守るつもりはあるんだけど……

 

(行き詰まり感は否めないよなぁ……)

 

 視覚共有。

 

 ボクがヨノワールの目となって、主観、客観、両方の視点をちゃんと処理することが出来れば立ち回りの幅はぐっと広がる。現状だとこれくらいにしかボクには有効活用方法が思いつかない。勿論強力ではあると思うんだけど、さすがにこれだけだとデメリットの方が大きすぎてあまり頼ろうとは思えない無用のものになりかけているという、体を張ってまで調べた割にはあまり成果がないものに現状落ち着いてしまっている。

 

(けど、これだけだとは思わないんだよね……だって、それだと痛覚まで共有している理由が……)

 

『お~い、フリア~!!相手になってくれ~!!』

 

「っ!?」

 

 遠くから聞こえてきたホップの声に体を震わせるボク。

 

 考え込んでいて周りが見えていないときにいきなり大声をかけられたものだから、びっくりしてしまって思わずこけそうになるのを何とか耐える。深呼吸を一回して心を落ち着けながらゆっくりと振り返ってみれば、視線の先にはこっちに向けて大きく手を振っているホップと、その隣で難しい顔を浮かべているマリィの姿。ユウリとクララさんは既にちょっと離れたところでバトルをしていたのでこちらには視線を向けていない状態だ。

 

(そっか。明日、だっけ?)

 

 ここまでずっと対ネズさんに向けて練習を続けてきた4人だけど、いよいよ明日ネズさんへと再挑戦を挑むらしい。実際、ここ一週間強でみんなレベルアップをしっかりしているし、ネズさんの手札の多さは、ネズさんへ挑戦する人のバトルを観察して一つずつ吸収をし、スタイルは違うと言え同じようにトリッキーな戦い方をするボクと模擬試合をすることで奇襲については耐性をつけていった。精神面の方でもしっかり成長しており、ジムミッションで失敗こそあれ、まだジムリーダーに対して負けたことの無い人も、初めての敗北ということで何かしら思うところが出てくるか不安だったけど、特にそんなこともなかったのでとりあえず安心といったところだ。

 

 ホップも一時期のスランプが再発することなく頑張れているしね。

 

(みんなもちゃんと立派に成長してる)

 

 最近自分の特訓ばかりに思考が固まっていたので、改めてみんなの姿を確認するとなかなかどうして強くなっている。

 

(そうだね、ここ最近ずっと自分のことばっかり見てて余裕があまりなかったから、ちょっと休む期間をとってもいいかも)

 

 ちょうどこの現象についての考察も詰まっていたし、気分転換と割り切ってみんなの方に耳を傾けてもいいかもしれない。

 

「はいはい、今から行くからちょっと待ってて~。みんな!特訓中止、集まってきて~」

 

 ボクの言葉に反応して、動きを止めてこちらに寄って来るヨノワールたち。みんなまだまだ動き足りないのか、ちょっとだけ不満そうな表情を浮かべているものの、これからホップたちとバトルをする旨を伝えると、それはそれで嬉しいのか、みんな揃って気合の入った声を上げていく。特にエルレイド、インテレオンは顕著で、どこかヨノワールのことをライバル視しているところも見受けられるので、少しでもヨノワールに追いつくために頑張ろうという意思が見て取れた。

 

(うん、やっぱり少しは他のみんなにも目線を向けなきゃだね)

 

 ここ数日視界共有の現象にばかり目を向けてしまっていたから、ヨノワールだけじゃなくて、全体のレベルアップが必要と言っておきながらあまりみんなのことを見てあげられなかったから、これを機にみんなのことも改めて見てみよう。

 

 一つ伸びをして、思考ばかりして凝り固まった体をぐっとほぐす。背中や肩からなるパキパキという音に心地よさを感じながら、ホップの下へと走り出す。

 

 まだまだ課題もわからないことも多い。けど、ちょっとした休憩は必要だ。そう考えると、不思議と肩が軽くなる。

 

 それから行われたホップとの模擬試合は、久しぶりに何も考えずに戦ったためか、物凄く身軽に楽しく戦うことができ、なんだかいつもよりもパフォーマンスがよかった気がした。

 

 ……代わりにホップを想像以上に圧倒してしまったせいで、これまたちょっと怒られちゃうのはまた別のお話……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エースバーン!『ブレイズキック』!!」

「タチフサグマ!『じごくづき』!!」

 

 ぶつかり合う足と突きの攻防は、前に見た時よりも圧倒的に素早いものとなっており、ネズさんの指示に従って、逸らしやフェイント、攻撃の強弱によるテンポの変化を混ぜ込んだ動きを行うタチフサグマに対しても全く惑わされることなくエースバーンが食らいつく。

 

 右足の蹴り上げを左手でそらされ、隙が出来たところを右ストレートで突いてくるタチフサグマに対して、今度は左足を蹴り上げて逸らし、その勢いを利用してちょっと空中に浮く。体が浮いたのを確認したところで空中にいるまま高速で前転をし、ブレイズキックのかかと落としを決めようとする。当然こんな大技を貰うわけにはいかないタチフサグマは、ブロッキングは間に合わないにしろ、直撃を避けるために、じごくづきを構えたまま腕をクロスに構え、ちょっとでも貰うダメージを減らそうと努力を始める。だけど、その行動は決して妥協があるわけではなく、ブロッキングの代わりに急遽構えた行動にしては腰もしっかりと落とされており、腕にもしっかりと力が込められているので、元々攻撃を受けることが得意なこともあって、そんじょそこららの攻撃では突破できないほどの堅牢な守りを築き上げる。

 

 普通のトレーナーならあっという間に攻撃を受け止められ、見事なカウンターを貰っていただろう。けど、今のユウリはただのトレーナーとは言えないくらいには、ユウリ自身も、そしてユウリのポケモンたちも成長している。

 

「エースバーン!!地面!!」

「バースッ!!」

 

 ユウリの指示を聞いた瞬間、待ってましたと言わんばかりにかかと落としを振り下ろすエースバーン。鋭く、全てを砕く勢いで落とされたその技は、タチフサグマを狙うことなく地面に突き刺さる。と、同時に、かなりの勢いで叩きつけられたことを証明するかのように、地面にものすごい勢いでひびが走り出す。さらにそこへブレイズキックの熱が入り込むことによって、罅から炎が噴き出し、火炎放射とまではいかないものの、タチフサグマを含めたエースバーンの周りすべてを燃やしていく。

 

「グマァッ!?」

「……」

 

 いきなり襲い掛かる予想だにしない攻撃に不意を打たれたタチフサグマの態勢が少し崩れる。

 

 明確に見つけたタチフサグマの隙。ここを逃せば勝機はない。そのことを理解しているエースバーンがすぐさまタチフサグマの懐に踏みこみ、にどげりを叩き込んで空中へ打ち上げる。

 

「『かえんボール』!!」

「バーッス!!」

 

 空中に浮き上がり、無防備になったところに突き刺さる炎の塊。エーズバーンから放たれた銃弾のようなその攻撃はタチフサグマに当たると同時に、辺り全体を赤く照らすだいばくはつを巻き起こす。

 

 巻きあがる爆炎と土煙のせいで数秒程覆われたバトルコートは、すぐさま風が流れることによって視界が明ける。

 

 煙が晴れ、バトルコートの様子がわかるようになった時、その中心にいたのは……

 

「バースッ!!」

「グ、マァ……」

 

 勝鬨を上げるエースバーンと、地に伏し、目を回すタチフサグマの姿。

 

 

『タチフサグマ戦闘不能!!勝者、エースバーン!!よってこの戦い、ユウリ選手の勝利!!』

 

 

「か……勝ったよ~!!エースバーン!!」

「バスバース!!」

 

 場が確認できたと同時に審判から上がるユウリの勝利をアナウンスする言葉。その言葉によって自分の勝利を実感したユウリが、エースバーンと抱き合ってぴょんぴょんと跳ねだす。

 

「やった!ユウリが勝ったぞ!!」

「さっすがユウリン!うちたちの中で一番多彩な動きが好きなだけあるゥ!!」

「ほんと、どこの誰に似たんだか……でも、うん。勝ててよかったと」

「だね。本当に良かった」

 

 体全体で喜びを表すユウリをフェンスの外から見守るボクたちも、言葉や態度は落ち着ているものの、心の中では今すぐにでも飛び回ってしまいそうなほど嬉しいという感情が渦巻いている。ネズさんという大きな関門を突破するためにどれだけ頑張ってきたかを身近でたくさん見てきたからこそ、感情移入も大きくなる気持ちもわかってほしい。それに、ボクたちがこんなにも大きく喜ぶには他の理由もあって……

 

「ユウリも無事に勝ったことだし、これで晴れて全員スパイクジム突破だな!!」

「まぁ?うちたちが本気で頑張ればこれくらい当たり前的なァ?」

「一番苦戦してたクララが言うと、ちょっと威厳に欠ける気がすると……」

「まぁまぁ、今はみんなが無事に勝てたことを素直に喜ぼう?」

 

 それはホップの言う通り、今日再戦したみんなが無事ネズさんに相手に勝利を収めることが出来たというもの。

 

 勿論みんな勝つ気で挑んでいるため、負けるつもりなんて一切ないものの、だからと言って100%勝てるかと聞かれたらみんな首をかしげていただろう。それほどまでにネズさんというトレーナーはとても強い人だ。そんな人相手に、ジム用に手加減をされているとはいえ、誰一人失敗することなくリベンジが成功したというのは、心から喜ぶに値するものだ。

 

(これは今夜は大騒ぎで眠れなさそうだなぁ……)

 

 ジム戦を突破した時はいつも軽い祝勝会を行っている。いつの間にか恒例となったそれは、たまに近所迷惑なのではないかと思ってしまう程みんな揃って大騒ぎをしてしまう。

 

(尤も、それを楽しみにしている自分がいるのも確かなんだけどね)

 

 ネズさんに勝ったことによって、あくバッジを受け取ってリングケースにはめ込み、握手を終えたユウリがこちらを向いて嬉しそうに手を振ってきたので、こちらもおめでとうと言う意味を込めて振り返す。

 

 これでみんな7つ目を無事突破。

 

 残すは8つ目、ナックルジムを残すだけだ。

 

(そう考えると、遠くまで来たなぁ……)

 

 改めて自分たちの歩いてきた道を振り返ると、それはとても短いようで長くて、けどやっぱり短くて……

 

 まどろみの森で出会ったボクたちが、こんな関係になってここまで来るなんて誰が予想していただろうか。

 

(って、感傷的になるのはまだ早いよね)

 

 あと残すのは最後のジムだけとはいえ、最後のジムにて待ち受けるのはガラル最強のジムリーダーであるキバナさんだ。こんなにも苦戦したネズさんよりも順位の上であるキバナさん。順当に考えれば、ネズさんよりも苦戦するであろうその相手が最後の壁として立ちふさがっている以上、今感じることのできる安心感は一時的なモノに過ぎない。本当に先のことを考えるのならば、みんなが無事突破出来た今、またあの視覚共有について考察をした方がいいんだろうけど……

 

(やっぱり、この瞬間はみんなとまったりしたいよね)

 

 こちらに走り寄って来るユウリをみんなで迎えいれながらそんなことを思うボク。

 

 勝ったことに対して喜びながら抱き合うみんなと、その輪の中に無理やり引っ張りこまれるボク。そしてそれを少し離れていたところから見守るネズさん。

 

 寂れたと言われている町の中心で、ボクらの嬉しそうな声が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スパイクタウンはアーケード街のようになっている町であり、基本的に町のすべてが屋根に覆われている。そのため、現在の時刻を空の明るさで確認することがちょっと難しく、そのためか他の町に比べると時計がかけられている場所が気持ち多いような気がする。

 

 そんないつもよりも若干多く見る時計の針が示すのは午前1時。またもや深夜にちょっと抜けだして外に出ていたボクは、しかしヨノワールについてきてここに来たわけではなく、純粋にボクが来たいところに来ただけだ。

 

 さすがのヨノワールたちも今日のお祝いムードを前にして特訓する気にはなれなかったみたいで、ボールの中でゆっくりとしていることだろう。ユウリたちも一通りはしゃいで満足したのか、はたまた大きな山場を乗り越えた事による安心感と疲れからか、今は泥のように眠りこんでいるため、ちょっとやそっと声をかけたぐらいでは起きることはないだろう。まあ、起こす気もないけどね。

 

 さて、ではみんなに内緒で外に抜け出したボクが一体どこにいるかというと……

 

「スパイクタウンでもこんな景色が見れるところがあったんだね……穴場スポットって感じがして凄くいいかも……」

 

 あの日訪れた公園からさらに先に道を進んだところにある、廃棄する冷蔵庫やソファと言った、粗大ごみが多く積まれたゴミ捨て場。その高く積まれた粗大ごみの一番上に座るボクは、その上だけなぜか穴が開いている屋根の奥に広がる、満天の星空を眺めながら一息ついていた。

 

 スパイクタウンの大通りではネオン街灯の光が強すぎるため、たとえこの町がアーケード街ではなかったとしても星を確認することが出来なかっただろうけど、ここはゴミ捨て場というだけあって灯がほとんどなく、ネオン街灯も背の高い建物にさえぎられているため外に漏れることがない。なので、星の光がネオン街灯に消されることなく綺麗に観察することが出来た。

 

「意外といい場所ですよね。おれも気に入ってますよ」

「……もう驚きませんからね」

 

 1人でのんびり天体観測としゃれこんでいると思っていたらいつの間にか隣にいるネズさん。ここ一週間ほどで、こういったいつの間にか隣にいるということを何度も体験しているため、もはや慣れてしまったこの状況にそれでもため息を一つこぼすボク。勿論嫌なわけではないんだけど、この神出鬼没っぷりは本当によくわからない。あくタイプ使いよりもゴーストタイプ使いと言われた方が納得するレベルだ。

 

「それで、今日はどういった用件で?」

「特に何もありませんよ。しいて言えば、進捗はどうですかと言ったところですかね」

「ぼちぼち……でもないですね。わからないことが多すぎて、正直まだ答えもゴールも見えません」

 

 話の内容は言わずもがなあの視界共有の現象について。

 

 あの日からもずっと親身になって相談に乗ってくれているネズさんにだけは、どういったことが起こっているのだとか、自分なりの考察だとかをしっかりと話し、ネズさんなりの考えも教えてもらうことでいろいろ試行錯誤をさせてもらった。おかげで改めて自分を振り返ることもできたし、前のようにこの現象に振り回されることも少なくなってきたと思う。その点に関しては物凄く感謝をしている。

 

 ……だからこそ、いまだに答えが出せていないのがちょっともどかしくて、同時に申し訳ないという気持ちに襲われる。

 

 きっかけは偶然だし、マリィと仲が良いとは言え初対面かつ他地方出身のよそ者に対してここまで親身に相談に乗ってくれたことに対して、さっきも言った通り大きな感謝の念を抱いている。そのこともあってか、是非ともネズさんには自分の答えを早く出して見せてあげたい。そんなちょっと焦ってしまう気持ちを抱えていた。

 

「大丈夫ですよ」

 

 そんなボクの心情を理解しての行動なのか、ボクの頭に手を置き、軽くぽんぽんとしてくるネズさん。その行動を受けたボクは、安心感と同時に、ちょっと意外だなと思った。

 

 マリィの兄ということと、普段の言動から面倒見のいいちょっと過保護なお兄さんなんだろうなとは思ったものの、こんな体に触れるようなコミュニケーションをとるような人ではないと思っていたからだ。もしかしたら案外そういう人なのかもと認識を改めようと思いながらネズさんの方を見ると、ネズさん自身も少しだけ苦笑いを浮かべており。

 

「あまりこういうのはしないんですがね。まぁ……ちょっとしたエールというやつですよ」

 

(ボクに兄がいたらこんな感じだったのかな?)

 

 頭にかかる暖かさにちょっと心地よさを感じる。一人っ子のボクにはうらやましい暖かさだ。

 

「ありがとうございます。自分のペースで答えを出して、でも、いつかちゃんと答えを出して、ネズさんに答えを言います!そして、そのままジムチャレンジもその先も勝ち進みます!!」

「ええ、頑張ってください。最も、1位はマリィの物ですが」

 

 ネズさんの言葉に、それはそうだと思いながら再び空を見上げる。

 

 明日はスパイクタウンを発ってナックルシティを目指すことになる。

 

 暫くこの町の景色も見納めとなるだろう。答えを出して、もしかしたらあるかもしれないまたここを訪れるその時を想像しながら、ボクはネズさんと見たこの星空を記憶に刻み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




視覚共有

まだまだ使いこなせない様子。
この状態だとデメリットが大きいですね。

スパイクジム突破

晴れて全員突破。
ユウリさんの戦い方が、頭を使うと言いながら若干脳筋っぽい気がするのですが、気のせいですよね。

ネズ

こんな兄がいたら楽しそうだなぁと思いました。




ジムもいよいよあと一つ。
お話も大分佳境……何ですかねぇ……?
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