【完結】ポケットモンスター 約束のためにもう一度   作:犬鼬

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なんとなくフリアさんの見た目をキャラメイクアプリで作ってみたんですけど……想像以上に女の子になってしまいました。
どれくらいかというと、ここに乗せたらタグに『男の娘』をつけないといけないレベル……
私の頭の中ではもうちょっと男の子男の子していたのですが……

……まさかもう手遅れなんてことはないですよね?……だとしたら急いでタグを追加しないといけないのですが……()

皆さんの頭の中ではフリアさんの女の子度(?)ってどのくらいなんでしょうかね?


116話

 ナックルスタジアム。

 

 ジムチャレンジの最後の関門を担うこのスタジアムは、ナックルシティのど真ん中にそびえたっており、この街に来た人は、まずこの建物が目に入ってくることになるだろう。

 

 跳ね橋によって道が繋がれているこの場所は、見た目や、中に入るための跳ね橋の存在感もあってか、挑戦者を見下ろす巨大なお城のようにも見える。収容できる観客の数も今までのスタジアムと比べて明らかに多そうで、この大舞台で戦うとなれば、それはそれはとてつもない賑わいを見せることとなるだろう。

 

 きっとボクとキバナさんのバトルはほぼ満席になるクラスの目玉バトルになる……と思う。

 

 自分で言うのは恥ずかしいけど、ここくらいは自信を持ってもいいと思いたい。ここまで勝ち上がることがほとんどないと言われているこの難関チャレンジのトリを飾る場所なので、むしろ盛り上がってくれないとキバナさんやリーグ関係の人たちに申し訳ないくらいだ。

 

 と、ここまでキバナさんとの戦いや、ナックルスタジアムのジム戦についていろいろ話してしまったけど、当然ながらナックルスタジアムにもジムミッションは存在するため、まずはここのジムチャレンジを突破しないと意味がない。もうキバナさんと戦える雰囲気でいるけど、キバナさんの前にもまだ壁は存在するから、気は引き締めなきゃね。

 

 そんなわけで今ボクはここナックルスタジアムのジムミッションに挑戦しようとしている。

 

 昨日、キバナさんとの会話を終えたボクたちは、ジュンサーさんの誘導に頭を下げながらナックルスタジアムへと入り、ジムミッションの予約を行った。ジムミッションの予約はここまで生き残っている選手がほとんどいないこともあり、今までで一番スムーズに完了し、そのあまりにもスタジアム側の予定が空きまくっていることから、何なら今からでもジムミッションを受けてもらっても構わないと案内されたほど。キバナさんと戦いたいという欲に任せてその場ですぐに受けてもよかったんだけど、さすがにスパイクタウンからここまで来た疲れを取りたいというのと、自分の手持ちとの話し合いやふれあいをしっかりして、準備を整えてから挑みたいという意見に落ち着いたので、その場で挑戦することに関しては一旦落ち着いて考え直し、今日に先送りしたという形だ。

 

 キバナさんとの戦いに通じる最後のジムミッション。当然このジムミッションもまた高い注目度を誇っており、キバナさんとのバトルには及ばずとも、このジムミッションを視聴する人の数はとても多いらしい。そうなれば、ナックルスタジアムにはさぞたくさんの人が集まり、それ相応の盛り上がりを見せてくれる……かと言われると実はそうでもなかったりする。

 

 その理由としては、ナックルスタジアムのジムミッションは、観客を現地に入れて行われないからだ。

 

 ナックルスタジアムのジムミッションは挑戦者が現れたとなると、その挑戦者がミッションに挑むと同時に生放送が始まり、その中継のみで観戦することが可能となる。

 

 理由としては、ボクが初めてこの街に辿り着いたときにソニアさんかキバナさんに説明をされていたと思うけど、ここのジムミッションを行う場所がナックルシティの宝物庫だからである。

 

 ジムリーダーのキバナさんがカギを管理しており、そのキバナさんの監督の下でしか入ることのできないこの場所でジムミッションを行うとなれば、当然無関係な人を通すことは難しい……というかできない。大切な文化遺産であるタペストリーもあるわけだしね。……いや、ポケモンの攻撃が飛び火して、万が一にも傷がついたら大変だから、そもそもこんなところで戦わない方がいいとは思うんだけど……そこはキバナさんがしっかりと監督するらしいからいいのかな?

 

 とにかく、ここのジムミッションは現地での観客は存在せず、家庭のテレビやパソコンなどから視聴するしか見る方法がない。そういう意味ではアラベスクスタジアムのジムミッションと空気感は似ている。

 

 あっちは中継すらしていないけどね。

 

 それを証明するかのように、今日、今まさにナックルスタジアムのジムミッションに挑もうとしているボクの目の前には、キバナさんと、ナックルスタジアムのジムトレーナーと思わしき人たちが3名立っているだけだった。

 

(うん、やっぱり観客は少ない方が闘いやすいかも)

 

 スパイクタウンの時も少なかったけど、あの時はかわりに観客との距離が近かったため、また別の緊張感があった。けど、今回は正真正銘人の視線をほとんど感じない静かな空間でのバトルだ。中継用のドローンロトムが宙に浮かんでこそいるものの、戦闘の集中を妨げないためかあまり駆動音が鳴っておらず、ひとたびバトルに入れば気にならなくなるほど小さい音だ。

 

 ちなみにユウリたちは既に挑戦を終えており、この宝物庫から帰ってきた彼女たちと顔を合わせている。その時に見た表情を確認すれば、みんな何とか無事に突破出来たというのがわかったのでちょっと安心した。

 

 この宝物庫は2階にあるんだけど、宝物庫の建物にはスタジアムのような控室が当たり前だけど存在しない。元々バトルをすることを想定されていない場所だしね。なので、代わりとして1階にある広間を控室代わりとしており、その日に挑む挑戦者たちは、自分の番が来るまでその部屋で待機することとなる。なので、ボクはその部屋にてみんなが挑んで帰って来るのをじっと待っていたというわけで、そして今全員の挑戦が終わり、いよいよボクの出番。

 

 ボクの1個前に挑んだクララさんがこの控室に戻ってきて、外に出ていったのを確認したボクはキバナさんの案内の下、2度目の宝物庫内に案内されて今に至るというわけだ。

 

「さすがここまで生き残ってきたチャレンジャーたちだな。全員オレ様のジムのトレーナーたちにしっかり勝って抜けていった。残るミッション挑戦者はお前だけとなったわけだが……」

「はい。みんなが突破しているのはすれ違った時に確認しているので大丈夫です。そして、ボクもすぐに追いつくとも伝えたので……このミッション、絶対に越えて見せますよ」

 

 キバナさんの言葉を遮るように今の意気込みをこたえる。昨日あれだけの啖呵を切っており、他のみんながしっかりこの壁を越えているんだ。こんなところでボクだけが躓くなんてことだけはあってはならない。

 

 ボクを知る人にとっては勝って当たり前のバトル。

 

 それはそれでちょっと緊張感があるけど、これくらいの緊張感なら、むしろバトルに挑むためにちょうどよく気が引き締まるので、むしろありがたいものとして受け入れている。

 

(特に、ここのジムだけは他のジムとは異なる特色があるからね……)

 

 個人的にはあまり問題ないとは思ているんだけど、このジムではスパイクタウンの『ダイマックスができない』みたいな特殊ルールが存在する。その兼ね合いもあって、普段とはひと味もふた味も違うバトルが行われるから、そういう意味では急なルール変化に足元をすくわれないようにしないとね。

 

「いい気合いだな。じゃあそのやる気が消えないうちにさっさとルール説明するぜ。ここナックルスタジアムでは、変な迷路をしたりだとか、ポケモンを捕まえてポイントを稼ぐだとか、ぐるぐる回りながら正しい道を進むみたいなめんどくせぇルールは一切なしだ。ここのジムミッションで行われるのはただ一つ!!ここまで勝ち残ることのできたお前が本当に強いのか、そしてここに来るまで、仲間とどれだけ絆を深め、コンビネーションを磨いてきたのか。それを確認するために、オレ様のジムのトレーナーとの2対2のダブルバトルをしてもらう!!」

 

 キバナさんにとっては本日5回目となるルール説明。去年以前も含めれば、いくら挑戦者が少ないからと言ってもかなりの回数口にしたであろうその説明を、しかし一切面倒くさがることなく、溌剌と説明していくキバナさんに、こちらのテンションも自然と上がっていく。

 

 テレビを気にしているのか、ジムリーダーとしての責務か、はたまたただただ本人の性格なだけなのか、おそらく3つ目の理由が正解であろうその説明に耳を傾けながらぐっと拳を握る。

 

(ルール自体はあらかじめ聞いていた通りだ)

 

 ダブルバトル。それこそがここナックルスタジアムで行われる、ジムミッション内唯一無二のルール。

 

 スパイクタウンのような、ダイマックスができないから仕方なくルールを改変したというわけではなく、単純にキバナさんがこのルールが好きだからという理由で決められたバトル。ガラル地方はおろか、全地方で見ても、ジム戦でダブルバトルを取り入れている場所を、ボクはホウエン地方のトクサネシティ以外で知らないほど公式大会としては珍しいルール。

 

 ただでさえキバナさんという強力なトレーナーと、キバナさんが鍛えたジムトレーナーと戦わないといけないというのに、そのうえでバトルに慣れていないトレーナーになりたての人だと、そもそも経験値が少なくなりがちなダブルバトルをしないといけないというのが、このジムが最難関になっている理由の一つでもある。例えバトル慣れしている人でもダブルバトルの経験が多いとは限らないので、ベテランでも苦戦する可能性は高いだろう。

 

 キバナさんの言う通り、言葉にすれば一言で説明できるほどシンプルなルールだけど、だからと言って簡単ではないミッションとなっている。

 

「バトルのルールに関しては以上だ。次はお前に誰と戦うかを決めてもらうぞ」

「誰と戦うか……?」

 

 ルールはわかっていた。だけど、この話は知らなかったので首を傾ける。

 

「ああそうだ。ジムトレーナーの中でも選りすぐりのエリートである、この3人のトレーナーの中から1人選んでもらって、お前の自慢のコンビネーションを見せてもらう」

 

 キバナさんの言葉に従ってボクの前に並んだ3人のトレーナー。男性が1人と女性が2人のその内訳は、全員が全員ドラゴンタイプのユニフォームに身を包んでおり、同じく全員がかけているメガネも相まって、まさしくエリートといった雰囲気がひしひしと伝わってくる。

 

 なんでメガネをかけたらこんなにもエリートに見えるんだろうね?

 

「さて、じゃあさっそく誰と戦うか選んでもらおうか、シンオウリーグ準優勝サマ?」

 

 キバナさんの言葉に、ボクの目の前にいる3人のジムトレーナーの目がすっと細くなるのを感じる。ボクの肩書を聞いて、そしてボクの前評判を聞いて、是非とも戦いたいと思ってくれていたのだろうか?

 

 嬉しいけど、そこまで期待されるとちょっと照れるというか変な緊張が芽生えるというか…まぁとりあえずそれは置いておこう。問題は誰と戦うかなんだけど……

 

(キバナさんの戦闘スタイルを考えると、ここにいる3人全員バトルスタイルは似ているけど、使ってくるモノは違うんだろうなぁ)

 

 キバナさんはドラゴンタイプの使い手として有名だけど、それ以外にももう一つ有名な戦法を取り入れている。

 

 それは天候操作。

 

 ルリナさんの時にも、雨とすいすいというコンボにかなり苦しめられたのは、戦った日こそもうかなり前だけど、それでもしっかりと記憶に残っている。天候は一度相手に奪われてしまえばそこから簡単に戦闘の流れを持っていかれるほど、時に戦闘に大きな影響を及ぼすものとなる。その天候を、キバナさんはルリナさんと違って雨以外の晴れ、あられ、砂嵐、も含めた全部を操って来る。

 

 キバナさんの異名でもあるドラゴンストームは、この天候をすべて操ってくるからこそついた異名だ。

 

 もっとも、メロンさんにどうしても勝てていないことから、本人曰く自身が闘う時は、あられを使うことに抵抗があるらしいので、あられだけはそんなに使われることはないみたいだけど。

 

 とにかく、ドラゴンタイプのほかにも天候を操るキバナさんの門下生となれば、当然彼らも天候の扱いに長けているということになるだろう。そして、残念ながらボクは天候を扱うことに長けているというわけではないから、天候はおそらく取られることとなる。

 

 雨だけはボクも利用したことがあるし、あられに関してもモスノウがいるおかげでまだ対処はできそうだけど、砂嵐と晴れの2つは引いたらどうしようもなさそう。というのがボクの今の考え。特に、晴れとは相性が最悪だと思っているので一番当たりたくない。そして、わざわざここに3人並べているということは、ここにいる3人がそれぞれ別の天候を担当しているということも何となく想像することはできる。では肝心の、どの天候と戦いかだけど……

 

(うん、誰がどの天候の担当か全くわからない)

 

 あたりまえだけど、初対面の人の顔を見てその人が使うポケモンを予想なんてできるわけがない。よって、完全にランダムのおみくじを引いて、運よく雨かあられを担当している人に当たればラッキーという感じに選ぶしかない。

 

「では……真ん中の人で」

「真ん中だな。OK。レナ!!シンオウリーグ準優勝サマからのご指名だぜ!!カモン!!」

 

 というわけで何となくという理由で真ん中にいた女性を選択。本当にただボクの目の前にいたからという適当な理由で彼女を選んだんだけど……果たしてこの選択は吉と出るか凶と出るか。

 

「初めまして、レナと言います」

「初めまして。フリアと言います。今日はよろしくお願いします」

「こちらこそお願いします。他の地方で準優勝し、このガラルでも注目されいる選手のちから、ぜひ見させていただきます」

 

 眼鏡をくいっと上げながら、言葉遣いすらも真面目で少し硬そうなイメージを抱く人。その喋り方と見た目から、何となくあられを使いそうかなと適当な予想を置いておく。いあ、願望だね。これ。

 

「おし、それじゃあ、長い前置きはこの辺にしてさっそくバトルしてもらうぜ!2人とも、ポケモンを2匹出しな!!」

 

「行くよ!!インテレオン!モスノウ!!」

「行きなさい!!バクガメス!キュウコン!!」

 

 キバナさんの言葉と同時に現れたポケモンはインテレオン、モスノウ、バクガメス、キュウコン。全員が雄たけびを上げながらやる気満々に対戦相手を見つめる、緊張感のあるフィールドが出来上がると同時に、屋内である宝物庫に、本来ならありえない異変が起きる。

 

「……晴れか」

 

 上を見上げれば燦々と輝く太陽のような大きな光。キュウコンの特性である『ひでり』が発動し、宝物庫内が目を覆いたくなるような眩しさにつつまれた。

 

 天候晴れ。

 

 ほのおタイプの技が強くなり、みずタイプの威力が弱くなるこの天候は、キュウコンの隣にいるバクガメスを余すことなくサポートするだろう。対してこちらは、インテレオンの火力は下がり、モスノウはほのお技を喰らおうものなら、こおりのりんぷんの上から叩きつぶされることだろう。あられのパーティという予想は大ハズレ。先ほども言っていた通り、一番当たりたくない天候が相手だ。

 

 どうでもいいけど、雨やあられをこの部屋の中で起こして、本当にタペストリーは大丈夫なのだろうか?遺産であるタペストリーがタダで見られないように、あまりテレビに映らないようにドローンロトムもカメラの角度に注意しているみたいだけど、それよりも気を付ける場所がある気がする。と思ったら、ガラル地方のバリヤードが壁を張って守っていた。スパイクタウンと言いここと言い、バリヤード過労待ったなしである。

 

「決着はどっちかのポケモンが2匹とも倒れた瞬間だ。1匹倒されたからって諦めるんじゃねぇぞ?それじゃあ……開始!!」

 

「キュウコン!『おにび』!バクガメス!『かえんほうしゃ』!」

 

 キバナさんの宣言とともに紫と赤の焔が降り注ぐ

 

「インテレオン!『ねらいうち』!モスノウは『ふぶき』!」

 

 それを防ぐべく、水弾と氷風を放つものの、水弾は晴れによって蒸発するため威力が下がり、逆に晴れによって威力の上がったかえんほうしゃは、こちらのふぶきとねらいうちを飲み込んでいく。なんとかおにびは消すことが出来たけど、かえんほうしゃは止めることができずにこちらに飛んでくる。幸い速度は落ちていたため、こちらに到達する前に両方とも避けることは出来たけど、本来は攻撃技ではないおにびにねらいうちをほとんど止められた時点で、天候によってできた両者の威力の差ががよく分かる。

 

(おにびは分類としては変化技なのに晴れでもしっかり火力あがっているんだね……)

 

 カブさんの時もおにびに肝を冷やしたのを覚えているけど、あの時とはまた違ったおにびのアプローチだ。

 

 このおにびを強化しているのは間違いなくキュウコンのひでり。ひでりは発動してから一定時間のこり続けるものだから、今すぐにキュウコンを落としたところでこのひでりがすぐに消えることはないんだけど、それでも個人的にはキュウコンを狙っていきたい。

 

 ダブルバトルにおいて基本的に鉄則と言われているのは、相手の数を減らすこと。

 

 体力が100%のポケモン1体と、体力が50%のポケモン2体とでは、同じように見えて天と地の差がある。これはダブルバトルに限った話ではないんだけど、やっぱり数の有利はそのまま戦術の幅の広がりへと直結するため、優先事項で守るべきことだし、逆に言えば相手にこの幅を取らせないために一秒でも早く片方を落とす必要がある。となれば、まずボクがするべきことは、バクガメスよりも耐久の低いキュウコンを先に落とすことなんだけど……。

 

「バクガメス!!前にでて背中を向けなさい!!」

 

 こちらに背中を向けながら立ちふさがるバクガメス。

 

 バクガメスはポケモンの中では珍しいカウンターを主体とするポケモンだ。

 

 背中にしょっている棘の付いた甲羅は、衝撃を受けることで爆発を起こし、甲羅の近くにいる他のポケモンや攻撃を吹き飛ばしてしまう。一方で、その爆風を逃すためのお腹の穴はバクガメスの弱点となっているんだけど、当然そこを守るように基本的に背中を向けて戦う。

 

 そんな防御よりのポケモンが、ダブルバトルでこのように前に出るという行為は、仲間の盾代わりになると同時に、自分の弱点であるお腹を、キュウコンに守ってもらえるという安定性を高めるものにもなる。バクガメスのカウンターがほのおタイプなせいで、ひでりの影響も強く受けられるのも、この組み合わせの厄介なところだろう。

 

 耐久の低いキュウコンを速く倒したいのに、それを守るかのようにバクガメスが前を張る。

 

「ダブルバトルでは、どちらがどの役割をするかが大事です」

 

 眼鏡を上げながらか語る彼女の言葉通り、役割に沿った教科書通りの立ち回り。テンプレだけど、だからこそ手堅く崩すのが難しい。

 

「私の力がどこまで通用するのか、試させていただきます!!」

「普通はボクが試される側だと思うんですけど……」

 

 ボクがチャレンジャー側なのに、ちょっとおかしなレナさんの発言に思わず突っ込みながら、この壁をどうやって崩すか考える。

 

 普通の火力勝負なら、ひでりのせいでこちらの火力が落とされているため勝てる算段がない。しかも、それを無視して無理に攻めようものなら、ただでさえ痛いバクガメスのカウンターが、ひでりで強化されて帰って来る。

 

 天候と火力の2つを取られているこの状況。

 

 普通に苦しい。けど、ひっくり返せないわけじゃない。

 

「この時のためにコンビネーションを鍛えていたもんね!!モスノウ!!『おいかぜ』!!」

 

 インテレオンとモスノウの背中を押す風。こちらのポケモン全ての速度を一時的に強化するこの技は、モスノウはともかくとして、この中で一番素早さの高いインテレオンの強みをとことん引き出してくれる。

 

(素早さと器用さ、そして奇想天外さで勝負!!)

 

「『ねらいうち』!!」

 

 おいかぜで素早さの上がったインテレオンによる、ねらいうちの乱射。

 

 威力よりも速さに重きを置いたその攻撃は、バクガメスの隙間を縫って後ろのキュウコンを狙って飛んでいき……

 

「キュウコン!!『じんつうりき』で『ねらいうち』をそらして━━」

「モスノウ!!『ふぶき』で『ねらいうち』を凍らせ軌道を反転!!」

「は……?」

 

 じんつうりきによって逸らされたねらいうちをふぶきで凍らせることによって、晴れによる威力軽減を抑え、さらにモスノウがおいかぜに乗って相手の裏側へ素早く回り込んで即席の氷弾を風で操作。逸らされたことで明後日の方向へ飛ぶはずだったねらいうちは、氷の弾となって反転。キュウコンめがけて飛んでいく。

 

「キュ、キュウコン!!『かえんほうしゃ』で落として!!」

 

 急の出来事に頭が追い付かなかったレナさんが、それでも何とか反応して、キュウコンに防御をさせようとする。

 

 しかし、元々素早さを追求して放たれたねらいうちの速度を維持したまま凍った氷弾を止めるには一手遅く、かえんほうしゃが受け止める前に()()()()()()()()()()()()()

 

「え!?……え!?」

 

 いよいよどういうことかわからなくなったレナさんが混乱しているうちに、氷弾はボクの狙い通りの位置に着弾していた。

 

「バ……グゥ……」

「う、嘘……」

 

 それはバクガメスの弱点である、爆風を逃すためのお腹の穴。

 

 バクガメスとキュウコンを通り抜けて、そこから反転したということは、攻撃はバクガメスのお腹に当たる。

 

 ボクの狙いはキュウコンを先に落とすことじゃない。バクガメスを先に落とすことだ。それこそが、相手のテンプレを崩す奇想天外さ。ボクの武器。

 

 ねらいうちという急所や弱点を狙いやすい技だという事と、スパイクタウンにいた時から練習していた2匹の連携の上手さがあるからこそ成せる技。

 

「グゥ……バァ……」

「バクガメス!!しっかりして!!」

 

 さすがにしっかり鍛えられているせいか、はたまた氷でコーティングしているとはいえ、晴れで威力が減衰しているせいか、この一撃で倒れることはなかったものの、それでもバクガメスにはかなりのダメージが入っている。

 

「申し訳ないですけど、ボクは速くキバナさんと戦いたいんです。だから……」

 

 流れは取った。

 

 後は……

 

「速攻で決着をつけさせていただきます!!」

 

 このまま押し切るだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ジムミッション

実機では3戦ですが、お話でそうするとダレそうなので1戦に。
その代わりに選択制ですね。

晴れパ

適当に真ん中は本当にそうやって決めました。
このお話を書く寸前まで誰と戦うか決めてありませんでした()

バクガメス

胸の穴が弱点は公式設定。なんですけど、特性がシェルアーマーなので急所には当たらないという……
一応ここでは、弱点と急所は言葉としては一緒なんですけど胸の穴は別という解釈で書いています。
細かく書くなら、胸の穴はシェルアーマーで閉じることで守れるけど、長時間閉めていると、体の内側の通気性が悪くなり、最悪体内で爆発するので、自分の意思で調整しないとダメと解釈しています。
ゲームフリーク様はどう考えているのか気にありますね。




ここまで読んでいた方なら察していたかもですが……フリアさん、ダブルの方が得意だったり。
単純に幅が色がるので、手札を増やしやすいんですよね。書いていてもいろいろ思いついて楽しいです。
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